大阪府

記帳屋から財務コンサルへ――8年の苦闘を経て辿り着いた「経営者と一緒に成長する税務」

記帳屋から財務コンサルへ――8年の苦闘を経て辿り着いた「経営者と一緒に成長する税務」

西野善博(にしの よしひろ):ルチェーレ会計事務所 代表税理士

近畿大学経営学部卒業後、カラオケ店でアルバイトをしながら3年間の猛勉強を経て税理士資格を取得。大阪の税理士法人4社で約7年間の実務経験を積んだのち、2015年に独立開業したが知人の税理士事務所で2年間手伝うことになりその後に事務所スタート。飲食店・美容室・整骨院など店舗型ビジネスを中心に顧問先を拡大し、現在は約140社を抱える。近年はキャッシュフローコーチやNLPの知見を取り入れた財務コンサルティングへと軸足を移し、「クライアントと共に成長する」をミッションに事務所の進化を続けている。

大阪・南船場から140社を支える――ルチェーレ会計事務所の今

まず、今の事務所の体制や顧客層について教えてください。

西野:
顧問先は全体で140社ほどです。もともと飲食店が3割、美容室やサロンが2〜3割と、店舗型ビジネスが中心でした。ただ、他の業種も基本的にはウェルカムで、地域は関西メインですね。

スタッフは一時8名いたんですが、産休・育休に入ったメンバーがいたり、ライフステージの変化で退職されたメンバーもいて、今はちょっと少なくなっています。ただ、事務所としての基盤ができているので、新しいメンバーを迎え入れる準備も進めていますし、むしろ次のフェーズに向けてチームを再構築している段階です。

店舗専門から、最近は間口を広げていると聞きました。

西野:
最近ホームページもリニューアルしたんですけど、業種を問わず「成長意欲がある企業」をメインターゲットに広げていこうとしています。コロナで世界がガラッと変わったじゃないですか。少子高齢化で消費が減っていく日本で、事業会社として生き残るのはどんどん厳しくなる。そう考えたときに、店舗型に限定する意味があるのかなと。関わった会社さんが潰れずに成長していく、そこに伴走したい。業種がどうこうじゃなくて、その会社のビジョン達成を最初から一緒に目指したいんです。

事務所は大阪メトロ心斎橋駅から徒歩4分の南船場にあります。もともと北堀江で開業したんですけど、手狭になって移転しました。このエリアにはお客さんも多いですし、自分自身もこの街が好きなので、ここから動くつもりはないですね。
nishino
「そこしか行けなかった」――近大経営学部から税理士への道

キャリアの話を伺いたいのですが、まず近畿大学の経営学部を選ばれた理由から聞かせてください。

西野:
正直に言うと、そこしか行けなかったんです(笑)。一浪して、関学とか行きたかったんですけど、前期で全部落ちて、後期で近大に受かった。経営学部も、法律よりは経営のほうが興味あるかなぐらいの感覚で。将来的に自分で経営をやってみたいという漠然とした思いはありましたけど、その時点では全然具体的じゃなかったですね。

大学時代に簿記の授業もあったそうですが。

西野:
ありましたけど、面白くなくて3回で行かなくなりました(笑)。大学を出てからも1年間、フリーターみたいにふらふらしてたんです。

転機は、会計士の勉強をしていた幼馴染に怒られたこと。「お前、何やってんねん」って。父親が会計士・税理士で監査法人に勤めていたこともあって、税理士という仕事について本を読んでみたんです。「税理士とは何か」「会計士とは何か」みたいな入門書を何冊か。

自分で経営してみたいという気持ちと、正直に言えば稼ぎたいという気持ち。その掛け合わせで考えたときに、「会計士は頭的に無理そうやけど、税理士ならいけるかも」と(笑)。そこからカラオケ店でアルバイトしながら3年間勉強して、簿記論・財務諸表論・法人税法に合格しました。27歳で初めて税理士事務所に就職しました。
4つの事務所、7年間の修業――「独立しないと飯食えない」

勤務時代は4つの事務所を経験されていますが、なぜそれだけ多くの環境を選んだのですか。

西野:
独立しないと飯が食えないな、というのが根っこにありました。20年ぐらい前の話ですけど、税理士になっても給料は月20〜25万円ぐらいが天井。それなら独立するしかないと思ったときに、いろんな事務所を見ておきたかったんです。

それぞれの事務所で、どんなことを学びましたか。

西野:
1社目は大阪の30〜40名規模の税理士法人で、昔ながらの「新人いびり」が激しい環境でした。代表とも意見が合わないことがあって、1年弱で辞めました。2社目も同規模の税理士法人で2〜3年。ここでは法人の顧客が多かったので、法人税務の基礎が固まりましたね。相続はほとんど経験がなくて、キャリアを通じてずっと法人畑です。

転機になったのは3社目。10名ぐらいの事務所で、代表が2代目で一般企業出身の方だったんです。コンサルとか一般事業会社みたいな雰囲気があって、ここで初めて財務コンサル系の仕事を経験しました。「これや」と思いましたね。自分がやりたかったのはこれだと。この経験が今の財務コンサルへの原点になっています。

4社目は3〜4名の小さな事務所。独立して5年ぐらいの代表のそばで、開業後のリアルを間近で見たかったんです。経験値を積む意味で1年半ぐらい勤めて、自分もいけるという確信を持って独立しました。
ルチェーレ会計事務所 執務風景
ゼロからの独立――記帳屋に埋もれた4年間と、訪れた転機

