自動車保険は対人・対物無制限だけでOK!車両保険が不要な理由を税理士が解説
自動車保険は「対人・対物無制限」だけ。感情ではなくロジカルに見直せば保険料は大幅に削減できます。
保険の大原則:「低確率×高額損失」にだけかける
保険シリーズを通じて繰り返しお伝えしてきた大原則を、まず改めて確認しておきましょう。
📌 ポイント
保険は「低確率で起こり、かつ発生したときの損失が高額なもの」にだけかけるのが基本です。低確率でも損失が少ないものは、保険料の方が高くつくため、貯金でカバーする方が合理的です。
例えば、起こる可能性はほとんどないけれど、起きたとしても100円程度の損失にしかならないものに保険はかけませんよね。なぜなら保険料の方が高くつくからです。そういったものは貯金でカバーするのが正解です。
しかし実際には、自動車保険だけでなく火災保険・生命保険・医療保険においても、低確率で起こる「安いもの」にまで保険をかけてしまっているケースが非常に多いです。そこを定期的に見直すことが、家計を守ることにつながります。
自動車保険の文脈で言えば、「低確率」とは自動車事故のことです。つまり、自動車事故が起きたときに自分が支払う金額が高額で、人生が破綻するレベルのものにだけ保険をかけるという考え方が基本になります。
📝 このセクションのまとめ
- 保険は「低確率×高額損失」にだけかけるのが大原則
- 損失が小さいものは貯金でカバーする方がトータルで得
- 自動車保険では「人生が破綻するレベルの損害賠償」だけが保険の対象
対人・対物無制限が絶対に必要な理由
日本で車を運転する場合、自賠責保険(自動車損害賠償責任保険)への加入が法律で義務付けられています。ただし、自賠責保険は対人のみを上限3,000万円まで保障するものです。
では実際の事故でどれほどの損害賠償額が発生するのか。損害保険料率算出機構が公表している「自動車保険の概況」に掲載されている実例を見てみましょう。
| 被害者の属性 | 事故の結果 | 認定損害額 |
|---|---|---|
| 眼科医・男性・41歳 | 死亡 | 5億2,853万円 |
| 大学生・男性・21歳 | 後遺障害(重度) | 3億9,725万円 |
自動車を運転している自分がこのような事故を起こしてしまった場合、3億円〜5億円超の損害賠償請求をされる可能性があるということです。
⚠️ 注意
自賠責保険の上限は3,000万円です。実際の損害賠償額が3億〜5億円になるケースでは、自賠責保険だけでは到底カバーできません。任意保険で対人・対物ともに無制限にしておくことが必須です。
3億円・5億円の貯金がある人であればポンと出せるかもしれませんが、ほとんどの人にはそれは不可能です。だからこそ、対人・対物については無制限で保険をかける必要があります。これはまさに「低確率で起こり、発生したら人生が破綻する」ものであり、保険をかけるべき対象そのものです。
📝 このセクションのまとめ
- 自賠責保険の対人上限は3,000万円で、実際の損害賠償額には到底足りない
- 死亡事故・重度後遺障害では5億円超の損害賠償が認定されたケースもある
- 任意保険は対人・対物ともに無制限にすることが絶対条件
車両保険が不要な理由をロジカルに考える
「車両保険は必要でしょう」と感じる方も多いと思います。しかし、実は使い勝手が非常に悪い保険です。その理由をロジカルに整理していきましょう。
車両保険は等級制度と連動しています。事故を起こして車両保険を使うと等級が下がり、翌年以降の保険料が上がります。つまり、車を修理するお金は保険金として受け取れるが、その後の保険料が上がるため、結局は後払いしているのと同じ構造になっています。
📌 ポイント
車両保険に入らずに、その分の保険料を貯蓄しておく方が、トータルの出費は少なくなる可能性が高いです。そもそも事故が起こる確率は低確率なのですから。
また、車両保険が実際に使えるシーンを考えてみましょう。
- 小さな事故:車両保険を使うと翌年以降の保険料上昇の方が負担になるため、実質的に使えない
- 大きな事故(相手あり):相手方の対人・対物保険でカバーされる可能性がある
- 大きな事故(単独):使える可能性はあるが、頻度は極めて低い
