青色申告特別控除が2027年から改正!75万円控除と優良電子帳簿を税理士が解説

青色申告特別控除が2027年から改正!75万円控除と優良電子帳簿を税理士が解説
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2027年から青色申告特別控除が大改正。デジタル対応できない人は実質増税に!

2027年から青色申告特別控除のルールがガラっと変わる

確定申告シーズンが間もなく本格開始となる中、個人事業主やフリーランスの皆さんに絶対に知っておいてほしい話があります。なんと2027年から青色申告特別控除のルールがガラっと変わるのです。

一言で言うと、「デジタル対応できる人は税制上むちゃくちゃ優遇するけど、紙やアナログな人は容赦なく増税するぞ」という、国税庁からの最後通告のようなものです。そしてこの改正の裏には、AI税務調査に向けたある恐ろしい布石が隠されています。

今回は、青色申告特別控除の改正前後の内容・旧来の申告方法を続けた場合の末路・新たに創設される75万円控除の罠・そして私たちがどう対応すべきかの対策まで、順を追って解説していきます。

📌 ポイント

この記事で分かること:

  • 2027年からの青色申告特別控除の改正内容(55万円控除廃止・75万円控除新設)
  • 紙申告を続けると税負担がいくら増えるか
  • 優良電子帳簿とは何か・その要件
  • AI税務調査との関係
  • 自分はどう対応すべきかの判断基準

📝 このセクションのまとめ

  • 2027年から青色申告特別控除のルールが大幅改正される
  • デジタル対応できない人は実質的な増税になる
  • 改正の裏にはAI税務調査への布石がある

青色申告の基本:白色・簡易簿記・複式簿記の違い

まず、青色申告の基本をおさらいしておきましょう。青色申告は一言で言うと「頑張った人への特典」です。真面目に会計データを入力した人には節税をして税金を安くしてあげましょう、というものです。

確定申告の種類は大きく分けると白色申告と青色申告に分かれ、青色申告にはさらに2パターンあります。右に行けば行くほど節税効果が高くなります。

種類帳簿の方式主な特徴節税効果
白色申告簡易な帳簿でOK事前申請不要・帳簿はざっくりでよい節税特典なし
青色申告(簡易)簡易簿記家計簿のように収入・経費を記録10万円控除
青色申告(本格)複式簿記PL(損益計算書)+BS(貸借対照表)作成必要55万円または65万円控除

青色申告を行うには、事前に青色申告承認申請書という届け出が必要です。原則としてその年の3月15日までに提出しなければなりません。そのため、これから行う令和7年分の申告を青色でやろうと思っても、もう間に合わないということになります。新規開業した人は、開業した日から2ヶ月以内に届けを出せばOKです。

帳簿の記帳方式は「簡易簿記」と「複式簿記」に分かれます。

  • 簡易簿記:家計簿のようなもの。収入と経費をずらずらと書いていくスタイル。紙やExcelでもなんとかできるレベル。
  • 複式簿記:簿記で学ぶような本格的な方式。収入・経費に加えて、12月31日時点の資産・負債の一覧(貸借対照表=BS)も作らなければならない。会計ソフトや確定申告アプリが必須。

📝 このセクションのまとめ

  • 青色申告には事前に承認申請書の提出が必要(原則3月15日まで)
  • 簡易簿記なら紙・Excelでも対応可能だが、複式簿記には会計ソフトが必須
  • 右に行くほど(複式簿記・電子申告)節税効果が高い

青色申告特別控除とは?税金計算の仕組みと控除の位置づけ

青色申告の数ある特典の中でも、最大の目玉が青色申告特別控除です。頑張った人のご褒美として、みなし経費を認めてあげようというものです。

個人事業の税金計算は次のような流れになります。

  1. 売上を集計する
  2. 売上獲得のためにかかった必要経費を集計する
  3. 売上-必要経費=事業所得
  4. 事業所得から医療費控除・配偶者控除などを引いた額=課税所得
  5. 課税所得×所得税率(最低〜最高45%)=税額
  6. 税額に復興特別所得税2.1%が上乗せ。さらに住民税10%、一定以上の所得には事業税もかかる

青色申告特別控除は、この「必要経費」の仲間のようなものとして機能します。青色申告決算書の右下の欄に記載し、課税所得を圧縮することで税金を安くする仕組みです。

申告方式控除額(改正前)主な要件
白色申告・青色(簡易)なし / 10万円帳簿の種類による
青色(複式簿記)紙申告55万円PL・BS両方作成
青色(複式簿記)電子申告65万円PL・BS作成+電子申告

📝 このセクションのまとめ

  • 青色申告特別控除は必要経費の仲間として課税所得を圧縮する
  • 改正前は複式簿記で紙申告でも55万円控除が受けられた
  • 電子申告すると65万円控除に増額

