SEから税理士へ。経営者の不安を解消するパートナーを目指して

丸尾和之:北摂マルニー税理士事務所 代表
大阪の大手企業にシステムエンジニアとして新卒入社後、税理士を目指してキャリアチェンジ。11年間の勉強期間を経て税理士資格を取得。税理士法人での実務経験を積み、大手事業会社の財務・経理業務も担当。現在は独立開業し、毎月の対面面談を重視したスタイルで顧問先をサポート。非居住者税務、源泉所得税、消費税などの専門分野を持つ。
インタビュアー:本日はお時間をいただきありがとうございます。まず、税理士を目指されたきっかけについて教えてください。
よろしくお願いします。私は学生時代、講義の延長線上でC言語、C++、Javaといったプログラミングや、HTML手打ちによるホームページ作成・更新に昼夜を問わず没頭していました。そんな経験から「これを仕事にできたら」と思い、大阪の大手企業にシステムエンジニアとして新卒入社しました。
インタビュアー:そんな中、税理士へどうしてキャリアチェンジされたのでしょうか?
入社当初は開発に関わることができて楽しかったのですが、次第に現実とのギャップを感じるようになりました。上に上がるにつれてマネジメントが中心になり、プログラミングに直接関わる機会は減っていく。開発作業自体も二次請けや三次請けの会社に依頼することが多く、自分の理想としていた「手を動かしてモノを作る」という喜びが薄れていったんです。
そんな将来に悲観的になっている中で、個人事業主として活躍している友人たちと話す機会が増え、彼らの自由な働き方に惹かれるようになりました。私も手に職をつけて、自分の裁量で働きたいと強く思うようになったんです。ちょうど会社で推奨されていた簿記の勉強を始め、資格試験に取り組みました。3級、2級、そして1級と進めるうちに、税理士という選択肢が自然と見えてきたんです。その頃には「将来は独立したい」という思いと「税理士資格を取って道を切り開きたい」という気持ちが重なりました。
インタビュアー:税理士資格を取られてから独立に至るまで、どのような歩みだったのでしょうか?
税理士資格を取るまでには11年かかりました。働きながらの勉強は本当に大変で、特に大手事業会社勤務中は、平日は通勤時間の電車内、退勤後の通勤経路にあるカフェ、休日はワーキングスペースで勉強に取り組んでいました。途中で挫けそうになったこともありましたが、「独立したい」という思いが支えになりました。
実務面では、日商簿記1級合格を契機に、まずは税理士法人に勤務し、中小企業や個人事業主の税務会計を20社ほど担当していました。その後、大手事業会社の財務・経理を担当する関連会社に転職し、源泉所得税や消費税、事業所税など大規模な税務業務を経験しました。これらの実務経験が今の自分の土台になっています。
インタビュアー:独立に踏み切る際、不安はありませんでしたか?
正直、ものすごく不安でした。お客様が本当についてくれるのか、税務のあらゆる相談に応えられるのか…。特に独立後の具体的なイメージが持てなかったことが大きな不安でしたね。
そんな中、税理士試験合格後にSNSで声がかかり、近畿青年税理士連盟大阪支部(大阪青税)の会合に誘われるようになりました。そこで、独立した先輩方の話をたくさん聞く機会がありました。彼らのリアルな体験談を聞くことで「これなら自分でもやれるかもしれない」と思えるようになったんです。不安が完全に消えたわけではありませんが、具体的な道筋が見え、前に進む勇気が持てました。