2015年に独立されてから、最初の数年はどんな状況でしたか。

西野:
お客さんゼロのスタートです。実家の一室から始めました。ほんとは最初からコンサルをやっていきたかったんですけど、まずは食べていかなきゃいけない。ちょっと安い値段で記帳代行メインのお客さんを取って、件数を増やして……。気づいたら、自分のやりたいところとは全く違うところに時間を使わないといけない日々が4〜5年ぐらい続きました。いわゆる「記帳屋」ですね。

その状況を変えたきっかけは何だったんですか。

西野:
3年前に、良いスタッフが入ってきてくれたんです。自分で考えて動ける人で、僕がやっていた入力作業とかをどんどん引き取ってくれた。ちょっとずつ仕事を振れるようになって、僕の時間が空いてきたんです。

その時間を使って、ずっとやりたかったキャッシュフローコーチの講座を受けに行きました。あべき先生のEMPという経営塾にも通って、コーチングやNLP(神経言語プログラミング)の勉強も始めました。ようやく本当にやりたかったことに手が届き始めた感覚でしたね。

お客さんの反応はどうでしたか。

西野:
それまで記帳代行だけだったお客さんにも、実際にお会いして話してみると「こういう支援もしてほしかった」という声をいただくことが増えました。プランアップにつながるケースも出てきて、もちろん記帳代行だけでいいという方はそのままですけど、会って話すことで関係が深まる。これからは、これまで記帳代行メインだった方にもお会いして、必要な方にはコンサルのプランを提案していきたいですね。
「税理士っぽくない税理士」の流儀――壁を壊して本音を引き出す

ご自身を「税理士っぽくない税理士」と表現されていますが、どういう場面でそう感じますか。

西野:
お客さんと話していて、「この人、本音本心で話してくれていないな」と感じることが結構あったんです。税理士じゃないのに「先生」って呼ばれる気持ち悪さというか。「税理士」というイメージだけで壁ができてしまう。

だったら、その壁を自分から壊しにいこうと。カジュアルな服装で会う、対等な目線で話す。そうするとお客さんがポロっと本音を話してくれるんですよね。経営の悩みって、数字の前にまず気持ちの部分がある。その本音が聞けないと、本当の改善なんてできないと思っています。

財務コンサルの場面では、そのスタンスがどう活きていますか。

西野:
現場で動いている経営者の方って、とにかく忙殺されているんですよ。日々の営業、スタッフ管理、仕入れ……。だから僕と話す時間が「落ち着いて考える時間」になると言ってもらえることが増えました。コーチングの手法を取り入れて、一方的にアドバイスするんじゃなくて、質問しながらクライアントの頭を整理していく。「それでお金取れるよ」と言ってくださるお客さんもいて、自信になっています。

特に店舗型の事業を多く見られていますが、長く続く店とそうでない店、税理士の立場から見えてくる違いはありますか。

西野:
改善や新しいことを常にやろうとしている店は生き残りますね。飲食でも美容でも、職人気質の方が多い業界なので、自分のやりたいことだけをバンってやってしまう方がいるんですけど、それがお客様に響くかどうかを考えずにやるのはしんどい。そこを一緒に考える存在でいたいんです。

今後は毎月でもお客さんと会いたいと思っています。ただ、110社を自分一人で回すのは物理的に無理なので、財務コンサルの資料作りなどはシステム化もしつつ、トーク台本も作って、スタッフでも対応できる仕組みを整えていきます。会計ソフトも弥生からマネーフォワードに切り替えて、AIの自動仕訳も活用していく予定です。
インタビュー風景
売上5億、その先へ――クライアントとスタッフが共に輝く事務所を

最後に、ルチェーレ会計事務所の未来像を聞かせてください。

西野:
どんどん規模を大きくしていきたいと思っています。お客様を成長させていく、スタッフも仕事面だけじゃなくて人間的な成長ができるような「面白い事務所」にしたい。最終的には売上5億円を目指してやっていきたいですね。

かつて「稼ぎたい」から始まった税理士人生が、日本経済を語るところまで広がっているのは大きな変化ですね。きっかけは何だったんですか。

西野:
知り合いの知り合いで、日本トップクラスのマーケターの方がいるんです。上場企業に入り込んで大きな予算で動いている方なんですけど、その人がこう言っていたんです。「日本の中小企業に一番近い存在は税理士。税理士がマーケティングとかをちゃんとやらないと、日本の中小企業は成長しない」と。

その言葉がものすごく響きました。もともと財務コンサルをやりたかった理由とも重なって、腹落ちしたんです。関わったクライアントには潰れずに上を目指してほしい。その最初のビジョンや目標の達成を、一番近くで支えたい。「いい税理士って何だ」と聞かれたら、僕はそういう存在だと思っています。

本日はありがとうございました!

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取材後記

「そこしか行けなかった」「会計士は頭的に無理そう」「記帳屋に埋もれた暗黒時代」。飾らない言葉の一つひとつに、西野さんの誠実さがにじんでいました。華やかな独立ストーリーではなく、ゼロからの苦闘を経て、10年かけてようやく「本当にやりたかった税務」に手が届き始めた今。カジュアルな物腰で経営者の本音を引き出し、数字の前にまず夢を聞く。そのスタンスは、まさに「税理士っぽくない税理士」だからこそ届く価値なのだと感じました。

南船場のこの事務所から、次の10年でどれだけ多くの企業が成長していくのか。静かな確信に満ちた西野さんの眼差しが、とても印象に残るインタビューでした。

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※ 本インタビューの内容は取材時点のものです。事務所の体制やサービス内容は変更される可能性があります。最新の情報については各事務所に直接お問い合わせください。