子どものいない夫婦の相続を徹底解説|相続人・おしどり贈与・遺言の活用法
子どもがいない夫婦の相続では、配偶者だけでなく兄弟姉妹にも相続権が発生するケースがあります。対策を怠ると、住み慣れた自宅を手放すことになりかねません。
子どもがいない夫婦の相続で起こりうるトラブル事例
まず、具体的な事例をもとに解説します。
結婚して子どもには恵まれませんでしたが、2人で支え合って生きてきたご夫婦がいました。しかし夫が亡くなり、妻には2人で住んでいた土地と建物、そして少しばかりの現預金が残されました。
夫が残してくれた家とお金があるので、贅沢をしなければ暮らしていけると思っていたところ、夫の兄弟たちが「自分たちも遺産を相続する権利がある、家を売って財産を分けろ」と言ってきました。
果たして、本当に家を売って兄弟たちに遺産を分けなければならないのでしょうか。
⚠️ 注意
子どもがいない夫婦の場合、配偶者以外の親族(親・兄弟姉妹など)にも法定相続権が発生します。事前に対策を取っておかないと、残された配偶者が住み慣れた自宅を手放すことになるケースがあります。
📝 このセクションのまとめ
- 子どもがいない夫婦では、兄弟姉妹が「財産を分けろ」と主張できる権利を持つ場合がある
- 事前の対策なしでは、配偶者が自宅を売却せざるを得ないケースもある
子どものいない夫婦の法定相続人と法定相続分
子どものいない夫婦の相続人は、配偶者と親、もしくは配偶者と兄弟姉妹となります。兄弟姉妹が亡くなっている場合は、甥・姪が代襲相続をするケースもあります。
それぞれの法定相続分は以下のとおりです。
| 相続人の組み合わせ | 配偶者の法定相続分 | その他の相続人の法定相続分 |
|---|---|---|
| 配偶者+親 | 3分の2 | 親:3分の1 |
| 配偶者+兄弟姉妹 | 4分の3 | 兄弟姉妹:4分の1 |
配偶者以外の相続人である親や兄弟姉妹が財産を相続したいと言えば、彼らにはその権利がありますので、断ることはできません。
遺産分割協議が成立するまでの間、配偶者は「配偶者短期居住権」によって自宅に住むことができます。しかし、目ぼしい財産が家のみの場合、配偶者は最悪の場合、家を売らなくてはならないのです。
⚠️ 注意
何とも理不尽に思えますが、現行の民法ではそのようになっています。残された配偶者が住み慣れた家を手放さなくてはならないケースが実際に存在します。
📝 このセクションのまとめ
- 子どもがいない場合、配偶者と親・兄弟姉妹が相続人になる
- 配偶者の法定相続分は「配偶者+親」なら2/3、「配偶者+兄弟姉妹」なら3/4
- 親や兄弟姉妹の相続権を一方的に断ることはできない
おしどり贈与(配偶者控除)で自宅を守る方法
配偶者が家を追い出されないようにするには、生前に「おしどり贈与」を活用して家の名義を配偶者に移しておくという方法が考えられます。
おしどり贈与とは、正式には「夫婦の間で居住用不動産を贈与した時の配偶者控除」のことです。
📌 おしどり贈与の適用要件と控除額
- 婚姻期間が20年以上の夫婦であること
- 居住用不動産、または居住用不動産を取得するための金銭を贈与すること
- 基礎控除110万円に加えて、最高2,000万円まで控除できる
さらに、おしどり贈与には重要なメリットがあります。遺産分割協議において「特別受益の持ち戻し」の対象外となります。つまり、先に家を贈与されていたからといって、亡くなった時点での遺産取得分が減ってしまうことはありません。
配偶者が住むための不動産を生前に贈与しておくことで、被相続人の死後も配偶者が家を追われることはなくなります。
📝 このセクションのまとめ
- 婚姻20年以上の夫婦なら、居住用不動産を最高2,000万円まで非課税で贈与できる
- おしどり贈与は特別受益の持ち戻し対象外のため、遺産分割で不利にならない
- 生前に自宅の名義を配偶者に移しておくことで、死後に家を追われるリスクを防げる
生命保険を活用して配偶者の財産を守る
もう一つの有効な対策は、生前に生命保険契約をしておくことです。
📌 生命保険金の特徴
- 生命保険金は受取人の固有の財産であり、遺産分割協議の対象にならない
- 相続税の課税対象にはなるが、他の相続人は生命保険金に手出しできない
- 配偶者を受取人に設定しておくことで、確実に配偶者に財産を渡せる
遺産分割協議がどのような結果になっても、生命保険金は受取人として指定された配偶者が受け取ることができます。配偶者が生命保険金を受け取れるようにしておくと安心です。
📝 このセクションのまとめ
- 生命保険金は受取人固有の財産であり、遺産分割協議に左右されない
- 配偶者を受取人に設定しておくことで、兄弟姉妹に財産を奪われるリスクを軽減できる
最もおすすめの対策は「遺言書」の作成
生前対策として最もおすすめなのが、遺言書を作成しておくことです。
