節税できる帳簿・できない帳簿を税理士が解説|青色申告と白色申告の違いとは

節税できる帳簿・できない帳簿を税理士が解説|青色申告と白色申告の違いとは
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帳簿の種類で節税額が大きく変わる。自分に合った申告方法を選ぼう。

副業でも帳簿次第で事業所得・青色申告が選べるようになった

先日の所得税に関する通達修正によって、副業であったとしても帳簿書類をしっかり備え付けることによって、事業所得として青色申告をして節税することが可能になりました。

では、帳簿書類とは一体何なのか、どのレベルのものを作ればいいのか、非常に悩まれている方が多いと思います。今回はこの帳簿書類に焦点を当てて解説していきます。

📌 今回の結論(節税効果が最大の方法)

事業所得として青色申告を選択し、会計ソフトを導入して帳簿をしっかり備え付けることで、青色申告特別控除55万円または65万円の控除を受けるのが最も節税効果の高い方法です。ただし、全員にとって最適とは限りません。自分の状況に合ったパターンを選ぶことが大切です。

今日の内容は以下の4テーマです。

  • 節税できる帳簿 vs 節税できない帳簿(パターン別の解説)
  • 雑所得の場合の帳簿
  • 白色申告の場合の帳簿
  • 青色申告(簡易版・正式版)の帳簿

📝 このセクションのまとめ

  • 通達修正により、帳簿書類を備え付ければ副業でも事業所得・青色申告が可能になった
  • 最大節税は青色申告+会計ソフト導入の組み合わせ
  • ただし全員が青色申告を選ぶ必要はなく、状況に応じたパターン選択が重要

確定申告の基本と副業の扱い

まずそもそものお話として、会社員の方は確定申告が基本的に不要です。年末調整といって、勤務先が簡易版の確定申告をやってくれます。会社からもらう給与はいわゆる給与所得になります。

一方、個人事業主・フリーランスの方は確定申告が必須で、この時の取り扱いは事業所得となります。確定申告とは、所得税に関して自ら税額を集計・計算し、申告・納税するという一連の手続きのことです。

副業の場合はどうなるかというと、副業であっても儲けがある以上は確定申告が必要です。

税目確定申告が必要な条件
所得税勤務先以外の副業収入の儲けが20万円超
住民税金額要件なし。副業で稼ぎがあれば基本的に申告が必要

副業されている会社員の方は、年末調整は会社でやってもらい、確定申告は自分で行います。年末調整は給与だけの話で、確定申告では副業収入が事業所得雑所得かによって税額が大きく変わります。

多くの方が事業所得として副業の確定申告をしていた理由は、事業所得にすれば青色申告ができていろいろ節税ができるからです。しかし「事業か雑か」の判定ルールが曖昧で分かりにくかったため、今回通達が修正されました。

📌 通達修正後の結論

帳簿書類を備え付けていれば、売上の規模に関係なくほとんど事業所得でOKとなりました。ただし以下の場合は雑所得となり、税制優遇は受けられません。

  • 本業収入の10%程度しかない副業収入
  • わざと赤字を出して損益通算しているケース

また、帳簿書類がなくても売上金額が300万円超の場合は概ね事業所得となる場合もあります。

📝 このセクションのまとめ

  • 所得税は副業の儲けが20万円超で確定申告必要。住民税は金額要件なし
  • 事業所得か雑所得かで税額が大きく変わる
  • 帳簿書類を備え付ければ原則として事業所得として申告できる

自分に合った帳簿タイプの選び方|4パターン比較

右に行けば行くほど節税効果が大きくなりますが、同時に手間やコストもかかります。自分の状況に合ったパターンを選ぶことが重要です。

パターンこんな人に向いている節税効果手間
雑所得副業が赤字、または楽に申告したい
事業所得・白色申告赤字または少し利益が出ているが楽したい
事業所得・青色申告(簡易版)節税したいが手間も抑えたい中〜高
事業所得・青色申告(正式版)めちゃくちゃ儲かっていてガッツリ節税したい最高

