freeeで経理を自動化する。「freee導入1000社以上」全国100名以上の税理士法人
朝倉 歩:sankyodo税理士法人CEO・税理士
デロイトトーマツ税理士法人退職後、2016年に現在のsankyodo税理士法人(東京都港区)を設立。最新のITやAIを使ったデジタル戦略を強みとして全国6拠点・職員130名を有する組織に成長。会計事務所業務のデジタル化に力を入れており、sankyodo見学会など業界のDX化を進める活動を行っている。
2023年より税理士サミット(税理士による税理士のためのイベント)を企画し、業界を盛り上げるための活動も行っている。2021年~2023年に辻・本郷ITコンサルティング株式会社の取締役就任。2024年には一般社団法人会計事務所連携協議会の活動に発起人として参画し、テクノロジー委員としても活動している。
インタビュワー:本日はよろしくお願いします。まずは御社の根幹にある『Vision Map』にて「感動を提供する」という非常に定性的でエモーショナルな言葉を置かれています。「正確さ」が商品とも言える税理士業務において、あえて「感情」を最上位の価値に据えている理由は何なのでしょうか?
そうですね、確かにおっしゃる通り、中期経営計画のようなものであれば定量的な数値目標は必須です。しかし、企業の「ビジョン」となると話は別です。

私がこのビジョンで一番伝えたかったのは「顧客満足(CS)と従業員満足(ES)の順序」に対するこだわりです。最近は「ESを高めれば、自然とCSも上がる」という考え方もありますが、私はあくまで「順序の問題」だと思っています。まずはお客様を圧倒的に満足させない限り、従業員が真の意味で満足する状態なんてありえない。お客様が喜んでいないのに、自分たちだけが幸せに働いているなんてことは、プロフェッショナルとして成立しませんから。
だからこそ、まずは徹底してお客様に「感動」を提供する。その結果としていただいた「感謝」が、スタッフへの報酬ややりがいとして還元され、そこで初めて従業員の幸せが実現する。この「感謝の連鎖」の起点を作るには、ただの満足ではなく「感動」レベルの仕事をしなければならない。そう考えて、あえてこの言葉をゴールに置きました。

インタビュワー:なるほど。「お客様への感動が先、自分たちの幸せはその後」という順序を明確にするための言葉だったのですね。Vision Mapにある「命を削る」という表現にも、その覚悟のようなものを感じます。現代の働き方改革の流れとは逆行するような強い言葉ですが、ここにはどのような思いが込められているのでしょうか?
少し強い言葉に聞こえるかもしれませんが、これは「時間=命」という考え方に基づいています。ビジョンが私たちにとっての「北極星(目指すべき場所)」だとすれば、ミッションはそこに到達するための「命(時間)の使い方」です。
私たちは人生の貴重な時間を使って仕事をしているわけですから、妥協したサービスを提供してお金をいただくようなことには、自分の命を使いたくないんです。中途半端なクオリティのサービスは、今の時代すぐに淘汰されてしまいます。どの業界でも、ストイックに本物を追求している人たちだけが選ばれ、生き残っていく。だからこそ、お客様の心が震えるほどのサービス、つまり「感動」を提供することに、私たちの命(時間)を使ってほしい。
これは私個人の人生理念とも重なっています。私の人生のテーマは「感謝」です。会社を経営し、関与するお客様やスタッフが増えれば増えるほど、世の中に生まれる「感謝の総量」は増えていきます。ただ、それは数だけじゃダメなんです。質も伴っていないといけない。質の高い仕事をして、心からの感謝をたくさん集める。それが結果として、お客様にとっても、スタッフにとっても、そして私自身にとっても「最高に幸せな人生」に繋がると信じています。
インタビュワー:このビジョンマップは社内だけでなく、お客様にも共有されていると伺いました。一般的に、企業理念やビジョンというのは「社内向け」のインナーブランディングツールとして使われることがほとんどです。あえてこれを顧客に見せることで、実際の現場やお客様との関係性にどのような変化が生まれたのでしょうか?
おっしゃる通り、ビジョンを社外に、それもお客様に積極的に見せている事務所は珍しいかもしれません。もちろん、採用や育成といった内部への効果も大きいですが、お客様に見せることの最大のメリットは、「sankyodoの価値観に共鳴してくれる、ビジョナリーなお客様が集まるようになる」ということです。
実は、一種の「踏み絵」のような役割も果たしているんです。私たちはビジョンマップの中で、自分たちが提供するクオリティの基準だけでなく、「お付き合いするお客様の基準」も明確にしています。具体的には、「今はアナログでもいいけれど、デジタル化していきたいと考えているお客様」、そして「今は赤字でもいいけれど、本気で黒字化・利益体質を目指しているお客様」です。
逆に言えば、「アナログのままでいい」「赤字のままでいい」と考えているお客様とは、残念ながら私たちは良いパートナーシップを築けません。ビジョンを先にお見せすることで、そうしたお客様は自然と離れていきますし、逆に「変わりたい」と願うお客様が強く惹きつけられるようになりました。こちらがスタンスを明確にすることで、お客様から選んでいただく機会を多くいただくようになり、お互いのために「選別する基準」として機能しているのは事実ですね。
インタビュワー:なるほど。ビジョンが「フィルター」となり、お互いに不幸なミスマッチを未然に防いでいるわけですね。そうして価値観を共有できたお客様とは、単なる「税金の計算屋さん」という関係では終わらない気がしますが、仕事の内容も変わってくるのでしょうか?
劇的に変わりますね。ビジョンを共有できていると、話の視座が「過去の数字」の処理から、「未来の経営」の話へと一気に引き上げられます。通常、税理士の仕事は「税務顧問」という商品を売ることから始まりますが、理念への共感から入ると、最初から「経営の同志」のような関係になれるんです。
例えば、私が財務コンサルティングを行う際も、単なる数字の改善だけでなく、「御社は将来どういう会社になりたいんですか?」というビジョンの話が自然とベースになります。そうすると、税務の相談だったものが、いつの間にか「経営判断のための相談」へと昇華していく。お客様も私たちに対して、「先生」と「生徒」や、「発注者」と「下請け」といった上下関係ではなく、同じ未来を見据えて対等に議論できるパートナーとして接してくださいます。
「sankyodoさんと付き合うには、自分たちもデジタル化して成長しなきゃいけないよね」と、お客様自身が良い意味でのプレッシャーを感じて下さり、担当者はお客様のビジネスを本気で理解したいと、より一層学んでいく。そうやってお互いに高め合える関係こそが、私たちが目指す「対等な関係」であり、理想のパートナーシップなんです。

