青色申告で間違えた人の末路|よくあるミスと2024年法改正を税理士が解説

青色申告で間違えた人の末路|よくあるミスと2024年法改正を税理士が解説
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青色申告のミスが税務調査で発覚すると、追徴課税は3年分で350万円にもなります。

収入の種類によって確定申告の方法が違う

確定申告は、収入の種類によってルールが大きく異なります。まず、どの所得区分に該当するかを確認しましょう。

収入の種類所得区分
会社員・バイト・パートの給料給与所得
年金雑所得(公的年金等)
投資による収入分離課税
不動産収入不動産所得
個人事業主・業務委託・フリーランス事業所得
副業事業所得 または 雑所得(業務)

給与所得や年金は、収入に応じて経費が概算で決まる「概算経費」の考え方をするため、細かく計算する必要はありません。投資は分離課税で話が変わります。

一方、不動産所得・事業所得については、売上も経費もしっかり計算して帳簿を作り、決算書を作成することが大前提です。この帳簿をめぐって「青色申告」と「白色申告」という2つの方法が生まれました。

📌 ポイント

青色・白色の区別が生じるのは不動産所得・事業所得のみです。副業の雑所得(業務)には青色・白色の概念がありません。雑所得は基本的に帳簿不要(売上1,000万円超の場合を除く)なので、そもそも青色・白色という区別が存在しないのです。

📝 このセクションのまとめ

  • 収入の種類ごとに所得区分が異なる
  • 青色・白色申告は不動産所得・事業所得に関わる制度
  • 副業の雑所得(業務)には青色・白色の概念がない

青色申告・白色申告の歴史と現在のルール

青色・白色申告の制度は、終戦直後に生まれました。当時の日本は民主化が進む中、ほとんどの個人事業主がどんぶり勘定で経営していました。帳簿がなければ税務署も確認できず、税務調査に入っても意味がない状況でした。

そこでアメリカの専門家が提案したのが、確定申告を2つに分ける方法です。

  • 白色申告:これまで通りどんぶり勘定でも可
  • 青色申告:帳簿をちゃんとつける代わりに税金を優遇

事業所得を選んだ人は白色か青色か、好きな方を選べる制度としてスタートしました。白色の方が気楽でいいと思うかもしれませんが、時代は変わりました。

⚠️ 注意

現在では白色申告でもどんぶり勘定はNGです。白色でも帳簿をつけなければならないルールに変わっています。どうせ帳簿をつけるなら、税金の優遇がある青色申告の方が有利です。

📝 このセクションのまとめ

  • 青色・白色申告は終戦直後に帳簿整備を促すために生まれた制度
  • 現在は白色申告でも帳簿が必要
  • どうせ帳簿をつけるなら税優遇のある青色申告が有利

青色申告の税優遇4つ|65万円控除から専従者給与まで

青色申告には複数の税優遇があります。順番に見ていきましょう。

【税優遇①】最高65万円の青色申告特別控除

控除とは、国が認めた値引きのようなものです。収入から経費と控除を引いたものが「所得」で、所得に対して税金がかかります。最高65万円の控除があれば、その分だけ所得が減り、税金も減ります。

控除額は申告方法によって3段階に分かれます。

控除額帳簿の種類提出方法・条件
65万円複式簿記e-Tax提出 または 電子帳簿保存。青色申告決算書(4面すべて)を添付。預金・売掛金残高の記載も必要。
55万円複式簿記e-Tax・電子帳簿保存どちらも行わない場合。青色申告決算書(4面すべて)を添付。
10万円単式簿記(家計簿方式)入金・出金だけをノートに記載。青色申告決算書は1〜3ページ目まで記載。現金主義も事前届出で選択可。

📌 ポイント

65万円控除と55万円控除の差は10万円。この差はe-Taxによる電子申告または電子帳簿保存を行うかどうかで生じます。できる限りデジタル化を促すために設けられた差額です。

なお、白色申告の場合は「青色申告決算書」ではなく「収支内訳書(表裏2面)」を使用します。控除は10万円相当の単式簿記と同等の扱いです。

【税優遇②】青色専従者給与

家族へのお給料を必要経費にできる制度です。労働の対価に見合った給料という前提のもと、たとえば配偶者に月20万円=年間240万円という給料の支払い方が可能です。

申告区分配偶者への上限配偶者以外の家族への上限
青色申告労働対価に見合った額(上限なし)労働対価に見合った額(上限なし)
白色申告年間86万円年間50万円(月約4万円)