「配偶者に全財産を相続させる」という内容の遺言を残しておくことで、配偶者にすべての財産を渡すことができます。
📌 兄弟姉妹には遺留分がない
兄弟姉妹には遺留分侵害額請求権がありません。そのため、遺言で配偶者に全財産を相続させると定めれば、兄弟姉妹は「財産を分けろ」と法的に主張することができなくなります。
遺言書には「自筆証書遺言」と「公正証書遺言」の2種類があります。自分で書く自筆証書遺言でも構いませんが、本当に被相続人が書いたものかどうかでトラブルになる可能性もありますので、公正証書遺言にしておくことをおすすめします。
最近は共働きで子どもは作らないというライフスタイルを選択するご夫婦も多くいらっしゃいます。一緒に築いてきた財産を配偶者に残せるよう、夫婦一緒に遺言を書くのもよいかもしれません。
| 遺言の種類 | メリット | デメリット |
|---|---|---|
| 自筆証書遺言 | 費用がかからない・手軽に作成できる | 真正性でトラブルになる可能性がある |
| 公正証書遺言 | 法的効力が高く・トラブルになりにくい | 公証役場での手続きと費用が必要 |
📝 このセクションのまとめ
- 遺言で「配偶者に全財産を相続させる」と定めれば、兄弟姉妹は遺留分を主張できない
- 自筆証書遺言より公正証書遺言の方がトラブルになりにくく安心
- 夫婦で一緒に遺言を作成しておくことも有効な手段
亡くなった後にできる対策「配偶者居住権」の設定
ここまでお話しした対策はすべて生前に行うものです。では、亡くなった後にできる対策はないのでしょうか。
亡くなった後の対策としては、配偶者居住権を設定するという方法があります。
📌 配偶者居住権の仕組み
自宅の権利を「住む権利(配偶者居住権)」と「所有する権利(所有権)」に分け、住む権利を配偶者に設定することで、配偶者は住み慣れた自宅に住み続けることが可能になります。
兄弟姉妹側は「配偶者居住権付きの家」を相続することになります。将来、配偶者が亡くなった時点で住む権利(配偶者居住権)は消滅し、通常の所有権に戻ります。
配偶者居住権付きの家であっても売却することは可能です。そのため、配偶者居住権付きの家でも構わないという買い手がいれば、兄弟姉妹は売却して現金を手にすることも可能です。
⚠️ 注意
配偶者居住権を持っている人(配偶者)に対して、賃料を請求することはできません。また、配偶者居住権付きの物件は売却しにくいため、買い手が現れるかどうかは保証できません。
📝 このセクションのまとめ
- 配偶者居住権は、自宅を「住む権利」と「所有する権利」に分けることで配偶者の居住を守る制度
- 配偶者居住権は配偶者が亡くなると消滅し、所有権が回復する
- 配偶者居住権付き物件は売却が難しいため、生前対策の方が確実
子どもがいない夫婦が取るべき対策のまとめ
残された配偶者を守るためには、できれば生前に対策を取っておくことが重要です。
生前にできる対策を優先度の高い順にまとめると、以下のとおりです。
- 遺言書の作成:配偶者に全財産を相続させると定める。兄弟姉妹には遺留分がないため最も確実。公正証書遺言が望ましい。
- おしどり贈与(配偶者控除)の活用:婚姻20年以上なら最高2,000万円まで非課税で居住用不動産を贈与できる。
- 生命保険の活用:配偶者を受取人に設定しておくことで、遺産分割協議に関係なく財産を渡せる。
また、遺言書とあわせてエンディングノートを書いておくこともおすすめです。遺言書には財産を誰に相続させるかという内容しか書けませんが、エンディングノートには以下のような情報を書き留めておくことができます。
- 死後に連絡を取ってほしい人の情報
- パソコンのパスワード
- クレジット会社から引き落とされているサブスクリプションの情報
これらを書き残しておくことで、残された配偶者が後々の手続きをする際に大変助かります。
📌 子どもがいないご夫婦へのアドバイス
お子さんのいらっしゃらないご夫婦は、ぜひ遺言書とエンディングノートを一緒に作成しておいてください。夫婦で一緒に取り組むことで、互いの意思をしっかりと残すことができます。
📝 このセクションのまとめ
- 最もおすすめの対策は「公正証書遺言」の作成。兄弟姉妹には遺留分がないため有効
- おしどり贈与・生命保険も有効な生前対策
- 亡くなった後は「配偶者居住権」の設定が選択肢になるが、生前対策の方が確実
- 遺言書とエンディングノートをセットで用意しておくと、残された配偶者の負担を大幅に軽減できる
終わりに
本記事の内容は YouTubeチャンネル 相続専門税理士チャンネル【VSG相続税理士法人】 の下記動画を参考に作成しています。AIによる書き起こしを活用しているため、誤字脱字がある可能性があります。ご了承ください。本サイトは 相続専門税理士チャンネル【VSG相続税理士法人】を応援しています!
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