目指すは「経営のライザップ」。元戦略コンサル税理士が挑む、数字と熱意で伴走する中小企業支援
公認会計士として監査法人で経験を積み、戦略コンサルティングファーム「ドリームインキュベータ」で活躍する――。輝かしいキャリアを歩んできた加瀬洋氏が、次のステージとして選んだのは、経営者に最も身近な「税理士」という仕事でした。
「ロジカルシンキングだけでは、経営者の心は支えきれないことに気づいたんです」
そう語る加瀬氏は、亡き叔父の事務所を引き継ぎ、アカウンティングフォース税理士法人を設立。「中小企業の夢を実現する」をビジョンに、創業・起業支援や、数字を用いた伴走支援で多くの経営者を支えています。「効率」や「論理」を突き詰めた彼が、なぜ今、泥臭い「人への寄り添い」を大切にするのか。そのキャリアの変遷と、AI時代における専門家のあり方についてお話を伺いました。
加瀬洋:アカウンティングフォース税理士法人代表社員/公認会計士・税理士
公認会計士試験合格後、有限責任監査法人トーマツを経て、戦略コンサルティングファームの株式会社ドリームインキュベータに入社。大企業の戦略立案やスタートアップ支援に従事し、徹底した論理的思考と経営視点を養う。その後、叔父の他界を機に税理士業界へ転身し、兄と共に事務所を再始動。「中小企業の夢を実現する」をビジョンに掲げ、アカウンティングフォース税理士法人を設立する。
現在は、コンサルタントとしての「数字の分析力」と、経営者に寄り添う「人間力」を融合させた独自の伴走支援を展開し、直近では、事業計画によって事業推進をグリップする経営計画実行支援サービス「BMS(Budget Management Support)」をスタート。
特にスタートアップ支援や創業支援に強みを持ち、年間200件以上の法人成り相談に対応するなど、起業家の夢の実現を強力にバックアップ。
インタビュワー:公認会計士、そして名門戦略コンサルティングファーム「ドリームインキュベータ(DI)」ご出身という輝かしい経歴をお持ちでありながら、なぜそこから、あえて泥臭い中小企業支援の道を選ばれたのでしょうか?
原点は、私の「血筋」と、コンサル時代に抱いた「ある強烈な葛藤」にあります。私は親族の多くが会計人という家系に育ち、自然と会計士になりました。その後、より経営の中枢に関わりたいとDIへ転職し、とても刺激的な毎日を過ごしていました。
DIで5~6年ぐらい過ごした頃に性格診断を受けた際、「あなたは実行力はあるが、人の気持ちが全くわからない」という衝撃的な結果が出ました。監査法人時代は「人に優しく」をモットーにしていたはずが、コンサルの現場で「論理だ」「仮説だ」と叩き込まれるうちに、いつの間にか左脳偏重になり、人間として大切な優しさを失っていたんです。
私はドラクエ世代なのですが、これはまさに「転職」と同じだと感じました。賢い「魔術師」から、肉弾戦の「戦士」に転職すると、呪文を使える賢さは下がりますが、その分、HPや力は上がりますよね。コンサルというキャリアで得た武器を手放してでも、泥臭く人の心に寄り添う能力を磨き直さなければならない。そう痛感したのが、私のキャリアの大きな転換点でした。
インタビュワー:自身の在り方を問い直したタイミングで、税理士という道を選ばれたのはなぜですか?
当時の上司だった堀紘一さんが常々仰っていた「金持ちをより金持ちにしても、日本は元気にならない」という言葉が、ずっと胸に残っていたからです。日本の企業の99%以上を占める中小企業こそが元気にならなければ、この国は良くならない。自分にも娘がいるのですが、彼女たちの世代に誇れる日本を残すためには、もっと手触り感のある支援が必要ではないかという想いが強くなっていました。
そんな時、税理士をしていた叔父が急逝し、その事務所を兄が引き継ぐことになったんです。「洋、手伝ってくれないか」と誘われた時、真剣に自問しました。「一人で賢く稼ぐ人生」か、「仲間と熱く生きる人生」か。
「早く行きたければ一人で行け、遠くへ行きたければみんなで行け」という言葉があります。私は、単なるお金稼ぎよりも、多くの人と熱い時間を共有する人生を選びたかった。そう腹を括り、兄や従兄弟たちと共にアカウンティングフォースをスタートさせました。当初は迷走もしましたが、やはり私自身の原体験から、これから挑戦する「スタートアップ」や「起業家」の夢を実現することこそが、私たちの使命だと確信し、今のスタイルに至っています。

インタビュワー:現在はどのようなお客様を中心に、どういったサービスを提供されているのでしょうか?
