資金調達で失敗しない銀行の選び方|税理士が解説する金融機関入門

資金調達で失敗しない銀行の選び方|税理士が解説する金融機関入門
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起業時の銀行選びを間違えると資金調達に失敗します。金融機関の種類と正しい選び方を、具体的な事例を交えて解説します。

結論:資金調達が必要かどうかで選び方が変わる

資金調達、つまり事業資金の融資が必要かどうかによって、選ぶべき金融機関の考え方が大きく分かれます。

状況おすすめの金融機関
融資・資金調達が必要政府系金融機関(日本政策金融公庫など)+信用金庫・信用組合
融資・資金調達が不要最寄りの大手銀行(メガバンク)

⚠️ 注意

大手銀行(メガバンク)の口座開設は年々厳しくなっており、審査に落ちたり、通過しても非常に時間がかかったりするケースが増えています。特に新規創業の法人口座は要注意です。

📝 このセクションのまとめ

  • 融資が必要なら政府系+信用金庫が基本
  • 融資が不要ならメガバンクが利便性で優位
  • メガバンクの口座開設審査は近年厳格化している

金融機関の種類:5つのカテゴリーを理解しよう

金融機関はざっくり分けると以下の5種類に分類できます。それぞれの特徴を把握しておくことが、正しい選択への第一歩です。

種類代表例特徴融資審査の難易度
都市銀行(メガバンク)三菱UFJ・三井住友・みずほ・りそな大都市に本店、全国展開。企業体力が充実厳しい(低金利)
地方銀行関西みらい・池田泉州・京都銀行・東京スター銀行地方内で最大規模の金融機関やや厳しい
信用金庫・信用組合北大阪信用金庫・多摩信用金庫・近畿産業信用組合中小企業への貸し出し専門。地域経済の循環を担う比較的低い
公的(政府系)金融機関日本政策金融公庫・商工組合中央金庫(商工中金)政府が支援する金融機関。創業融資制度あり最も低い(創業期)
ネット銀行(インターネット専業銀行)楽天銀行・住信SBIネット銀行・ソニー銀行・GMOあおぞらネット銀行店舗を持たずネットで完結。手数料が安い比較的低い

信用金庫・信用組合の豆知識

信用金庫と信用組合は、地域で集めたお金を地域で貸し出し、地域経済を回すというミッションを持っています。非常に狭いエリアで活動しているのが特徴です。

項目信用金庫(信金)信用組合(信組)
融資を受けるための条件出資が必要(1万円程度出資が必要
預金する場合出資不要出資が必要(やや閉鎖的)

📌 ポイント

信用金庫への出資は1万円程度で済むため、大きな資金負担にはなりません。融資を受けるための条件として求められますが、ハードルはそれほど高くありません。

政府系金融機関:日本政策金融公庫と商工中金の違い

政府系金融機関の代表格が「日本政策金融公庫(政策公庫)」と「商工組合中央金庫(商工中金)」です。この2つはよく混同されますが、性質が異なります。

項目日本政策金融公庫商工組合中央金庫(商工中金)
信用保証協会の保証つかないつく場合がある
預金・決済機能なしあり
資金調達元ほぼ政府に依存債券・預金などで自己調達(政府の信用力あり)
主な対象小規模事業者・創業者中堅企業規模(未上場)

📌 ポイント

小規模事業者や創業者は日本政策金融公庫がメイン、上場はしていないが中堅企業規模の方は商工中金も活用できるというイメージで覚えておきましょう。

📝 このセクションのまとめ

  • 金融機関は都市銀行・地方銀行・信用金庫・政府系・ネット銀行の5種類
  • 信用金庫への出資は1万円程度で大きな負担はない
  • 政策公庫は小規模・創業向け、商工中金は中堅向け
  • 政策公庫には預金機能がないため、別途口座開設が必要

創業初期の金融機関の選び方:融資が必要な場合

例えば飲食店を開業する場合、店舗の設備費や内装工事費などまとまった資金が必要です。こういった業種では自己資金だけで賄うのは非常に難しく、リスクも高いため、融資の活用をおすすめします。

