リスケ(条件変更)に銀行が応じる確率は99%|タイミングと注意点を専門家が解説

リスケ(条件変更)に銀行が応じる確率は99%|タイミングと注意点を専門家が解説
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銀行へのリスケ(返済猶予)交渉、実は地方銀行で99.2%、信用金庫で99.5%が承認されています。タイミングと正しい知識が、会社を救う鍵です。

リスケジュールとは何か?「条件変更」という言葉も覚えておこう

リスケジュール(リスケ)とは、企業が銀行から借りているお金を返せなくなってしまった際に、返済を一時的に待ってもらう交渉のことです。決して「返済しない」というわけではなく、業績を回復させるまでの間、返済を続けると資金が減る一方になるため、返済を一時的に止めてほしいとお願いするものです。

銀行員はこれを「条件変更」と呼ぶことが多いです。今後リスケを検討する可能性がある経営者の方は、ぜひこの言葉も頭の片隅に置いておいてください。

💡 補足:動画では触れていませんが…

リスケ期間中でも、元金の返済は止まりますが利息の支払いは継続するのが一般的です。利息だけを払いながら経営を立て直す時間を確保するのがリスケの本来の目的です。

📝 このセクションのまとめ

  • リスケ=返済の一時猶予交渉であり、返済放棄ではない
  • 銀行員は「条件変更」と呼ぶことが多い
  • 業績回復のための時間を確保することが目的

リスケ承認率99%の根拠|金融庁データが示す現実

リスケのハードルが大きく下がったきっかけは、2009年12月4日に施行された「中小企業金融円滑化法」です。リーマンショックの影響を受けた中小企業を支援するために制定されたこの法律によって、リスケの申し込みに対する銀行の対応が大きく変わりました。

この法律は期間限定の時限立法でしたが、何度か期限が延長され、最終的に2013年3月31日に期限切れとなりました。しかし、法律が終了した後も、リスケに応じる姿勢は継続されており、金融庁が公表しているデータでその実態が明らかになっています。

さらに2020年4月のコロナ禍以降、金融庁は再びリスケの実行割合を公表するようになりました。その最新データ(2020年4月〜2023年9月)が以下の通りです。

金融機関の種別申込件数(累計)実行件数(累計)承認率
主要行等(メガバンク等)公表値に基づく公表値に基づく約97%
地域銀行(地方銀行)115万件(参考値)110万件(参考値)99.2%
信用金庫99.5%
信用組合99.7%

※件数は借入1本ごとにカウントされるため、社数ではなく「本数」ベースです。企業は通常複数の借入を持つため、実際の対象企業数はこれより少なくなります。

📌 ポイント

コロナ前(2013年〜2019年)でも承認率は97%前後を維持していました。法律が終了した後も、金融機関のリスケに応じる姿勢は変わっていません。「断られるのが当たり前」というイメージは、現実とは大きく異なります。

💡 補足:動画では触れていませんが…

金融庁は「金融検査マニュアル」を2019年に廃止し、銀行が画一的な審査基準ではなく企業の実態や将来性を重視した融資・リスケ判断を行うよう方針転換しています。この流れも承認率の高さを支える背景の一つです。

📝 このセクションのまとめ

  • 中小企業金融円滑化法(2009年〜2013年)がリスケのハードルを大きく下げた
  • 法律終了後も承認率は高水準を維持(コロナ前97%、コロナ後は99%超)
  • 地方銀行99.2%、信用金庫99.5%、信用組合99.7%という実績がある
  • 件数は借入の「本数」ベースであり、社数ベースではない点に注意

交渉は難しくない。難しいのは「タイミング」だ

リスケの承認率がこれほど高いにもかかわらず、多くの経営者が「銀行との交渉は難しい」「冷たくあしらわれるのでは」「担当者に強く責められるのでは」という恐怖感を持っています。しかし、数字が示す通り、交渉そのものの難易度は決して高くありません。専門家やコンサルタントに同席を依頼しなくても、経営者ご自身で交渉して返済を待ってもらうことは十分可能です。

では、何が難しいのでしょうか。それは「いつリスケをするか」というタイミングです。

⚠️ 注意

「リスケをしたら銀行から新たに借りられなくなる」と思い込んで交渉を先延ばしにする経営者が非常に多いです。しかし、考え方が逆です。借りられないから早めにリスケをする、が正しい順番です。

