【2024年税制改正】子育て世帯の住宅ローン控除が拡充!税理士がわかりやすく解説
2024年税制改正で子育て世帯の住宅ローン控除が大幅に拡充されます。
今回の税制改正2024:個人向けの4つのポイント
令和6年(2024年)の税制改正では、子育て世帯の優遇が今まで以上に前面に打ち出されています。今回取り上げるのは、以下の4つのテーマです。
- 住宅ローン控除の拡充(所得税・住民税に関するお話)
- 住宅取得資金贈与の非課税制度の延長(贈与税に関するお話)
- 生命保険料控除の拡充(方向性はほぼ確定、最終決定は令和7年度)
- ひとり親控除の拡充(方向性はほぼ確定、最終決定は令和7年度)
住宅ローン控除と住宅取得資金贈与の非課税制度については、今回の改正でほぼ確定と考えてください。生命保険料控除とひとり親控除については、扶養控除の改正と同様に方向性は決まっているものの、最終確定は来年度の税制改正となる見通しです。いずれも現金・財産に関するお話です。
📝 このセクションのまとめ
- 2024年税制改正の個人向けの目玉は「子育て世帯優遇」
- 住宅ローン控除・住宅取得資金贈与は今回ほぼ確定
- 生命保険料控除・ひとり親控除は令和7年度に最終決定予定
所得税の計算の仕組みと「税額控除」の重要性
住宅ローン控除の話に入る前に、所得税の計算の全体像をおさらいしておきましょう。会社員の場合、給与収入が出発点となります。そこから給与所得控除(会社員向けの経費のようなもの)を引いて給与所得を算出します。
次に、個人の生活事情を考慮した所得控除(医療費控除・配偶者控除など)を引いて課税所得を求めます。この課税所得に税率をかけて所得税が計算されます。
所得税は超過累進税率で、課税所得が大きいほど税率が高くなります。最低5%から最高45%、さらに住民税が一律10%、所得税には復興特別所得税が2.1%上乗せされます。
📌 ポイント:税額控除は最も節税効果が高い
所得控除は「所得から引く」ものですが、住宅ローン控除は税額控除、つまり「計算後の税額からダイレクトに引く」ものです。税額から直接引けるため、所得控除よりも節税効果が格段に大きくなります。
📝 このセクションのまとめ
- 所得税は課税所得に超過累進税率(5〜45%)をかけて計算
- 住宅ローン控除は「税額控除」であり、節税効果が最も大きい
- 住民税10%・復興特別所得税2.1%も別途かかる
住宅ローン控除とは?現行制度の概要
住宅ローン控除(正式名称:住宅借入金等特別控除)は、ローンを組んで家を購入した場合に節税ができる制度です。実は2022年の入居開始以降、制度が改悪されています。
現行制度(令和5〜7年入居)の主なルールは以下のとおりです。
| 項目 | 新築物件 | 中古物件 |
|---|---|---|
| 控除期間 | 13年 | 10年 |
| 控除率 | 年末残高の0.7% | 年末残高の0.7% |
| 所得要件 | 所得2,000万円以下 | 所得2,000万円以下 |
| 床面積要件 | 50平米以上(所得1,000万円以下は40平米以上) | 50平米以上(所得1,000万円以下は40平米以上) |
控除額は「年末時点の借入金残高 × 0.7%」が基本となります。ただし、この残高には住宅の種類ごとに上限が設けられています。
⚠️ 注意
所得が2,000万円を超える方は住宅ローン控除を受けられません。以前は3,000万円が上限でしたが、2022年以降に引き下げられています。
📝 このセクションのまとめ
- 住宅ローン控除は年末残高×0.7%が控除額の基本
- 新築は13年、中古は10年の控除期間
- 所得2,000万円超は対象外
【2024年改正】「子育て特例対象個人」とは?借入金残高の上限が拡充
今回の改正の核心は、子育て特例対象個人のみが優遇されるという点です。この新しい用語は税理士にとっても初めて登場する言葉です。
子育て特例対象個人とは、次のいずれかに該当する人を指します。
- 自分または配偶者(夫婦のいずれか)が40歳未満(39歳以下)である
- 夫婦ともに40歳以上であっても、年齢19歳未満(18歳以下)の扶養親族(お子さん)がいる世帯
この子育て特例対象個人に該当する場合、借入金残高の上限が一般の方よりも引き上げられます。令和6年(2024年)の新築物件における比較は以下のとおりです。
| 住宅の種類 | 一般の上限 | 子育て特例対象個人の上限 |
|---|---|---|
| 認定住宅 | 4,500万円 | 5,000万円 |
| 省エネ基準適合住宅(ZEH) | 3,500万円 | 4,500万円 |
| 省エネ基準適合住宅 | 3,000万円 | 4,000万円 |
ZEH(ゼッチ)とは「ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス」の略で、一次エネルギー消費量の収支をゼロにした最高レベルの省エネ住宅のことです。
📌 ポイント:令和6年限定の措置
この借入金残高の拡充は令和6年(2024年)限定の措置です。令和7年以降については来年の税制改正で改めて決定されます。ただし、ほぼ同じ方向性で継続される見込みです。また、所得1,000万円以下の方は40平米以上の物件も対象となる点は従来どおりです。