家族で商売をしている方にとって、青色専従者給与は欠かせない経費です。白色申告では月4万円程度しか経費にできないのに対し、青色申告なら実態に合った金額を経費にできます。

【税優遇③】少額減価償却資産の特例

物を購入した場合、通常は10万円未満まですぐ経費にできます。10万円を超えると「固定資産」として減価償却が必要です。青色申告ではこの基準が緩和されます。

申告区分即時経費にできる上限
白色申告10万円未満
青色申告(特例適用)30万円未満

大半のパソコンや家電は30万円未満に収まるため、青色申告であればその年の経費として一括計上できます。

【税優遇④・⑤】貸倒引当金の計上・純損失の繰越しと繰戻し

4つ目は貸倒引当金の計上、5つ目は純損失の繰越しと繰戻しです。やや難しい内容のため、気になる方は別途調べてみてください。

⚠️ 注意:青色申告は事前届出が必要

青色申告の優遇を受けるには、適用させたい年の3月15日までに「青色申告承認申請書」を管轄の税務署に提出する必要があります。たとえば令和5年(2023年)分の確定申告を青色申告にしたい場合は、2023年3月15日までに提出が必要です。

📝 このセクションのまとめ

  • 最大65万円の青色申告特別控除(e-Tax提出または電子帳簿保存が条件)
  • 青色専従者給与で家族への給料を実態に合った金額で経費計上できる
  • 少額減価償却資産の特例で30万円未満の資産をその年に一括経費化できる
  • 青色申告の適用には事前に承認申請書の提出が必要

税務調査で発覚した5つのミスと1つの見落とし

ここからは、税理士を使わずに自身で確定申告をした結果、税務調査でさまざまな間違いが発覚した実例を紹介します。守秘義務の関係で内容は一部加工しています。

【ミス①】期限後申告を毎回繰り返していた

この方は毎回3月16日以降に確定申告を提出していました。確定申告の締め切りは原則3月15日です。たった1日でも遅れると、青色申告の65万円控除が使えなくなり、10万円控除に減額されます。つまり55万円分も損をしていたことになります。

さらに、この期限後申告は後述する加算税の種類にも大きく影響します。

【ミス②】青色専従者給与の事前届出を出していなかった

青色専従者給与は、その年の3月15日までに届出書を提出しなければなりません。届出を出さずに配偶者へ月20万円(年間240万円)を支払っていたところ、税務調査で全額否認されました。白色申告の86万円に減るのではなく、0円になります。

⚠️ 注意:専従者の「専従」とは

青色専従者給与の「専従」とは、その事業だけに従事していることが前提です。配偶者がパートと掛け持ちしていた場合も「専従」の要件を満たさないため、全額否認となります。届出の有無に関わらず、掛け持ちが発覚した時点で専従者給与の資格を失います。

【ミス③】少額減価償却資産の30万円基準を税抜きで判断していた

売上1,000万円以下の免税事業者の場合、金額の判断はすべて税込みで行う必要があります。たとえばMacBookを購入した場合、税抜き29万円でも税込みだと32万円になります。この場合は30万円基準を超えるため少額減価償却資産の特例は使えず、固定資産として減価償却が必要です。

【ミス④】入金額で売上を計算していた

コンサルティング料や原稿料など、源泉徴収が引かれる業種では注意が必要です。

項目金額
本来の報酬(売上に計上すべき金額)111,370円
源泉徴収額(10.21%)11,370円
手取り入金額(誤って売上にしていた金額)100,000円

売上はあくまでも源泉徴収前の報酬金額(111,370円)を計上しなければなりません。源泉徴収額(11,370円)は確定申告書の「源泉所得税」の欄に記載します。

【ミス⑤】所得補償保険の保険料を経費に入れていた

病気や怪我で働けなくなった場合に保険金が下りる「所得補償保険」の保険料は、事業所得の経費には算入できません。仕事と関係するように見えますが、「働けるか働けないか」は個人のプライベートな事柄として扱われるためです。

なお、病気・怪我で働けなくなった際に受け取る保険金は非課税ですので、事業所得に含める必要はありません。

【逆に税務調査で得をした事例】事業用車の売却益

この方は事業用の車を売却した際の売却益を、事業所得の売上に計上していました。しかし正しくは譲渡所得として扱います。譲渡所得には特別控除50万円があり、売却益が50万円以下であれば実質無税です。さらに6年以上保有していた車は「長期譲渡」として所得計算で税金が1/2になる特例もあります。

