福岡市

監査法人・IPOコンサル・事業会社を経た会計士が、博多でゼロから——画一的なサービスではなくオーダーメイドに徹する 税理士法人スバル合同会計 福岡事務所

監査法人・IPOコンサル・事業会社を経た会計士が、博多でゼロから——画一的なサービスではなくオーダーメイドに徹する 税理士法人スバル合同会計 福岡事務所

野田 文(のだ ふみ):税理士法人スバル合同会計 福岡事務所 所長/公認会計士・税理士

大学卒業後に公認会計士試験に合格し、監査法人で監査業務に従事。その後、コンサルティング会社でIPO支援に携わり、ベッドメーカーの事業会社では経理・財務・総務を担当。監査を受ける側の実務まで一通りを経験する。税務を深めたいと考え、2015年に税理士法人スバル合同会計へ入社。周南事務所、北九州事務所の所長を経て、2020年に地元・福岡での立ち上げに自ら手を挙げ、福岡事務所を開設した。現在は所長として14名のスタッフを率いる。

業種を絞らない、30代半ばの経営者が多い事務所——博多から九州全域へ

まず、福岡事務所はどんなお客様に囲まれた事務所なのか教えてください。

野田:
全体で300先を超えるお客様にお付き合いいただいています。数のうえでは個人のお客様が6割、法人が4割という比率です。業種は特に絞っていません。これはスバル合同会計全体の方針でもあるのですが、特定の業種に特化するという考え方を取っていないんです。結果として建設業や飲食業のお客様が多い傾向はありますし、最近ではIT関連の会社も増えてきています。

年齢層で言いますと、お若い経営者の方が多いという実感があります。30代半ばから40代前半くらいの方が中心ですね。エリアはほとんどが福岡ですが、最近はオンラインやリモートでのやり取りが当たり前になってきたこともあって、九州全域や山口県のお客様にも対応しています。

サービスの範囲としては、顧問業務が中心ですが、資産税として相続や事業承継、それからM&Aのご相談もお受けしています。個人の方の確定申告も承っていますので、日々の税務から資産にまつわる相談まで、幅広くご相談いただける形です。

14名という体制は、どのように回っているのでしょうか。

野田:
私を除いて14名が在籍していまして、2チーム制を敷いています。それぞれのチームに主任がいて、その下に職員がいる構成です。特徴的なのは、自分のお客様は面談から記帳、申告書の作成まで一人の職員が一貫して担当しているという点だと思います。工程で分業するのではなく、担当者がそのお客様のことを最初から最後まで責任を持って見る形にしています。

私自身も自身の担当顧客の対応をしています。それに加えて、基本的には新規のご面談にスタッフのサポートとして同席し、日々の質問対応と、皆の申告書のチェックを行っています。
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「こんなに嫌われるんだ」と思った監査法人時代——IPOコンサルで見つけた適性

野田さんのこれまでの歩みを伺えますか。会計士として監査法人に入られたところからお願いします。

野田:
大学を卒業した後に公認会計士試験に合格して、監査法人に入所しました。一般的な監査業務に従事していたのですが、正直なところ、あまり好きにはなれませんでした(笑)。こんなに嫌われる仕事なんだ、というのが率直な感想です。監査を受ける側の経理の方からすれば、ひたすら粗探しをされているように見えるわけですよね。当時の私は試験勉強で学んだ机上の知識のみで、実務は何もわかっていない状況でした。一方で相手はキャリアを何十年も積まれた方です。そういう構図をよく知らないまま入ってしまったので、面白さを感じられずにいました。

そんなときに、監査法人と兄弟関係にあるグループのコンサルティング会社と人の交流がありまして、コンサル部隊から声をかけてもらってIPOコンサルティングの仕事に移ったんです。ここはすごく楽しくて、自分の適性を感じました。コンサル先の会社に毎日通って、社員の方と同じような形で働くんです。一緒に何かを作り上げていく雰囲気や体制が、本当に面白かったですね。

ところが、リーマン・ショックで上場が軒並み取りやめになってしまい、結果としてその会社自体が解散することになりました。グループの別会社に入るか、監査法人に戻るかの二択だったのですが、そこで自分は事業会社側にいたことがないと気づいたんです。それで、ベッドのメーカー兼販売の会社に移り、経理・財務・総務を担当することにしました。

