京都初の女性税理士が築いた礎。グループ100名、専門特化で経営課題に向き合う税理士法人

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中村 和弘|新経営サービス清水税理士法人 副社長

大学卒業後、第二新卒として2007年1月、新経営サービス清水税理士法人に入社。入社以来、法人・個人を問わず約20~25件のクライアントを担当し、税務申告や経営支援を中心に幅広い実務経験を積む。30歳を転機に、リーダーに就任しチームマネジメントや業務改善に携わる中で、組織運営の基盤づくりに貢献。36歳で税理士試験に合格した後はM&Aや組織再編にも活躍の場を広げ、その翌年には後継者候補として経営にも参画。2026年より代表就任予定。

これまでの現場経験と専門知識を活かし、職員一人ひとりが成長できる体制づくりと、顧客の発展を支える税務・経営サポートの強化に努めている。

創業70年、京都初の女性税理士が築いた専門特化の組織体制

――まず、新経営サービス清水税理士法人の成り立ちについて教えていただけますか。

中村氏:
創業は1957年です。清水幸子という、京都で初めての女性税理士が創業した税理士事務所が、この法人の始まりなんです。ですから社歴としては70年近くになりますね。

現在、グループ全体では総勢100名ほどの規模になっています。その中で主体となっているのが税理士法人です。それ以外にも、コンサル会社、社会保険労務士法人、司法書士事務所、行政書士事務所、M&Aを仲介する法人、財産コンサルの法人など、様々な専門家集団がグループに属しています。

――税理士法人内は、どのような組織体制になっているのでしょうか。

中村氏:
税理士法人の中は、専門特化する形で部門を分けているのが大きな特徴です。まず業種に特化した部門として、医療福祉部門と歯科部門があります。

それから、業務内容に特化した部門として、相続承継部門、経営財務部門、企業会計部門があり、それぞれ7~8人ずつ配置しています。お客様の所へ訪問して入力を代行する経理代行部門もあります。

――専門特化した部門を作られた狙いは何だったのでしょうか。

中村氏:
これは本当に大きなポイントなんです。税理士業界って、個人の税理士先生がいて、職員の方は2人~3人くらいで、さらにパートを雇っているという形態の事務所が圧倒的に多いんですよ。でも、ひとくくりに税務と言っても様々なジャンルがある。そういう中で、私たちはきちんと専門特化して、組織として対応できる体制を整えてきました

近年、お客様の経営課題は、どんどん複雑化・多様化してきているじゃないですか。起業時には起業時の、経営が始まると財務状況や資金繰りの問題、果ては相続や承継まで。医療系のお客様であれば、診療報酬の仕組みを理解していないと適切なアドバイスができない。そういった専門性が求められる時代に、きちんと対応できる体制を作ってきたというのが、私たちの強みだと思っています。

――今年から広報部を新設されたとのことですが、これはどういった狙いだったのでしょうか。

中村氏:
これも大きな決断でした。今まで、広報や広告活動というのは、税務会計の担当者が兼務でやっていたんですね。でもやっぱり、お客様を担当していると、どうしてもそちらが優先されてしまう。お客様の事情や緊急の対応が入れば、当然そちらを優先せざるを得ません。結果として、広報活動がすごくおろそかになってしまっていたんです。

税理士業界に詳しい方ならお分かりいただけると思うんですが、本当に色々な業務を一人で兼務している状態が多いんですよ。でもそれだと、どうしても広報のような業務は片手間になってしまう。事務所の強みや特徴をきちんと外に発信していく体制を整えることが、今後の事務所の成長には不可欠だと判断して、ある程度専属に近い形で人を置くことにしました。

組織として専門特化するというのは、お客様対応だけじゃなくて、事務所運営においても重要だということですね。それぞれの業務にきちんと責任を持って取り組める人を配置することで、全体のクオリティが上がると考えています。

――グループ内には他にも様々な法人があるとのことですが、連携して対応されることも多いのでしょうか?

