安さだけの税理士はもう要らない。あなたの人生の「出口」まで見据え、30年後も隣にいる“伴走型”税理士の選び方
福山佳樹|ArcherConsulting総合会計事務所 代表
兵庫県宝塚市出身。税理士となる以前から、複数のベンチャー企業の立ち上げに役員として参画。企業経営の傍ら2008年の日商簿記1級合格後、2009年に税理士試験初受験。
2014年に勤務税理士として税理士登録。3年後に独立開業。
インタビュアー:本日はありがとうございます。早速ですが、福山様のこれまでのご経歴について伺わせてください。事前に拝見したのですが、10代で起業され、高校や大学には進学されなかったとか。非常にユニークなキャリアをお持ちですよね。
はい、そうなんです。私は高校も大学も卒業していません。10代半ばから、建設業で大工やトラックの運転手をやったりした後、最終的には自分でIT系の事業会社を立ち上げました。
インタビュアー:そこから税理士を目指されたきっかけは何だったのでしょうか?
それがですね、自分で事業をやってみると、とにかく「税負担がとんでもない」という現実に直面したんです。当然、当時の関与税理士の先生にも相談しましたが、今の税負担を将来負担するように繰り延べる提案はあるものの、根本的な節税案をいただいた経験がほとんどありませんでした。
それならもう「自分で勉強するしかない」と、税金の勉強を始めたのがスタートです。そうしたら、これが非常に面白くてですね。税務の世界は奥深く、知れば知るほど「なるほど」と思うことばかりでした。気づけばそのまま夢中になって勉強を続け、税理士になっていた、というのが正直なところです。
よく「自分の税金を減らしたかったら、税理士になってしまった」と冗談半分で言うのですが、あながち間違いではありません。でも、自分自身が経営者として悩み、苦しんだ「原体験」があるからこそ、今、経営者の方々のお気持ちは痛いほどよく分かります。その点が、お客様からご支持いただけている理由の一つなのかなとは思いますね。
インタビュアー:経営者としての経験を経て、税理士の道に進まれたわけですね。資格取得後、独立までどういった道のりだったのでしょうか?
まずは実務経験を積むために修行に出ました。ただ、私が最初に就職活動をしたのが2011年で、東日本大震災の直後でした。どこの事務所も募集を停止していて、エントリー先すら、ほとんどない。最終的に60社に応募して、採用してくださったのはたった1社だけでした。実務未経験だった私を最初に採用してくださった事務所の先生には今でも大変感謝しています。
インタビュアー:そこからキャリアを積んでいかれたんですね。
はい。税理士としてのイロハを一通り学んだ最初の事務所の後、現在は全体で1万人規模の国際的なコンサルファームTAX部門の前身となる大手町の法人特化の事務所に転職しました。ここでは、組合(LLP)やファンド税務、外資系企業の税務、M&Aなど、一般的な税理士事務所ではなかなか経験できない特殊な法人税務を専門に扱っていました。
その後、独立開業する前に、資産税を専門とする事務所に移りました。そこは不動産相続の取扱件数に関しては日本でもトップクラスの事務所で、1人の税理士が年間1,000~2,000件もの資産税案件を扱うような環境でした。私自身も、その事務所での経験を含めると、今までに累計3,000件を超える資産税案件に関与してきました。
なぜ独立前に畑違いとも思える資産税事務所へ行ったのか。それは、企業の「出口」まで見届けたかったからです。法人はいつか必ず手放すタイミングが来ますし、経営者個人は必ず相続に直面します。毎年の税金を最適化できたとしても、最後の出口で莫大な税金がかかってしまっては意味がありません。出口までコントロールできることが、税理士として誠実な姿勢であると思いました。だからこそ、「最初から最後まで一生涯付き合えるプロフェッショナルになる」という目的のために、資産税の実務は必須だったのです。
インタビュアー:それだけの実務経験を積まれて、2017年末にいよいよ独立されたわけですね。独立当初はどのようなことから始められたのですか?