初めて経理の記帳業務をやりましたし、給与計算や社会保険の計算、営業との折衝もしました。とても良い経験になりました。監査を受ける立場になり、税理士とも話をして、受ける側の気持ちがようやく理解できたという感覚があります。在籍中にはアメリカ本社側でM&Aがあって日本法人も対象になり、一部門が新会社に移って一部は残るという形でしたので、総務として転籍の手続きなども経験しました。

上場企業のコンサルティングと事業会社での経理・総務の経験は、いまの中小企業支援にどう効いていますか。

野田:
ダイレクトに活きていると感じます。経理をされる方の気持ちがわかるというのは、日々の仕事のなかで大きいです。何を頼まれると大変なのか、どこで手が止まるのかが想像できますから。

その一方で、M&Aを経験して、また違うことをやってみたいと思ったタイミングでもありました。同時に、自分は税務の知識が足りていないという感覚が強くあったんです。それでスバル合同会計に入り、まず山口県の周南事務所で1年間勤務し、その後、北九州事務所の所長を務めることになりました。
最初の1年は完全に一人だった——ゼロから立ち上げた福岡事務所の5年

北九州と福岡、九州で2つの事務所を任されてきたわけですが、それぞれの違いを教えてください。

野田:
北九州事務所は当時10名ほどの規模で、長年地域で活動されていた事務所がスバルグループに加わった形でした。ですから、創業者の税理士もいらして、その方と一緒に業務を行うという感覚です。

一方で福岡拠点はゼロからのスタートでした。これは私が手を挙げて、所長を任せてもらったんです。福岡出身なので、地元でやってみたかったという思いがありました。

そのとき、自分で税理士事務所を立ち上げるという選択肢もあったわけですが、個人で税理士事務所を立ち上げることは、お客様にリスクがあると思っているんです。税理士が廃業する、あるいは病気になったので代わってほしい、というご依頼を年に何度も頂戴します。税理士法人であれば税理士が複数名いますから、自分に何かあっても組織として対応できます。そこは、お客様にとっての安心につながる部分だと考えています。また資産税や税務調査など様々な専門性を持った税理士が状況に応じてサポートできるのも、税理士法人の特徴だと思います。

立ち上げから5年が経ちました。振り返って一番大変だった時期はいつでしょうか。

野田:
一番辛かったのは最初の1年です。完全に一人でした。北九州のお客様を1件だけ引き継いだ以外は、ほぼゼロからのスタートです。どうやってお客様を増やすかを考えて、近くの士業の方とタッグを組みました。司法書士や社会保険労務士にアプローチしたり、紹介会社にお願いしたりして、少しずつ広げていきました。

ただ、お客様が増えてくると多種多様なケースが出てきます。そんなときに議論を交わす仲間がいないという辛さがありました。自分ひとりで事務所を本当に伸ばしていけるのだろうか、という不安もありました。

転機になったのは2年前で、シェアオフィスから賃貸の事務所に移りました。そこからしっかり採用に取り組んで、いまの14名という体制になっています。
選ばれる理由は「返事の速さ」——連絡手段はお客様が選ぶ

お客様からは、どういった点を評価されていると感じますか。

野田:
対応が早いことだと思います。電話でもLINEでもメールでもチャットでも、お客様が連絡しやすい方法で構いません、とお伝えしていて、できるだけ早くご回答するよう心がけています。直接来てほしい、会って話したいというご要望があれば、可能な限りお会いするようにしています。

もちろん、自分たちだけでは判断が難しいご質問も出てきます。そういうときはスバルの全国組織を使います。対応できる税理士を組織内で募って、返事をもらうんです。ですから、珍しいケースのご質問でもきちんとお返しできる体制があります。地域の事務所として日々近くで伴走しながら、難易度の高い案件では全国の専門家に繋げられる。この二層構造は、お客様にとってのメリットだと思っています。

スバル合同会計という全国組織のなかで、各事務所の位置づけはどうなっているのでしょうか。

野田:
かなりの放任主義、独立主義です(笑)。各事務所でカラーが全然違いますし、料金体系や会計ソフトの縛りも特にありません。スバル合同会計自体が、地域に根ざした会計事務所をM&Aや事業承継でスバルのグループに迎える形で成長してきましたので、前の事務所のやり方を尊重する文化があるんです。ただ最近は福岡以外でも新規の立ち上げが増えていて、札幌や名古屋なども同じように立ち上がっています。

