100%紹介、開業から毎年120%成長——「人を大切にする経営」で北海道有数の事務所を築いた松川武史の哲学

松川 武史(まつかわ たけし)|松川武史税理士事務所 代表
北海道旭川市出身。25歳で板垣洋公認会計士事務所に入所し、約10年間の実務経験を積む。33歳で税理士資格を取得。2013年1月松川武史税理士事務所を設立。1期目から経営計画書を作成し、毎年120%超の成長を継続。現在はスタッフ23名体制で法人300社・個人250件を担い、自らもいまだに50社以上の顧問先を毎月訪問する。「人を大切にする経営の実践」を理念に掲げ、税理士事務所以上・経営コンサル未満の伴走型支援で北海道の中小企業を支えている。
Q:まず、事務所の概要を教えてください。現在の体制やお客様の特徴はいかがでしょうか。
スタッフは23名で、3つの課に分かれています。外勤の1課と2課がそれぞれ5・6、内勤の3課が13名。お客様は法人が約300社、個人の確定申告が250件ほどです。業種はまったく絞っていなくて、上場企業子会社から個人事業主まで本当にさまざまです。
Q:100%紹介で集客されているとお聞きしました。
そうですね。開業からずっと、1件も広告を出したことがないんです。ここ数年は年間で売上3,000万円ほど、件数で50件ずつぐらいコンスタントに増えていて、開業からずっと120%以上の成長を続けてきました。11期目あたりから110%台にペースダウンしていますが、母数が大きくなっているので実額としてはむしろ伸びています。
Q:すごい成長率ですね。なぜそんなに紹介が途切れないのでしょうか。
いまだに自分で50社以上の顧問先を持っていて、毎月100社以上の経営者と直接会っているんです。1日7件ぐらい打ち合わせが入る日もけっこうあります。リアルな経営相談に乗り続けていると、それが自然と口コミになって広がっていく。「この先生は本当に相談に乗ってくれる」——その評判がずっと紹介を呼んでいるのだと思います。7年目ぐらいまでは新規は全部自分で担当して、半年から1年で軌道に乗ったらスタッフに引き継ぐという形でやっていました。さすがに毎年50件も増えると自分だけでは回せなくなりましたが、最近はスタッフの担当先からも紹介が生まれるようになってきています。

Q:北海道ならではの市場特性もあるのでしょうか。
それはありますね。北海道は本州から来ている税理士事務所がそれほど多くない市場なんです。開業時35歳だった自分は業界的に若い方だった。社長が息子さんに世代交代するタイミングで「同世代の先生に」とお声がけいただくケースも多いです。そういう会社は代々続いている良い会社が多いので、ありがたいですね。あとはやっぱり、税理士を変えたいという不満の多くは「会ってくれない」「資料が遅い」「税金を直前に持ってくる=提案がない」の3つなんです。当たり前のことをきちんとやり続けていれば、紹介は自然と来るのだと思います。
Q:経営計画書を1期目から作成されていたとお聞きしました。
古田土会計の飯島さんとご縁があって、「経営計画策定コンサルタント」という講座を1期目の秋頃に受けたんです。2年目には「会計コンサル養成塾」にも通いました。見様見真似で1期目から経営計画書を作り始めて、毎年12月に策定し、1月に経営計画発表会をやっています。
Q:もう13冊目ということですよね。最近の計画書はどのような内容なのですか。
最初の頃はまさに「真似て書いただけ」でしたが、7年目に10名ぐらいの体制になった頃から、自分たちの組織にフィットした内容に仕上がってきた実感がありました。事務所の問題点、目指す方向、お客様への姿勢——全部が反映されて、私たちの事務所の全てが詰まった一冊になっています。社員が入社したらまずこれを読んでもらう。お客様にも配っています。
Q:お客様にも配られているのですね。
はい、ご関心のある方にですね。社長と話すときに、自分自身が組織運営で試行錯誤していないと「人としての相談」に乗れないんですよ。ただの税務専門家になってしまう。だから自分の事務所も経営計画を作って、組織として成長させて、その実体験をもって社長と向き合う。前の事務所では大企業ばかりで経営者と距離があった分、独立してからは「自分も経営者だ」という意識で走ってきました。

Q:外勤の1課と2課は「個性で分けている」とのことですが、どういうことですか。
1課と2課の課長は30代半ばで、実は友達同士なんです。1課の課長が2課の課長を連れてきてくれた。1課の課長がもともと営業出身で、2課の課長は金融機関出身。性格もタイプも全然違うんですよ。面接の時点で「この人は2課に合いそうだな」と思ったら、2課の課長と面接してもらう。そうやってチームのカラーを作っています。内勤の3課は女性が中心で、創業期からいるメンバーもいます。スタッフはほとんどが未経験で入ってくるので、まず内勤の記帳代行で実務を覚えて、力がついたら外勤に出ていくという流れになっています。
Q:定着率もかなり良さそうですね。
一昨年までは、半年以上在籍した正社員で辞めた人は1人もいませんでした。去年は少し動きがありましたが、組織がレベルアップする中で自然と入れ替わりが起きたという感覚です。私は事務所で怒ったことがないタイプなんですが、組織として緩くなりすぎると良くない。中ではどんどん活性化させて、適度に競争がある環境を維持しています。
Q:毎年お客様が増える環境で、スタッフの方はどう受け止めているのですか。
私たちの文化として、仕事が増えること・お客様が増えることは「当たり前」なんです。面接の段階から「毎年数十件増えるよ」と伝えています。担当替えもあるし、採用もどんどんする。やる気がある人には新しいチャンスを与えるし、そこそこで働きたい人にはそういうポジションもある。お互いの働き方を認め合おう——これがベースにあります。シフトも前日に休むのも全然OKにしていて、柔軟さは大事にしていますね。