独立したその日に、「0円設立」のサービスサイトをオープンさせました。これは、顧問契約を前提に、会社設立にかかる実費も含めて無料で設立を代行するというもので、おそらく日本初だったと思います。当時は後発のサービスもなく、1ヶ月で50件ほどのお申し込みをいただいた月もありました。
インタビュアー:独立と同時にですか。すごいスピード感ですね。
はい。その翌月には、当時「仮想通貨元年」だったので、「仮想通貨申告」のサービスページも立ち上げています。ほかにもクリニックの開業支援や公益法人、もちろん前職で培った資産税やM&A、組合、ファンド税務なども含め、幅広く対応できる体制を最初から整えていました。
実は、今の事務所のNo.2は、先ほどお話しした大手町の事務所時代の私の上司なんです。私よりもはるかに長く法人税務に携わり、その後IPOの専門家として執行役員も経験した人物で、私の独立後に合流してくれました。
ですから、事務所全体としては10人程度の小規模な体制ではあるのですが、各々が非常に専門性の高い領域を担っています。ちょっと昔の表現になりますが、うちは「ゴールドセイント(黄金聖闘士)」の集団だと(笑)、そういう事務所でありたいと伝えています。
また、弊所は全国16の士業事務所(※)と提携関係があります。税務は他士業領域と密接に関係するため、税理士だけでは完結できない場面が起こり得ます。
それらの解決や最適な提案には他士業の先生方との密な連携は不可欠です。弊所は、各専門分野についてそれぞれ得意とする士業事務所と提携関係を広げ、現在は16の士業事務所と連携してサービス提供しています。
※2025年11月現在の内訳:弁護士4(内、弁理士併設1)、司法書士3、社会保険労務士4、行政書士3、税理士2)
インタビュアー:少数精鋭で高い専門性を実現されている一方で、事務所の体制として「フルリモート」を徹底されている点も非常に特徴的だと感じました。これはいつ頃から導入されたのですか?
独立する以前、2010年頃から「いずれ税理士の業務はオンライン化していくだろう」と確信していました。昔は何かを調べたければ辞書を開き、図書館に行くのが当たり前でした。それが今やスマートフォンやAIでの検索に置き換わっています。専門的な業種ほど、こうした変化は顕著です。法律に基づき「こうだ」と結論が出る仕事ですから、個人の価値観が反映されにくい分、オンライン化しやすい。技術や法律の壁がいつ解決されるかだけの問題だと考えていました。
ただ、税理士法自体がリモートを認めていない前提がありました。事務所を事前に登録する必要があり、従業員の自宅を事務所登録できなかったのです。しかし、新型コロナへの対応から国がリモートを推奨し、税理士法の解釈が変わり、この部分がクリアになりました。
もともとVPN(仮想プライベートネットワーク)を繋いで業務ができるシステムは2019年からテスト運用していましたので、国がリモートワークを推奨し、税理士法の解釈が変わったタイミングで、その翌日から事務所をフルテレワークに移行させました。今では北海道から沖縄まで、全国のお客様とお付き合いさせていただいています。
インタビュアー:すごい先見の明ですね。リモート体制で品質を担保するために工夫されていることはありますか?
当事務所は「属人化の完全な排除」を徹底しています。すべての業務に対してマニュアル化を終えており、どの担当者が対応しても業務のクオリティが全く同じになる状況を作り上げました。
例えば、クラウド会計ソフトはfreeeと弥生に統一しています。マネーフォワードにも対応してほしいという声はありますが、ソフトを3つに増やせば、マニュアルも3パターン必要になり、従業員の混乱を招きます。その歪みは、必ずお客様へのサービス品質低下として跳ね返ってきます。使うツールをシンプルにし、業務を平準化することこそが、お客様への品質担保に繋がると考えています。
インタビュアー:専門性の高さ、体制の強固さ、そして先見性まで、事務所の強さが非常によく分かりました。最後に、福山様が税理士として最も大切にされている価値観や、お客様への想いをお聞かせください。
私たちが最もプライオリティを置いているのは、「お客様と生涯お付き合いできるかどうか」という点です。
誰もが、人生において、いつ何が起きるかは分かりませんよね。どんなシーンが生じても、「ArcherConsultingに相談すれば何とかしてくれる」と思っていただけるような、”最後の砦”でありたいと思っています。
税理士を志したときの初心は、「法律の知識を使って社会の役に立ちたい、誰かの力になりたい」というものでした。この志は今も忘れておらず、自分たちが培ってきた専門知識を使って、お困りの方々に寄り添いたい。その方々が、我々と出会ったことによって人生が変わった、救われたと、この出会いに感謝してくださるような、そんな事務所であり続けたいと思っています。
インタビュアー:本日はありがとうございました!
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