北区 / 港区

お客様に無理に合わせてもらわない。こちらが合わせて効率化する——顧問先の経理体制づくりまで伴走する山川喜彰税理士事務所

お客様に無理に合わせてもらわない。こちらが合わせて効率化する——顧問先の経理体制づくりまで伴走する山川喜彰税理士事務所

山川 喜彰(やまかわ よしあき):山川喜彰税理士事務所 代表/税理士

大学卒業後、複数の会計事務所を渡り歩きながら実務を積む。2015年に税理士試験に合格、翌2016年に税理士登録。一度独立したものの家庭の事情で閉業し、その後は資産税に特化した事務所、経理コンサルティング会社を経験。2024年、東京・南青山に山川喜彰税理士事務所を開設した。個人事業主・ひとり社長・少人数法人を中心に約15社を支援し、クラウド会計とITツールを使った経理体制づくりを得意とする。同業の税理士に向けたAI活用セミナーの講師も務める。

顧問先は15社。東京から、静岡と福山まで

まず、いまの事務所の体制とお客様について教えてください。

山川:
基本的に私一人で対応しています。外注という形で、以前いた事務所のつながりの方に部分的にお願いすることはありますが、実務の中心は私です。顧問先は15社ほどですね。

地域は東京がメインですが、前のつながりで静岡や、広島の福山にいらっしゃる方もいます。ですので、一応は全国規模で対応させていただいているという形です。

業種や規模には、傾向がありますか。逆にお受けになっていない領域も含めて教えてください。

山川:
年商でいうと、一番大きなところで5億円くらいの会社さんです。ボリュームゾーンは1億円以下ですね。業種は本当にバラバラです。個人のVTuberさんもいれば、司法書士のような士業の方、林業の会社さん、飲食店、不動産業もあります。お寺も受けています。

経営者の年代も幅広くて、ボリュームゾーンは50代くらいですが、若い方だとVTuberさんのように20代の方もいますし、上は70代近い方もいらっしゃいます。前の事務所から引き継いだお客様と、ご紹介でいらっしゃった方が混ざっているので、自然とこうなりました。

受けていない業種は、特に絞ってはいないのですが、せどりや転売のようなところでしょうか。どうしても手数が多くなってしまうので、あまりお受けしていません。

提供しているサービスは、通常の税務顧問がメインです。あとは単発のスポットでの税務相談ですね。少し特徴的なところでいうと、設立や開業のときの最初の窓口として、会計ソフトのセットアップなど必要になってくる部分を、最大5コマくらいのスポットでお手伝いしています。
一度、独立を畳んだ過去

ご経歴をうかがいたいのですが、業界にはずいぶん長くいらっしゃいますね。

山川:
大学を出てから、ずっと会計事務所を渡り歩いてきました。試験に合格するまで10年くらいでしょうか、各事務所で修行させてもらっていた形です。町の税理士事務所をいくつか点々として、いろんな事務所のやり方を学んでいました。

実は私、一度独立しているんです。そして、一度やめた経歴があります。

それは、ご事情があってのことだったのでしょうか。2024年に再び独立されるまでの経緯も含めて教えてください。

山川:
ちょうど子供が生まれるタイミングだったので、プライベートの都合で一旦たたみました。独立してすぐに子供が生まれることになって、家族を養っていかなければいけない状況でしたから。顧問先の数もまだ少なかったので、そのまま続けていけば軌道に乗ったとは思いますが、タイミング的にそこで畳んだという形ですね。

2回目の独立の手前では、一旦、資産税をやりたい気持ちがあったんです。それで専門の事務所に1年ほど在籍しました。さらにそこから、経理まわりのBPOも勉強したかったので、経理コンサルティングのような会社にも所属していました。そこから独立という形になったので、少し異色の経歴かもしれません。

もう一度独立しようと思われたのは、何が決め手だったのでしょうか。

山川:
BPOやコンサルも含めて、会社に所属していると、自分が提供したいサービスからは少し遠い部分があったんです。普通の会計に加えて、業務まわりのコンサルティングのようなところも一緒にやりたかった。そうなるとやはり独立して、お客様に寄り添う形でやるしかないな、と。自分もお客様も満足していただける形のサービスを提供したいと思ったからですね。

開業してからの2年弱は、もともと引き継いだお客様がいたので、そのセットアップでバタバタしていた部分がありました。ただ、いまは少し落ち着いてきたところです。溜まったノウハウを、また改めてお客様に還元したいという気持ちがあるので、これからお客様を増やしていこうかなと考えています。
社長と経理の距離が近いほうが、伴走しやすい

小さめの法人や個人の方に、かなり絞ってらっしゃいますね。これは意図的なのでしょうか。

山川:
そこは意図的にターゲットしている部分があります。なぜかというと、業務まわりの意思決定をするときに、規模が大きいと社長と経理の距離が遠かったり、小回りが効かない部分があると思っているからです。