Q:「人を大切にする経営」という理念を掲げていらっしゃいますが、この言葉に込めた思いを教えてください。
きれいに聞こえるかもしれないですけど、せっかく私たちの事務所を選んで来てくれるなら、自分らしさを出して、働きやすい環境の中で価値を発揮してほしい。そうでなければ良い仕事はできないですから。これだけ人数が増えると価値観も多様になるので、お互いの働き方を認め合える組織にしたい——そういう思いが根底にあります。
Q:お客様へのアドバイスにも、その組織づくりの実体験が活きていると。
そうなんです。社長と人の問題を話すときに、自分が組織を持っていないとリアルな相談に乗れないんですよ。「人がわかっていない」「組織をやったことがない」と思われたら、社長だって深い話をしたくない。だから自分の事務所もちゃんと成長させて、うまくいったことも失敗したことも含めて、経営者として対等に向き合う。組織を拡大することは目的じゃなくて手段です。ギスギスしたら成長を止めようと思っていますし、あくまでもみんなが「この事務所に来てよかった」と思える場所であることが大前提です。
Q:「お客様のワクワクする経営をサポート」とおっしゃっていますが、顧問先とはどのような関わり方をされていますか。
経営状態が良くないと社長も従業員も安心して働けない。だから会計をベースにしたサポートだけじゃなくて、人の問題、売上の上げ方、いろんな相談に乗ります。専門的な経営コンサルではないけれど、「税理士事務所以上、経営コンサル未満」——そのポジションを意識しています。中小企業についているのは税理士しかいないことがほとんどなので、顧問料の中で相談に乗るというのが私たちのスタンスです。
Q:具体的にはどのような形でしょうか。
お客さんによっては毎月の経営会議に出たりもしますし、2〜3時間ずっと相談に乗ることもある。営業の場面に一緒に同行して、財務的なシミュレーションを提示することもあります。ありがたいことに紹介いただくとき、「すごくいい先生だよ」とハードルを上げて紹介してくれるんですね。最初のご挨拶で「いやいや、そこまではできないです」とハードルを下げていくんですが(笑)、それでも初回面談からお断りになることはほぼありません。信頼の循環ができていると思います。
Q:記帳代行も積極的に受けていらっしゃるとお聞きしました。
はい。社長や本業には本業に集中してくださいと言っています。自計化を進める事務所も多いですが、売上が1億円に届かないような規模のお客様は、帳簿を丸投げしてもらった方が双方にとって効率がいい。中途半端な自計化が一番まずくて、ある程度の知識がある人がやらないと仕訳ミスがそのまま流れてしまう。リスク管理としても、記帳代行で事務所でベテランのチェックが入る仕組みの方が確実なんです。逆に売上1億円を超えてくるような会社には自計化を勧めて、財務をリアルタイムに自分たちで見られるようにしていく。お客様の規模に応じて分けています。

Q:今後の展望について教えてください。
オフィスの変遷がわかりやすいと思うんですが、10坪で始まって、20坪、40坪、そして今の80坪。だいたい5年、5年、2年というペースで拡大してきました。今のオフィスで30名までは入れるので、来年か再来年にはパンパンになりそうです。
Q:次は160坪ですか。
そうなりますね(笑)。5年で倍々の成長を続けていきたいという意思は持っています。面接のときにも「あなたが入って5年後には今の倍の規模になるから、そのポジションを頑張って取ってね」と伝えています。ただ、どこかで止まるかもしれない。止まったら止まったでいい。大事なのは規模じゃなくて、みんなが気持ちよく働ける場所であることです。
Q:今のオフィス、とてもこだわっていらっしゃいますよね。
かなりお金をかけました(笑)。窓ガラスも全部透明にして、中でどう働いているかが外から見えるようにしています。最初は曇りガラスにしようかと思ったんですが、新規のお客様が来たときにスタッフがどういう風に働いているか見えた方がいいなと。テーブルも椅子も全部特注で、内装を手がけてくれたお客様が私たちのビジョンを理解してくれていて、「こういう事務所を作りたい」という想いを形にしてくれました。2年前に移転してきたのですが、以前のオフィスを知っているお客様は「こんな規模感だったんですか」と驚かれますね。月曜日に来るのがちょっと楽しみになるような場所で、かっこいいと思える空間を作りたかったんです。

Q:最後に、北海道・札幌で税理士を探している経営者へメッセージをお願いします。
税理士は、中小企業にとって最大のパートナーであり、最大の相談相手になり得る存在だと思っています。私たちじゃなくてもいいんです。自分に合う、自分を応援してくれる税理士に出会って、外注先としてではなく相談相手として付き合ってほしい。せっかく顧問料を払っているのだから、何でも相談した方がいい。私たちは何百という社長に会って、いろんな成功例も失敗例も知っています。自分自身も組織や売上や人の問題で試行錯誤している。そのすべてを、目の前の経営者のために使いたいと思っています。
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取材後記
札幌・大通のオフィスに伺うと、全面ガラス張りの明るい空間が広がっていました。特注のテーブル、透明の窓ガラス——松川先生が「月曜日に来るのがちょっと楽しみになる場所を作りたかった」とおっしゃっていましたが、実際に足を踏み入れると、その言葉が大げさではないことがすぐにわかります。
いまだに50社以上の顧問先を自ら担当し、毎月100社以上の経営者と会い続ける。税理士を変えたい不満の多くは「会ってくれない」「提案がない」——松川先生はその真逆を13年間やり続けてきました。「税理士事務所以上、経営コンサル未満」という言葉に、この事務所の本質が凝縮されています。
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