インタビュアー:独立されてからの顧問先対応で、大切にしていることはどんなことですか?
私は毎月、経営者の方に直接お会いすることを大事にしています。最近は年1回の面談やオンライン対応のみという事務所も多いですが、私自身のスタイルは対面を重視しています。試算表をお持ちし、その月の数字を一緒に確認しながら「どこに課題があるのか」「次にどんな手を打つべきか」を経営者と一緒に考える。こうした時間が経営の安心につながると思っています。
インタビュアー:実際にそのような対面のやり取りで、どんな効果があったと感じますか?
例えば、今担当しているお客様は、以前の税理士事務所と10年以上お付き合いがあったのに、試算表の見方がわからないままだったそうです。私は毎月の面談で、数字のどこを見ればいいのか、どんな点が経営判断に役立つのかを丁寧にお伝えしています。最近では「前より数字に強くなった気がする」と言っていただけるようになりました。それが一番嬉しいですね。
インタビュアー:その「毎月会うスタイル」を取るようになったきっかけは何ですか?
以前勤めていた税理士法人で、担当していたお客様と毎月お会いするスタイルを取っていました。そのとき、経営者の悩みや課題は月ごとに変わるものだと肌で感じたんです。月に1度会うだけでも、経営者の方が気軽に話せる機会ができ、悩みの解決につながると実感しました。それが今のスタイルの原点です。
インタビュアー:得意分野について詳しくお聞かせください。どんな業務に強みをお持ちですか?
非居住者の税務や不動産税務は特に得意としています。最近では、日本で不動産投資を行うインバウンドのお客様の確定申告をサポートいたしました。また、大手企業の関連会社に在籍していたときに、源泉所得税や消費税の処理を数多く担当していたため、これらの分野も強みです。源泉所得税の正しい処理や消費税の課否判定をわかりやすく説明し、経理担当者の方と一緒にミスを防ぐ体制づくりも意識しています。これからはこうした法人様との長期的な関係構築にも力を入れたいですね。
インタビュアー:対応地域はどのようにお考えですか?またオンラインでの対応もされていますか?
大阪の北摂地域を中心に活動しています。北摂地域に絞ることで、経営者の方とじっくり信頼関係を築きやすいのも大きなメリットです。もちろんオンライン対応でもきめ細かくサポートしますが、顔を合わせて話せる安心感は何にも代えがたいものだと思っています。ただ、ご要望があれば全国どこでもオンラインで対応可能ですので、ご相談いただければと思います。
インタビュアー:元エンジニアのご経験が、税理士としての業務に活かされていると感じることはありますか?
はい、間違いなく活かされています。SE時代、そして税理士法人や大手企業の関連会社に在籍していた頃から、Excelのマクロを組んで業務の効率化を図ってきました。例えば、過去に膨大な源泉所得税(法定調書)や事業所税(資産割・従業者割)の集計作業を正確かつ短納期で行う必要があり、マクロで集計表を自動化する仕組みを自分で作りました。そのおかげで業務時間を大幅に短縮でき、チーム全体の負担も減りました。
インタビュアー:業務効率化が現場に与えた具体的な効果について、もう少し教えてください。
従来は数日かかっていた集計業務が、マクロを使うことで数時間で終わるようになりました。その結果、余った時間で数値の分析やミスの確認、追加資料の作成など、より付加価値の高い業務に時間を使えるようになったんです。こうした効率化の取り組みは、今後独立した事務所でも積極的に活かしていきたいと考えています。

インタビュアー:最後に、税理士を探している経営者や個人事業主の方にメッセージをお願いします。
税理士は、経営者の「パートナー」だと思っています。長くお付き合いする存在だからこそ、相性が本当に大事です。料金に目が行きがちですが、多少高くても信頼できる人を選んだ方が、結果的に会社の成長や安心につながると私は考えています。
インタビュアー:その思いの背景には、どんなご経験があるのでしょうか?
これまで多くの経営者の方とお話をしてきて感じるのは、皆さん少なからず不安を抱えながら日々経営に向き合っているということです。私はその不安を数字の面から取り除き、経営に集中してもらうためのパートナーでありたい。記帳代行から月次の試算表の読み方まで、地道に寄り添うことで「この人なら任せたい」と思ってもらえる税理士を目指しています。
インタビュアー:最後に、丸尾さんの事務所に相談を検討されている方に、一言お願いします。
ぜひ一度、気軽にご相談ください。数字のこと、税務のこと、経営のこと、どんな小さなことでも構いません。「相談して良かった」と思ってもらえるよう、全力でお手伝いします!