車通勤手当の非課税枠が11年ぶり拡大!4月遡及で年末調整はどう対応する?

車通勤手当の非課税枠が11年ぶり拡大!4月遡及で年末調整はどう対応する?
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11年ぶりの改正が4月遡及適用。年末調整の修正計算、正しくできていますか?

車通勤手当の非課税枠が11年ぶりに拡大

昨今の物価高、特にガソリン代の高騰を考慮して、車通勤手当の非課税枠(税金がかからない枠)が11年ぶりに拡大されます。これ自体はとても良い話なのですが、なんと今年の4月から遡及しての改正となっています。いわば土壇場改正です。経理担当の方を中心に色々と問題が出そうなので、今回は詳しく解説していきます。

今回の改正ポイントは以下の3本柱です。

  • 具体的にいくら非課税枠が拡大したのか
  • 年末調整をどう対応すればいいのか
  • 見落としがちな落とし穴

📌 ポイント

今回の改正はバス・電車通勤ではなく、車で通勤している方限定のお話です。また、通勤手当は法的な支給義務はありませんが、厚生労働省の調査によると従業員30人以上の会社では9割以上の会社で支給されています。

📝 このセクションのまとめ

  • ガソリン代高騰を受け、車通勤手当の非課税枠が11年ぶりに拡大
  • 対象は車通勤者のみ(電車・バス通勤は対象外)
  • 2025年4月に遡って適用される土壇場改正

改正前・改正後の非課税限度額一覧(月額)

非課税枠の拡大は通勤距離によって異なります。10km未満の方は従来通り全額課税(非課税枠なし)で変更はありません。改正が適用されるのは10km以上の方です。

片道通勤距離改正前(月額)改正後(月額)拡大額
10km未満非課税枠なし(全額課税)変更なし
10km以上〜(例:20〜60分圏内)7,100円7,300円+200円
55km以上31,600円38,700円+7,100円

最低でも月額200円、最大で月額7,100円の非課税枠拡大です。年間ベースで換算すると、最低2,400円から最大8万円以上もの非課税枠拡大となり、納税者にとっては地味にありがたい改正です。

📝 このセクションのまとめ

  • 拡大幅は月額200円(近距離)〜7,100円(55km以上)
  • 年間換算で最大8万円以上の非課税枠拡大
  • 10km未満は改正なし・全額課税のまま

年末調整はどう対応すればいい?

ここからが本題です。年末調整は修正が必要で、めちゃめちゃ大変です。

今回の車通勤手当の非課税改正が決まったのは11月ですが、11月・12月の給与から修正すればいいというものではありません。2025年4月から遡って適用されますので、すでに給与の支給は終わっています。では、どうするかというと——年末調整で修正するしかないのです。

今年これまでの給与計算では、通勤手当の非課税限度額は改正前の数字で計算されていました。改正後は非課税限度額が人によっては大きくなっていますので、課税される金額が小さくなります。新たに非課税となる金額がある場合には、年末調整の際に精算しなければなりません

⚠️ 注意

11月・12月の給与計算を修正するだけでは不十分です。4月〜10月分(7か月分)の給与について年末調整で遡及修正が必要です。この修正を怠ると、従業員が所得税を払いすぎたままになります。

📝 このセクションのまとめ

  • 改正決定は11月だが、4月に遡及して適用される
  • すでに支給済みの給与は年末調整で修正するしかない
  • 修正対象は4月〜10月の7か月分

具体的な計算手順(片道50km・月給30万円の例)

具体例で確認しましょう。片道50km通勤・月給30万円・車通勤手当を月額3万円受け取っている従業員のケースです。

期間非課税限度額手当額課税額課税対象給与(月額)
1月〜3月(改正前)28,000円30,000円2,000円302,000円
4月〜10月(改正後・遡及)32,300円30,000円0円(全額非課税)300,000円が正しい
11月〜12月(改正後・正しく計算済み)32,300円30,000円0円300,000円

4月〜10月の7か月間は、改正前の非課税限度額(28,000円)で計算していたため、毎月2,000円が課税されていました。しかし改正後の非課税限度額は32,300円(4,300円拡大)となり、月額3万円の手当はまるまる非課税になります。

