ー 挑戦者を増やしたい ー 名刺は“会計士”、目指すは“社会のエンジン”。

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辻 哲弥:税理士法人グランサーズ共同代表 公認会計士・税理士

1998年生まれ。高卒で公認会計士試験に合格し、大手監査法人を経て23歳で独立。2023年に税理士法人代表に就任し、中小企業支援や経理DX、組織再編・事業承継などに対応。若手会計人の育成にも注力し、「日本一有名な税理士」を目指してSNSや情報発信を展開中。

「安定」ではなく「挑戦」へ。高卒で目指した会計士の道

インタビュアー:辻さんが会計士を志したきっかけについて、まずは教えてください。

辻さん:
はい、もともと僕が会計士という職業を知ったのは高校生のときでした。最初に「手に職をつけたい」という気持ちがあったんですけど、同時に「いつかは起業したいな」という思いもあって。そのときに、会計士という資格があれば、たとえ起業に失敗しても食いっぱぐれることはないし、起業に役立つスキルも身につくなと感じたんです。

会計の知識はもちろん、経営や税金、法律の基礎まで網羅的に学べる。そういう実用的な学びが詰まっている点にすごく魅力を感じて、「これだ」と思いました。

当時は進学校に通っていたので、周囲は当然のように大学進学を目指していました。進学校特有の、「いい大学に入って、いい会社に入るのが正解」という空気感があって。正直、それ自体は悪くないとは思っていましたが、なんというか…「決められたレールの上を走ること」に面白みを感じられなかったんですよね。

勉強が特別好きなわけでもなかったし、偏差値や順位といった尺度で自分の人生が決まっていく感じに疑問を持っていました。だから僕は、「大学に行く」という選択をやめて、卒業後すぐに予備校に通って会計士の勉強に集中する道を選びました。

インタビュアー:それはかなり大きな決断ですね。ご家族や先生からは反対されませんでしたか?

辻さん:
めちゃくちゃされました(笑)。特に母親ですね。父は「好きにやればいいじゃん」って感じだったんですが、母はなかなか納得してくれなくて…。僕としては、「大学に行かないで会計士を目指すのは筋が通っている」と思っていたので、ロジックで一生懸命説明しました。でも、やっぱり感情が先に立つものなんですよね。最終的には感情と感情のぶつかり合いで、「自分が行きたい道を行くんだ」という覚悟で押し切りました。

ちなみに、弁護士という選択肢も一瞬頭をよぎりました。ただ、弁護士になるには法科大学院に行って、予備試験を経て…と、かなり長い道のりが必要だったんです。僕は早く稼ぎたい、早く自立したいと思っていたので、その点でも会計士のほうが向いていると判断しました。

加えて、当時すでに「有名になりたい」という気持ちもあって(笑)。弁護士のほうがテレビにもよく出てるし、競争が激しいと感じたんです。だったら、会計士のほうが戦いやすいなと思ったというのも正直なところです。

監査法人から慶應ロースクール、そして起業へ。異色のキャリア遍歴

インタビュアー:会計士の資格を取得された後のキャリアについて伺いたいです。どのような流れで実務経験を積んでこられたんでしょうか?

辻さん:
合格発表が2018年11月で、翌年の1月から大手の監査法人に就職しました。監査法人に入るのが会計士としては一般的なルートなので僕の場合もそれに従って、3年2ヶ月ほど在籍していました。

担当したのは主に財務諸表の監査業務で、製造業、運送業、薬品系、中央省庁など、業種はかなり幅広かったですね。スポット案件も含めると、全部で20社近く担当させてもらいました。

でも、働いていく中で「やっぱり自分は会社員向きじゃないな」と感じる瞬間が増えてきて。元々は起業したい気持ちがあって会計士を目指していたので、「そろそろ動き出すタイミングかな」と考えていた頃でした。

そこで一つの「実験」として、慶應のロースクール(法科大学院)に入ってみたんです。というのも、僕は最終学歴が高卒なので、大学院に進学できるのか、そもそも合っているのか確かめたかったんですよね。