さらに、万が一車両保険を使うことになっても、自分の車の時価が満額補償されることはほとんどありません。市場に出回っている価格ではなく、業者間の取引価格で査定されることが多いため、自分が満足できる金額を受け取れないケースも多々あります。
⚠️ 注意
車両保険の保険金は市場価格(時価)での査定となるため、自分が思っていたよりも低い金額しか受け取れないことがあります。「保険に入っていれば安心」とは必ずしも言えません。
ロジカルに整理すると、車両保険は「低確率で起こる事故における、比較的安く済むもの」への保険です。これは保険をかけるべき対象ではなく、貯金でカバーすべき領域です。
📝 このセクションのまとめ
- 車両保険を使うと等級が下がり翌年以降の保険料が上がる=後払いと同じ
- 小さな事故では実質使えず、大きな事故(相手あり)は相手の保険でカバーされることも多い
- 保険金は時価査定で満額にならないケースが多い
- 車両保険料の分を貯蓄に回す方がトータルで有利
人身傷害保険・搭乗者傷害保険も不要な理由
自分の車に乗っている同乗者や運転手自身を守る保険として、人身傷害保険・搭乗者傷害保険があります。しかし、これらも基本的には不要です。
その理由を整理すると、以下のとおりです。
- 補償範囲が限定的すぎる:自動車保険における怪我のみを補償するため、汎用性が低い
- 公的医療保険でカバーできる:怪我の治療費は日本の公的医療保険制度で対応できる
- 相手方の保険でカバーされるケースが多い:他者が関わる大きな事故では、相手方の対人・対物保険で補償されることが多い
📌 ポイント
怪我全般をカバーするなら、人身傷害保険よりも医療保険の方がまだ汎用性があります。ただし、医療保険自体も「基本的には不要」という考え方もあります(別動画で解説済み)。怪我の治療費は公的医療保険でカバーできることを忘れないようにしましょう。
他の保険や公的制度でほとんどカバーできてしまうため、あえて人身傷害保険・搭乗者傷害保険のためだけに保険料を払うのは損です。使うシーンが非常に限られており、費用対効果が低い保険と言えます。
📝 このセクションのまとめ
- 人身傷害・搭乗者傷害保険は補償範囲が自動車事故の怪我のみに限定される
- 怪我の治療は公的医療保険でカバーできる
- 相手方のある事故では相手の対人保険でカバーされることが多い
- 使うシーンが少なく、費用対効果が低いため不要
見落としがちな「運転者限定条件」と「年齢条件」の見直し
保険の見直しのついでに、必ず確認しておきたいのが運転者限定条件と年齢条件です。意外と盲点になりやすく、保険料に確実に影響します。
【運転者限定条件の見直し】
自分だけが運転する車になったのに、切り替えを忘れていませんか? かつて子どもが乗れるように設定していたけれど、もう乗らなくなった。そのまま保険を更新していませんか? 運転者の範囲が広いままだと保険料が高くなっていますので、今その車を誰が運転するかを確認して設定を見直しましょう。
【年齢条件の見直し】
自分の年齢だけで保険をかけているなら更新し忘れることはほぼありませんが、家族も運転する場合は注意が必要です。家族の中で最年少の人の年齢に合わせて年齢条件を設定している場合、更新のたびに確認が必要です。
⚠️ 注意:年齢条件は「同居の家族」だけが対象
年齢条件が適用されるのは同居している家族のみです。近くに住んでいるおい・めいや、別居している両親がたまに車を運転するからといって、その人たちの年齢は年齢条件に関係ありません。別居の親族が運転する場合は、別途対応が必要になりますので注意してください。
📝 このセクションのまとめ
- 運転者限定条件は実態に合わせて必ず見直す
- 年齢条件は毎年の更新時に確認する
- 年齢条件が適用されるのは同居の家族のみ(別居の親族は対象外)
弁護士特約はつけるべきか
対人・対物無制限の自動車保険に加えて、弁護士特約をつけるかどうかも検討しておきましょう。
自動車事故が起きた場合、弁護士が関わるケースは少なくありません。クレジットカードに弁護士特約が付帯されているからそちらを使えばいい、という考え方もあります。しかし、クレジットカードの弁護士特約には発動できる条件が設定されていることがあり、自動車事故のケースによっては「そのケースは対象外です」と言われて弁護士費用が全額自己負担になることもあります。