リスケジュールをしている期間は、新規融資・追加融資を受けることは原則として難しくなります。これは「リスケをしたから借りられなくなった」のではなく、そもそも「返済できない状況にある企業が新たに借りられるはずがない」ということです。

問題は、この事実を認識するのが遅れることにあります。「まだ借りられるかもしれない」と期待を持ち続けて1ヶ月、2ヶ月、半年と時間が経過する間も、通常通り返済は進んでいきます。その結果、いざリスケに踏み切った時には手元資金がほとんど残っておらず、会社を立て直すための資金すら失ってしまうというケースが多く見られます。

📌 ポイント:リスケのタイミングの鉄則

手元にある程度の資金的余裕があるうちに、「借りられない」という事実を早期に把握し、早い段階でリスケに踏み切ることが重要です。その資金を経営再建に集中投下することで、会社の復活が現実的になります。

💡 補足:動画では触れていませんが…

リスケ期間中の経営改善計画書(アクションプラン)の提出を求める銀行も多くあります。「どのように業績を回復させるか」を数値で示す資料を事前に準備しておくと、交渉がよりスムーズに進みます。

📝 このセクションのまとめ

  • リスケ交渉の難易度は低い。難しいのはタイミングの判断
  • 「リスケしたら借りられなくなる」ではなく「借りられないからリスケする」が正しい認識
  • 手元資金に余裕があるうちに動くことが、経営再建の成否を左右する

「借りられるか」を常にテストする|決算説明の場を活用しよう

では、「借りられないという事実」をどうやって早期に掴めばいいのでしょうか。おすすめの方法は、常に銀行への融資申し込みをテストし続けることです。よく「借りられるうちに借りておきましょう」と言われますが、これには2つの意味があります。

  • 手元の預金をより余裕のある状態にしておくこと
  • 銀行が「貸せない」と判断するタイミングを早期に把握すること

具体的には、決算書を銀行に提出する「決算説明」の場を積極的に活用してください。決算書を提出した後、前期の業績を説明するだけで終わるのではなく、以下のような形で融資提案を依頼することをおすすめします。

📌 決算説明での融資テストの例

「今年1年でこれだけの返済があります。これだけの利益を見込んでいますが、運転資金が不足する可能性があります。つきましては、○○万円の融資をご提案いただけませんか」

金額を提示しなくても「返済した分を折り返しで貸していただけませんか」という形でも構いません。

この提案をした後、銀行からの反応を見ます。融資提案が来なければ、「この銀行はこの決算書の評価を下げたため、提案できなかった」という判断ができます。これを継続することで、どの銀行がまだ融資できる状態にあるか、リスケを検討すべき時期かどうかを判断することができます。

💡 補足:動画では触れていませんが…

決算説明は決算後なるべく早い時期(2〜3ヶ月以内)に行うのが理想的です。銀行側も直近の決算データをもとに判断するため、タイムリーな情報提供が融資審査にプラスに働きます。

📝 このセクションのまとめ

  • 決算説明の場で融資提案を依頼し、銀行の評価を定期的にテストする
  • 提案が来なければ「評価が下がっている」というシグナルとして受け取る
  • このテストを継続することで、リスケのタイミングを早期に判断できる

業績悪化時の融資テスト|全行に同時打診し、回答期限を設けよ

業績が悪化してきた段階で融資の可否をテストする場合、取引のある全ての銀行に対して同時に打診することが重要です。

債務超過が続いている場合でも、必ずしも全ての銀行から融資を断られるわけではありません。状況を確認・テストすることが大切です。

⚠️ 注意:1行ずつ順番に打診してはいけない

銀行はクレームを避けようとする傾向があります。「貸せない」と分かっていても、その場で断らずに「検討します」と言って時間をかけることがあります。3つの銀行と取引があり、1行ずつ順番に打診すると、借りられないことが決まっているのに合計3ヶ月もの時間を無駄にしてしまいます。その間も返済は通常通り進み、手元資金はどんどん減っていきます。