実際に4月から通い始めたんですが、正直あまり授業には身が入りませんでした(笑)。友達と遊んだり、学生生活を楽しむ方がメインになっていて。「やっぱり僕には向いてないな」と思ったので、半年で辞めました。

でもこの期間もムダだったとは思っていなくて、在学中には知り合いの会計事務所で税務の勉強もさせてもらっていました。監査法人では税務の実務経験は積めなかったので、独立に向けて良い準備期間だったと思います。

そして、その流れで2022年の9月に自分の会計事務所を立ち上げました。8月に会計士登録、9月に税理士登録をして、完全に独立したという形ですね。

最初は当然一人でのスタート。とにかく営業しないと仕事がないので、交流会に顔を出したり、ビジネスマッチングアプリを使ったり、TikTokで情報発信してみたり…とにかく手を動かしていました。監査のバイトも掛け持ちしていて、労働時間は長かったですが、それでも自分の力で少しずつ軌道に乗せていく感覚は、すごくワクワクしていました。

独立4ヶ月で月収100万円超。順調な滑り出しとM&Aの決断

インタビュアー:独立後、早い段階で軌道に乗ったとお聞きしました。実際のところ、どんな立ち上がりだったのでしょうか?

辻さん:
そうですね。自分でも少し驚くくらい、スタートは比較的順調でした。開業から数ヶ月は、税理士会の紹介や、知り合い経由の案件を少しずつ積み上げていって。確定申告のシーズンには仕事が一気に増えて、まとまった利益も出せるようになりました。

加えて、監査のアルバイトも入れていたので、ある程度の収入は確保できていたんですよね。開業から4ヶ月目くらいには、月収で100万円に届く月も出てきて、「これはやっていけるな」と手応えを感じた瞬間でした。

ただ、そのタイミングで大きな転機が訪れたんです。当時の税理士法人グランサーズ代表の筧さんに出会いまして。「一緒にやらないか」と声をかけてもらったんですよ。

最初は正直、すごく悩みました。まだ独立して半年くらい。ようやく立ち上がってきたところだったので、「今ここで他の事務所と組むのは早すぎるんじゃないか」とも思ったんですが、筧さんといろんな話をするうちに、「この人とだったら、もっと早く遠くに行けるかもしれない」と思うようになりました。

インタビュアー:早く遠く、というと?

辻さん:
当時、自分で実務や営業、採用まで全部やっていたので、正直めちゃくちゃ忙しかったんですよね。でも、グランサーズにはすでに仕組みが整っていて、自分が実務からある程度離れて、ブランディングや発信活動に集中できる環境がある。それは大きな魅力でした。

結果的に2023年6月、僕が24歳のときに、自分の事務所をグランサーズに合流させる形でM&Aを決断しました。あの時は、自分の中でも「時間を買った」という感覚が強かったです。

あと、もう一つ理由を挙げるなら「有名になりたい」という気持ちが明確にあったからですね。発信や登壇など、自分の影響力を広げていくための下地を早く整えたかった。グランサーズの体制があったからこそ、そのスタートダッシュが切れたんだと思います。

「有名になりたい」──税務の実務から解放され、影響力で挑戦者を増やす

インタビュアー:M&Aからの2年間、辻さんはどのような過ごし方をされたのでしょうか?