そうした自由さのなかで、福岡事務所は結果的に若いチームになりました。意識的にそうしてきたわけではありません。30代40代の方にも来ていただきたいのですが、実際には若い方からのご応募が多いんです。ですから、20代の未経験の方を採用して、組織のなかで育てていくという形になっています。結果として、ITに強いスタートアップのお客様とは話が合いやすいという面はありますね。税務は未経験でもIT畑から来た社員がいますので、そうしたお客様との相性は良いように感じます。
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創業から相続・事業承継まで——「画一的なサービスにしない」という流儀

スバル合同会計という法人名を掲げつつ、福岡事務所として大事にされていることを教えてください。

野田:
お客様が何を求めているかを常に意識するということです。これは私が意識的に掲げていることでもあります。お客様によって、申告中心のサポートを低価格でというニーズもあれば、数字を見て財務サポートや資金繰りまで踏み込んでほしいというニーズもある。事業承継もしたい、という方もいらっしゃいます。画一的なサービスを当てはめるのではなく、お客様の悩みを見抜くことを大事にしています。スバルグループ全体としても「オーダーメイド」の対応を心がけています。

実際にご相談が多いのは、法人成りをお考えの方や、新規創業のご相談です。福岡はスタートアップが多いように感じますね。若い方が多いので、以前は紙のやり取りが中心だったところが、最近はクラウド上に資料をアップして共有するなど、進め方が変わってきた実感があります。資金調達については、銀行出身の職員がいますので、そのアドバイスを受けながら業務にあたっています。相続は私を含めて4名ほど詳しい者がいますので、その体制で対応しています。

事業承継のご相談では、どのような支援が中心になりますか。

野田:
実務としては、お客様の株価の算定や、どのように後継者へ移していくかというご相談、遺言書の作成支援などが中心です。制度ありきではなく、そのご家族にとって何が必要かというところから組み立てています。

細かい話ですと、会計ソフトも同じ考え方です。多いのは弥生会計、マネーフォワード、freeeですが、こちらから指定することはなく、お客様のご希望に合わせています。
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全員が顧問を持てる組織へ——「楽しかった」と帰ってもらえる事務所に

福岡事務所として、これから挑戦したいことを教えてください。

野田:
特別にこれ、というものはないのですが、いまのようにお客様のニーズに応じたきめ細かいサービスを、きちんと続けていきたいと思っています。そのうえで、いま税理士が私一人ですので、そろそろもう一人税理士を迎え入れないといけないとは考えています。

そうなると、必然的にチームを3つくらいに分けることになりそうです。ただ、資産税チーム、所得税チームというような専門別の分け方はしたくないと思っています。全員がきちんと顧問を持てる組織にしていきたい。そこは崩したくない部分です。

ですので、相性の良いお客様像というのも、特にありません。3年後に事業を精算するつもりだという方もいらっしゃいますし、そういう方には閉鎖に向けた動きをご一緒します。逆に大きくしていきたいという方であれば、3年を目処にした売上目標や資金調達の目標を一緒に作ったりもします。どんなニーズにも対応できるというのが福岡事務所の在り方ですので、こちらから絞ることはないです。強いて言えば、資料をきちんと出していただけて、お返事をくださる方であれば(笑)。

最後に、顧問税理士を探している福岡の経営者へメッセージをお願いします。

野田:
気楽に来ていただきたいと思っています。実際、割と個人的なお悩みまで話してくださる顧問先も多いんです。まずは足を運んでいただいて、話をして、「楽しかった」と言って帰っていただけるような場所でありたいと思っています。
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取材後記

「こんなに嫌われる仕事なんだと思った」。監査法人時代をそう振り返る野田さんのキャリアは、IPOコンサルティング、事業会社の経理・財務・総務へと大きく振れています。会計士としては珍しい歩み方ですが、遠回りではなく必要な順番だったのだとわかります。監査を受ける側になって初めて「受ける側の気持ちが理解できた」という一言が、いま博多で経営者と向き合う姿にそのままつながっていました。

福岡事務所は、野田さんが手を挙げてゼロから立ち上げた拠点です。最初の1年は完全に一人で、引き継いだお客様は1件だけ。それが5年で300先を超えるお客様と14名のスタッフになってなお、返事の速さと、お客様が選べる連絡手段という基本を崩していません。「楽しかったと言って帰ってもらいたい」という言葉は、税理士事務所の入り口としてはなかなか聞けない類のものだと思います。福岡で顧問税理士をお探しの方は、一度足を運んでみてはいかがでしょうか。

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