【天国と地獄】2027年改正の全貌と紙申告を続けた場合の末路

さあ、いよいよ本題の改正内容です。鋭い方はすでに気づいているかもしれません。「あれ、55万円控除はどこへ行ったの?代わりに75万円というのが増えてる?」という感じです。

申告方式改正前(〜2026年)改正後(2027年〜)
白色申告・青色(簡易)10万円10万円(条件付きに変更)
青色(複式簿記)紙申告55万円10万円に格下げ!
青色(複式簿記)電子申告65万円65万円(従来通り)
青色(複式簿記)電子申告+優良電子帳簿なし75万円(新設)

これまでは複式簿記で、会計ソフトでもExcelでも紙でも何でもよいからちゃんとやっていれば、紙で申告書を提出しても55万円控除を受け入れてもらえました。

ところが2027年からは変わります。例えPL(損益計算書)とBS(貸借対照表)をちゃんと作っていたとしても、紙で申告書を提出している人はなんと10万円控除に格下げになるのです。

⚠️ 注意

青色申告特別控除が55万円→10万円に減ると、控除額が45万円も減少します。この控除は所得税だけでなく住民税にも連動するため、税率が低い方でも約7万円の税負担増、最高税率の方では約25万円もの税負担増になります。自分は何も変えていないのに手取りが減ってしまう——これが今回の改正の恐ろしいところです。

また、10万円控除にも条件が追加されます。主に事業所得や不動産所得が対象ですが、前年(2年前)の収入金額(売上)が1,000万円以下でないと使えないということに変わります。売上が1,000万円を超えるような規模の大きい人は、65万円控除か75万円控除を受けてねということです。

📌 ポイント

電子申告することが今後の最低ラインになります。まずはe-Tax(電子申告)に対応することを最優先で検討してください。

📝 このセクションのまとめ

  • 2027年から55万円控除が廃止され、紙申告は10万円控除に格下げ
  • 控除額45万円減少で、最大約25万円の税負担増になるケースも
  • 10万円控除にも「売上1,000万円以下」という条件が新たに追加
  • 65万円控除(電子申告)は従来通り継続
  • 新たに75万円控除(優良電子帳簿)が新設

75万円控除と優良電子帳簿の裏側──その甘い罠

「じゃあ国の言う通りにデジタル化すれば75万円控除が受けられるんでしょ?」と思われる方も多いでしょう。ここで登場するのが新設される75万円控除です。

ただし、この75万円控除の要件は、単に電子帳簿を保存するだけではありません。会計データの訂正・削除の履歴が全て残るような「優良な電子帳簿」でなければならないのです。

そもそも「電子帳簿等保存」とは何かというと、今まで会計ソフトに入力してプリントアウトして保存していた総勘定元帳や仕訳帳などの帳簿を、プリントアウトせずにデータのまま保存してよい、というものです。

電子帳簿保存の基本要件は次の通りです。

  • システムの説明書を備え付けていること
  • ディスプレイを備え付けていること
  • 税務職員からのデータのダウンロードの求めに応じることができること(例:接待交際費の科目の動きをすぐダウンロードできる状態)

これらを満たせば、プリントアウト一切なしでデータのまま保存することができます。特にデジタルが得意な人にとってはむちゃくちゃ便利な制度です。

さらに「優良な電子帳簿」として認められるには、上記に加えて以下の要件も必要です。

  • 訂正・削除・追加の履歴が残ること:後日仕訳を修正した場合(例:修繕費を減価償却費に変えるなど)、その修正履歴が見られること。要は後で改ざんができないようにしている。
  • 帳簿の相互関連性があること:特定の仕訳・取引に紐づく書類(請求書データなど)がちゃんと紐づいていること。
  • 取引の日付・金額・相手方に関する検索機能があること:ほとんどの会計ソフトが対応している。

これらを満たす場合に「優良な電子帳簿」として認定され、仮に計算ミスや過少申告があったとしても、ペナルティである過少申告加算税の割合が10%から5%に軽減されるという特典もあります。

⚠️ 注意:届け出の期限と開始時期

優良電子帳簿保存を行うには、あらかじめ届け出の提出が必要です。期限は法定申告期限、つまり2026年分の確定申告であれば2027年3月15日までに届け出を提出する必要があります。

ただし、「その課税期間の最初から優良な電子帳簿として備え付け・保存を行っていること」という条件があります。そのため、届け出を期限通りに出すだけではダメです。今年(2026年)1月1日から先述のルールに則った電子帳簿保存をしていなければなりません。つまり今から2026年分で始めようとしても、すでに遅いということになります。