📌 ポイント
自動車保険に付帯する弁護士特約は、クレジットカードの弁護士特約よりも使い勝手が良いケースが多いです。保険料は多少上がりますが、つけておく価値はあります。
ただし、超ロジカルに考えるなら、弁護士費用は「低確率で起こる、そこまで高額ではないもの」に分類されるため、完全に削減して最低保険料にするという考え方もできます。
📝 このセクションのまとめ
- 弁護士特約は自動車保険に付帯する方が使い勝手が良い
- クレジットカードの弁護士特約は自動車事故に使えないケースがある
- 超ロジカルに考えるなら削減対象にもなりうる
自動車保険の見直し方法:比較サイトとおすすめ保険会社
自動車保険は、生命保険や医療保険と異なり、比較・見直しが非常にシンプルです。参考純率というもので保険料が算出されるため、基本保険料はどの会社もほぼ同じです。そこに各保険会社の利益が上乗せされてトータルの保険料が決まります。
つまり、シンプルに言えば「安いところを選ぶ」だけでOKです。
店舗があったり人件費がかかっている保険会社は、その分の利益を多く上乗せする必要があるため保険料が高くなりがちです。そのため、基本的にはネット保険を選ぶことになります。
また、自動車保険は1年に1回の更新です。その1年の間に新商品が出たり保険料の改定があったりするため、毎回見直し・毎回見積もりを取ることをおすすめします。
📌 おすすめの見積もりサイト
Webクルーが運営する「保険スクエアbang!」という見積もりサイトが便利です。複数の保険会社を一括で比較できます。先月の自動車保険更新でもこのサイトを活用し、最終的にアクサダイレクトとソニー損保の2社が最安値圏に絞られました。最低保険料はアクサダイレクトの方が安かったものの、対応の良さやレビューなども総合的に判断して、ソニー損保を選択しました。
- 自動車保険はシンプルな商品なので、基本的に「安い=正解」
- ネット保険は店舗型より保険料が安い傾向がある
- 毎年更新のたびに比較サイトで見積もりを取ることが重要
- 保険スクエアbang!などの一括見積もりサイトを活用する
📝 このセクションのまとめ
- 自動車保険の基本保険料はどの会社もほぼ同じ。差はコスト構造による上乗せ分
- ネット保険を選ぶのが基本
- 保険スクエアbang!などの比較サイトで毎年見積もりを取る
まとめ:感情ではなくロジカルに自動車保険を見直そう
自動車保険全体を改めて整理します。
| 保険の種類 | 必要性 | 理由 |
|---|---|---|
| 対人・対物無制限 | ✅ 必須 | 損害賠償が3〜5億円超になるケースがあり、人生が破綻するリスクがある |
| 車両保険 | ❌ 不要 | 使うと等級が下がり翌年以降の保険料が上がる。実質後払いと同じ。満額補償もされない |
| 人身傷害保険 | ❌ 不要 | 公的医療保険でカバーできる。使うシーンが限定的すぎる |
| 搭乗者傷害保険 | ❌ 不要 | 同上。相手方の保険でカバーされることも多い |
| 弁護士特約 | △ 任意 | 自動車保険付帯の方が使い勝手が良い。超ロジカルには削減対象にもなりうる |
高い保険料をずっと払い続けていたけれど、一度の事故で保険料を回収できた、という人も世の中には存在します。そしてその人たちの声は大きいため、「保険はやっぱり入った方がいい」という意見も多く聞こえてきます。しかし、それはあくまで感情の話です。
📌 ポイント
他人の体験談は参考事例として受け止めつつ、ロジカルに自分の家計に知識を当てはめて保険を見直すことが最も重要です。感情で保険を選ぶのではなく、「低確率×高額損失」の原則に立ち返って判断しましょう。
終わりに
本記事の内容は YouTubeチャンネル 大河内薫のマネリテ学園 の下記動画を参考に作成しています。AIによる書き起こしを活用しているため、誤字脱字がある可能性があります。ご了承ください。本サイトは 大河内薫のマネリテ学園を応援しています!
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