いろんなシステムの提案も含めてやるとなると、小規模なところで一緒に伴走する形のほうが、私のやり方にも合っていますし、お客様にも届きやすいのではないかと考えて絞っています。

15社のほとんどが、そうした密なお付き合いになるのですか。ずいぶん時間もかかりそうです。

山川:
そうですね。会計ソフトを載せ替えたり、請求書のシステムはこういうものがありますよ、こういうやり方がいいのではないですかという提案も含めて、させてもらっていることが多いです。最近はAIも含めてですね。

打ち合わせは、結構雑談が多いかもしれません。もともと1時間くらいという目安はあるのですが、2時間、3時間と話すお客様もいらっしゃいます。その中で、疑問点や社内で起きていることをうかがって、「こんなものがありますよ」とお伝えしたり、実際に自分が使っているものを画面で見せながら「入れてみますか」とご相談したりということはよくやっています。

ホームページで、対応が難しいご相談を明記されていますね。ここまで書く事務所さんはあまりないと思うのですが。

山川:
相続税や贈与税に関しては、専門の事務所にいた経験があるので、片手間で受けるのは非常に失礼だなと思っているんです。件数もそんなに一人で持てるものではありません。ですので、そこはお断りするか、もともといた事務所にご紹介するかを考えています。

売上5億円以上も、まったくやっていないわけではないのですが、先ほど申し上げたように小回りが効かない部分もあります。ですので、なるべく最初の関与時点では売上が少ないところを見ています。もちろん、関与している間に5億円を超える会社さんもいらっしゃいますが、最初のスタートとしてはあまり受けていないということですね。

医療法人のような特殊なところは、私自身にノウハウがないのでやっていません。登記についても司法書士の先生がいらっしゃいますので、ご相談があればお回ししますが、そこだけを単独でやることはありません。
お客様に無理に合わせてもらおうとは、思っていない

経理まわりの改善に入っていくのが特徴だと感じました。ソフトを入れただけで回っていない会社は多いと思いますが、小さな会社でもきちんと業務を変えられるかどうかは、どこで決まると思われますか。

山川:
資料整理がうまくいっている会社さんは、やはりクラウド会計に載せやすいと思っています。逆に、ずっと紙ベースでやっているところは載せにくいので、そこの業務改善を促したりしています。

要するに、当たり前の話ですがデータにしないとクラウド会計には載せられないんです。そこをしっかりできるかできないかはなかなか難しいところなので、そこがどうなっているか。そこが整っている会社さんは、回りやすいのではないかという気はしています。

ですので、クラウド会計を入れる前段の、領収書を従業員の方からどう回収してどんなフローに乗せるか、というところまで一応、見てはいますね。そこまでやらないと回らないなと、最近はよく思うようになりました。特にAIが入ってからは、よくそう思います。

お客様によって、提案されるツールもバラバラになるのでしょうか。

山川:
そうですね。お客様のITスキルに合わせて、どこをどう使ったらいいかというところです。もちろん持っているデバイスにもよります。あるお客様はiPadしかお持ちではなかったので、iPad内でできるようなExcelの関数に絞って作ったりしました。パソコンは持っているけれどExcelは使えないという方であれば、「じゃあPDFだけ送ってください」とお伝えする。そういうお客様に合わせた対応です。

なるべくお客様に負荷をかけない形で、こちらが効率化する。お客様としては通常どおりやっているだけなのですが、こちらでいかに効率化しやすいように持っていくか、という形で仕事を組んでいます。そこは特徴的かなと思います。

デジタルリテラシーも、本当にバラバラなんです。紙をバサッと送ってくるお客様もいれば、全部ご自分で入力してくるお客様もいます。ただ、お客様もそこのリテラシーを上げるつもりは、おそらくないと思うんです。そこまで求めるとやはり負荷がかかってしまいますから、そのリテラシーの中でこちらがどう効率化するか、というところで仕事を組んでいます。
AIは裏方に置いて、税務判断だけは自分でやる

山川さんご自身は、AIをどのような場面で使われていますか。

山川:
私自身はClaude Codeを導入しているので、月次のチェックや報告書といったところのサポートとして、ある程度AIを使っています。お客様ごとの毎月のレポートを自動で作るところまで進めたいと思っていて、いまはその最中ですね。

ただ、税務判断についてはAIではできませんので、そこの判断は絶対に私がする。その形で、AIには制限をかけています。

同業の税理士さん向けにAI活用の講座もされていますね。あれはどういうきっかけで、実際にやってみて何を感じられましたか。

山川:
周りを見ていても、昔ながらのところがまだ多いんです。もちろんXなどを見ていると最先端の方もいらっしゃいますが、それは一部だなというのを痛感しました。

お客様にとって、税理士業界の全体がIT活用、AI活用をしていかないと、お客様のスピード感に合わせていけないなというところがあったので、税理士向けにセミナーをしてみたというイメージです。

