「雑草税理士」の覚悟。泥臭く、誠実に。中小企業の未来と納税者の財産を守り抜く
田代義典:田代義典税理士事務所 代表税理士
1980年埼玉県生まれ。税理士事務所で実務経験を積みながら税理士試験5科目に合格し開業。「雑草税理士」として、恵まれた才能や環境がなくても、粘り強く努力すれば道は拓けると信じる。その信念が、納税者の課題解決に妥協せず、ひたむきに取り組む原動力となっている。
得意分野は相続税申告であり、特に土地評価に強いこだわりを持つ。徹底した現場調査に加え、法令・裁決・判例を丁寧に読み込むことで、円満な相続を願う人々の財産を最大限に守る。
こうした姿勢は、相続に関する業務だけでなく、日本の成長を支える中小企業など幅広いクライアントの支援に活かされている。
インタビュワー: 本日はよろしくお願いします。田代さんは、長い期間勉強を続けて税理士になられたと伺いました。どのようなきっかけでこの業界を目指されたのでしょうか?
最初のきっかけは、小学生の頃に習っていた珠算の検定会場だった高校になんとなく入学し、簿記と接したことです(笑)。
入学当初は大学受験なんて考えていませんでしたが、転機となったのは、仲の良かった同級生の存在でした。その同級生が難関大学を目指して予備校に通い始めことで、私も一緒に受験勉強をするようになりました。
浪人を経て入学した大学には、公認会計士の養成機関があったため、自分もやってみようと勉強しましたが、半年も経たずに挫折しました。
インタビュワー: その挫折を経て、本格的に税理士を目指すことになったのは、何があったのですか?
就職活動をしていたときに、漠然と「経営コンサルタントになりたい」と思っていました。でも、現実を目の当たりにして気づいたんです。MBA取得者など優秀な方々と渡り合うには、学歴や専門性が足りないと。
そこで、コンサルに近い仕事で、しかも子どもの頃にテレビ番組の『日本の社長』というコーナーを見て憧れていた“社長”にもつながる職業として、税理士という目標が定まっていったんです。
そこからは働きながらの勉強生活です。しかし、最後の1科目で泥沼にはまり、5科目合格までに人一倍の時間がかかってしまいました。大学院で勉強して2科目免除を受けるという選択肢もありましたが、私は選びませんでした。
インタビュワー: なぜ、そこまで試験合格にこだわったのでしょうか?
信念と意地、そして臆病さです。
私は自分を「雑草税理士」だと思っているんです。華々しい学歴があるわけでもなく、要領も悪い。でも、雑草のようにしぶとく努力を積み重ねれば、目標を叶えることができる。その信念を結果として残したかったんです。
さらに、税理士としての資質が問われる試験に合格してこそ、自信を持って税理士業ができるという妙な意地と、合格しないならやるべきではないという臆病な気持ちもありました。
もちろん、合格は私一人の努力だけでなく、支えてくれた妻や周囲の協力があったからこその結果です。合格証書が届いたときは、妻と一緒に泣きました。「努力は報われる」と同じ境遇の方に伝えたいです。
インタビュワー: 独立開業にあたっては、やはり綿密な準備期間があったのですか?
いえ、まったく準備していませんでした(笑)。むしろ真逆です。「準備をして満を持して開業した」というわけでは決してありませんでした。
ある日、勤めていた事務所の所長から「環境を変えたらどうか?」と言われたんです。当時の自分は、いつかは独立開業というイメージは持っていたものの、事務所の居心地の良さに甘えて、目標から目を逸らしてしまっていた。それを所長に見抜かれたんだと思います。
ショックでしたが、所長からの独立への期待と後押しとして前向きに受け止めました。ただ、その時点でまだ試験に受かっていなかったので、路頭に迷うわけにはいかず、「あと1年だけ猶予をください」と所長に頼み込みました。この1年で必ず合格し、独立します、と。
インタビュワー: まさに背水の陣ですね……。その1年間は壮絶なプレッシャーだったのではないでしょうか。
そうですね。もう後がありませんから。生活のためにも、意地でも受かるしかなかった。だから、私の独立は「夢を叶えるためのキラキラした開業」というよりは、「戻る場所はなく、資格を取って独立するしかなかった」という生活のための、いわば消去法的な決断でした。
事前の営業準備はゼロ。まさに資格一つ、体一つでの開業でした。ですが、あのギリギリの状況に追い込まれなければ、今もズルズルと勉強を続けていたかもしれません。改めて、背中を押してくれた所長には、大変感謝しています。
インタビュワー: 開業されてからは、事務所の方向性をどのように定めていったのでしょうか?