この改正によって、40歳までに家を購入することが促進される効果が期待されます。一方、40歳を超えていてお子さんがいない世帯にとっては不公平に感じられるかもしれません。また、残高の上限が引き上げられたとしても、実際に全員がその上限まで借り入れできるわけではないため、どの程度の効果が出るかはスタートしてみないとわからない部分もあります。
なお、中古物件については今回の改正はありません。中古物件の借入金残高の上限は以下のとおりです。
| 中古住宅の種類 | 借入金残高上限 |
|---|---|
| 一般の中古住宅 | 2,000万円 |
| 認定(省エネ)中古住宅 | 3,000万円 |
⚠️ 注意:中古住宅は昭和57年以降の建築物に限定
中古住宅の住宅ローン控除を受けるには、昭和57年以降に建築された物件に限定されています。これは耐震基準を満たしていることが条件となるためです。
⚠️ 注意:マイホーム売却の3,000万円控除との併用不可
自宅を売却した際に使える「マイホーム売却の3,000万円控除の特例」を受けてしまうと、住宅ローン控除が受けられなくなります。自宅の売却を検討している方は注意が必要です。
📝 このセクションのまとめ
- 「子育て特例対象個人」=夫婦いずれかが39歳以下、または18歳以下のお子さんがいる世帯
- 認定住宅の上限が4,500万円→5,000万円に拡充(令和6年限定)
- 中古住宅への改正はなし、昭和57年以降の建築物に限定
- マイホーム売却の3,000万円控除と住宅ローン控除は併用不可
子育てリフォーム減税も新設!対面キッチンへの改修も対象に
新築・中古物件だけでなく、既存の住宅に対するリフォームについても改正があります。子育て対応改修工事に対して税額控除が受けられるようになります。
もともと耐震工事やバリアフリー工事に対して一定の控除が受けられる制度は存在していましたが、今回さらに拡充されます。
子育てリフォーム減税の主な内容は以下のとおりです。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 対象工事の例 | 子供の事故防止のための工事、対面キッチンへの改修など |
| 工事完了期間 | 令和6年(2024年)4月1日〜12月31日 |
| 所得要件 | 所得2,000万円以下 |
| 控除額 | 標準的な工事費用相当額(上限250万円)の10%を税額控除 |
| 最大控除額 | 25万円 |
📌 ポイント
工事費用の「標準的な費用相当額」は個別に計算・判断されます。レアケースかもしれませんが、対象となる工事を予定している方はぜひ検討してみてください。
📝 このセクションのまとめ
- 子育て対応改修工事(対面キッチンへの改修等)も税額控除の対象に
- 令和6年4月1日〜12月31日の工事完了が条件
- 上限250万円の10%=最大25万円の税額控除
住宅取得資金贈与の非課税制度が3年間延長!最大1,110万円が非課税に
通常、誰かに贈与をした場合(現金・不動産を問わず)、もらった人に贈与税がかかります。年間110万円の基礎控除(非課税枠)はありますが、それを超える贈与を受けると贈与税の課税対象となります。これは血縁関係があっても同様で、家族間の贈与も基本的に贈与税の対象です。
そこで活用できるのが住宅取得資金贈与の非課税制度です。自宅の購入・増改築のための資金を贈与する場合に限り、通常の贈与税が大幅に非課税となる制度です。
この制度の主な要件は以下のとおりです。
- 贈与者:父母または祖父母
- 受贈者:子または孫(18歳以上)
- 用途:自己居住用住宅の取得資金(収益物件は対象外)
- 床面積:40平米以上240平米以下
- 居住用部分:床面積の1/2以上が居住用
- 所得要件:受贈者の所得が2,000万円以下(所得1,000万円以下なら40〜50平米未満の物件もOK)
- 居住要件:金銭の贈与を受けた年の翌年3月15日までに購入して居住すること
- 申告要件:贈与を受けた年の翌年2月1日〜3月15日の間に贈与税の申告をすること
非課税となる金額は住宅の種類によって異なります。
| 住宅の種類 | 非課税上限額 | 基礎控除110万円との合計 |
|---|---|---|
| 省エネ住宅(認定住宅等) | 1,000万円 | 最大1,110万円 |
| それ以外の住宅 | 500万円 | 最大610万円 |
📌 ポイント:基礎控除との組み合わせで非課税枠が広がる
暦年贈与(通常の贈与)の基礎控除110万円は、この非課税制度と別枠で使うことができます。省エネ住宅であれば最大1,110万円、それ以外でも610万円まで非課税で贈与を受けることが可能です。
この制度は本来2023年(令和5年)末で終了する予定でしたが、今回の改正で3年間延長され、2026年(令和8年)12月31日まで適用されることになりました。
住宅購入の際には住宅の種類(省エネかどうか)と非課税枠の組み合わせを上手に活用することで、大きな節税効果が期待できます。国としても省エネ住宅の普及を促進したい意図が、この制度にもよく表れています。
📝 このセクションのまとめ
- 親・祖父母から子・孫への住宅取得資金の贈与が非課税になる特例