2027年分から75万円控除を狙う方は、2026年末ごろには準備を進めておく必要があります。

📝 このセクションのまとめ

  • 75万円控除には「優良な電子帳簿」の保存が必要
  • 優良電子帳簿の要件は「修正履歴が残る」「書類との紐づけ」「検索機能」など
  • 届け出は法定申告期限までだが、課税期間の最初から対応している必要がある
  • 2027年分から狙うなら2026年末には準備を開始すること

改正の真の目的はAI税務調査への布石

なぜ国は10万円も上乗せしてまで電子帳簿を普及させたいのでしょうか。もちろん業務効率化・国全体の生産性向上という目的もあります。しかし、それとは別のもう一つの理由として、AI税務調査への準備があると推測されます。

AIというのは整ったデータと修正履歴が大好物です。後から数字をいじったとか、決算前に慌てて経費を突っ込んだとか、そういった「人間臭い不正」の履歴をAIに読み込ませることで、調査官が来なくても自動で怪しい取引をピックアップできるようになるのです。

税務調査を経験されたことがある方はご存知かと思いますが、現在の税務調査はめちゃくちゃアナログです。紙の帳簿を1枚1枚パラパラめくって、問題がありそうなところに付箋を貼って、「この仕訳の請求書はありますか?領収書はありますか?この中身は何ですか?」というやり取りを丸1日、丸2日と延々と続けていくのです。ある意味、職人技のような世界です。

現時点では、AI税務調査は調査先の選定(どこを調査するか)の段階でAIが使われるレベルです。しかし、帳簿の中身までAIで見られるようになると、例えば次のようなことが瞬時にできるようになります。

  • 接待交際費の10万円以上のものを瞬時に割り出す
  • 摘要欄に何らコメントがない空白の怪しい状態の仕訳をピックアップする
  • 決算前に集中して経費が計上されているパターンを検出する

税務調査官にとっては非常に効率が良くなるわけです。

⚠️ 注意:75万円控除の「代償」

75万円控除を受けるということは、「私の帳簿の修正履歴を全部国にさらけ出します」ということを意味します。控除額が増えるメリットの裏に、帳簿の透明性が完全に担保されるという側面があることを理解しておく必要があります。

📝 このセクションのまとめ

  • 電子帳簿普及の背景にはAI税務調査への準備がある
  • 現状の税務調査は非常にアナログで、紙の帳簿を1枚ずつ確認している
  • 現時点でAIは調査先の選定段階で使われているが、今後は帳簿の中身まで解析される可能性がある
  • 75万円控除を受けることは、修正履歴を国に全開示することを意味する

自分はどうすればいい?状況別の対応策と判断基準

改正内容を踏まえて、「では自分はどう対応すればいいのか」について、状況別に判断基準をお伝えします。

現在の状況推奨する対応
紙・Excel・手書きで10万円控除を受けている(売上数百万・利益少ない)急ぎでなくてもよいが、今後を見据えてクラウド会計ソフトの導入を検討
紙・Excel・手書きで10万円控除を受けている(しっかり利益が出ている・事業拡大希望)今すぐクラウド会計ソフトを導入し電子申告へ
売上1,000万円超で10万円控除を受けている最優先で対応が必要。2027年から10万円控除自体が使えなくなる
すでに会計ソフトを使って65万円控除を受けている・申告に自信がある75万円控除を狙う。2026年末までに優良電子帳簿の設定と届け出準備を
すでに会計ソフトを使って65万円控除を受けているが、うっかりミスが多い・適当に入力している現状通り65万円控除のままでよい

特に、売上が1,000万円を超えているのに10万円控除を受けているという方は最優先で対応が必要です。2027年からは青色申告をしているのに10万円控除が受けられなくなります。「難しいから」と言っている場合ではなく、毎年数万円から数十万円を損し続けることになるのです。

小規模な事業者の方には、スナップ(Snapp)のような手軽なアプリを活用するのもよいでしょう。売上数千万円規模の方はマネーフォワードやfreee(やよい会計)といったクラウド会計ソフトを活用するのもよい選択肢です。

📌 税理士としての最終見解

真面目に経理処理をして、AI時代に備えて75万円控除をちゃんと狙っていくというのが、最終的には王道の選択です。ただし、帳簿の修正履歴が全て国に開示されることを理解した上で、正確な経理を徹底することが前提です。

📝 このセクションのまとめ

  • 紙・Excel申告で利益が出ている人は今すぐクラウド会計ソフトへ移行を
  • 売上1,000万円超で10万円控除の人は最優先で対応が必要
  • 75万円控除を狙う場合は2026年末までに準備を開始する
  • ミスが多い・不安がある場合は無理せず65万円控除のままでもよい
  • 長期的には75万円控除を狙うのが王道

終わりに

本記事の内容は YouTubeチャンネル 税理士YouTuberチャンネル!! / ヒロ税理士 の下記動画を参考に作成しています。AIによる書き起こしを活用しているため、誤字脱字がある可能性があります。ご了承ください。
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