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「経営者のよりどころでありたい」——川路淳子税理士事務所が140社と築く、数字の先にある伴走

「経営者のよりどころでありたい」——川路淳子税理士事務所が140社と築く、数字の先にある伴走

川路 淳子(かわじ じゅんこ)|川路淳子税理士事務所 代表税理士

税理士であった父の後を継ぐかたちで税理士の道へ進む。父の事務所を引き継いだ後、母方の叔父の事務所と合流し、12年間従弟とともに歩む。9年前、従弟が資格を取得したタイミングで、自身が最初に勤めていた事務所を承継。現在は西新宿を拠点に、一都三県を中心とした140社の顧問先を6名のスタッフとともに支える。「経営者のよりどころでありたい」を掲げ、数字の面を引き受けることで経営者が本来の仕事に集中できる環境づくりを目指している。

業種を問わず一都三県140社——6名のチームで向き合う「まんべんなく」の事務所

宮田:まず、川路淳子税理士事務所の現在の体制とお客様の特徴を教えてください。

川路:
現在、私以外に6名のスタッフと一緒にやっています。お客様は本当に業種がさまざまで、製造・建築・不動産があれば、ITのお客様、士業やコンサルタント、飲食、IT系のお客様もいらっしゃいます。どの業界が多いということはなく、割とまんべんなく色々な業種のお客様とお付き合いさせていただいています。

地域は、一都三県——東京、埼玉、千葉、神奈川が中心です。中には少し地方の方、静岡や奈良あたりのお客様もいらっしゃいます。

事務所のスタッフに関しては、一番長い方で9年勤めてくれている方もいますし、昨年入社した方もいます。年齢層も50代から20代までおりまして、50代が3名、40代が2名、30代が1名、20代が1名という構成です。意図的に幅広く採用したというよりは、引き継ぎの経緯のなかで自然とこうなりました。最初は60代が中心の事務所だったのですが、少しずつ若い方が入ってくださり、今の分布に落ち着いてきたという流れです。

川路淳子税理士事務所

宮田:得意な領域や、よくご相談いただくテーマはありますか。

川路:
そこがなかなか難しいところで、正直に言うと「尖ったところがない」という感じになってしまうんです(笑)。他の事務所さんのインタビューも拝見しましたけれど、皆さんここが強いというのをすごく明確にされている。ただ、うちの事務所を考えた時に、特に何が強いというところがあまり明確にならなくて。

宮田:逆に言えば、業種を選ばず幅広く対応できるということですし、地域密着で根を張ってこられたからこそ選ばれているのだと思います。立地についても伺いたいのですが、西新宿を拠点にされている理由はありますか。

川路:
現在の事務所に移転してきたのは2年半ほど前で、元々は練馬にあったんです。ビルの老朽化でやむを得ず移転することになり、練馬周辺も検討したのですが、従業員が通いやすくなるようにというテーマで選んだ結果、今の場所にたまたま良い物件が見つかりました。駅から徒歩2〜3分で立地も良くなりましたし、事務所も綺麗になったので、移ってきて良かったと感じています。

宮田:もともと税理士を志されたきっかけは、お父様からの「後を継いでほしい」という言葉だったと伺いました。当時、その言葉はどう受け止められましたか。

川路:
全くイメージがつかなくて、税理士という仕事自体もあまりわかっていませんでした。それに私、元々数学が大嫌いだったんです。「いやいや、私は数字が嫌いだし」という感じで、正直、どうなんだろうという戸惑いがありました。

宮田:実際にはどのように進路を決められたのでしょうか。

川路:
大学が自宅からちょっと遠かったので、「簿記学校に行ったら一人暮らしさせてあげる」という、よくあるご褒美作戦にまんまと乗せられたという感じですね(笑)。
半年悩み抜いた事業承継——「直感」で踏み切った9年前の大きな決断

宮田:これまで事務所を経営されてきた中で、大きな転機と感じる出来事を挙げるとすれば何でしょうか。

川路:
やはり9年前、最初に勤めた事務所の先生から「引退したいので、あと引き継いでほしい」という話をいただいたことです。当時、約100社のお客様と従業員の方々を引き継ぐことになりました。

宮田:そこに至るまでの経緯を少し詳しく伺ってもいいですか。

川路:
少し複雑なのですが、父が亡くなると同時に父の事務所を引き継ぎまして、その1年後に母方の叔父も急に亡くなってしまったんです。叔父も税理士事務所をしていたのですが、その後継者になる従弟がまだ資格勉強中だったんですよね。それで一旦、私と従弟で一緒にやるということになり、12年ほど一緒にやっていました。従弟が無事に資格を取れたちょうどそのタイミングで、最初に勤めた事務所の先生から承継の話をいただいて、ちょっと迷った末に引き継ぐことになったという流れです。