- 省エネ住宅は最大1,000万円、それ以外は500万円が非課税
- 基礎控除110万円との合計で最大1,110万円まで非課税
- 2023年末で終了予定だったが、2026年12月31日まで3年間延長
【おまけ①】生命保険料控除の拡充(令和7年度税制改正で最終確定予定)
生命保険料控除は所得税の計算における所得控除の一つです。支払った生命保険料に応じた控除額に、その方の税率をかけた分だけ節税ができます。
現行制度では、生命保険料控除は以下の3つの枠に分けて計算されます。
| 種類 | 新制度の最高控除額 |
|---|---|
| 一般の生命保険料控除 | 4万円 |
| 介護医療保険料控除 | 4万円 |
| 個人年金保険料控除 | 4万円 |
| 合計上限 | 12万円 |
旧制度と新制度の併用も可能で、旧制度では一般の生命保険と個人年金それぞれ最高5万円、合計最大10万円の控除が受けられます。
今回の改正では、一般の生命保険料控除の上限が子育て世帯(現時点では23歳未満の扶養親族がいる世帯)に限り、4万円から6万円に引き上げられる予定です。
⚠️ 注意:トータルの上限12万円は変わらない
一般の生命保険料控除が6万円に引き上げられても、合計の上限12万円は変わりません。3枠すべてをフル活用して6万円+4万円+4万円=14万円にはなりません。また、一時払い生命保険(資産家が一括で支払うタイプ)はこの控除の対象外となる予定です。
2万円の引き上げで生命保険への加入が大きく促進されるかというと、正直なところ効果は限定的かもしれません。この改正がいつから施行されるかは現時点で未定で、令和7年度税制改正で最終決定される見通しです。
📝 このセクションのまとめ
- 子育て世帯(23歳未満の扶養親族あり)に限り、一般の生命保険料控除が4万円→6万円に引き上げ予定
- ただし合計の上限12万円は変わらない
- 一時払い生命保険はこの控除の対象外になる予定
- 令和7年度税制改正で最終決定予定
【おまけ②】ひとり親控除の拡充(令和7年度税制改正で最終確定予定)
寡婦控除は女性のみを対象とした制度ですが、ひとり親控除は男性・女性ともに対象となる制度です。
ひとり親控除を受けるためには、以下の要件をすべて満たす必要があります。
- 婚姻をしていないか、または配偶者の生死が明らかでない
- 事実上婚姻関係と同様の事情にある人がいない(内縁関係の相手がいない)
- 住民票に「未届の妻」「未届の夫」などの記載がない
- 生計を一にする子がいる(所得48万円以下のお子さん)
- 自分の合計所得金額が500万円以下
これらの要件をすべて満たした場合、現行では35万円の控除(所得控除)を受けることができます。
今回の改正では、子育て世帯優遇として以下の拡充が予定されています。
| 項目 | 現行 | 改正後(予定) |
|---|---|---|
| 所得要件(上限) | 500万円以下 | 1,000万円以下 |
| 控除額 | 35万円 | 38万円 |
所得要件が500万円から1,000万円に引き上げられ、控除額も35万円から38万円にわずかながら引き上げられる予定です。こちらも現時点では最終確定ではなく、令和7年度税制改正で最終決定される見通しです。
📝 このセクションのまとめ
- ひとり親控除は男女ともに対象の所得控除(現行35万円)
- 所得要件が500万円以下→1,000万円以下に拡充予定
- 控除額が35万円→38万円に引き上げ予定
- 令和7年度税制改正で最終決定予定
少子化対策としての税制改正:海外との比較と今後への期待
今回の2024年税制改正は、少子化対策を加速するという趣旨はよく理解できます。子育て世帯を優遇するという方向性は明確です。
ただ、他の国と比べると物足りなさも感じます。例えばヨーロッパ諸国の中には、子供が一定人数以上いる世帯の住宅ローンを無償化する制度や、大学までの授業料を国が負担する制度を持つ国も多いと聞きます。
少子化対策が充実している海外の事例を参考にしながら、より踏み込んだ施策が導入されることを期待したいところです。
📌 今回の改正内容まとめ
- 住宅ローン控除:子育て特例対象個人の借入金残高上限を最大500万円拡充(令和6年限定)
- 子育てリフォーム減税:対面キッチン改修等の工事費用(上限250万円)の10%を税額控除
- 住宅取得資金贈与の非課税制度:2026年12月31日まで3年間延長(省エネ住宅は最大1,110万円非課税)
- 生命保険料控除:子育て世帯の一般控除上限を4万円→6万円に引き上げ予定(令和7年度確定)
- ひとり親控除:所得要件を500万円→1,000万円に拡充、控除額35万円→38万円に引き上げ予定(令和7年度確定)
終わりに
本記事の内容は YouTubeチャンネル 税理士YouTuberチャンネル!! / ヒロ税理士 の下記動画を参考に作成しています。AIによる書き起こしを活用しているため、誤字脱字がある可能性があります。ご了承ください。 本サイトは 税理士YouTuberチャンネル!! / ヒロ税理士を応援しています!
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