辻さん:
グランサーズに合流した直後は、とにかく「足場を固める期間」でした。いきなり組織の中で動く立場になったので、まずは自分が手を動かして、税務実務をちゃんとやりきること。あとは、従業員とのコミュニケーションですね。

当時、周囲のメンバーは自分より年上の方ばかりでしたし、いきなり「共同代表」的な立場で現れたわけですから、最初は「誰?」みたいな目で見られることもありました。だからこそ自分がまず信頼を勝ち取ること、現場感をつかむことを大切にしていました。

最初の1年で、記帳代行や申告書作成なども含めて、ある程度は実務もこなしました。独立時は中小・個人のお客様が多かったですが、グランサーズでは上場企業を含む大手の顧客とも接点が持てるので、そこで一気に視野が広がったと思います。

そして2年目以降は、少しずつ自分の役割を「発信・広報」に寄せていきました。YouTubeの出演頻度を上げたり、セミナーに登壇したり、執筆の機会も増やしました。本も出しましたし、SNSも強化していって、いわゆる”税理士タレント”のようなポジションを目指していくイメージですね。

会社としては「案件獲得につながればOK」というスタンスで私の発信を応援してくれています。僕個人の目標は明確で、「とにかく有名になること」。YouTubeで登録者100万人を目指していますし、将来的には「税理士」という枠を超えて、広く影響力を持ちたいと思っているんです。

単にフォロワー数を増やしたいわけではなくて、「辻みたいになりたい」と言ってくれる人を増やしたい。そういう意味では、職業としての”税理士”というより、”ロールモデル”を目指しているのかもしれません。

自分の人生は自分で決める。挑戦を応援するために、僕は発信を続ける

インタビュアー:ここまでお話を伺って、「有名になりたい」という強い想いが一貫して伝わってきました。辻さんにとって、その原動力はどこから来ているのでしょうか?

辻さん:
正直、コンプレックスや劣等感みたいなものが根っこにあるんだと思います。僕、筋トレもしてるんですけど(笑)、あれって結構そういう気持ちが原動力になってる人多いんですよね。「自分を変えたい」とか、「もっと強くなりたい」とか。

僕も、自分の中にある説明できない”ざわつき”みたいなものが、行動のエネルギーになってる気がします。でも、それを「消したい」とは思ってなくて。むしろ”ガソリン”として使ってるというか。そういう気持ちがあるからこそ、突き動かされるように発信を続けられてるのかもしれません。

そして、僕が”有名になる”ことで実現したいのは、「挑戦する人を増やすこと」です。僕自身がそうだったんですが、かつては”周りの期待に応えること”ばかり考えていて、自分の人生を生きている感じがまったくしなかったんです。

でも、あのとき「大学に行かずに会計士になる」と決めたことが、自分の人生を取り戻す第一歩でした。だから今、発信を通して伝えたいんです。「本当にやりたいことは何なのか、自分で考えて、自分で選んでいいんだよ」って。

そして、それが社会にとってもすごく意味のあることだと思っています。今の日本って、なんとなく元気がないというか、挑戦する人が減っている気がしていて。でも、自分の人生に責任を持って、自分で方向を決めて、行動できる人が増えれば、日本全体ももっとエネルギッシュになると思うんです。

僕はそのきっかけになれたら嬉しいし、会計士・税理士っていう肩書きがあるからこそ、真面目に聞いてもらえることもあると思ってます。「あ、会計士が言ってるなら信じられるかも」って。

そういう意味でも、資格は”名刺”ですね。たとえば「〇〇大学卒」と書いてあるとちょっと構えちゃうけど、「公認会計士」と名乗っていても嫌味じゃない。それで信頼が得られるなら、今後もこの肩書きは使い倒していきたいです。

でも僕自身が”実務の最前線で稼ぐ”ことだけにこだわる気はあまりなくて。今はどちらかというと、人材支援に近い活動にも興味が出てきています。僕に憧れてくれる若手に、適切なキャリアの提案をして、場合によっては企業や事務所とつなぐようなこともやっていきたいですね。

将来的にはコーチングなど、もっと個人の成長に寄り添う仕組みも作っていきたいです。

インタビュアー:挑戦する人を応援するために、辻さん自身が挑戦を続ける。とても力強いメッセージですね。

辻さん:
ありがとうございます。僕自身、まだまだ道の途中ですけど、「自分の人生を自分で決めていい」と思えたときから、人生の手応えがまったく変わりました。それを一人でも多くの人に伝えられるように、これからも発信を続けていきたいと思っています。

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