中村氏:
お客様からすると、税理士・弁護士・司法書士・社労士とお付き合いのある士業が多く、役割分担を混乱しているケースも多いんですよね。「この問題は誰に相談すればいいんだろう」と迷われることも少なくない。そういった時に、まずは私たちにご相談いただければ、適切な専門家におつなぎできるという体制を作っているんです。もちろん、全ての問題を解決できるわけではありませんが、少なくとも色々な相談を受けられるように、なるべく自社グループ内で解決できる環境を整えているというところが、私たちの強みの一つだと考えています。

加えて、部門内で知見の蓄積とノウハウの共有ができるという点も大きいですね。例えば、医療福祉部門のメンバーは医療機関の案件ばかりを扱っていますから、その分野に関する知識や経験が深まっていくんです。そして、部門内でその知見を共有できるので、一人のメンバーが困った時には、他のメンバーがサポートできる。お客様には担当者がついて、その担当者が窓口になりますが、背後にはチームがいる。何か難しい問題が出てきた時には、その分野の専門家がすぐにサポートできる体制になっているんです。それに、担当者が急に休むことになったりしても、チームでカバーできる。お客様にご迷惑をおかけすることなく、継続してサービスを提供できます。
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医療系30%超、年商数百万円から400億円まで。幅広い対応力の源泉

――新経営サービス清水税理士法人では、どのようなお客様が多いのでしょうか。

中村氏:
前提として、本当に幅広く対応させていただいているんです。私自身、今でも担当者としてお客様と関わらせていただいており、年商1500万円ほどの建設業の一人親方さんもいれば、一方で年商400億円のスーパーの担当もしています。それ一つ取っても、本当に幅広いんですよね。

ボリュームゾーンで言えば、年商1億円から10億円の間が中心ですね。ただ、基本的には縁があればご対応するというスタンスでやっています。

――その中で、何か特徴的な業種や顧客層はありますか。

中村氏:
一つ大きな特徴を挙げるとすれば、医療系のお客様が多いということですね。全体の30%を超えるくらいが医療系のお客様です。その中でも、特に歯科が多いんです。これは歴史的な流れがあって、今の代表社員である田中が税理士として活動する中で医療分野に着目し、知見を深めるために色々な機会を得ることで歯科材料の会社の上層部の方とご縁をいただけることがありました。その歯科材料の会社は、業界内でかなりのシェアを占めていらっしゃって、開業される先生方のご相談などもお受けしておられ、そういった先生方が税理士を探している際には、当社にもお声がけくださるようになりました。

ですので、ほとんどがご紹介と言うご縁で、歯科のお客様が多いという特徴につながっています。そういった実績があるので、歯科だけに特化した部門も作りましたし、医療・福祉全体でも専門の部門を設けて、しっかりと知見を蓄積してきました。診療報酬の仕組みや医療機関特有の経営課題など、専門的な知識が必要な分野ですから、組織として対応できる体制を整えてきたんです。

――対応地域に制限はあるのでしょうか。

中村氏:
私たちはTKCに加盟している事務所なので、いわゆる巡回監査としてお客様のところへ訪問する、訪問型の事務所なんですね。ですから本来であれば、遠方のお客様はなかなか対応できないんです。

ただ、その移動コストも含めた条件を提示した上で、ご契約いただけるのであれば、ご要望があればどこへでも対応しています。実際の地域分布で言うと、京都が圧倒的に多くて、京都、大阪、滋賀だけで8割方、9割近くにはなると思います。それ以外は関東圏から九州に至る全国にぽつぽつと、数社ずつという感じですね。

――幅広く対応されている中で、逆にお断りするケースもあるのでしょうか。

中村氏:
できないなと思うのは、まず上場というステージまで来ると、正直うちにはノウハウがないんです。今も上場企業子会社の顧問先様はいらっしゃって、税務相談、税務申告等のご支援はさせていただいておりますが、上場自体を当社が主体となってご支援することは難しいですね。上場企業特有の会計基準や開示の要件など、専門的なノウハウが必要になりますから、そこは私たちの守備範囲を超えてしまいます。

あとは、直近お話をいただいたのですが私たちでは対応できず、提携先にお繋ぎしたのは、海外子会社をいくつも展開していらっしゃるようなケースです。海外の税制や会計基準、現地の法規制など、海外系はやっぱり難しいですね。

