相続・贈与

年間220万円まで非課税に!生前贈与の改正で暦年贈与と相続時精算課税の併用が可能【税理士が解説】

年間220万円まで非課税に!生前贈与の改正で暦年贈与と相続時精算課税の併用が可能【税理士が解説】
e_zeirishi

改正で誕生した「年間220万円の非課税贈与枠」の仕組みを徹底解説します。

生前贈与の改正で非課税枠が2倍に

生前贈与制度が改正されたことで、贈与税の基礎控除110万円がダブルで使えるようになりました。毎年お子さんやお孫さんに110万円のキャッシュを非課税で贈与されている方は多いかと思いますが、この非課税枠が実質2倍の220万円になったのです。

📌 ポイント

暦年贈与(暦年課税)の基礎控除110万円と、相続時精算課税制度に新設された基礎控除110万円を組み合わせることで、年間合計220万円の非課税贈与枠が誕生しました。

📝 このセクションのまとめ

  • 生前贈与制度の改正により、非課税枠が実質2倍になった
  • 暦年贈与と相続時精算課税の2制度を上手に組み合わせることがカギ

暦年贈与(暦年課税)の仕組みと規制強化

暦年課税とは、1月1日から12月31日までの1年間に贈与でもらった財産の合計額から基礎控除110万円を差し引いた残りの金額に贈与税がかかる制度です。110万円以下の贈与であれば贈与税は非課税となります。

ただし、暦年贈与には「生前贈与加算」という規制があります。相続開始前の一定期間内にされた贈与は相続財産に持ち戻して加算し、相続税を課税するという相続税逃れを抑止する措置です。

⚠️ 注意:生前贈与加算が3年から7年に拡大

令和6年(2024年)1月1日以降の贈与からは、相続開始前7年以内の贈与が相続財産に加算されるようになりました(従来は3年以内)。ただし、延長された4年間に贈与された財産のうち100万円だけは相続財産への加算が不要とされています。

改正前改正後(令和6年1月1日以降)
相続開始前 3年以内 の贈与を加算相続開始前 7年以内 の贈与を加算
加算免除なし延長された4年間分のうち 100万円 は加算不要

この改正により、暦年贈与は相続税対策としてかなり利用しづらくなりました。

📝 このセクションのまとめ

  • 暦年贈与の基礎控除は年間110万円(受贈者1人あたり)
  • 生前贈与加算の期間が3年から7年に拡大された
  • 延長4年間分の贈与のうち100万円は加算免除

相続時精算課税制度の仕組みと新設された基礎控除

相続時精算課税制度とは、1月1日時点の年齢が60歳以上の父母または祖父母から、18歳以上の子または孫に贈与する場合に使える制度です。

  • 2,500万円までの贈与は贈与税が非課税
  • 2,500万円を超えた部分には一律20%の税率で贈与税が課税
  • 贈与者が亡くなったときに、贈与した財産を全て相続財産に持ち戻して相続税を計算する

この制度はこれまでほとんど使われてきませんでした。理由は、贈与者が亡くなった際に贈与した財産が全て相続財産に加算されてしまうため、相続税の節税にはまったくならない制度だったからです。

📌 改正のポイント:基礎控除110万円が新設

今回の改正で、相続時精算課税制度に年間110万円の基礎控除が新設されました。2,500万円の特別控除とは別枠で、年間110万円までの贈与が非課税となります。さらに、この基礎控除110万円の範囲内で贈与した分については、生前贈与加算の対象外となります。つまり、相続開始直前に110万円を贈与しても相続財産に持ち戻されず、非課税のままで済みます。

国税側がこれほどまでして相続時精算課税制度を使ってもらいたい理由は、時効がなく贈与した財産を全てもれなく相続財産に取り込めるからと考えられます。

📝 このセクションのまとめ

  • 相続時精算課税は2,500万円まで贈与税が非課税(超過分は一律20%)
  • 改正により年間110万円の基礎控除が新設された
  • 新設基礎控除110万円の範囲内は生前贈与加算の対象外

課税方式の選択方法と注意点

暦年贈与と相続時精算課税のどちらを使うかは、贈与を受けた人(受贈者)が選択します。相続時精算課税を使うためには、税務署に相続時精算課税選択届出書を提出しなければなりません。

選択は贈与者ごとに行います。たとえば父親からの贈与に選択届出書を提出したとしても、母親からの贈与に届出書を提出しなければ、母親からの贈与は暦年贈与となります。

⚠️ 注意:一度選択すると取り消しできない

一度相続時精算課税を選択すると、二度と暦年贈与に戻すことはできません。また、同一の贈与者に対して相続時精算課税と暦年贈与を併用することもできません。父親からの贈与に相続時精算課税を選択したら、父親からの贈与はずっと相続時精算課税を続けなければなりません。

📝 このセクションのまとめ

  • 課税方式の選択は受贈者が行い、贈与者ごとに届出書を提出する
  • 相続時精算課税を選択したら暦年贈与には戻せない
  • 同一の贈与者に2つの制度を併用することはできない

複数人から贈与を受けた場合の非課税枠の比較

複数人から贈与を受ける場合、暦年贈与と相続時精算課税の組み合わせ方によって非課税枠は大きく変わります。基礎控除110万円に注目して3つのケースを比較してみましょう。