全行に同時打診する際は、回答期限を明確に設けることも重要です。「○月○日までに回答をお願いします」と期限を切ることで、銀行側が時間をかけて引き延ばすことを防ぎ、経営判断を早期に行えます。銀行に遠慮して期限を設けない方もいますが、明確に期限を伝えることをためらわないでください。

打診方法リスク推奨度
1行ずつ順番に打診時間のロス大(3行なら最大3ヶ月)。その間も返済が進み手元資金が減少❌ NG
全行に同時打診・回答期限なし銀行に時間を握られる。判断が遅れる△ 不十分
全行に同時打診・回答期限あり(約2週間)リスク最小。早期に融資可否を把握し、リスケの判断ができる✅ 推奨

💡 補足:動画では触れていませんが…

複数の銀行に同時打診する際、各銀行への説明内容はできるだけ統一しておくことが重要です。銀行間で情報が共有されることもあるため、説明に矛盾があると信頼を損なうリスクがあります。

📝 このセクションのまとめ

  • 業績悪化時の融資テストは全行に同時打診が鉄則
  • 回答期限(約2週間)を明確に設け、銀行に時間を握られないようにする
  • 1行ずつ順番に打診すると、数ヶ月の時間と手元資金を無駄に失う

全行一律・同条件の原則|一部の銀行だけのリスケはNG

リスケを進める上で絶対に守らなければならない大原則があります。それが「全行一律・同条件」という考え方です。

リスケをする場合は、取引のある全ての銀行が同じ条件でリスケに応じる必要があります。「昔からお世話になっているあの信用金庫だけには返済を続けて、他は止めたい」という気持ちはよく理解できますが、これは認められていません。債権者は平等に扱われなければならないという原則があるためです。

⚠️ 注意:1行でも反対するとリスケ全体が崩れる

例えば5つの銀行と取引があり、4行がリスケに同意していても、残り1行が「うちはリスケに応じない」と言い出した場合、同意していた4行も含めてリスケができなくなることがあります。全行一律・同条件の原則を必ず頭に入れておいてください。

では、なぜ断られるケースが存在するのでしょうか。承認率が99%を超えていても100%ではない理由として、「融資を受けたばかりの銀行が反対する」というケースが挙げられます。

お金を借りる際、経営者は「売上を伸ばし、経費を削減し、利益を稼いで5年で返します」と説明して融資を受けます。それが翌月や数ヶ月後に「やはり返せません」となった場合、融資を担当した行員は上司から「なぜそんな会社に貸したのか」と厳しく責められます。担当者・課長・支店長など、融資を決裁した全員の責任問題になるため、当然ながら強く反対することになります。

状況リスケ承認の可能性備考
融資から1年以上経過比較的高い業績悪化の経緯が説明できれば通りやすい
融資から半年程度ケースバイケース突発的な事情(取引先倒産など)があれば通ることも
融資から3ヶ月以内反対されやすい突発的な事情がない限り難しい傾向
融資から1ヶ月以内反対される可能性が高い担当者・上司の責任問題になるため強く反対されることがある

ただし、これはケースバイケースです。融資から3ヶ月以内でもリスケが通ったケースもあれば、1年経っても難しいケースもあります。借りた後に取引先が突然倒産した、営業部長が体調を崩して退職したなど、突発的な事情があれば認められやすく、そういった事情がなければ難しくなる傾向があります。

💡 補足:動画では触れていませんが…

リスケ交渉の際、銀行の担当者が感情的になったり、強い言葉で責めてくることがあります。これは銀行内部の責任問題が背景にあることが多く、経営者個人への攻撃ではありません。冷静に事実と経緯を説明することが重要です。必要であれば税理士や財務コンサルタントに同席を依頼することも有効です。

📝 このセクションのまとめ

  • リスケは全行一律・同条件が大原則。一部の銀行だけ返済継続はNG
  • 1行でも反対すると、同意していた他行もリスケできなくなる場合がある
  • 融資を受けたばかりの銀行は反対しやすい。突発的な事情があれば例外もある