事業をやっていると皆さん諸事情があります。絶対に青色申告しないといけないかというとそういうわけでもありません。儲けが少ないのにわざわざ労力をかける必要はありません。とりあえず白色申告でスタートしてみて、慣れてきたら簡易版の青色申告にチャレンジする、さらに節税したい方は65万円・55万円控除を目指すという段階的なステップアップもアリです。

📝 このセクションのまとめ

  • 節税効果と手間はトレードオフ。自分の利益規模・労力の許容度で選ぶ
  • 段階的にステップアップする方法もある
  • 儲けが少ない段階では無理に青色申告を選ぶ必要はない

雑所得の場合の帳簿|帳簿不要だが規模が大きくなると注意

雑所得にはそもそも青色・白色という概念はありません。白一本と思ってください。かつ、帳簿書類も基本的に必要ありません。

国税庁のサイトにある「副業にかかる所得の金額の計算表」を使うだけです。年間の総収入金額(売上)から旅費交通費などの経費を引いた金額を集計して書いておくだけで、この計算表自体を提出する必要はありません。これをもとに確定申告書に転記していきます。確定申告書の雑所得欄に収入金額(売上)を書くだけという非常にシンプルな作業です。

⚠️ 注意:2022年分の確定申告から雑所得の申告も変わります

税制改正により、売上規模に応じて以下の義務が発生します。

売上規模義務
300万円以下現金主義による税額計算OK(簡便的な経理処理が認められる)
300万円超領収書の保存が必要(保存期間:5年間)
1000万円超収入と経費の内容を記載した書類(収支内訳書)の作成・保存が義務化

規模が大きくなると帳簿作成に近い作業が必要になるのに、節税効果は低いままです。儲かっている人ほど雑所得で申告するのは不利になります。

📝 このセクションのまとめ

  • 雑所得は帳簿不要・申告がシンプル
  • 2022年分から売上300万超で領収書保存、1000万超で収支内訳書の作成が義務化
  • 儲かっている人ほど雑所得申告は節税面で不利

事業所得・白色申告の帳簿|エクセルで作れるシンプルな帳簿

ここから本格的に帳簿の話が登場します。帳簿の作成から確定申告までの流れを整理しておきましょう。

  1. 日々の取引を帳簿(会計ソフト)に入力する
  2. 入力をもとに決算書を作成する
  3. 決算書をもとに確定申告書を作成する
  4. 確定申告を行い、納税する(期限:所得税は翌年3月15日、消費税は3月31日)

一番大変なのは最初の入力作業です。まとめてやろうとするとめちゃくちゃ大変なので、できるだけ毎月コツコツ入力を進めていただくことをおすすめします。

白色申告の場合の帳簿は、ほとんどエクセルのフォーマットで作れるようなものです。日付・取引内容・売上・各経費の項目があり、そこに金額を入力していくだけです。

📌 帳簿の記載例(国税庁資料より)

  • 3月3日:〇〇商事へ売上 9,900円 → 売上欄に記載
  • 3月4日:〇〇商店で仕入れ 1,080円 → 仕入欄に記載

経費の勘定科目(どの項目に入れるか)で悩む方が多いですが、科目ごとに集計すればOKです。

また、軽減税率(8%)の食品などを購入した場合は、通常の10%と区分するために印をつけることが必要です。

白色申告の場合の保存義務は以下のとおりです。

書類の種類保存期間
帳簿書類7年間
請求書・領収書など5年間

白色申告でも、生活費の一部を経費に落とす家事関連費(家賃など)、10万円未満のものを一括で経費に落とせる少額減価償却資産、家族従業員への専従者控除といった節税策は使えます。ただし、労力の割に節税効果は薄いのが実情です。利益が出ているという方はぜひ青色申告にチャレンジしてみてください。

📝 このセクションのまとめ

  • 白色申告の帳簿はエクセルで作れるシンプルなもの
  • 日付・取引内容・売上・経費を記録し、科目ごとに集計する
  • 軽減税率8%の取引は10%と区分して記載が必要
  • 帳簿書類は7年間、領収書等は5年間の保存義務あり