ところが、創業直後の事業者がメガバンクや地方銀行に融資を申し込んでも、なかなか相手にしてもらえないのが現実です。では、どこに相談すればよいのでしょうか。

ステップ①:まず日本政策金融公庫の「創業融資」を活用する

創業時に最もハードルが低い融資先は日本政策金融公庫です。政策公庫には「創業融資」という制度があり、実績がない創業者でも申し込みやすい仕組みになっています。

ステップ②:公庫だけでは足りない場合は信用保証協会の融資を加える

数千万円単位の資金が必要な場合、政策公庫の創業融資だけでは賄えないことがあります。そのような方は信用保証協会の保証付き融資を信用金庫経由で活用してください。

信用金庫から直接融資を受ける「プロパー融資」はハードルが高く、金利も3〜4%かかることがあります。一方、信用保証協会の保証を付けた融資であれば、保証料(融資総額の約1%前後)はかかりますが、政策公庫の創業融資の次にハードルが低い選択肢といえます。

📌 ポイント

保証協会の融資については、信用金庫の担当者に問い合わせるのが最も確実です。特に関西方面では、地方銀行の池田泉州銀行が創業者向け融資に力を入れているため、参考にしてみてください。

  1. 日本政策金融公庫の創業融資を申し込む(最もハードルが低い)
  2. 資金が足りない場合は信用保証協会の保証付き融資を信用金庫経由で追加する
  3. 実績を積んだうえで地銀・メガバンクとのお付き合いを広げていく

📝 このセクションのまとめ

  • 創業期の融資は日本政策金融公庫が最初の窓口
  • プロパー融資は金利3〜4%と高め、保証協会付き融資の方がハードルが低い
  • 保証料は融資総額の約1%前後が目安
  • 信用金庫の担当者に保証協会融資について相談するのが近道

創業初期の金融機関の選び方:融資が不要な場合&口座開設が厳しい問題

融資が必要ではない場合、基本的には最寄りの大手銀行を利用するのが利便性の面でおすすめです。現金を頻繁に扱う飲食業などは特に、近くに店舗がある大手銀行が便利です。

ただし、近年は新規創業の法人口座の開設審査が非常に厳しくなっており、審査に落ちたり、通過しても時間がかかったりするケースが増えています。

なぜ口座開設が厳しくなっているのか

「犯罪による収益の移転防止に関する法律」が10年以上前に制定されて以降、マネーロンダリングや詐欺事件に金融機関の口座が悪用されるケースが問題となっています。そのため、融資だけでなく口座開設もシビアに審査されるようになっています。

法人口座が開設できない主な原因

  • 過去に融資の貸し倒れを起こし、ブラックリストに入っている
  • 資本金1万円で起業しており、財務体力が乏しいと判断される
  • 登記簿謄本(履歴事項全部証明書)の事業目的が多すぎて、何をしている会社かわからない
  • 許認可が必要な事業なのに、許認可を取得していない

⚠️ 注意

法人口座が作れないからといって、個人口座に売上金を入れるのは避けましょう。申告さえしていれば大きな問題にはなりませんが、脱税を疑われるリスクがあります。企業との取引、特にB2Bで取引先が大手企業の場合は法人口座がないと取引自体が困難になります。

対策:ネット銀行を選択肢に加える

メガバンクや地方銀行での口座開設が難しい場合、ネット銀行(インターネット専業銀行)を選択肢に加えることをおすすめします。一般的にネット銀行は口座開設の審査ハードルがやや低く、メガバンクの審査に落ちてもネット銀行では通ったというケースが多く見られます。

📝 このセクションのまとめ

  • 融資不要なら大手銀行が利便性で優位だが、近年は口座開設審査が厳格化
  • 資本金1万円・事業目的が不明瞭・許認可未取得などが口座開設拒否の主な原因
  • 個人口座への売上入金は脱税を疑われるリスクがあるため避けるべき
  • メガバンクで断られた場合はネット銀行を活用する

GMOあおぞらネット銀行が創業期に特におすすめな理由

ネット銀行の中でも、周りの起業仲間から特に評判が良いのがGMOあおぞらネット銀行です。

特徴内容
口座維持手数料無料
振込手数料安い
デビットカード作成可能、利用額の1%キャッシュバック
口座開設手続きハンコ・紙・郵送不要、ネットで完結
登記簿謄本の取得GMOあおぞらネット銀行側で取得してくれる
政策公庫の返済口座対応している(多くのネット銀行は非対応)
Pay払い対応あり