「焼け石に水」の融資は借りない判断も必要

業績が悪化した状況での融資テストに関連して、もう一つ重要な視点があります。それは、「焼け石に水」になる融資は借りないという判断です。

例えば、毎月300万円の借入金返済がある会社が、500万円の融資を受けられたとします。一見するとプラスに見えますが、毎月300万円が出ていく状況では、500万円はすぐに消えてしまいます。それにもかかわらず、「信用金庫が500万円貸してくれたから、他の銀行も貸してくれるかもしれない」と期待を膨らませてしまう経営者が少なくありません。

⚠️ 注意:借りることを目的化してはいけない

毎月300万円返済している会社が500万円借りても、約1〜2ヶ月で消えてしまいます。さらに、その500万円を最後に融資した銀行の担当者が後にリスケに強く反対するリスクもあります。焼け石に水になる融資は、借りないという判断も経営者に求められる重要な決断です。

借りることが目的化されてしまうと、本来リスケに踏み切るべきタイミングを逃し続けることになります。冷静に「この融資が経営再建に本当に意味をなすか」を判断することが重要です。

💡 補足:動画では触れていませんが…

返済能力を超えた融資を受け続けることは、最終的に「過剰債務」につながります。過剰債務状態になると、リスケだけでは解決できず、私的整理(事業再生ADRや中小企業活性化協議会の活用)や法的整理(民事再生・破産)を検討せざるを得なくなるケースもあります。早期の相談が重要です。

📝 このセクションのまとめ

  • 毎月の返済額と比較して、借りられる金額が「焼け石に水」なら借りない判断も必要
  • 借りることを目的化すると、リスケのタイミングを逃し続けるリスクがある
  • 最後に融資した銀行がリスケに強く反対する可能性があることも念頭に置く

リスケを成功させる3つの鉄則|まとめ

ここまでの内容を整理します。リスケジュールは、交渉そのものは難しくありません。成否を左右するのは以下の3点です。

鉄則内容なぜ重要か
① タイミング手元資金に余裕があるうちに、借りられない事実を早期に把握してリスケを申し込む資金が尽きてからでは経営再建の原資がなくなる
② 全行一律・同条件取引のある全銀行に同時にリスケを申し込む。一部だけへの返済継続はNG1行でも反対すると全体のリスケが崩れる
③ 焼け石に水の融資は借りない毎月の返済額に対して少額の融資は、リスケのタイミングを遅らせるだけになる最後に融資した銀行がリスケに反対するリスクもある

この3つを頭に入れておくだけで、リスケに対する対応力は大きく変わります。1人で抱え込まず、税理士や財務コンサルタントに相談しながら、冷静な判断を心がけてください。

📌 ポイント:リスケに関するよくある誤解

  • 誤解①「リスケしたら銀行から借りられなくなる」→ 正しくは「借りられないからリスケする」
  • 誤解②「リスケ交渉は専門家がいないと無理」→ 正しくは「経営者本人でも十分交渉できる」
  • 誤解③「リスケは恥ずかしいこと」→ 正しくは「会社を守るための正当な経営判断」
  • 誤解④「銀行に断られる可能性が高い」→ 正しくは「承認率99%以上が現実」

🔄 最新アップデート

2024年以降、コロナ禍で実施されたゼロゼロ融資(実質無利子・無担保融資)の返済が本格化しています。これにより資金繰りが悪化する中小企業が増加しており、中小企業活性化協議会(旧・中小企業再生支援協議会)によるリスケ支援の活用も増えています。金融庁も引き続き金融機関に対して、中小企業の経営実態を踏まえた柔軟な対応を求める方針を継続しています。

📋 この記事を読んだら次にやること

  1. 直近の決算書・試算表を手元に用意し、現在の財務状況(黒字・赤字・債務超過の有無)を確認する
  2. 次回の決算説明の際に、取引銀行へ融資提案を依頼し「まだ借りられるか」をテストする
  3. 毎月の返済額と手元資金の推移を把握し、資金が尽きる前にリスケが必要かどうかを定期的に判断する
  4. もし借りられないと判断したら、全取引銀行に同時打診・回答期限2週間でリスケ交渉を開始する
  5. 判断に迷う場合は、税理士や財務コンサルタントに早めに相談する

終わりに

本記事の内容は YouTubeチャンネル 中小企業の財務チャンネル の下記動画を参考に作成しています。AIによる書き起こしを活用しているため、誤字脱字がある可能性があります。ご了承ください。
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