宮田:この時、半年ほど迷われたと伺いました。どんなことで悩まれていたのでしょうか。

川路:
やはり、それだけのお客様と従業員を引き継ぐという責任の重さと、自分自身の自由度もなくなるかもしれないというところです。自分で勤まるのかと、本当にいろいろ悩みました。一旦は「お断りする」という方向にもなりかけたのですが、いざそうなりそうになった時に「これは引き受けたほうがいいな」と思ったんです。直感に近い感覚でした。税理士という、数字と向き合うような現実的な仕事をしていますけれど、どちらかというと理論派というより直感タイプなんですよ(笑)。

宮田:引き継いだ当時、どんな事務所にしていきたいという思いを持たれていましたか。

川路:
兎にも角にも、みんなが楽しく幸せに仕事をしてほしいという思いでした。トップが変わると、従業員の方々も「自分たちはどうなってしまうんだろう」という不安があると思うので、やり方や進め方をできるだけ尊重して、歩み寄ることを大切にしました。みんなが嫌な思いをしないように、というところはすごく意識しましたね。幸いなことに、離れていく方もほとんどなく、従業員も私のことを尊重してくれて、お客様にも立ててくれたりもして、本当にありがたかったです。
数字はツール——経営者の孤独に寄り添う伴走スタイル

宮田:ホームページで「経営者と未来を一緒に考えていきたい、悩みも喜びも共有したい」というメッセージを掲げておられます。数字だけを見る税理士ではなく、そこまで踏み込まれる理由を聞かせてください。

川路:
数字はあくまでツールでしかないと思っているんです。よく言われる言葉ですけれど、経営者は孤独で、事業をやっていく上で何でも自分一人で決断しなくてはいけない。不安だったり孤独だったりする中で意思決定をしていかなくてはならないわけです。意思決定をしていく上で数字はすごく必要なものではあるけれど、それを持ったうえで、お客様が安心して経営できるようにしたい。好きで始めた仕事を、できるだけ長く、安心した中で続けていただくことが、きっと一番いいと思っているんです。

宮田:経営者の方から印象に残っているお言葉などはありますか。

川路:
一番印象に残っているのが、「今までそんなこと言ってくれる人はいなかった」と言っていただいたことです。その経営者の方が本当にやりたいこと、力を入れたいと思っている領域があって、そこに対して「数字の面は私がやりますから、やりたい方に集中してください」とお伝えした時に、すごく喜んでくださいました。

宮田:お客様にとっては、本当に心強い言葉だと思います。

川路:
一番の応援者でいられたらいいなと思っているんです。一人で抱えてしまうような不安に共感できたり、「大丈夫ですよ」とお伝えして差し上げたりすることで、少しでも安心して経営を続けていただけたら——そんな気持ちで向き合っています。

宮田:とはいえ現在は顧問先が140社いらっしゃると伺っています。川路先生がすべての面談に入られるのは難しいですよね。

川路:
そこが、自分の中でジレンマになっているところでもあります。毎月お会いする会社さんもあれば、年に数回や決算の時だけという会社さんもあります。基本的に通常の月次処理は従業員が担当し、決算の時に私がお話しする——そういう役割分担になっています。本当はもっと頻繁にお会いしてお話ししたいと思いつつも、なかなか追いつかない現状があります。
ケラケラ笑える事務所——「質問しやすい・提案しやすい」雰囲気を守る

宮田:ホームページには「ケラケラ笑っている」「愛と包容力のある人を採用する」といった表現があり、職場の雰囲気を大切にされているのが伝わってきます。その根本にある考えを教えてください。

川路:
やはり一日の大半が仕事になるので、従業員が働きやすい環境を提供できれば、みんなのパフォーマンスも上がると思うんです。職場の雰囲気が悪くて人間関係がうまくいっていないと、そちらのストレスに引っ張られてしまう。できるだけみんなに快適に過ごしてもらって、お客様にもいいサービスを提供できるように、というのが根本にある考えです。

宮田:働きやすさの中で、特に意識されていることはありますか。

川路:
質問しやすい雰囲気、提案しやすい雰囲気です。「こんなこと聞いたら怒られるかな」というのをなくしたいんです。どんなに忙しくても、質問が来たらちゃんと答える。それから質問だけでなく、「もっとこうしたらいいと思います」という提案もどんどんしてほしい。みんなで良くしていこうという空気を大切にしたいと思っています。

そういった意識のおかげか、事務所内は笑いはかなり多いと思います。時々大爆笑になっていることもあります(笑)。色々な事務所さんを回られていると、皆さんパソコンに向かって静かに作業されている印象も多いと思うのですが、うちは賑やかな時間もあるタイプかもしれません。

