安さではなく成長を買う。年商1億超え企業がPlusA税理士法人を選ぶ理由
辛島政勇:PlusA税理士法人代表税理士/パートナー
1977年8月25日、大阪生まれ。
2004年に中央会計(現PlusA税理士法人)へ入社し、税務・会計の実務に携わる。
2006年に辛島行政書士事務所を開業、税理士・行政書士として延べ2,000件超の会社設立を支援してきた。その後、2021年にPlusA税理士法人代表税理士に就任し、2024年にはPlusA Consulting株式会社を設立。現在は複数の関連会社の取締役も務める。
インタビュアー:本日はよろしくお願いします。まずは現在の体制についてお聞かせください。
はい、現在は全体で45名ほどの組織で、顧問先数は約950社になります。組織図としては、メインとなる監査チームが5つあるほか、相続・事業承継チーム、M&Aチームがあります。さらにマーケティング、教育、採用でもそれぞれチームがあります。
拠点は大阪の本社に加え、役員の一人の出身地でもある愛媛県松山市に支店があります。ただ、僕らは基本的に支店展開を積極的にしたいとは思っていなくて、どちらかというと「オフィスワンフロアでどこまでも行こう」というカルチャー重視の事務所なんです。松山に関しては、役員の一人が地元に戻りたいという強い想いがあったので、それなら支店やろうよ、という形でスタートしました。
また、東京(新宿)には「PlusA Consulting株式会社」という別法人の拠点があり、東京のお客様との打ち合わせスペースとして活用しています。税理士法人の支店ではなく、株式会社としての拠点ですね。

インタビュアー:全国に950社ものお客様がいらっしゃるとのことですが、どのような規模感や業種の企業が多いのでしょうか?
業種は特化せず全般的ですが、規模感としては年商1億円から50億円くらいのお客様を中心にサービス展開しています。地域分布でいうと、600〜700社ぐらいが関西、200社ほどが東京、その他の地域にも全国的にお取引先があります。
ただ、実は最初からこの規模感を狙っていたわけではないんです。以前は創業支援にも力を入れていて、年商1億円未満のお客様が6割ほどを占めていた時期もありました。顧客がグッと増えたのも、この創業支援に力を入れていた頃なんです。東京のお客様が多いのも、そうした取り組みの積み重ねによるものです。
インタビュアー:では、なぜ顧客層をシフトされたのでしょうか?
実際にやってみて気づいたのは、小規模なお客様に僕らのような手厚いサービスを提供しようとすると「過剰です、安いほうがいいです」となってしまい、お互いに不幸だったんですよね。
税理士業界全体を見渡すと、9割以上は10人未満の小規模事務所なんです。その構造の中で、小規模なお客様は当然「とにかく安く」というニーズになる。でも、そこで価格競争に巻き込まれても、僕らのような比較的大きな組織は絶対に勝てません。
だから、戦う場所を変えることにしたんです。
僕らは、単なる記帳代行ではなく、経営に関するサポートをしっかり行いたい。コーチングを全社員が学び、週1回の1on1を行い、国税OBによるチェック体制を整える――こういう手厚いサービスを本当に必要としているのは誰か、と考えたんです。
その答えが、「今の税理士さんでは物足りない」「もっと成長したい」と考えている成長志向のお客様でした。年商1億円から50億円くらいの規模になってくると、単なる記帳や申告だけでは不十分で、経営課題の解決や戦略的な税務対応が必要になってきます。
インタビュアー:実際、ターゲットを絞った効果は感じられていますか?
とても感じています。最近の新規のお客様は、ほぼ年商1億円以上の規模の会社さんです。そういうお客様は、僕らのサービスを説明した時にすごく喜んでくれるんです。
「値段は高いけど、PlusAに決めました」と言っていただけることが増えました。これこそが、僕らが目指している価値で選ばれる事務所なんです。
成長志向があって、本当に経営に関するサポートをしてほしいという顧客の方が、僕らとのニーズマッチが圧倒的に良い。一方で、小さいお客様は小規模事務所さんに任せた方が、適切な価格で適切なサービスが受けられるので、お互いにとって幸せなんじゃないかと思っています。
結局、誰にでも合うサービスなんてないんです。僕らは僕らのサービスが最大限価値を発揮できる顧客層に集中する。それが、お客様にとっても、僕らにとっても、一番いい形だと確信しています。
インタビュアー:「数字を動かす」という理念がとても印象的です。一般的な税理士事務所だと、どうしても「数字をまとめる(=決算書を作る)」ことがゴールになりがちですが、具体的にどのようなコミュニケーションでお客様の行動を変えているのでしょうか?