インタビュワー:Vision Mapの中に「デジタルに強くアナログな対応を重んじて」という言葉がありますね。御社はクラウド会計ソフトfreeeの「freee Advisor Grand Prix」を受賞されるなど、業界内でも屈指のデジタル化先進事務所として知られています。その御社があえて「アナログ」を重んじるというのは、少し意外な気もします。具体的にはどのような意図があるのでしょうか?
誤解を恐れずに言えば、私たちは「デジタル化そのもの」を目的にしているわけではありません。デジタルはあくまで、「アナログな時間を確保するための手段」なんです。
デジタルの進化は日進月歩です。10年前の最新技術が、今では当たり前のインフラになり、陳腐化してしまう。今私たちが最新だと思っているデジタル技術も、10年後、100年後には間違いなく「非常識なほど古いもの」になっています。だからこそ、私たちは「変わってしまうもの(技術)」ではなく、「変わらないもの(人間)」に価値の比重を置いています。
デジタルツールを活用すれば、移動時間や単純作業を劇的に圧縮でき、1分1秒のタイムパフォーマンスは向上します。でも、そこで浮いた時間をさらにデジタルのために使うのではなく、「膝を突き合わせた対話」や「ホスピタリティ」といった、人間にしかできないアナログな領域に投下したいんです。デジタルが進化すればするほど、逆にアナログな「人間力」の価値は相対的に高まっていく。だからこそ、デジタル化を極めることで、逆説的にアナログを大切にできると考えています。
インタビュワー:「デジタルを極めることで、アナログが強くなる」。非常に深い視点ですね。御社は全国各地のお客様に対応されていますが、リモートでの面談が中心になると、どうしても「アナログな温かみ」を伝えるのが難しくなるのではないでしょうか?
そこは私たちも非常に意識している点です。「Web会議ができる」ことと、「Web会議で信頼関係が築ける」ことは全く別物ですから。実は社内でも、デジタル環境下でのコミュニケーション能力についてはかなり訓練を行っています。カメラを見る目線、背景の映り込み、画面越しでも伝わるリアクションの大きさなど、細かい部分まで徹底しています。
このこだわりがあるからこそ、場所の制約を超えた価値提供が可能になります。例えば、弊社のスタッフには地方の山奥や、拠点のない地域に住んでいるメンバーもいます。ですが、デジタルツールとトレーニングされたコミュニケーション力があれば、東京のオフィスにいるのと変わらない、あるいはそれ以上のクオリティでサービスを提供できます。お客様からすれば、担当者がどこに住んでいようと関係なく、「日本トップレベルの優秀な人材」からサポートを受けられる。これが、私たちがデジタルとアナログを融合させて実現したい価値の形ですね。

インタビュワー:組織づくりにおいて「責任と自由」という言葉を掲げられていますね。一般的に自由を与えすぎると統制が効かなくなる懸念もありますが、御社のスタッフの方々は非常に能動的に動かれている印象です。このカルチャーは、実際の業務品質にどう直結しているのでしょうか?
「自由」というのは、好き勝手にしていいという意味ではありません。私たちが考えているのは、「高い自由度を与えるからこそ、高いクオリティ(責任)で返してくれる」という信頼関係のサイクルです。
例えば、お客様への対応一つとっても、ガチガチのマニュアルで縛って「これだけやっておけばいい」と指示すれば、確かに最低限の品質は保てるかもしれません。でも、それでは「感動」は生まれません。メンバーには大きな自由と裁量を与えています。その分、彼らは「これだけ自由にさせてもらっているんだから、お客様には期待以上の成果で返そう」という健全な責任感を持ってくれています。
お客様からすると、「sankyodoの担当者はなぜこんなにレベルが高い提案をしてくれるんだろう?」と感じるかもしれませんが、その裏側にはこの「自由があるからこその自律的な責任感」があるのだと思います。

