「春日部といえばヤマザキ」を目指して ——元国税査察官・山﨑健司が地主の相続と創業支援で築く地域密着のかたち

山﨑 健司(やまざき けんじ):ヤマザキ税理士事務所 代表/税理士
1971年12月、奈良県生まれ。関西大学社会学部卒業後、1995年に国税専門官試験合格、1996年4月に東京国税局へ入局。東京国税局徴収部・査察部(マルサ)および管内税務署で25年にわたり勤務し、2021年7月に退職。同年11月、埼玉県春日部市でヤマザキ税理士事務所を開業。元国税査察官としての経験を武器に、税務調査対応・法人創業支援・相続の3本柱で地域密着の事務所を築く。開業5期目の現在、顧問先110社(法人8割・個人2割)、スタッフ14名体制。YouTubeチャンネル「元マルサのヤマザキ税理士事務所」でも情報発信中。
まず、事務所の概要を教えてください。現在の体制やお客様の特徴はいかがでしょうか。
現在5期目で、お客様は法人・個人あわせて110先ほど。内訳は法人が8割、個人が2割です。体制としては相続部隊が3名、法人顧問が11名の合計14名ですね。対応エリアは春日部市周辺がメインで、広くて埼玉県全域といったところです。
重点分野は時期によって変化しているとお聞きしました。
そうなんです。開業当初は税務調査対応と法人の創業支援、この2本柱でした。売上でいうと最初の年は税務調査が8割くらい。そこから徐々に法人の創業支援が増えてきて、2年目は半々、3年目には税務調査が2割、残りは法人顧問というふうに比率が変わっていきました。4年目からは相続にも本格的に着手しています。
相続に力を入れられているのは、地域性もあるのでしょうか。
大きいですね。春日部は地主が多いエリアで、でも相続専門で動いている税理士の先生がほとんどいないんです。司法書士さんからの紹介も多くいただきます。社会全体で相続マーケットが広がっている中、地元でそこを担える事務所が必要だと感じて、ここ数年は相続を主要な柱に育てているところです。

関西大学社会学部を卒業後、国税専門官の道を選ばれたのはなぜですか?
実は大した理由はないんです(笑)。大学を卒業するタイミングで公務員を目指していて、受かったのが国税専門官だった。合格してから「どういう仕事なんだろう」と調べ始めたぐらいで、税務署で働くことになると知ったのもそのときでした。
入ってみていかがでしたか。
正直、最初の2〜3年は辞めようかと思っていました。それで資格の勉強を始めたんです。当時目指していたのは不動産鑑定士。ただ、2年頑張ってみたけれど受からなくて。そこからは国税の仕事に腰を据えつつ、心の中に「いつか独立したい」という気持ちはずっとありました。ビジネス講座を受けたり、不動産賃貸業をやってみたり、勤めながらいろいろ手を動かしていましたね。
東京国税局では徴収部・査察部(マルサ)を含め25年以上勤務されました。査察部での経験は、今の税理士業務にどう活きていますか。
税務調査と査察部では性質が全然違うんです。一般的な税務調査は行政調査なので、重加算税はあっても逮捕はされない。でも査察部が扱うのは刑事事件で、告発されたら前科がつく。この重みを実体験で知っているのは、元マルサ出身者ならではの強みだと思います。お客様にお話しすると「そんな世界があるんですか」と驚かれますし、同業の税理士の先生に話しても、経験談がめちゃくちゃウケるんですよ(笑)。
25年勤めた国税を退職し、独立を決断された理由を教えてください。
国税は23年勤めると税理士資格が取れるんです。その年齢を超えて、ふと残りの勤務年数を考えたときに、「10年後にどのポストにいるか、だいたい見えるな」と。つまらないなという思いが大きかったんです。辞めたのは49歳。税務署の中で49歳で辞める人は多くないですし、年収だって悪くないんですよ。税理士になっても成功する保証はないですし、50歳前後は子どもが高校・大学の年代のことが多く、辞めたくても辞められない人ばかり。そういう状況でも、人生一度きりだしな、と。
開業時に描いていた税理士像は、その後どのように変化しましたか。
開業時に掲げたのは、法人の創業支援と税務調査対応。この2つの強みでスタートしました。先ほどお話ししたように、売上の中身は1年ごとにがらっと変わっていきました。1年目は税務調査8割、2年目は半々、3年目は税務調査2割で法人顧問がメイン、4年目から相続に着手——という時系列です。おかげさまで事件のようなトラブルもなく、従業員も売上も順調に増えてきました。