開業当初から、「サービス業の心を持った税理士でありたい」と決めています。先生稼業として一方的に押し付けるのではなく、経営者と同じ目線で伴走したい。
ただし、公私のけじめは大切に考えています。そのうえで、特に重視しているのが、”お客様との相性”です。
インタビュワー: 相性が経営方針の核にあるのですね。具体的に、それはどういう意味でしょうか?
はい。とりわけ長期的な関係となる顧問契約では、税理士として最高のサービスを提供し続けるために、強固な信頼関係が欠かせません。そのため、お客様の真の課題や考えを深く理解できるよう、丁寧に話を伺うことを徹底しています。さらに、お互いの経営に対する価値観や税務への認識にズレが生じないよう、必要な場面では耳の痛い内容でも正直にお伝えします。それがお客様の利益を守り、長期的な関係を築く最善の道だと考えています。

インタビュワー: 現在メインに据えている「相続税」についてもお聞かせください。数ある税務の中で、なぜあえて難しいとされる相続税、それも「土地評価」に力を入れているのでしょうか?
「魔法のような節税」なんて存在しないと考えています。私が目指しているのは、税法上認められている「納税者に有利な規定」を漏れなく適用すること。それこそが、税務調査にも耐えうる「真の節税」だと確信しています。
特に相続税において、その差が顕著に出るのが「土地の評価」です。評価額が大きく変われば、税金は数百万円、数千万円単位で変わることもあります。しかし、ここを「路線価×面積」といった机上の計算だけで済ませてしまうと、結果として納税者が不利益を被る可能性もあります。
必要であればレーザー距離計を持って現地に行き、図面だけでは分からない道路との高低差、傾斜の状態、高圧線下の利用制限、私道の利用状況、音、臭いなどの「減価要因」を自分の目と耳と鼻を使って探します。
また、通達評価額が明らかに高すぎると思われる土地は、過去の裁決事例や判例を徹底的に読み込み、鑑定評価への切り替えを含めて「適正かつ妥当な評価額」を算出する根拠を探します。
たとえば宅地等の評価額を大幅に減額できる「小規模宅地等の特例」といった規定は、複雑な事例でも積極的に適用を検討し、少しでもお客様の負担が軽くなるよう粘り強く考え抜きます。
インタビュワー: まさに「執念」ですね。そこまで徹底される原動力は何ですか?
相続は心身ともに辛い時期に、慣れない手続きを強いられるものです。そのような状況で頼ってくださったお客様の負担を少しでも軽くしたい。そして何より、税理士として関わる以上、納税額について一切の妥協をしたくないんです。それが私の信条であり、お客様への誠意だと思っています。
インタビュワー: 最後に、これからの展望についてお聞かせください。田代さんはどのような税理士を目指されているのでしょうか?
当事務所のロゴマークは、私の名字「田代」にかけて「白い田んぼ」をモチーフにしているんです。収穫を終えた後の田んぼを朝日が照らしているデザインなのですが、いつまでも「実りと謙虚さ」を忘れず、感謝の気持ちで仕事に向き合うという想いを込めています。
インタビュワー: 「先生」稼業ではなく、あくまでパートナーとして寄り添う姿勢ですね。
はい。そしてもう一つ、大きな視点の話になりますが…… 私は税理士の仕事を通じて、納税者の方々に「税の意義や仕組み」にも関心を持ってもらえたらと願っているんです。
給与明細を見ても、自分がいくら税金を払っているか知らない方が多いですよね。私の仕事を通じて、納税者の皆様に「ご自身が負担している税金の役割」に、少しでも目を向けてもらえたら嬉しいです。そして、それがより良い社会や経済の仕組みについて考えるきっかけにも繋がればいいなと思っています。
くわえて私は、日本の製造業を支える中小企業や、新しい技術などの開発に取り組む企業の挑戦を、税務の面からしっかり後押ししていきたいと考えています。一歩ずつですが、その成長を支えることが、私にできる日本の未来への貢献だと思っています。
私は遠回りをし、挫折も味わってきました。そして、折れた心を何度も奮い立たせてきました。
もし、経営や相続のことで悩んでいる方がいらっしゃいましたら、ぜひご相談ください。魔法は使えませんが、あなたと一緒に、泥臭くも誠実に、最善策を探し抜くことをお約束いたします。
インタビュワー: 本日はありがとうございました!
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