それから、もう一つお断りするケースとしては、お客様のスタンスの問題があります。

――お客様のスタンスというと、どういうことでしょうか。

中村氏:
私たちはTKCの事務所なので、お客様には『自計化』というスタンスでやらせていただいているんです。つまり、お客様ご自身にも経営に関心を持っていただいて、数字を理解していただくことを前提としています。

ですから、領収書や資料を全部税理士に丸投げして、税務申告だけ勝手にやっておいてください、というスタンスの方は、基本的にお付き合いできないんです。やっぱり経営にきちんと真面目に取り組まれて、数字に関心を持っていただいて、そういう前向きな経営者の方とお付き合いするようにしています。

これは私たちの事務所の哲学でもあるんですが、税理士はただ税務申告をする存在ではなくて、経営者の方と一緒に会社を良くしていくパートナーだと考えているんです。そのためには、お客様ご自身にも主体的に関わっていただく必要がある。そういう姿勢を持った方とお付き合いしたいと思っています。

――TKC事務所ということですが、今後クラウド会計への対応も検討されているとのことですね。

中村氏:
そうなんです。これは事務所内で今、方向転換を考えている最中なんです。自計化という考え方自体は変わらないんですが、会計ソフトの選択肢を広げようと考えています。

以前の自計化の定義というのは、お客様に一定の会計入力をしていただいた上で、私たち税理士事務所の人間が巡回監査・チェックにお伺いするというものでした。領収書1枚取っても、これが本当に経費に当たるのか、どういう目的で使ったかによって勘定科目が変わるという判断を、お客様自身がする必要があったんです。

でも、だんだん会計ソフトの機能が充実してきて、会計の自動化が進んできているじゃないですか。今は、そういったところすら一定程度、ソフト側で判断できるようになってきています。お客様自身も、もう自動化が進んでいるので、勝手にコンピューターが70%、80%くらいを処理してくる時代になってきているんですね。

そうなると、結局その会計ソフトをどれだけ使いこなすかというところが大事であって、誰が会計処理するかとか、いわゆる手入力の作業をどうするかという考え方ではないだろうと。ですから、TKCの会計ソフトにこだわらなくてもいいんじゃないかというふうに考えています。
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「お客様の冷蔵庫の中まで知れ」。創業者の教えが生む、毎月訪問の価値

――新経営サービス清水税理士法人様の大きな特徴として、毎月の訪問対応を続けていらっしゃるとのことですが。

中村氏:
そうなんです。これは私たちの事務所の大きな特徴の一つですね。TKCの考え方にも根付いているんですが、実際にお客様のところへ訪問して、顔を合わせてお仕事をするというやり方を続けています。

見方によっては、もちろん時代遅れな古いやり方と思われるかもしれません。でもここ最近、割とこれが評価されることが多くなってきたんですよ。

――それはどういうことでしょうか。

中村氏:
お客様をご紹介いただいた時に、逆にすごく喜んでいただけるケースが増えてきているんです。コロナ禍以降、私たちの業界でもオンラインでWEB上で面談も全部終わり、やりとりも電話とメールで完結するという事務所が本当に増えました。

それはそれで、もちろん効率的に税理士業務をこなせるんですよ。移動時間もかからないし、一人の担当者が持てる顧問先の数も増やせる。一方で、やはりコミュニケーション不足が発生してるんじゃないかなと思うんです。

私たちは毎月実際にお客様のところへ訪問して、顔を合わせて、コミュニケーションを大事にお仕事させてもらっていますとお伝えすると、逆にすごく喜んでいただけるというか、驚いていただけるんですよね。古いやり方を今でもやってるのが、一周回って逆に新しくなってきたんじゃないかなと感じています。

――毎月の訪問では、具体的にどのようなことをされているのでしょうか。

中村氏:
まず毎月必ずやるのは、前月の試算表の数字を固めて、そこのすり合わせをすることですね。社長ご自身が認識していらっしゃる手応えと、実際に出てくる数字にズレがないかというチェックが一つです。