ケース父親からの贈与母親からの贈与年間非課税枠の合計
①両方とも暦年贈与暦年贈与暦年贈与110万円(受贈者全体で固定)
②両方とも相続時精算課税相続時精算課税相続時精算課税110万円(2人合算で110万円)
③併用(おすすめ)相続時精算課税暦年贈与220万円(110万円×2)

各ケースの詳細解説

【ケース①:両方とも暦年贈与の場合】

暦年贈与の基礎控除は、受贈者本人1人につき年間110万円で固定です。複数人から贈与を受けても110万円は増えません。たとえば父親から110万円、母親から110万円の合計220万円の贈与を受けた場合、非課税枠の110万円を超える110万円には贈与税が課税されてしまいます。

【ケース②:両方とも相続時精算課税の場合】

相続時精算課税の2,500万円の特別控除は父親・母親それぞれに設けられているため、合計5,000万円になります。ところが基礎控除は父親と母親を合わせて110万円です。贈与者が何人いても、相続時精算課税の基礎控除枠は年間110万円となります。

  • 基礎控除110万円は贈与額で按分して各贈与者に割り振られる
  • 例:父親から110万円、母親から110万円の贈与 → それぞれに55万円の基礎控除が割り振られる
  • 各贈与額110万円から基礎控除55万円を引いた残り55万円が、2,500万円の特別控除枠に組み入れられ、将来の相続財産に加算される

【ケース③:父親は相続時精算課税、母親は暦年贈与(併用)の場合】

贈与者が異なれば、相続時精算課税と暦年贈与を併用することができます。これにより、相続時精算課税の基礎控除110万円暦年贈与の基礎控除110万円のダブルの基礎控除が使えるようになります。

📌 年間220万円の非課税枠の誕生

父親からの贈与に相続時精算課税、母親からの贈与に暦年贈与を選択することで、合計年間220万円を非課税で受け取ることができます。今まで年間110万円しか非課税でもらえなかったのが、2倍の220万円を非課税で受け取れるようになりました。

⚠️ 注意:母親の暦年贈与には生前贈与加算あり

母親からの暦年贈与については、相続開始前7年以内の贈与は相続財産に加算しなければなりません。ただし、相続税がかからない方は生前贈与加算を気にする必要はありませんので、220万円の非課税枠を存分に活用できます。

📝 このセクションのまとめ

  • 暦年贈与のみ・相続時精算課税のみでは基礎控除は年間110万円
  • 異なる贈与者で2制度を併用すると年間220万円の非課税枠が実現する
  • 暦年贈与側には生前贈与加算(7年以内)が適用される点に注意

相続税がかからない人は生前贈与加算を気にしなくてよい

令和3年中の死亡者のうち、相続税が課税された人は約9.3%(非課税の方が約90.7%)と公表されています。相続税がかかる人は1割程度です。

相続税には以下の基礎控除があります。

📌 相続税の基礎控除

3,000万円 + 600万円 × 相続人の数

この金額までの財産には相続税はかかりません。また、自宅の評価額を最大80%減額できる小規模宅地等の特例もあります。

相続税対策を意識する方は、二次相続対策も絡めて考えることが重要です。父親の相続(一次相続)の際に、母親は次の自分の相続(二次相続)で相続税がかからない程度を相続しておくのが効果的なケースが多いです。

母親の相続で相続税がかからないのであれば、母親からの暦年贈与における生前贈与加算の影響はありません。そのような場合は、年間220万円の非課税贈与枠を存分に活用されることをおすすめします。

📝 このセクションのまとめ

  • 相続税が課税される人は死亡者全体の約1割程度
  • 相続税がかからない人は生前贈与加算を気にせず220万円の非課税枠を活用できる
  • 相続税対策を意識する人は二次相続対策と組み合わせて考えることが重要

終わりに

本記事の内容は YouTubeチャンネル 税理士KOBAYASHIちゃんねる の下記動画を参考に作成しています。AIによる書き起こしを活用しているため、誤字脱字がある可能性があります。ご了承ください。
本サイトは 税理士KOBAYASHIちゃんねるを応援しています!

関連記事

相続時精算課税制度の基礎控除110万円を税理士が解説|2024年改正の全容
相続税対策に生命保険が最強な理由を税理士が解説|非課税枠・活用法まとめ
1億円を相続したら相続税はいくら?節税方法を税理士が解説
     

東京エリア

千代田・中央・港区から副都心各区まで、東京の優良税理士法人ランキング

関西エリア

大阪・京都・兵庫・岡山など関西圏の信頼できる税理士法人ランキング

関東エリア

首都圏の神奈川・埼玉・千葉・北関東で実績のある税理士法人ランキング

中部エリア

製造業の集積地、中部・北陸圏で企業支援に強い税理士法人ランキング

九州・沖縄

九州・沖縄地域で地域密着型サービスに定評のある税理士法人ランキング

その他地域

北海道・東北・中国・四国地方の地域に根ざした税理士法人ランキング

記事URLをコピーしました
税理士紹介はこちら
税理士紹介はこちら