インタビュワー:なるほど。やらされ仕事ではなく、プロとしてのプライドが品質を押し上げているわけですね。ただ、お客様目線で言うと、「担当者によって品質にバラつきが出るのではないか」という不安もあるかと思います。その点はどのように担保されているのでしょうか?
おっしゃる通り、個人の能力に依存する「属人化」は避けるべき課題です。そこで私たちは、「提案マップ」というツールを使って、組織として提案の質を標準化しています。
実はお客様の多くは、「税理士に何を頼めばいいか」をご存知ありません。「もっとこういう提案をしてほしい」と具体的に要望を出せる方は稀です。だからこそ、お客様から言われるのを待つのではなく、私たちから先に「今の御社にはこれが必要です」と提示しなければならない。この「提案マップ」を使えば、ベテランも若手も関係なく、お客様のフェーズに合わせて必要な施策を抜け漏れなく提案できます。
私たちの考え方はシンプルです。「先に品質、後から収益」です。最近は業界全体で値上げの動きや低価格競争が起こっていますが、“価格勝負”ではお客様は離れてしまいます。まず私たちが組織として高い品質を提供し、お客様に満足していただく。その結果として「これだけやってくれるなら」と感謝され、それが適正な収益につながる。この順序を間違えないために、「自由な組織風土」と「提案マップのような仕組み」の両輪で回しているんです。

インタビュワー:昨今はAI技術の進化が目覚ましく、「AIに仕事が奪われる職業」として税理士が挙げられることもあります。サミットの開催や協会の活動を通じて業界全体の未来を見据えている朝倉代表は、今後「生き残る税理士」とはどのような存在になるとお考えですか?
非常に残酷な言い方になりますが、機械ができることと、人間にしかできないことの「棲み分け」は、これからもっと加速していくでしょう。私の考えは明確です。「機械ができることを、人間がやってはいけない」。これに尽きます。
例えば10年前であれば、「クラウド会計で入力を自動化しましょう」というのが最先端の価値でした。でも今は、単純な税務相談レベルであれば、AIがある程度の回答を出せる時代になってきています。もし税理士が、ただ知識を切り売りしたり、言われた数字を入力したりするだけの存在であれば、それはAIの方が早くて正確で、コストも安い。そこに人間が介在する価値はありません。
インタビュワー:「正確な処理」だけでは価値にならない時代ということですね。では、人間である税理士に残された役割とは何でしょうか?
それこそが、冒頭にお話しした「感動」や「ホスピタリティ」の部分です。AIは論理的な正解は出せますが、経営者の不安に寄り添ったり、会社の未来を一緒に夢見て熱くなったり、心が震えるようなサービスを提供することはできません。大病を患ったときはAIではなく名医にお金を払って診てもらいたいという気持ちと同じと考えています。
「デジタルに強い事務所」というと、冷徹に効率化だけを進めるイメージを持たれるかもしれませんが、逆なんです。私たちはデジタルに強いからこそ、機械に任せられる部分はすべて機械に任せることができる。そして、空いた両手で、人間にしかできない「提案」や「感情の機微を汲み取ったサポート」に全力を注ぐことができる。今後生き残るのは、AIを敵対視するのではなく、AIを使いこなした上で、その先にある「人間ならではの価値」を磨き続けられる税理士だけだと思います。

インタビュワー:最後に、今まさに税理士を探している、あるいは現状の顧問契約に課題を感じている経営者の方へ、メッセージをお願いします。
日本は今、人口減少社会に突入しており、中小企業における「経理人材」の確保は今後ますます困難になっていきます。「経理担当者が辞めてしまった」「採用しようにも人が来ない」。そんな悩みを抱える企業はさらに増えるでしょう。だからこそ、バックオフィスのデジタル化は待ったなしの課題です。経理人口は減少しますが、それを上回るデジタル技術の活用で生産性を上げていく必要があります。
もし今、この記事を読んでいる経営者の方が、「もっと利益を出したい」「会社をデジタル化して強くしたい」と本気で願っているなら、ぜひ私たちsankyodoに声をかけていただきたい。私たちは、そういう意欲あるお客様を「日本一支援できる事務所」でありたいと本気で思っています。
インタビュワー:「距離」を理由に諦める必要はない、ということですね。
その通りです。昔ながらのやり方であれば、「通える範囲」で税理士を探すのが当たり前でした。でも、今は違います。近所の税理士に妥協して依頼するのではなく、たとえ物理的な距離が離れていても、全国対応可能なクオリティの高い事務所を選ぶことができる時代です。
私たちは、東京にいようが、地方にいようが、sankyodoの理念に共感してくださるお客様に対して、距離を感じさせない最高のサービスを提供する準備ができています。「デジタル×人間力」で、会社の未来を一緒に変えていきましょう。ご連絡をお待ちしています。
インタビュワー:本日は貴重なお話をありがとうございました!
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