宮田:女性のスタッフが多いというのも特徴ですよね。

川路:
9年前に引き継いだ時は、私以外はほぼ男性だったんです。それが気がつくと逆転していて、今は男性スタッフが1名だけ。「女性のパワーに押されている」と、ちょっとかわいそうな状況になっています(笑)。所長が女性だと、自然とそうなるのかもしれません。
川路淳子税理士事務所
もっと良くなっていきたい——採用とツールで拓く「伴走型」の未来

宮田:今後のビジョンについて伺わせてください。

川路:
まず足元の課題として、お客様が段々と増えてきたことに寄って事務所自体が忙しくなってきているなと感じています。従業員の働きやすさを大切にしたいですし、お客様一人ひとりにももっと向き合う時間を作りたいと思っています。その状態になれば、お客様へのサービスももっと良くできると思っています。そのために、採用とツール導入の両輪で効率化を進めているところです。

宮田:採用はどのような方を想定されていますか。

川路:
正社員、特に将来的な後継者になり得る方に来ていただけたら嬉しいなと思っています。今、税理士が私しかいない状態なので、そこは中長期でしっかり考えていきたい部分です。

宮田:ツール面はいかがですか。

川路:
タスク管理にはNotionを導入し、今まだ構築の途中です。会計ソフトはエプソンを長く使っていて、CSV取り込みや金融連携など自動化の機能も活用しています。まだ完全に定着しきれていない部分はありますが、着実に進めているところです。

宮田:10年、20年という長い目で見た時、事務所はどう育っていくといいなと思われますか。

川路:
規模を大きくしたいというのは、そこまで強くないんです。それよりも、関わる方みんながもっと幸せでいられるように、お役立ちしていきたい。漠然とした言い方になってしまいますが、それが一番大切にしたいところです。

宮田:サービスの方向性としては、どのように広げていきたいとお考えですか。

川路:
税理士業務だけではない領域——たとえば財務コンサルティングや社外CFO的な、がっつりとコミュニケーションを取っていくお客様の経営への伴走に、もっと力を入れていきたいと思っています。AIによって申告書など作業的なところは自動化されていくと思うので、その分、人と関わっていく、お客様と関わっていく部分にこそ注力できる体制にしていきたい。そこはなかなか大きな変革が必要なので時間はかかると思いますが、しっかり取り組んでいきたいです。

宮田:最後に、これから川路先生に相談してみたいと思っている経営者へメッセージをお願いします。

川路:
「これがうちの売りです」というようなわかりやすい強みを打ち出すタイプではないのですが、もっと皆さんのお役に立っていきたい、現状に満足せずにもっと良くなっていきたい——その気持ちがいつも根本にあります。数字の面は引き受けますから、経営者の方にはご自身が本当に向き合いたいことに集中していただきたい。そんなよりどころのような存在でいられたら嬉しいです。

川路淳子税理士事務所の詳細はこちら

取材後記

中学3年生で「父の仕事を継いでほしい」と託され、数学嫌いだった少女が、「一人暮らしさせてあげる」というご褒美作戦に導かれて税理士の道に進む——。川路先生の原点は、決して肩肘張ったストーリーではなく、家族のあたたかな記憶のなかにありました。しかし、その道のりは平坦ではなく、お父様の事業を引き継ぎ、叔父様の事務所と合流し、9年前に最初に勤めていた事務所まで承継する——100社のお客様と従業員を背負う決断を「直感」で下されたというエピソードに、静かな覚悟が滲んでいました。

印象的だったのは、数字を「ツール」と言い切る姿勢です。経営者の孤独に寄り添い、「数字の面は私がやりますから、やりたい方に集中してください」と伝えたときに、「今までそんなこと言ってくれる人はいなかった」と涙ぐまれたお客様の話——そこに川路先生の経営観が凝縮されていました。数字の正確さは当然のこととして、その先にある「経営者の安心」に責任を持とうとされている姿勢が印象に残ります。

そして、ケラケラ笑える事務所、質問も提案もしやすい雰囲気、一都三県140社を6名で支える伴走体制。「現状に満足していない、もっと貢献していきたい」と語る川路先生の言葉には、柔らかな物腰の奥に確かな熱量がありました。数字と人、その両方に丁寧に向き合ってくれる税理士を探している経営者の方にとって、川路淳子税理士事務所はきっと心強い「よりどころ」になるはずです。

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※ 本インタビューの内容は取材時点のものです。事務所の体制やサービス内容は変更される可能性があります。最新の情報については各事務所に直接お問い合わせください。