その順調さは、何が大きかったのでしょうか。
春日部という創業地を選んだことが大きかったと思います。税理士登録自体は東京でしたんですが、「東京でやっても絶対うまくいかない」と周囲に言われて、登録した翌日には事務所の移転登録で春日部に切り替えました(笑)。自宅が埼玉県の草加市なので、最初は草加や隣の越谷を検討したんですが、越谷は家賃が高かった。しかも事務所選びの条件として男女別トイレを必須にしていて、これをマストにすると候補物件がぐっと減るし価格も上がる。やむなく北上していってたどり着いたのが春日部でした。
春日部に決め手があったわけですね。
そうです。春日部の税理士の先生を調べてみたら、インターネットで真面目にマーケティングをやっている先生が誰もいなかった。「勝ち筋がありそうだな」と。そこで勝負してみようと腹を決めました。
一人開業から拡大を選ばれた理由は?
「一億突破塾」というセミナーで学んだことが大きいですね。一人税理士という選択肢もあったんですが、拡大していったほうがお客さんを取れるし、仕事を人に任せられる。事務所としての幅も広がる。迷いはありませんでした。
国税OBだからこそ提供できる「税務調査対応」について、今の位置づけを教えてください。
開業当初ほど積極的に受けているわけではありません。現在の売上に占める比率は下がってきていて、法人顧問と相続が中心になっています。ただ、元マルサの経験があるというバックグラウンドは、経営者にとっての安心材料になっているとは感じます。
創業支援と融資獲得サービスでは、どのような方々を支援されていますか。
業種は建設業と運送業が多いです。春日部は郊外で、そうした業種が集まりやすい地域特性もあります。私たちの方針としては、記帳代行まで受ける。書類をいただいたらすべてこちらで対応するというスタイルです。
自計化を進める事務所が多い中で、あえて記帳代行まで受けるのはなぜですか。
創業したばかりの経営者が、会計ソフトをいじっている暇なんてないでしょう、という考え方なんです。本業に専念して売上を作ってもらうのが最優先。会計処理は私たちが巻き取る。そのほうが双方にとって効率がいいと思っています。
相続分野では、地域の方々に向けて「いま備えるべきこと」は何でしょうか。
春日部は地主が多くて、不動産はあってもキャッシュが意外と少ない方が多いんです。相続が発生したときに、不動産の評価額に対して納税資金のキャッシュが足りないと、慌てて不動産を手放すことになる。焦って売れば足元を見られて、適正価格で売れません。だからこそ、生前のゆとりがあるうちに、場合によっては生きているあいだに計画的に売却して、キャッシュを用意しておく。それができれば適正な価格で売れるし、相続の選択肢も増える。早めの相続対策こそが、地主の方にとっての最大の防衛策だと考えています。
スタッフ構成について教えてください。
14名のスタッフは全員女性で、ほぼ全員が子育て中です。採用でも意識的にこの層を狙っていて、実際とても優秀で覚えも早い。

子育て中のスタッフが多いと、運営で工夫されていることもありそうですね。
お子さんの急な発熱などで、当日お休みになることはどうしてもあります。他の企業だと嫌がられるところを、うちはOKにしている。それが安心して働ける土台になっていると思います。せっかく優秀な方々に来てもらっているので、働きやすさを用意するのは事務所側の責任だと考えています。
顧客対応の質にもかなりこだわっていらっしゃるとお聞きしました。
少なくとも春日部市の中で顧客対応はNo.1だと自負しています。三宮りささんの接客マナー講座を毎年受けていて、接客技術を継続して磨いているんです。税務の専門性はもちろんですが、そこだけで差別化は難しい。だったら「人としての対応」で抜きん出ようと。

YouTubeチャンネル「元マルサのヤマザキ税理士事務所」を運営されていますが、どのような想いで発信されているのでしょうか。
一番の目的は、自分の名前を知ってもらうことです。私のような経歴で税理士をやっている人はなかなかいないと思うので、それ自体に価値があるのではないかと。ありがたいことに顧問先の経営者もYouTubeを結構見てくれていて、コミュニケーションのきっかけにもなっています。
今後、事務所としてはどのような方向を目指していますか。
春日部の方々に役立つ税理士事務所になっていきたい。これは願望でもあるんですが、「春日部といえばヤマザキ事務所」と言ってもらえる存在になりたい。そのためには、顧客対応の質と、スタッフが安心して働ける環境の両輪を磨き続けることだと思っています。

最後に、いまの税理士に物足りなさを感じている経営者や、これから税理士を探している方へメッセージをお願いします。
税理士は、申告書を作るだけの存在ではありません。経営者が本当に求めていることにフォーカスして、利益を減らすのではなく増やすことで貢献する。これは開業時から掲げている私たちの理念です。国税での25年の経験も、拡大してきた事務所運営の実体験も、すべては目の前の経営者の未来のためにあります。春日部・埼玉エリアで、ともに明るい経営を作っていける税理士をお探しの方は、ぜひ一度ご相談ください。
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取材後記
国税25年、うち査察部(マルサ)勤務という経歴は、確かに他の税理士にはない強みです。ただお話を伺っていると、事務所が5期で14名にまで育った本当の理由は、経歴の派手さとは別のところにあるように感じました。男女別トイレを条件に物件を探し、草加・越谷を経て春日部にたどり着く。スタッフは全員、子育て中の女性を意図的に採用する。毎年、接客マナー講座を受け続ける。ひとつひとつは地味ですが、一貫しています。
春日部は地主の多いエリアで、不動産はあってもキャッシュは少ない——その構造を熟知した上で、生前の早めの相続対策を提案する。地方ならではの経営課題にきちんと向き合う税理士像が、お話の端々から伝わってきました。「春日部といえばヤマザキ事務所」。そう言われる日は、きっと遠くない未来にやってくるのだと思います。
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