青色申告の節税メリットと特別控除のシミュレーション

青色申告はアメとムチの制度です。苦労して帳簿を作る(ムチ)ことで、節税効果(アメ)が受けられるというものです。

⚠️ 青色申告ができる所得の種類に注意

青色申告ができるのは事業所得・不動産所得などに限られます。雑所得や給与所得では青色申告はできませんのでご注意ください。

白色申告と青色申告の主な違いを一覧で確認しましょう。

項目白色申告青色申告(簡易版)青色申告(正式版)
事前届出不要所得税の青色申告承認申請書の提出が必要
特別控除なし10万円控除55万円または65万円控除
帳簿の種類簡易帳簿簡易帳簿(簡易簿記)複式簿記
決算書収支内訳書損益計算書(PL)のみ損益計算書+貸借対照表(BS)が必須
専従者給与専従者控除のみ世間相場の範囲で給与として経費計上可(事前届出必要)
赤字の繰越不可最長3年間の繰越控除が可能
少額減価償却10万円未満を一括経費化30万円未満を一括経費化(年間300万円上限)
帳簿の保存義務7年間7年間

特別控除の節税効果がどれくらいあるか、シミュレーションで確認しましょう。個人事業主・フリーランス・副業には所得税と住民税がかかります(事業税は一旦除外)。

所得税率住民税率合計税率10万円控除の節税額65万円控除の節税額
5%10%15%約1万5,000円約9万7,500円
33%10%43%約4万3,000円27万9,500円(約30万円)

所得税は超過累進税率といって、儲けが高ければ高いほど税率も上がっていきます。所得が多い方ほど青色申告の節税効果は絶大です。

📌 赤字の繰越控除について

副業の赤字は給与所得と相殺することができます。ただし、わざと作った意図的な赤字との相殺は厳しく取り締まられます。本当に事業を頑張って発生した赤字のみ相殺可能です。給与所得を上回るほどの赤字が出た場合は、最長3年間の繰越控除で将来の節税も可能です。

📝 このセクションのまとめ

  • 青色申告(簡易版)で10万円控除、(正式版)で55万円または65万円控除が受けられる
  • 所得税率33%の人が65万円控除を受けると約30万円の節税効果
  • 30万円未満の資産を一括経費化できる少額減価償却の特例(年間300万円上限)も使える
  • 赤字の最長3年間繰越控除も青色申告の大きなメリット

青色申告の事前手続きと申請期限

青色申告をするためには、「所得税の青色申告承認申請書」の提出が必要です。この申請書の提出がなければ青色申告は認められません。

ケース提出期限
すでに事業を行っている場合(青色申告を適用したい年)その年の3月15日まで
その年の1月16日以降に開業した場合開業日から2ヶ月以内

例えば、2022年分の確定申告を青色申告にしたい場合は、2022年3月15日までに申請書を提出する必要があります。今から間に合わない場合でも、2023年分の確定申告を青色申告にしたい方は今すぐ申請書を提出しておく必要があります。3月15日を過ぎると受けられませんのでご注意ください。

また、11月1日に開業した方の場合、青色申告承認申請書の提出期限は12月31日になります。

⚠️ 青色申告が取り消されるケース

2年連続で期限後申告(確定申告の期限遅れ)をした場合、青色申告そのものが取り消されることがあります。くれぐれも期限内申告を心がけてください。

📝 このセクションのまとめ

  • 青色申告には事前に「所得税の青色申告承認申請書」の提出が必須
  • 既存事業者はその年の3月15日まで、新規開業者は開業日から2ヶ月以内が期限
  • 2年連続の期限後申告で青色申告が取り消されることがある

青色申告(正式版)の帳簿と会計ソフトの必要性

青色申告の簡易版と正式版では、必要な帳簿の内容が全然違います。正式版はめちゃくちゃ大変です。

帳簿の種類簡易版(簡易簿記)正式版(複式簿記)
現金出納帳
売掛帳
買掛帳
経費帳
固定資産台帳
預金出納帳
振替伝票
貸借対照表(BS)の作成不要必須
資産・負債の残高管理不要全て必要