📌 ポイント:個人事業主の車の売却

  • 事業用の車の売却損益 → 譲渡所得(事業所得ではない)
  • 譲渡所得には特別控除50万円あり(売却益50万円以下は無税)
  • 6年以上保有の車は長期譲渡として税金が1/2になる
  • 完全に生活用の車の売却は非課税

📝 このセクションのまとめ

  • 期限後申告は65万円控除を失うだけでなく加算税も重くなる
  • 青色専従者給与は届出なし・掛け持ちで全額否認(0円)になる
  • 免税事業者の少額減価償却資産の判定は税込み金額で行う
  • 源泉徴収がある業種は入金額ではなく報酬総額を売上に計上する
  • 所得補償保険の保険料は事業経費に算入不可
  • 事業用車の売却益は譲渡所得として扱い、特別控除50万円が使える

税務調査の結果|追徴課税350万円の末路

税務調査でこれらの間違いが指摘された結果、所得がどれだけ増えたか見てみましょう。

指摘内容所得への影響
①期限後申告による65万円控除の喪失(55万円分減額)+55万円
②青色専従者給与の届出忘れ(年240万円全額否認)+240万円
③少額減価償却資産の税込み判定ミス+32万円
④入金額を売上にしていた+15万円
⑤所得補償保険の保険料を経費に算入+7万円
⑥事業用車売却益を事業所得に計上(本来は譲渡所得)△43万円
合計+306万円

所得が306万円増えた結果、追加で発生した税金は以下のとおりです。

税目追加額
所得税(税率20%)約61万円
住民税約31万円
個人事業税約15万円
加算税・延滞税約13万円
1年分合計約120万円

さらに、税務調査は基本的に過去3年分を対象とします。その結果、この方は3年分で約350万円を納税することになりました。

貯金がなかったこの方は、通常なら分割払いも可能なところ、追徴課税は分納不可のため、知人からお金を借りてなんとか納税するという事態になってしまいました。最終的には財産の差し押さえを避けるために、周囲に頭を下げてお金を工面する羽目になったのです。

📝 このセクションのまとめ

  • 複数のミスが重なると所得の修正額は数百万円規模になる
  • 税務調査は過去3年分が対象となるため、追徴課税は3倍になる
  • 追徴課税は分割払い不可のため、貯金がないと深刻な事態になる

2024年から強化される加算税|期限後申告はさらに重いペナルティへ

税務調査で追徴課税になった場合、本税だけでなく「加算税」と「延滞税」が上乗せされます。延滞税は低金利時代を反映して2%台からと低く抑えられていますが、加算税が特に痛いのです。

加算税には「期限内に申告していたか(過小申告)」と「期限後だったか(無申告)」で種類が変わります。

区分タイミング加算税率
過小申告加算税(期限内に申告していた場合)税務調査の通知前に自主修正0%(かからない)
税務調査通知後〜調査終了前に修正申告5%(50万円超の部分は10%)
無申告加算税(期限後申告の場合)税務調査前に自主申告5%
税務調査がほぼ終了後に修正申告15%(50万円超の部分は20%)

今回の事例の方は毎回期限後に申告していたため「無申告加算税」の扱いとなり、税務調査後の修正申告では15〜20%の罰金が課されました。

さらに、2024年1月からは無申告加算税の罰則が強化されています。

⚠️ 2024年からの法改正:無申告加算税の強化

  • 改正前:50万円超の部分に対して20%の罰金
  • 改正後:300万円超の部分に対して30%の罰金
  • 毎年無申告を繰り返していた場合:さらにプラス10%の罰金が加算

本来払わなくてよい罰金がどんどん重くなっています。国は「3月15日の期限内に申告すること」を強く求めているのです。

📌 ポイント:期限内申告なら加算税ゼロも可能

過小申告加算税のケースでは、税務調査の通知が来る前に自主的に修正申告をすれば加算税はかかりません。ミスに気づいたら早めに修正することが大切です。今回の事例の方も、もし期限内に申告していれば加算税の負担はかなり軽減されていたはずです。

📝 このセクションのまとめ

  • 期限後申告は「無申告加算税」として最大20%(2024年以降は30%)の罰金が課される
  • 毎年無申告を繰り返すとさらにプラス10%が加算(2024年1月〜)
  • 期限内申告で税務調査前に自主修正すれば加算税はゼロ
  • 追徴課税は分割払い不可のため、日頃から納税資金の貯金が重要

終わりに

本記事の内容は YouTubeチャンネル オタク会計士ch【山田真哉】 の下記動画を参考に作成しています。AIによる書き起こしを活用しているため、誤字脱字がある可能性があります。ご了承ください。
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