「今月は結構売上が良かったと思うんだけど」という社長の感覚と、実際の数字が合っているのか。あるいは「思ったより経費がかかってるな」という感覚が正しいのか。そういったところを、毎月きちんと確認していくんです。それ以外は企業様よりけりですね。

今後の予測を含めての損益予測、納税予測、資金繰り予測といったところを重点的にお話しするお客様もいらっしゃいます。「このままいくと今期の着地はこれくらいになりそうですね」「そうすると納税額はこのくらいになるので、今から準備しておきましょう」というような話ですね。

一方で、資金繰りよりも事業承継の方が大事だという方もいらっしゃいます。自分の会社の株価がどうなっているのか、株価対策をどうしたらいいのか。そういったところに一番関心がある方であれば、そちら側の話題がメインになったりします。

つまり、毎月必ず話しているのは前月の数字の確認くらいで、そこから先はもう千差万別なんです。お客様それぞれの状況や関心事に合わせて、柔軟に対応しているということですね。

――そういった対応ができるのは、やはり毎月顔を合わせているからこそでしょうか。

中村氏:
そうですね。やっぱり毎月お会いしていると、お客様の表情とか、ちょっとした言葉の端々から、今何を考えていらっしゃるのか、何を心配されているのかが伝わってくるんですよ。数字だけ見ていても分からないことって、たくさんあるんです。

それに、毎月会っているからこそ、お客様の方からも気軽に相談していただけるという面もあります。「実はこんなことを考えているんだけど」「ちょっと聞いてほしいことがあって」と。そういう何気ない会話の中から、重要な経営課題が見えてくることも多いんです。

――創業者の方の教えとして「お客様の冷蔵庫の中まで知れ」という言葉があるとお聞きしました。

中村氏:
はい、創業者である会長の言葉ですね。「お客様の冷蔵庫の中まで知れ」。そこまで把握できるようになりなさいという教えなんです。

これは「常時知悉(じょうじちしつ)」という仏教用語から来ているんですが、常にお客様を隅々まで知る、ことごとく知るという意味です。私たちは事あるごとに、この言葉を言われて育ちました。

――「冷蔵庫の中まで知れ」というのは、具体的にはどういうことなのでしょうか。

中村氏:
会長はよく「お客様のことを恋人のように思いなさい」とおっしゃっていました。自分の恋人だったら、すごく大事にするでしょう、今何してるのかなって気になるでしょう、と。

お客様のことも、それくらい真剣に考えなさいということなんです。お客様は今、何を心配されているだろうか。どういうことに興味があるだろうか。こういうことを伝えたら喜んでもらえるんじゃないだろうか。そういうことを、常日頃から考えなさいと。

冷蔵庫の中まで知るというのは、つまり、お客様の生活や経営の細部にまで関心を持って、深く理解するということですね。表面的な数字だけじゃなくて、その奥にある背景や、お客様の想いまで理解しようとする姿勢です。さらに言うと、なかなか他人に冷蔵庫の中を見せることはしないですよね。それくらい心を許して信頼いただける存在になりましょう、という教えです。

――その教えは、組織全体に浸透しているのでしょうか。

中村氏:
もう、本当に徹底的に言われて育ちましたから(笑)。この教えは、私たちの事務所の文化として、しっかり根付いていると思います。

だからこそ、毎月の訪問を大切にしているんです。オンラインでの面談は効率的かもしれませんが、「冷蔵庫の中まで知る」ことは難しい。実際にお会いして、オフィスの雰囲気を感じて、社長の表情を見て、時には雑談もする。そういう積み重ねの中で、本当の意味でお客様を理解できるようになるんだと思います。
財務支援を軸に、資産運用領域へも踏み込む。次期代表が描く未来図

――来年1月から中村様が代表社員に就任されると伺いました。中村様のご経歴や代表就任の経緯などを改めてお伺いできますか?

