会社役員を選ぶリスクと決め方を税理士が解説|後悔しない役員選定の基準
役員を誰にするか迷っている経営者へ。税理士が選定基準とリスクを本音で解説します。
役員はそもそも入れない方がいい?
役員なんですけど、今いる社員を役員にするのか、外部で知り合いとかの人に役員に入ってもらうのか、選択肢があると思うんですけども、役員ってどうやって決めればいいんですか?

難しいよね。どっちにしてもリスクがあるので考慮しないといけないですけど、できれば役員は入れない方がいいですね。

入れない方がいいんですか?

迷うぐらいなら入れない方がいいですね。

なんで役員は入れない方がいいのか、役員を作るリスクというところを今日は教えてください。

よく相談を受けるんですよ。「この人を役員に入れようと思うんですけど」とか「この社員を昇格させようと思ってるんですけどどう思いますか」みたいな感じでね。相談をよく受けるので、その辺りの決め方やリスクなんかを今日は解説したいと思います。

役員(取締役)とは何か?社員との違いを理解する
役員というのは、まあ何かというと取締役ということですよ。ちなみに「執行役員」っているじゃないですか。あれは正式な役員じゃないですからね。名刺に「執行役員」って書いてあっても役員じゃないですから。役員の決めたことを執行しているだけなんですよ。登記簿を見ても役員の名前には載っていないですから。取締役は載りますから。
今回の話は取締役にするかどうかという話ですね。取締役というのはそもそも何かというと、社長って「代表取締役」ですよね。「代表」がついていない取締役は何かというと、経営に従事している、まあよく言うんですけど、経営グループの1人ということですね。わかりやすく言うと。つまり経営に責任を持つ立場なんですよ。社員がトラブルを起こしても最終的に経営責任を負うのは会社のトップだったりしますが、そういう責任を担う人のことを言います。

社員は会社と雇用契約なんですよ。例えばあなたが僕の会社の社員なら雇用契約なんです。でもあなたが僕の会社の役員なら雇用じゃないんですよ。委任契約となるんです。
雇用契約だと雇用する義務があるので、なかなか首を切れないとかありますよね。でも委任契約だったら「はい、任期終わり、やめて」って言えるわけです。期間の定めがあって、2年とか委任契約を組んだら2年で終わり、バイバイってことになります。
まず社員と役員は全然立場が違って、会社との契約関係も違うということを押さえておいてください。

雇用契約じゃないので雇用保険にも入れないですよ。だから雇用保険を給料から引かれないのでラッキーって思うかもしれないですけど、でも退職した時に失業保険ももらえないですよ、役員は。

そうなんですか。

うん。役員は固定給だから残業代なんかも出ないですね。ボーナスも事前に届け出を出しておかないとダメで、「事前確定届出給与」ってちょっと別動画でちゃんと解説してるけど、役員にボーナスを払う時は事前に税務署に届け出ておかないと支給できないとかっていうルールもあったりしてね。役員と社員は全然違うということをまず押さえておいてください。

役員を入れることの4つのリスク
じゃあなぜ役員は入れない方がいいのかということで、社員を役員に昇格させるパターンとか、あとは知り合いを「一緒に経営やろうぜ」と言って招き入れるパターン、もしくは共同で事業を立ち上げるパターンもあるけどね。あとは人脈が結構ある先輩経営者に役員に入ってもらってブランディングするみたいなケースもあると思うんですけど。
経営を狙っていく人たちなので、役員というのは衝突することがあるんですよ。経営方針の違いで。

経営方針の違いで衝突するってやっかいでしょ。なので揉める可能性って結構あるんですよ。共同経営なんてやる人はほとんど揉めますから。9割以上揉めますから。揉めるって言っても、最初一緒に事業やろうぜって言った時ってみんな「僕たちは大丈夫です」ってみんな言うんですよ。でもみんな揉めますから。

固定給だと、社員を例えば役員に昇格させると経営責任をある程度担うので給料を上げないといけない。そうすると結構人件費が高くなるんですよ。そういうリスクもあります。

給料だけ高くして揉めたら、例えばあなたが社長で役員が入っていたとして、あなたの指示に全く従わず、「あなたはこうやって行こうと言っているけど、もうちょっと勉強してください。あなたの言っていることはちゃんちゃらおかしいです」って言ってくる役員がいたらどうします?