やってみて感じたのは、世間のスピード感と、税理士業界の中でのスピード感のギャップがすごくあったな、ということでした。まだChatGPT止まりというところもありますし、そもそもそれも入れていないという方もやはりいらっしゃいましたので。

いまのお客様との間には、かなりのギャップがあるなというのはすごく感じました。クラウド会計自体も今後AIを導入していくという情報が出ているのに、そこまで行けていない事務所がいっぱいあります。そこについていかないと、どうしてもお客様がITに強い人に集中してしまう。それは避けたいなという思いもあります。
税理士という「町医者」でいたい

ホームページに「税理士は町医者のようなもの」という言葉がありました。ここに込められた思いをうかがえますか。

山川:
税金は、一番身近なものだと思っているんです。何か相談しようとなったときに、弁護士に行くよりは、おそらく税理士のほうが身近だなと思っています。

町医者にはお腹が痛いとか目が痛いとか、いろいろなことが来ると思うんです。その一番最初の受け口になれればいいかなという形で、町医者のようなものだとお伝えしています。

そのうえで、私の中にも司法書士の先生や弁護士の先生がいらっしゃいますので、自分で対応できないところについては自分で抱えるのではなく、「これは私の業務ではないのでおつなぎします」という対応ができるといいかなというスタンスでやっています。

「税理士っぽくないですね」と言われるのがうれしい、とも書かれていました。

山川:
そうですね。個人的に、税理士には少し堅い、話しかけづらいというイメージを持たれている部分があると思っています(笑)。そこを払拭して、本当は気軽に話しかけられる存在なんだよ、というところを伝えたいですね。
25社まで、深く付き合う

最後に、事務所として今後どういう方向で成長していきたいかを教えてください。

山川:
基本的に、私が見られるうちは一人でやっていきたいという思いはあります。あとは、無理にお客様の数を増やしたいわけではなくて、本当に深くお付き合いできるお客様と付き合っていきたいというところですね。

いまのようなお付き合いのスタイルであれば、AIがいますので、プラス10社、合計で25社くらいかなという気はしています。外注でも回るといえば回りますし。正社員を雇ってもっと大きくしていく、という方向ではありません。もし事務所をどこかに引き継ぐとなったときには、正社員として人を採ることもあるかもしれませんが、いまのところは私一人で見て、少しずつ件数を増やしたいというところです。

ホームページに北区や王子といった地名が入っていますが、これはご経歴と関係があるのですか。

山川:
いま住んでいる場所が北区、王子なんです。そのまわりでもお客様が増やせたらと思って、キーワードとして入れておきました。事務所も、もしかすると自宅の近くに移転するかもしれません。王子は再開発も進んでいるようですので、少し盛り上げたい気持ちもあります。

山川喜彰税理士事務所の詳細はこちら

取材後記

印象に残ったのは、「お客様のリテラシーを無理に上げる必要はないと思うんです」という一言でした。クラウド会計やAIに強い事務所は増えましたが、多くはお客様側にも歩み寄りを求めます。山川先生はそこを求めません。iPadしか持っていない方にはiPadで完結する仕組みを作り、Excelが使えない方にはPDFだけ送ってもらう。負荷は自分が引き受けて、効率化は自分の側でやる。だからこそ、20代のVTuberから70代の経営者まで、リテラシーがまるで違う15社を一人で見られるのだと思います。

相続税は「片手間で受けるのは非常に失礼だ」と言い切り、医療法人は「ノウハウがない」と認め、登記だけの依頼は司法書士へ回す。できないことをホームページに書く事務所は、そう多くありません。その線引きの潔さは、裏を返せば引き受けた仕事にどこまで入り込むかという覚悟でもあるのでしょう。打ち合わせが2時間、3時間になるという話が、それを裏づけています。

数を追わず、25社まで深く。経理が回らないまま何年も過ごしてしまった個人事業主やひとり社長の方には、最初の受け口として、ぜひ一度話してみていただきたい先生です。

このエリアの税理士を探す

港区で税理士を見つけよう

港区の税理士事務所を、業種・依頼内容で絞り込めます

港区の税理士を探す

全国47都道府県・紹介手数料なしの中立メディア

無料相談受付中

あなたに合った税理士、見つかります

インタビューで気になった税理士への相談も、他の税理士の紹介も、すべて無料。良い税理士のコンシェルジュにお任せください。

※ 本インタビューの内容は取材時点のものです。事務所の体制やサービス内容は変更される可能性があります。最新の情報については各事務所に直接お問い合わせください。