税務調査

帳簿未作成で税務調査の罰金が割増に!2024年から適用の加算税強化を税理士が解説

帳簿未作成で税務調査の罰金が割増に!2024年から適用の加算税強化を税理士が解説
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2024年から帳簿を作成・保存していない事業者は税務調査で申告漏れが発覚した際の加算税が最大10%割増になります。

令和6年1月1日から始まった「加算税の割増制度」とは

国税庁が令和4年9月に公表したチラシには、こう書かれています。「申告漏れがあった場合には、売上に関する帳簿を作成・保存していない事業者の方は加算税が重くなります」。

この制度は令和6年(2024年)1月1日からスタートしており、まさに今回の所得税の確定申告から適用となります。すでに申告書を提出された方も、まだの方も、内容をしっかり確認しておきましょう。

📌 ポイント

帳簿を作り忘れた=即罰金、ではありません。税務調査でそのことが判明し、かつ売上の計上漏れや申告漏れがあった場合に限り、その時のペナルティが割増になる制度です。

📝 このセクションのまとめ

  • 令和6年1月1日から加算税の割増制度が施行
  • 今回の所得税確定申告から適用される
  • 帳簿未作成だけでは罰金にならないが、申告漏れと組み合わさるとペナルティが重くなる

そもそも加算税の種類と税率を整理しよう

ペナルティには延滞税(延滞利息のようなもの)など色々な種類がありますが、今回の改正に関係する代表的な加算税は以下の3つです。

加算税の種類概要税率(通常)
過小申告加算税申告漏れがあった場合にかかる罰金的な税金10%〜15%
無申告加算税そもそも申告をしていなかった場合にかかる15%〜20%
重加算税意図的な脱税など最も重いペナルティ35%

⚠️ 注意

今回の割増措置の対象は過小申告加算税と無申告加算税の2つです。重加算税は対象外ですが、そもそも意図的に売上を抜いている場合は脱税となり重加算税が課されます。

📝 このセクションのまとめ

  • 加算税には「過小申告加算税」「無申告加算税」「重加算税」の3種類がある
  • 今回の割増対象は過小申告加算税と無申告加算税
  • 重加算税(35%)は対象外だが、意図的な脱税には適用される

帳簿の状況によって割増率が変わる2つのパターン

割増されるペナルティの幅は、帳簿の状況によって2段階に分かれています。

帳簿の状況割増率具体例
帳簿の提示ができなかった、または売上金額の記載が1/2未満だった+10%売上1,000万円なのに500万円未満しか記載していない
帳簿への売上金額の記載が2/3未満だった+5%売上1,000万円なのに667万円未満しか記載していない

これを踏まえると、加算税の実際の税率は以下のようになります。

加算税の種類通常の税率+5%割増後+10%割増後
過小申告加算税(基本)10%15%20%
過小申告加算税(加重分)15%20%25%
無申告加算税(基本)15%20%25%
無申告加算税(加重分)20%25%30%

📌 ポイント

この割増は本税(本来払うべき税額本体)が増えるわけではありません。あくまでも罰金部分(加算税)の割合が重くなるという制度です。また、1/2未満・2/3未満の判定は売上のみで判断します。雑収入や家事消費はこの判定の対象外です。

📝 このセクションのまとめ

  • 帳簿未提示または売上記載が1/2未満 → 加算税が10%割増
  • 売上記載が2/3未満 → 加算税が5%割増
  • 割増されるのは加算税(罰金部分)のみで、本税は変わらない
  • 1/2未満・2/3未満の判定は売上のみが対象

具体的な数字で見るペナルティの重さ

具体的な数値を使って確認してみましょう。

  • 本来記載すべき売上:2,000万円
  • 実際の帳簿への記載額:800万円
  • 申告漏れとなった売上:1,200万円

この場合、記載額800万円は本来の売上2,000万円の1/2未満(40%)に該当するため、過小申告加算税が10%割増となります。

まず、漏れていた1,200万円の売上に対して所得税(最低5%〜最高45%)が本税として課されます。さらに住民税や事業税にも連動して反映されます。そして本税に対して過小申告加算税が上乗せされますが、通常なら10%〜15%で済むところが、帳簿の不備により20%〜25%まで跳ね上がります。

⚠️ 注意

意図的に売上を抜いていた場合は「脱税」となり、過小申告加算税ではなく重加算税(35%)が課されます。今回の具体例はあくまでミスや勘違いによる申告漏れが前提です。

📝 このセクションのまとめ

  • 売上2,000万円のうち800万円しか記載がなければ1/2未満に該当し10%割増
  • 本税(所得税・住民税・事業税)に加え、割増された加算税も負担することになる
  • 意図的な売上除外は脱税であり重加算税(35%)の対象となる

対象となる事業者と帳簿の範囲

この制度の対象となる事業者は以下のとおりです。

  • 個人事業主(事業所得・不動産所得がある方)
  • 大家さん(不動産所得がある方)
  • 法人
  • 消費税の課税事業者(個人・法人ともに)

📌 ポイント

副業をしている会社員の方で、副業収入を雑所得として申告している場合は対象外です。ただし、もちろん脱税はNGです。

対象となる帳簿の種類は申告形態によって異なります。

申告の種類対象となる帳簿
青色申告者仕訳帳・総勘定元帳など、売上・収入の金額に関する部分
白色申告者売上帳・現金出納帳など、売上・収入の金額が確認できる帳簿

⚠️ 注意

白色申告は帳簿が不要」というのは間違いです。数年前に記帳義務が設けられており、青色申告よりも簡便的なものでよいですが、帳簿の作成・保存義務はあります。白色申告者でも売上に関する帳簿を提示できなければ、10%のペナルティ割増の対象になります。