正式版の複式簿記では、貸借対照表も作らなければなりません。資産・負債の内訳が一覧でわかる財務状態の透明化が求められます。在庫・各取引先の売掛残高・買掛残高・差し入れた保証金・預り金など、あらゆるものの残高を確定しなければなりません。

⚠️ 手書き・エクセルでの複式簿記はほぼ不可能

青色申告正式版(複式簿記)を手書きやエクセルでやろうとするのはやめた方がいいです。99%無理だと思ってください。労力だけがかかります。会計ソフトの導入が必須です。

会計ソフトを使うメリットは以下のとおりです。

  • 簿記の知識がなくても、簿記の原理を活用した帳簿作成ができる
  • 入力した取引内容が自動的に転記・集計される
  • 日付順に入力していなくても自動的に並べ替えてくれる
  • 1つの取引を入力すれば関連する全帳簿に連動する(例:預金から現金を引き出すと、預金出納帳と現金出納帳の両方が自動更新)
  • 自動仕訳機能付きのソフトはネットバンキングデータやクレジットカードデータを取り込んで自動仕訳してくれる

なお、青色申告の簡易版でも会計ソフトを導入した方が手間が大幅に省けます。また、白色申告の場合でも会計ソフトを使うメリットは大きいです。たとえば弥生会計では白色申告に限って無料のソフトが提供されています。

📌 電子帳簿保存法・スキャナ保存について

電子帳簿保存法に関しては慎重に考えてください。会計データのみで紙をやめてデータ保存するやり方は、今後の税務調査等への影響が大きいため、様子見をされた方がいいかもしれません。一方、領収書や請求書などの紙資料が増えて管理が大変な場合は、改正電子帳簿保存法に規定されているスキャナ保存を活用できる可能性があります。

📝 このセクションのまとめ

  • 青色申告正式版(複式簿記)は会計ソフトなしでは事実上不可能
  • 会計ソフトを使えば簿記知識がなくても正確な帳簿が作れる
  • 簡易版・白色申告でも会計ソフトの導入で業務効率が大幅アップ
  • 電子帳簿保存法の対応は慎重に。スキャナ保存は活用の余地あり

帳簿レベルの総まとめ|無料の帳簿指導制度も活用しよう

それぞれのパターンで必要な帳簿のレベルをまとめると以下のとおりです。

申告パターン必要な帳簿会計ソフト
雑所得帳簿不要。売上・経費の集計表のみ不要
事業所得・白色申告売上・経費のエクセル帳簿でOKあると便利
事業所得・青色申告(簡易版)売上・経費帳簿+売掛帳・買掛帳などあると楽
事業所得・青色申告(正式版)売上・経費・資産・負債など全帳簿が必要必須

帳簿の入力作業は非常に大変です。そこで活用していただきたいのが、税務当局による無料の帳簿指導サービスです。

  • パソコンによる帳簿指導
  • 管轄の税理士が事業所を訪問して数回指導してくれる帳簿指導

これらは完全無料で利用できます。国税庁のサイトから申し込めますので、不安な方はぜひ活用してみてください。

📝 全体まとめ

  • 雑所得:帳簿不要・シンプルだが節税効果なし。規模が大きくなると義務が増える
  • 白色申告:エクセル帳簿でOK。家事関連費・少額減価償却・専従者控除が使えるが節税効果は薄い
  • 青色申告(簡易版):10万円控除。コスパが良く多くの人に向いている
  • 青色申告(正式版):55万〜65万円控除。儲かっている人ほど節税効果絶大。会計ソフト必須
  • 青色申告には事前に承認申請書の提出が必要(その年の3月15日まで)
  • 帳簿指導の無料サービスを活用するのもアリ

終わりに

本記事の内容は YouTubeチャンネル 税理士YouTuberチャンネル!! / ヒロ税理士 の下記動画を参考に作成しています。AIによる書き起こしを活用しているため、誤字脱字がある可能性があります。ご了承ください。
本サイトは 税理士YouTuberチャンネル!! / ヒロ税理士を応援しています!

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