私たちが最も力を注いでいるのは、これから事業を始める「創業・起業」フェーズのお客様と、年商5億円規模までの成長を目指す企業様です。この層に対し、私たちは他にはない「二つの強力な武器」を提供しています。
一つ目は、業界トップクラスの解像度を誇る「法人成りシミュレーション」です。私は年間200件から300件ほどの法人成り相談を一人で受けているのですが、その経験則から導き出す数字の精度には絶対の自信を持っています。
多くの事務所では「法人化すると税金がこれくらい安くなります」という概算で終わることが多いですが、私たちは違います。「売上がいくらになったら、税金だけでなく社会保険料や住民税、事業税まで含めて、最終的な『個人の手残り』がいくら増えるのか」。これを1,000円単位まで緻密に算出して提示します。
起業家にとって、これは単なる計算作業ではなく「自分の人生と収入をデザインすること」そのものです。「この売上規模なら、これだけ手元に残る。だからこの投資ができる」「生活水準をここまで上げられる」。そうした未来がクリアに見えて初めて、経営者は漠然とした不安から解放され、自信を持ってアクセルを踏むことができるんです。
インタビュワー:1,000円単位とは驚きです。そこまで徹底してやる税理士はなかなかいない印象です。
そうですね。そしてもう一つの柱が、「未来を作る」ための継続的なサポートです。具体的には、目標達成に向けてPDCAを回す伴走支援「BMS (Budget Management Support)」と、経営者自身が経営を学ぶ「経営輝塾(けいえいかがやきじゅく)」という取り組みを行っています。
従来の税理士業務は「過去の処理」が中心ですが、私たちが目指すのは「未来の創造」です。BMSでは毎月膝を突き合わせて「次はどうするか」を作戦会議し、経営輝塾では、私たちがメンターとなって経営の原理原則や「会計を使って将来を作る方法」を一緒に学んでいきます。
インタビュワー:個別の「伴走」だけでなく、体系的に学べる「塾」まで開催されているのですね。
はい。実はこの塾は、静岡にあるSS総合会計の鈴木先生という素晴らしい先駆者のノウハウを取り入れさせていただいています。良いものは積極的に取り入れ、お客様に還元する。そうやって経営者の方々と共に学び、話し合い、時には元気づける。
私たちは、最新のクラウド会計などのテクノロジーをフル活用して「作業」を効率化し、その分、人間同士の「対話」に時間を割きます。単なる事務代行ではなく、経営者の隣で一緒に未来を作り、会社の成長に直接コミットする。それが、私たちが提供できる最大の価値です。
インタビュワー:「伴走支援」を掲げる会計事務所は他にもありますが、貴社はなぜそこまで「経営者と一緒に走る」ことにこだわるのでしょうか?