まず大前提として、僕らは「ゴール設定」が全てだと思っています。実は、世の中の中小企業の多くは、明確なゴールを設定していません。
一般的な税理士事務所の月次ミーティングでよくあるのが、「前年対比でどうだったか」という会話です。「去年より売上が上がりましたね」「利益が下がりましたね」と。でも、過去と比較して一喜一憂しても、実はあまり意味がないんです。
大事なのは「過去」ではなく、「未来の行きたい場所」と「現在地」のギャップを認識することです。そのギャップが見えて初めて、「じゃあ何をすべきか」という新しいアクションが生まれますから。
インタビュアー:未来からの逆算で考えるわけですね。ただ、漠然とした将来像を具体的な行動に落とし込むのは、経営者にとっても難しい作業だと思います。そこをどのようにサポートされているのですか?
おっしゃる通りです。だからこそ僕らは、2段階のゴール設定を行っています。
まず第1段階が「定性ゴール」です。これは「どんな会社になりたいか」という想いの部分。例えば、「地域で一番信頼される会社になりたい」とか「社員が誇りを持てる会社にしたい」とか。数字では表せない、でも経営者の心の中にある本当の想いです。
これは社長の想いでしかないので、僕らが勝手に作ることはできません。だからこそ、コーチング的な問いかけをして、どれだけ引き出せるかが重要になってきます。「なぜその事業をやっているのか」「5年後、どんな姿になっていたいか」「社員にどうなってほしいか」――こういった問いかけを通じて、経営者の本音を言語化していくんです。
そして第2段階が「定量ゴール」、つまり数値目標です。定性ゴールを達成するためには、具体的にどんな数字を目指すべきか。売上、利益、社員数、シェアなど、測定可能な指標に落とし込みます。
重要なのは、この順番なんです。先に「どうなりたいか」という想いがあって、その後に「だからこの数字を目指す」という流れ。こうすることで、無機質だった数字に意味が宿るんです。
インタビュアー:想いがあるからこそ、数字に向かって頑張れるわけですね。
その通りです。ただゴールの設計時には逆のパターン、つまり数字から入ることもあります。「売上10億円を目指したい」というお客様には、ある程度こちらでベースとなる数値計画を作っていきます。でも、その場合も必ず「なぜ10億円なのか」「10億円になったら何がしたいのか」という定性的な部分を掘り下げます。
定性と定量、両方があって初めて意味のあるゴールになるんです。そして、これを全社ゴール、チームゴール、個人ゴールまで展開していく。そうすることで、組織全体が同じ方向を向いて走れるようになります。
僕ら自身も、自社に対してこのプロセスを徹底的にやっています。幹部メンバーを巻き込んで「この会社をどうしたいか」という定性ゴールを設定して、それを実現するための定量ゴールを立てて、さらに全社・チーム・個人レベルまで落とし込む。
自分たちが実践して結果を出しているからこそ、「御社もやりましょう」という言葉に説得力が生まれると信じています。
インタビュアー:理論はよく分かりました。では実際に、月次ミーティングではどのように進めているのでしょうか?
シンプルに経営計画を数値管理したいというお客様には、「bixid」というツールで予実管理を分かりやすく見える化します。一方で、もっと本格的にやりたい経営者の方には、先ほどお話しした定性・定量ゴールの設定から入って、具体的なアクションプランまで一緒に作り込んでいきます。
インタビュアー:そうした対話を実現するために、コーチング研修を全社員が受けているんですよね。
はい。今後、AIが進化すれば「答え」は誰でも出せるようになります。でも、「本当の課題は何か」を特定するのは人間にしかできません。
だから僕らは、「株式会社ミズカラ」という会社の組織コーチングを1年以上継続して受けています。全8回のカリキュラムをうちに合わせて作ってもらい、それを動画コンテンツ化しているので、いつ入社した社員も学べる仕組みになっています。
コーチングというのは、何かを教えたり対立したりするものではなく、社長の頭の中にあるものを整理して言語化する作業です。「あ、そうやな」「確かに、そこを解決したらウチは上手くいくかもしれへん」――社長自身が気づいてくれれば、もう僕らが何も言わなくても、社長は自ら動いてくれますから。
インタビュアー:若手スタッフでも、経営者に対してそうした対話ができるようになるんですね。
そのためには、スタッフ自身に説得力が必要です。だから、僕ら自身が自社で同じことを実践して、結果を出し続けているんです。
顧客以上に成長する――これをすごく大事にしていて、自社が成長することで「僕らはこれで成功してる」という説得力が出せる。うちのメンバーはみんな、「自分たちのサービスがいい」と本気で思っています。それがないと商品は売れませんから。
結局、「経営課題なんですか?」って税理士から聞かれること自体、この業界ではまずないんです。でも、僕らはそこを重視して、お客さんの課題に寄り添い、「じゃあ何が解決できるんだろうか」という視点をみんなが持って動いている。だからこそ、お客様の行動が変わり、数字が動いていくんだと思っています。
インタビュアー:顧問先の「黒字化率」が66.5%(※全国平均は約37%)という数字は驚異的です。何か特別な秘訣があるのでしょうか?