中村氏:
私は大学卒業後、半年ほど税理士試験の勉強だけに専念する期間を経て、2007年1月に第二新卒のような形で新経営サービスに入社しました。ですから今年で社歴18年、19年目になりますね。他の事務所で働いた経験はなく、ずっとこの事務所一筋でやってきました。

36歳で税理士試験に合格して、40歳を前に後継者指名を受けました。そして来年の1月に、代表社員に就任させていただくことになっています。現時点では社員税理士として、副社長という役職をいただいています。

――代表社員就任を控えて、事務所の今後についてどのようなビジョンを描いていらっしゃいますか。

中村氏:
実は、事務所として幅広く色々なことに対応していますというのが売りではあったんですが、逆に言うと、尖っていないというか。じゃあうちの事務所の売りは何なんだろうというのが、なかなか難しかったんですね。

代表社員が変わるタイミングで、やっぱりそこは何か一つ明確に打ち出した方がいいだろうというふうに思っているんです。それで今考えているのが、「財務支援」というところを前面に出していこうということなんです。

――「財務支援」を打ち出すというのは、具体的にはどういうことでしょうか。

中村氏:
もちろん今までも、財務に関してはお客様にサービスとして提供しているんですね。資金繰りの相談に乗ったり、資金調達のサポートをしたり、財務面での様々なアドバイスをしてきました。ただ、私たち自身は当たり前のようにサービスを提供してしまっていたために、それがお客様にとって優れた価値なんだという認識が、あまりなかったんじゃないかなと思うんです。

でも、外から見たら、これは大きな価値なんですよね。お客様からすれば、財務面でしっかりサポートしてもらえるというのは、本当に重要なことなんです。

財務って、一言で言えばお金じゃないですか。企業経営においてもちろん重要なファクターですし、そこの社長さんの個人という単位で見ても重要ですし、社長のご家族にとっても、そこの従業員さん、社員さんにとっても、やっぱりお金って全員にとって重要なファクターなんですよね。

そこに対して、色々な選択肢をご提示できるような体制を取っていきたいなと思っているんです。

――具体的に、どのような取り組みを考えていらっしゃいますか。

中村氏:
一つは、今まで私たちが全くできていなかった、というかタブーとして避けていた領域にも踏み込もうと考えています。それが資産運用の分野なんです。

――資産運用というのは、今までタブーだったんですか。

中村氏:
そうなんですよ。今まで、資産運用に関する相談を受けたりはするんですけど、「どうなんですかね、難しいですよね」みたいな感じで、話を濁していたんです。税理士が投資の話をするのは良くないんじゃないか、利益相反になるんじゃないかという考えがあって。

でも、それって本当にお客様のためになっているんだろうかと考え直したんです。お客様は財務面での総合的なアドバイスを求めていらっしゃる。資金繰りや節税の話だけじゃなくて、余剰資金をどう運用すべきか、個人の資産形成をどう考えるべきか、そういった相談にも応えていくべきじゃないかと。

――具体的には、どのように取り組まれるのでしょうか。

中村氏:
もちろん、私たち自身が投資商品を売るということではありません。それは私たちの専門外ですし、やるべきではないと思っています。

ただ、信頼できる資産運用の専門家と連携して、お客様に選択肢をわかりやすく伝えていく役割は果たせると思うんです。資産運用の分野には正解なんてないと思いますが、プロとしての一定の選択肢を、お客様にきちんと提示していく。そして、お客様ご自身が判断できるようにサポートしていく。

つなぎ役として、お客様の課題解決に貢献できるようにしたいと考えています。時代も変わってきていますし、お客様のニーズも変わってきています。私たちも変わっていかないといけないと思っているんです。先ほどお話ししたクラウド会計への対応も含めて、今までのやり方に固執するのではなくて、お客様にとって本当に価値があることは何なのかを考えて、柔軟に変えていく。それが、これからの事務所には必要だと考えています。

――中村様ご自身の経験を活かした取り組みも考えていらっしゃるとか。

中村氏:
そうなんです。従業員承継という形で代表社員になるというのは、中小企業の中では非常に珍しいケースなんですよ。多くの中小企業では、親子間での承継が大半ですから。ですが、あまり経営者向きではない、乗り気ではないような息子だったとしたら、優秀な従業員に継がせて会社を発展させた方が良いケースもあるわけです。