嫌ですね。

嫌でしょ。いらんってなりますよ。もう失敗だったって思うでしょ。そうしたら辞めさせたくなるじゃないですか。もう「お前、役員やめてくれ」「出て行ってくれ」ってなる。
でも、あなたが株主なら辞めさせることは可能です。ちょっと言い忘れましたけど、役員と株主は全く違いますからね。役員イコール株主と思っている人が結構いるけど、株主は株主、役員は役員で全然違いますから。
例えばあなたが会社を作りました、代表取締役です、全額あなたが出資しています、まあ株主と社長はイコールですよね。社員を役員に入れました、社員は別に株を持っていないので株の話は全然関係ない。揉めましたら辞めさせることはできます。

役員を辞めさせた時の損害賠償リスク【実例あり】
そうしたら今度、役員の任期があるんですよ。委任契約って言いましたよね。委任契約は何年で結ぶかってあるんですよ。取締役は通常2年、最長10年もできるんですよ。
例えば10年で委任契約を組んだとして、でも半年で「こいつはもう失敗した」ということで解任すると、残り委任契約9年と半年が残っているじゃないですか。辞めさせられた役員は「私はあと9年と半年権利があるんですけど、その分の役員報酬を払ってもらえますか」みたいな損害賠償請求をしてくる可能性があるんですよ。

そんなことを言ってくるんですか?

うん、言ってくる人、実際に僕のお客さんでいましたよ。揉めて解任した上に請求までしてきて。

とんでもないやつですね。

でも本当にある話ですよ。9年と半年の役員報酬なんてまだ決めていないから、いくらという金額の確定はもちろんできないわけですよ。今例えば毎月50万払っていたとして、じゃあ残り9年と6ヶ月分、毎月50万円分計算して全額払わないといけないのかと言ったら、まそんなことはないですよ。でも損害賠償請求されるリスクはあるんですよ。
それは社員だけじゃなくて共同経営でも一緒だし、人脈が豊富な年配の方を招き入れても同じですよね。そこから役員に入れると大体口を出してくるんですよ。招き入れられる方はそういうつもりで来るから、「俺がこの会社をなんとかしよう、よくしよう」って言って。逆に何もしていたら嫌でしょ、ただ席に座って何しに来たの、ってなる。それもそれで嫌じゃないですか。口出しばかりされるのも嫌じゃないですか。

あとはちょっと逆の立場で言うと、例えばあなたが僕の会社に役員で入っていた場合、社員が不祥事を起こしました、会社にすごい損害賠償を受けるような不祥事を起こしましたってなった場合、経営責任が役員にあるわけで、僕もあなたも経営責任を追わないといけないじゃないですか。損害賠償請求されたら役員報酬をぐっと下げて生活してとか、経営者リスクもあるよね。いろんな責任問題が発生するということは覚えておいてください。

だからよく奥さんを役員に入れるケースってよくあるんですけど、僕はそれも反対するんですよ。

そうなんですか?

奥さんと別れる人がいっぱいいるから。今までも何人も見てきましたもんで。そこでさっきの社員みたいに損害賠償を請求されたら、払わないといけないですよね。

中小企業のメリットって、社長の独断で経営ができるというのが1つのメリットじゃないですか。それが役員を入れることによって意思決定が遅くなったり、揉めたら意思決定できなくなったりするケースもあるんでね。意思決定したところで役員が従ってくれないってことも往々にしてあるから。だから中小企業は役員を入れない方がいいですね。

だからあんまりお勧めしないですね。

うん、あんまりお勧めしないですね。

それでも役員を2人置いている理由【実例】
でも、役員が2人いませんでしたっけ?

気づいた!気づいてますよ、後ろのことを忘れてるかなと思ったけど、気づいてますね。確かに2人いましたね。

それはなんでですか?