特別な「魔法」はありません。当たり前のことを徹底してやり切っているかどうかの差だと考えています。
例えば、「役員報酬」の設定一つとっても、多くの事務所が感覚で決めがちですが、本来は今期の着地予想を正確に出さないと適正額は算出できません。
そのため、僕らは決算の3ヶ月前には必ずお客様にヒアリングをし、着地予測を立てます。その予測に基づき、黒字対策や節税対策、来期の投資計画などを話し合います。
重要なのは、これを担当者の裁量に任せず、組織として漏れなく提供できる体制を作っていることです。これが結果として黒字率の高さにつながっています。
インタビュアー:「担当者の裁量任せにしない」という点は、経営者にとって非常に安心材料です。御社では1社に対して「3名体制」でサポートに入ると伺いましたが、どのような仕組みですか?
はい。まず、お客様との連絡手段としてChatworkを必ず導入してもらい、そこには必ず「担当者」と、その上司である「マネージャー」が入るルールです。経験豊富なマネージャーが常に入ることで、属人化しやすい税理士業界において、サービスの品質を担保しています。
インタビュアー:Chatworkの確認以外に、品質担保のために工夫されている点はありますか?
もちろんです。裏側ではマネージャーと担当者が「週1回」必ず1on1ミーティングを行っています。「このお客様の今の課題は何か」「どんな提案をしたら喜んでもらえるか」という作戦会議を毎週実施しているんです。
加えて、月に1回は全社で「品質会議」を実施し、すべてのお客様にどのレベルのサービスが提供できているかを可視化しています。これは全て、「経営課題を解決する」というゴールから逆算した仕組みです。

インタビュアー:かなり手厚い体制ですが、コスト面での負担は大きくないですか?
過去の経験から、顧客に向き合う時間の確保が最重要だと学びました。そのため、現在は1人の担当者が持つ件数をMax30件というルールに設定しています。以前は一人で50件ほど担当していた時期もありましたが、それではお客様に向き合う時間が取れません。
この体制を実現するために、採用を強化しました。その結果、みんな体感的に環境が劇的に変わったと感じており、今年度の離職はほぼゼロです。
インタビュアー:離職率ほぼゼロは素晴らしいです。ノウハウが蓄積され、サービス品質も安定するわけですね。
その通りです。当たり前のことを継続するのは難しいですが、僕らは個人事務所との価格競争では戦いません。「値段は高いけどうちに決めました」と、価値で選ばれることを目指しています。そのためには、組織として品質を担保し続けることが絶対に必要なんです。
インタビュアー:「攻め」の経営支援について伺ってきましたが、一方で税務調査への対応といった「守り」も重要です。御社には国税局出身のOBの方も在籍されているそうですが、普段の業務にはどのように関わっているのでしょうか?
はい、ここもかなり力を入れているポイントです。まず、お客様の決算書が出来上がった段階で、最終チェックを必ず国税OBのメンバーに行ってもらっています。
彼らは「税務署がどこを見るか」を熟知していますから、「ここはおかしい」「指摘されるリスクがある」というポイントを事前に洗い出せる。決算前に税務署の視点でチェックが入ることで、リスクを大幅に減らせるんです。
さらに、リスクが高いケースでは「模擬調査」も実施します。実際に元帳などを見てもらって、「本番の調査ならここを突かれるよね」というシミュレーションを行います。事前に「こういう説明を準備しておきましょう」と分かっていれば、経営者も落ち着いて対応できますから。
インタビュアー:この「盤石の守り」があることで、経営者は安心して事業に集中できるわけですね。
その通りです。実際、お客様からも「安心して事業拡大できる」という声をよくいただきます。新規事業を始めるときも、M&Aを検討するときも、「税務上の問題はないか」を事前に確認できるので、スピード感を持って意思決定できるんです。
特に年商1億円を超えてくると、税務調査のリスクも高まりますし、複雑な取引も増えてきます。「もっと攻めたいけど、税務は心配」――そういう経営者の方に、「大丈夫です、僕らがついてます」と言えるのが、この「攻めと守り」の体制なんです。
だから、僕らのサービスが一番価値を発揮できるのは、まさに年商1億円から50億円という成長フェーズの企業なんですよね。
インタビュアー:これほど組織的に、かつ熱量を持ってお客様に向き合える背景には、何かきっかけがあったのでしょうか?