📝 このセクションのまとめ

  • 個人事業主・大家・法人・消費税課税事業者が対象
  • 副業の雑所得申告者は対象外
  • 白色申告者にも帳簿作成・保存義務があり、この割増制度の対象になる

帳簿は申告書と一緒に提出不要!保存しておけばOK

確定申告でよくある勘違いとして、「帳簿は申告書と一緒に提出しなければならない」と思っている方がいますが、それは誤りです。

帳簿(会計データ)はしっかり保存・保管しておき、税務調査の際に調査官に求められたらすぐに提示できる状態にしておくことが重要です。調査官に言われてから2〜3日かけて印刷するといった対応は実務的にはギリギリ許容範囲ですが、何ヶ月も放置するのは基本的にNGです。

📌 ポイント

帳簿は確定申告書と一緒に税務署へ提出する必要はありません。ただし、税務調査の際にすぐ提示できるよう適切に保存・保管しておくことが必要です。

📝 このセクションのまとめ

  • 帳簿は申告書と一緒に提出する必要はない
  • 税務調査の際にすぐ提示できるよう保存しておくことが重要
  • 何ヶ月も放置した状態は基本的にNG

ノートやメモ書きは帳簿として認められる?国税庁Q&Aを確認

国税庁が公表している「帳簿の提出がない場合等の加算税の加重措置に関するQ&A」の中に、多くの方が気になる質問が掲載されています。

Q:個人事業主が使っているノートに、売上金額や売上先は記載されておらず、日々の売上金額の合計額のみが記載されている場合、帳簿として認められますか?また、売上・仕入・必要経費について毎月の合計額を整理したメモは帳簿として認められますか?

結論をまとめると以下のとおりです。

記録の種類帳簿として認められるか条件
日々の売上合計額のみを記載したノート条件付きでOK請求書の控え・写しなどの書類も保存されており、取引の相手方・金額がそれらに記載されている場合に限る
毎月の合計額のみを整理したメモアウト認められない

帳簿作成の原則として、個人事業主は以下の3要素をきちんと記録することが求められています。

  • 取引の年月日
  • 取引の相手方
  • 金額

⚠️ 注意

日々の売上合計額のみのノートが条件付きで認められた場合でも、「帳簿時において記載すべき事項の一部が欠けている状態」とみなされるため、各種節税の特典が受けられないことがあります。原則的なルールに従って帳簿を作成することを強くお勧めします。

📝 このセクションのまとめ

  • 帳簿には「年月日・相手方・金額」の3要素の記録が原則
  • 日々の売上合計額のみのノートは、請求書控えなどと合わせることで条件付きOK
  • 毎月合計のメモはアウト
  • 条件付きOKの場合でも節税特典が受けられない可能性がある

申告を間違えてしまった場合はどうすればいい?

もし売上金額を間違えて申告してしまった場合(例:本来800万円の売上を1桁ミスで80万円で申告してしまったなど)、どうすればよいでしょうか。

まず大前提として、意図的に売上を抜いていた場合は脱税であり、重加算税の対象となります。しかし、本当に間違えてしまったのであれば、自主的に修正申告をすることが重要です。

  • 税務署に自主的に修正申告をすることで、ペナルティが軽減される
  • もちろん本税(本来払うべき税額)は支払う必要がある
  • 延滞税もかかるが、過小申告加算税などのペナルティは軽減される
  • まだ申告期限が来ていない場合は、延滞税も過小申告加算税もかからないケースもある

📌 ポイント

間違いに気づいたらとにかく早めに動くことが大切です。税務署への自主修正申告はペナルティ軽減につながります。対応に迷う場合は近くの税理士に相談しましょう。

📝 このセクションのまとめ

  • 申告を間違えた場合は自主的に修正申告することでペナルティが軽減される
  • 申告期限前であれば延滞税・過小申告加算税がかからないケースもある
  • 気づいたらとにかく早めに対応することが重要

正確な帳簿作成のために会計ソフト・アプリを活用しよう

帳簿を正確にしっかり作るためには、会計ソフトや会計アプリを積極的に活用しましょう。

特にしっかり利益が出ている方は、このような帳簿不備によるミスで課されるペナルティも大きくなります。やよい会計シリーズのような会計ソフトを活用して、青色申告でしっかり節税することをお勧めします。

大して利益が出ていない方でも、例えば楽に操作できるタナップなどの会計アプリを使えば、経費かどうかを振り分けるだけで申告書が簡単に作成できます。こういったツールをぜひフル活用してください。

📌 ポイント

会計ソフト・アプリを使えば、年月日・相手方・金額の3要素を漏れなく記録でき、帳簿不備によるペナルティのリスクを大幅に下げることができます。利益規模に応じて適切なツールを選びましょう。

📝 このセクションのまとめ

  • 会計ソフト・アプリを活用して正確な帳簿を作成しよう
  • 利益が大きい方ほどペナルティも大きくなるため、適切な会計管理が重要
  • 青色申告を活用することで節税メリットも得られる

終わりに

本記事の内容は YouTubeチャンネル 税理士YouTuberチャンネル!! / ヒロ税理士 の下記動画を参考に作成しています。AIによる書き起こしを活用しているため、誤字脱字がある可能性があります。ご了承ください。
本サイトは 税理士YouTuberチャンネル!! / ヒロ税理士を応援しています!

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