📌 ポイント

日本政策金融公庫には預金機能がないため、融資を受けた後の返済口座を別の銀行で用意する必要があります。多くのネット銀行はこれに対応していませんが、GMOあおぞらネット銀行は政策公庫の返済口座として対応しているため、創業期の中小企業から非常に高い評価を得ています。

もちろん100%審査が通るという保証はありませんが、手続きの手軽さという点では群を抜いています。ネット銀行で口座を開設して事業を1〜2年継続し、実績を積んでいくと、地方銀行やメガバンク、信用金庫での口座開設も可能になってきます。そこで複数口座を維持するか整理するかを選択していくのが良いでしょう。

📝 このセクションのまとめ

  • GMOあおぞらネット銀行は口座維持手数料無料、振込手数料も安い
  • 口座開設がネットで完結し、謄本もGMO側が取得してくれる
  • 政策公庫の返済口座として対応しているネット銀行は少なく、これが最大の強み
  • まずネット銀行で実績を積み、その後メガバンク・地銀へ展開するのが現実的

成長・拡大期の金融機関の選び方

事業が軌道に乗り、成長・拡大期に入ったら、経営規模に合わせて取引する金融機関のラインナップを増やしていきましょう。

売上規模の目安追加を検討する金融機関
創業期日本政策金融公庫+ネット銀行または信用金庫
売上数億円規模地方銀行を追加
売上5億円程度メガバンクを追加

オーソドックスな流れとしては、政策公庫で融資を受けながらネット銀行か信用金庫の口座を開設し、取引先の利便性を考えてメガバンクも加えていくというパターンです。

なお、メガバンク4行の中ではりそな銀行が他行と比べて取引のハードルがやや低い印象があります。メガバンクとのお付き合いを始めたい方は、りそな銀行から検討してみるのも一つの手です。

複数の金融機関とお付き合いする際の注意点

  • 1行依存は危険。異なる規模の複数の金融機関とお付き合いすることで競争原理が働き、より有利な条件を引き出せる
  • 1行に断られた時に実績のない新規金融機関との取引を始めるのは非常にハードルが高い。少しずつお付き合いを増やしておくことが重要
  • メインバンクは必ず決めておく。業績悪化時のリスケジュール(返済猶予)交渉の際、他の金融機関はメインバンクの動きに従うため、メインが不明確だと対応が難しくなる
  • 取引先・得意先の利便性も考慮して口座を選ぶ

📌 ポイント:リスケジュールとは

「リスケ」とは、業績が悪化して資金繰りが厳しくなった際に、金融機関に借入の返済を待ってもらうことです。今後の返済計画を提出し、1〜2年間返済を止めてもらう交渉をします。リスケをすると融資審査の格付けが下がり、原則として追加融資は受けられなくなります。ただし、そこから復活して優良企業に成長した事例もあります。

実際の金融機関のお付き合い例

税理士法人を運営している立場から、実際のお付き合いをご紹介します。

  • メインバンク:三井住友銀行(利便性を考慮)
  • 日本政策金融公庫(創業時からのお付き合い)
  • 北大阪信用金庫(融資も兼ねてお付き合い)
  • 関西の地方銀行(複数行とお付き合い)

このように、銀行の規模を分散させて複数の金融機関とお付き合いするのが、資金繰りを安定させるうえで重要なポイントです。

📝 このセクションのまとめ

  • 売上規模に応じて地銀→メガバンクと取引先を段階的に拡大する
  • 1行依存は危険。異なる規模の複数行と付き合うことで競争原理が働く
  • メインバンクを明確に決めておくことで、リスケ時にも対応がスムーズになる
  • りそな銀行はメガバンクの中で取引ハードルがやや低い印象
  • まずは選択肢を増やすことが大切。焦らず少しずつお付き合いを広げていく

終わりに

本記事の内容は YouTubeチャンネル 税理士YouTuberチャンネル!! / ヒロ税理士 の下記動画を参考に作成しています。AIによる書き起こしを活用しているため、誤字脱字がある可能性があります。ご了承ください。
本サイトは 税理士YouTuberチャンネル!! / ヒロ税理士を応援しています!

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