実は、最初から順風満帆だったわけではないんです。僕が入社した約20年前は、深夜残業は当たり前、離職率も高く、一人で50件もの担当を抱えるような過酷な環境でした。
でも、それでも残ってくれたメンバーたちの絆はすごく強かった。「この仲間たちと長く働ける事務所に変えたい」――これが、全ての改革の原点です。
そのためには、残業を減らすだけじゃダメで、やりがいや成長の意味が大事だと思ったんです。だから、「経営課題を解決する」という大義を掲げて、それを本気でやり切る。「理念は掲げるけど、やってることは違う」――僕らもそれを散々経験してきたので、掲げた以上は絶対にやり切ると決めました。

インタビュアー:具体的には、どのようなステップで改革を進めたのでしょうか?
まず、会社としての「信用」を取り戻すことから始めました。
第一に、当時はアスクルの代理店など色々な事業に手を出していたのですが、「ど真ん中の本業以外は全部やめる」と宣言しました。
第二に、離職率の高さに対処するため、年始に「今年はこれだけ採用する」と約束し、もし達成できなければ採用費予算を給与として還元するとまで言って、本気度を示しました。
第三に、ミッション・ビジョン・バリューを全員でワークショップをやりながら策定しました。
そうやって環境を整備し、理念を共有していった結果、「人が辞めるから採用しても人が減る」という悪循環が、「採用した人がちゃんと残って増えていく」 という好循環に変わったんです。今では離職率がほぼゼロに近い状態まで変わりました。それが、この3年ぐらいの話なんです。
インタビュアー:わずか3年で、そこまで変わったんですね。
はい。人が辞めないからこそ、ノウハウが蓄積されて、サービス品質も安定する。そして、メンバーが長く働けるからこそ、コーチング研修や国税OBなどの高度な取り組みにも投資できるようになりました。
インタビュアー:有言実行、素晴らしいですね。最後に、今後の展望について教えてください。
正直なところ、税理士業界の業務、特に記帳や申告といった作業は、あと3年ほどで自動化されると思っています。
税理士事務所という枠組で戦ったら、もう3年後には淘汰されるんじゃないかと。だからこそ、僕らは「税理士事務所」という枠組みを超えて、「経営課題解決業」であり続けたいんです。
税務だけでは解決できない課題もたくさんありますから、弁護士、司法書士、SE、AIエンジニア、人事コンサルタントなど、約60社のアライアンス先とチームを組んでいます。
インタビュアー:60社もの提携先とは、具体的にどのような分野でしょうか?
まず士業全般ですね。面白いのは、税理士ともアライアンスを組んでいるんですよ。組織再編に強い先生、相続に強い先生とチームを組む。課題解決さえできれば、同業であろうと一切こだわりません。
それから、社内にSEもいます。システム系、AIエンジニアも副業でジョインしてもらっています。人事系も、給与制度や評価制度の設計まで、ありとあらゆるところをカバーできるようになってきました。
例えば、うちのお客様なら、弁護士さんにChatwork上で無料で法律相談ができる環境も作っています。契約書チェックとか、普通に周りの弁護士さんがみんな無料でやってくれるんです。
うちのメンバーは全員、「自分たちのサービスが一番いい」と本気で思ってます。この業界で、ここまで自信を持って言える事務所はほぼないんじゃないでしょうか。でも、その自信がなければ、お客様を本当に成長させることなんてできませんから。
インタビュアー:お客様向けのセミナーも開催されているんですよね。
はい。およそ3ヶ月に1回、「経営課題を解決する」というテーマでセミナーを開催しています。本気で悩んでる経営者を集めて、具体的な解決策を提供する。
例えば、人事配置を可視化するツールとか。本当に経営者が困ってることに対して、実践的な内容をやっています。
インタビュアー:「経営課題を解決する」というビジョンには、終わりがないですね。
おっしゃる通りです。これはエンドレスだと思っています。
これを追い続けていけば、AIが台頭しようと、環境が変わろうと、乗り越えていける。「僕らは課題を解決する会社です」っていう軸でやっていけば、いろんな環境の変化も含めて対応できるんじゃないかと。
経営者が抱える悩みに本気で向き合い、解決策を提示し続ける。そんな「一番身近なパートナー」として、これからもお客様と共に成長していきたいですね。そして、それを口だけじゃなく、本当に実現し続けることが、僕らの使命だと思っています。
インタビュアー:本日は貴重なお話をありがとうございました。
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