でも、従業員承継って、実際にどうやって進めればいいのか、どういう点に注意すべきなのか、まだまだノウハウが蓄積されていない部分も多いんですね。なのでこれからの私自身の経験を活かして、事業承継に関する支援の幅を広げていきたいと考えているんです。

――ご自身の経験が、そのままコンサルティングに活きるわけですね。

中村氏:
そうですね。ただ、そのためには私自身がしっかりと成果を出さないといけません(笑)。「あいつ、全然ダメじゃないか」と言われてしまっては、説得力がありませんから。

まずは私自身が、従業員承継で代表社員になって、事務所をさらに成長させていく。その成功体験を、お客様にも共有していけるようになりたい。それが、私の一つの目標でもあります。

優秀な従業員っていうのはどういう要素が必要なのか、どうやって育てていくのか、承継のプロセスでどんな課題があるのか。そういったことを、自分の経験を通じて整理した上で、お客様にコンサルティングできるようになれば、それは大きな価値になるんじゃないかと思っています。
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前向きに課題と向き合う経営者と、ともに成長する

――最後に、この記事を読んでいらっしゃる経営者の方々に向けて、メッセージをいただけますか。

中村氏:
そうですね。私たちのメインのお客様は、やはり中小企業の経営者の方々だと思っています。例外的に相続案件で資産家の方とお付き合いすることもありますが、基本的には中小企業の経営者の方々が中心ですね。

私自身、だんだんと経営というところに携わるようになってきて、本当に大変だなと切に感じているんですよ。今まで単なる従業員として働いていた時とは全く違う視点で、経営の難しさを実感しています。

経営って、本当に色々な問題が山積みじゃないですか。資金繰りの問題もあれば、人材の問題もある。売上をどう伸ばすか、コストをどう抑えるか。後継者をどうするか、従業員の処遇をどうするか。本当に考えることが尽きないんです。

でも、そういった問題があるのは当たり前なんですよね。問題のない経営なんて存在しない。大事なのは、その問題に対してどう向き合うかだと思うんです。

――どう向き合うか、ですか。

中村氏:
やっぱり、それに前向きに取り組んでいる方ですね。問題意識を持って、その課題解決に向けて努力している、前向きな経営者の方と一緒に仕事がしたいなと思っています。

問題があるのを「仕方がないんだ」と変に諦めて、自分の改善努力をしない方よりは、やっぱりその課題について正面から向き合って、ちゃんと解決するための取り組みをするような前向きな経営者の方と、一緒にお仕事したいなと思いますし、そういう方々の支援ができればと思っています。

――前向きに課題と向き合う経営者の方々を、どのように支援していきたいとお考えですか。

中村氏:
そういう方々を少しでも支援できるように、私たち自身も勉強を重ねないといけないと思っています。税務の知識だけじゃなくて、経営全般についての知見を深めていく必要がある。それから、色々な専門家の方と連携を組んで、お客様の課題解決に少しでも貢献できるようにしたい。

私たちは、単なる税務申告の代行業者ではないと思っているんです。お客様の経営パートナーとして、一緒に考えて、一緒に悩んで、一緒に喜ぶ。そういう存在でありたいと考えています。お客様のことを本気で考える。お客様の成功を、自分のことのように喜ぶ。お客様が困っている時には、一緒に解決策を探す。そういう姿勢を、これからも大切にしていきたいと思っています。

――最後に、改めて事務所の魅力を一言で表すとすれば。

中村氏:
そうですね…「お客様とともに成長する、信頼できるパートナー」でしょうか。

70年近い歴史の中で培ってきた専門性と、組織としての総合力。そして何より、お客様を深く知り、お客様の成功を本気で願う姿勢。それが私たちの強みであり、魅力だと思っています。

これからも、お客様の経営パートナーとして、一緒に歩んでいきたい。お客様の成長とともに、私たち自身も成長していきたい。そう考えています。

経営に関する悩みや課題があれば、ぜひ一度ご相談ください。一緒に解決策を考えさせていただきます。

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