つまり、4月〜10月の7か月分については、毎月2,000円が課税されすぎだったことになります。

年末調整での修正手順は以下の通りです。

  1. 非課税となる通勤手当の追加分を計算する:2,000円 × 7か月 = 14,000円
  2. 源泉徴収簿の「給与手当など」欄にメモ書きをする(給与システムによって対応は異なる)
  3. 年間給与合計から非課税となる追加分を差し引く:362万円 − 14,000円 = 3,606,000円
  4. 修正後の3,606,000円を「給与手当など」欄に入力し、通常通り年末調整を計算する

📌 ポイント

月額2,000円の差額とはいえ、7か月分の所得税を収めすぎていますので、年末調整での還付金額は例年より大きくなる可能性があります。ただし、今年は定額減税がなくなっていることや基礎控除の改正なども絡むため、全体的な影響は人によって異なります。

なお、年の途中で退職し、年末まで勤務しなかった方は年末調整の機会がありません。その場合は確定申告をすることで、払いすぎた所得税を取り戻すことができます。

また、この計算は対象となる従業員1人ひとりについて行う必要があります。郊外に工場を構えているような製造業・メーカーでは、車通勤の従業員が多く、この計算の影響が特に大きくなると考えられます。差額が生じる従業員をリストアップして、1人ずつ計算しなければならないため、経理担当者の負担は相当なものになります。

📝 このセクションのまとめ

  • 4月〜10月の7か月分について、新旧の非課税限度額の差額を計算する
  • 年間給与合計から追加非課税額を差し引いた金額で年末調整を行う
  • 年の途中退職者は確定申告で対応する
  • 車通勤者が多い製造業・メーカーは特に影響が大きい

税務調査での確認方法にも注意

年末調整の修正計算はしっかり行う必要があります。税務調査に入られた場合、通勤手当の非課税枠の適用について、Googleマップなどで会社と自宅の距離を測定して、非課税にしすぎていないか・税金を過少申告していないかがチェックされる可能性があります。

⚠️ 注意

税務調査では、Googleマップ等で実際の通勤距離を確認し、非課税枠の適用が正しいかどうかチェックされることがあります。通勤距離の実態に合った非課税限度額を適用していることを確認してください。

📝 このセクションのまとめ

  • 税務調査では通勤距離をGoogleマップ等で確認される場合がある
  • 実態に合った非課税限度額を適用することが重要

見落としがちな落とし穴:社会保険と130万円の壁

今回の改正と直接は関係ありませんが、車通勤手当に関して特に注意すべき落とし穴があります。それが社会保険との関係です。

非課税枠というのは、あくまでも所得税・住民税の話であって、社会保険には一切関係がありません。今回の改正で非課税枠が拡大したとしても、社会保険の計算は従来通り通勤手当を全額給与に加算して社会保険料を算定します。

区分通勤手当の扱い
所得税・住民税(103万・150万・160万の壁)非課税枠の範囲内は収入に含めない
社会保険(106万・130万の壁)通勤手当を全額収入に含める
社会保険料の算定(標準報酬月額)通勤手当を全額給与に加算して算定

具体的には以下の点を押さえておいてください。

  • 106万円の壁(従業員51人以上の会社):判定に通勤手当は含めない
  • 130万円の壁:判定に通勤手当を含める
  • 社会保険料の標準報酬月額の算定:通勤手当を全額カウントする
  • 税金の150万・160万円の壁:通勤手当は非課税のため影響なし

⚠️ 注意

今回の非課税枠拡大はあくまでも所得税・住民税の話です。社会保険の計算(社会保険料の算定・130万円の壁の判定)には一切影響しません。扶養内で働くパート・アルバイトの方は、130万円の壁の判定では通勤手当が収入に含まれる点に注意してください。

📝 このセクションのまとめ

  • 非課税枠の拡大は所得税・住民税のみの話。社会保険には無関係
  • 社会保険料の算定・130万円の壁の判定では、通勤手当は全額収入に含める
  • 106万円の壁(51人以上の会社)の判定では通勤手当は含めない
  • 税金の150万・160万円の壁への影響はなし

終わりに

本記事の内容は YouTubeチャンネル 税理士YouTuberチャンネル!! / ヒロ税理士 の下記動画を参考に作成しています。AIによる書き起こしを活用しているため、誤字脱字がある可能性があります。ご了承ください。
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