一言で言えば、私たちが「経営のライザップ」でありたいからです。ダイエットに例えるとわかりやすいのですが、「筋トレをして食事制限をすれば痩せる」ということは、誰でも頭ではわかっています。でも、ほとんどの人がそれを一人では継続できません。経営も全く同じです。「PDCAを回す」「顧客単価を上げる施策を打つ」。やるべき正解は見えていても、日々の忙しさに追われ、「わかっているけどできなかった」となりがちです。
そこで私たちの出番です。ライザップのトレーナーが「あと10回頑張りましょう!」「今週の食事はこれで乗り切りましょう」と隣で励ますように、私たちも「来月までにこれを実行しましょう」と伴走し、数字を使って進捗を管理します。AIに「痩せなさい」と正論を言われても続きませんが、信頼できる生身の人間が熱量を持って関わるからこそ、人は動ける。これこそが、AI時代における税理士の新しい価値だと考えています。
インタビュワー:数字を単なる「結果」ではなく、人を動かすための「道具」として捉えているのですね。
はい。私は以前、先輩からこう言われたことがあります。「加瀬、お前の作る貸借対照表(BS)は味がしないな」と。最初は意味がわかりませんでしたが、その先輩はこう続けました。「BSというのは、経営者の汗と涙と血の結晶であり、そこには凄まじいストーリーがあるんだ。それを理解せずにただ数字を並べるな」と。
この言葉は今も私の戒めになっています。決算書は単なる通信簿ではありません。過去の頑張りが詰まった結晶であり、未来を切り拓くための地図です。会社が潰れるのは、単にお金がなくなった時ではありません。「お金がなくなり、かつ経営者の心が折れた時」に会社は終わります。だからこそ私たちは、ただ数字を分析するだけでなく、その向こうにある経営者の苦悩や想いを汲み取り、「心を折らせない」ように支え続けたい。それが、日本の屋台骨である中小企業を元気にする、一番の方法だと信じているからです。

インタビュワー:最後に、今後の展望をお聞かせください。
私たちは創業当初から本気で、「日本一の税理士法人になる」という目標を掲げています。私個人としては、明確に「規模の拡大」を目指しています。最近の業界トレンドは、あえて人数を増やさず、少人数で利益率を高めるスタイルが主流かもしれません。しかし、私は良いサービスであればあるほど、より多くの人に届けなければ意味がないと考えています。
インタビュワー:なぜそこまで「規模」にこだわるのでしょうか?
規模がないと、提供できる価値に限界がくるからです。先ほどお話しした「BMS」という伴走支援は、あくまで経営者へのアドバイスやペースメーカー的な役割が中心です。これは登山で言えばまだ「五合目」だと思っているんです。
私が本当にやりたいのは、その先にある「実行支援」です。「売上を上げましょう」とアドバイスするだけでなく、実際にマーケティングや営業のプロフェッショナル部隊を社内に持ち、「私たちが代わりに売ってきますよ」「集客の仕組みを構築しますよ」というところまで踏み込みたい。そこまでやって初めて、本当の意味で中小企業の夢を実現できると思っています。ただ、それには多様な専門家チームが必要で、今の規模ではまだできません。だからこそ、愚直に規模拡大を目指し、最高のチームを作りたいんです。
インタビュワー:「早く行きたければ一人で行け、遠くへ行きたければみんなで行け」。まさに創業時の想いがそこに繋がっているのですね。それでは最後に、この記事を読んでいる経営者の皆様へメッセージをお願いします。
私のパートナーである阿部は「社員の笑顔や貢献度で日本一」を目指しており、兄がそのバランスを取ってくれるなど、アカウンティングフォースは多様な価値観が融合した強いチームです。私たちは、単に自分だけの蓄財のためにビジネスをするのではなく、「世の中をこうしたい」「こんな夢を叶えたい」という大義名分を熱く持っている経営者の方と出会いたいと願っています。
「中小企業の夢を実現する」ことが私たちのビジョンです。もしあなたが、叶えたい大きな夢をお持ちなら、ぜひ私たちにその背中を押させてください。泥臭く、熱く、数字と心で伴走します。
「BS(貸借対照表)は舐めると味がする」。インタビューの中で加瀬氏が紹介してくれたこの言葉は、数字の向こう側にある経営者の日々の努力や苦悩への、深い敬意を表しているように感じました。
戦略コンサルタントとして培った冷静な「分析力」と、多くの起業家と向き合う中で磨き直した温かい「人間力」。この両輪で走るアカウンティングフォースは、孤独を感じがちな経営者にとって、頼れるペースメーカーのような存在になるはずです。「もっと会社を良くしたい」「夢を実現したい」。そんな前向きな想いを持つ方は、ぜひ一度、彼らに相談してみてはいかがでしょうか。
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