実はね、僕は今経営者として12年経つわけで、この役員2人はもう創業メンバーなんですよ。さすがに創業してすぐ役員にするというのは僕は全然考えていなくて、僕が1人で役員でやっていくということをやっていて、10年ぐらい経ったもんで、この2人のおかげで今の会社があるもんで、僕の方から「役員にならないか」と声をかけたんです。
いろんな理由はあるんですけど、もちろん役員という立場になったらもっと責任感を持って仕事をしてくれるんじゃないかと。ある意味、辞めさせにくいですよね。役員だったら形跡に終わらないといけないので「逃がさんぞ」みたいな。ちょっとはそういうのもありますけど。

でも1番はね、例えばこれからいろんな社員が入ってくる中で、やっぱり実力者も入ってくるわけですよ。その中でやっぱり僕にとってはこの2人は特別な存在で、実力者が入ってきてもこの2人以上の実力者って僕の中では多分ないだろうなと、僕の会社にとってはね。そうなった時にやっぱり権威性を持って欲しかったんですよ。
例えばこの2人が普通の社員で実力者を採ってきたら、その実力者が横柄な態度を取る可能性もあるじゃないですか。「俺はヘッドハントされてきた、今から俺はお前らのトップだ」みたいな。ふざけんなという話になりますよ。お前が一番社歴が浅くて一番下っ端だよと。その時に普通の社員という肩書きと役員という肩書きだったら、新しく入ってきた人の見るイメージが違うじゃないですか。

まそういうのも含めて役員になってほしいなと思って、この会社を引っ張っていってほしいなと思って。

アメリカに行っている間に会社ができていたんですよね。

そうそうそう。この2人がいたから会社が出来上がった。僕の方が申し訳ないぐらい。

あとまこの2人が外で活動する時に、名刺に役員という肩書きがついていると影響力があるじゃないですか。対外的にもそういう意味でもいいかなって。

役員って「専務取締役」とか「常務取締役」みたいな感じですよね。その中ではまた上下はあるんですか?

専務の方が上で、常務がその次みたいな会社が多いけど、まあ明確なルールみたいなのはないですよね。あとはまただの「取締役」みたいなのもありますね。
取締役というのは社長を監視する役目も担っているんですよ。社長が悪さしないようにちゃんと監視する。社長がもし何か悪さをしたら取締役にも責任の追及が来るんですよ。「あなたはちゃんと社長を監視していたんですか」って。そういうのもあるんですよ。役員の役割って結構あるんですよ。
だからお互いリスクがあるんですよね。会社側にもリスクがあるし、役員になった側にもリスクがある。だから僕は本当に10年ぐらい経ってやっと役員にするって感じでしたね。

社外役員を入れるより「顧問契約」の方がいい理由
前にお客さんから相談があったんですよ。「結構影響力のある方を社外役員として入れようと思うんですけどどう思いますか」ってね。でも中小企業の社外役員で固定給というのもあるし、社外役員ってね、給料をそんなに上げられないんですよ中小企業は。よくて月30万ぐらいかなと。役員報酬ってちょっと税務の縛りがあったりして、常に会社にいるわけじゃないからだからそんなに高く上げられないんですよ。

だから役員にするぐらいなら「顧問」という立場になってもらった方がいいんですよ。顧問契約になったらそれこそ月100万でも払えるし、月によって変えてもいいし、50万の月があっても100万の月があっても別にそれはオッケーだし。途中で顧問契約を切っても残りの期間の損害賠償みたいなこともないし。期間の定めのある契約を組んだらあるかもしれないけど、基本的には自由が効きますよね。

この契約だと何か違うんですか?

だから税理士と契約するのも顧問契約ですよ。まあそれによく似た感じですよね。だから社外役員を入れるぐらいなら顧問としてついてもらった方が、自由が効くよね。経営責任もないし、そっちの方が身軽でいいと思いますけどね。

役員選定の基準まとめ|この人になら騙されてもいいぐらいの信頼が必要
ということで今日は、役員を入れる時にどういう考え方で入れた方がいいのか、そもそも入れない方がいいのかという判断基準をお話しさせていただきました。会社にとっても役員になる人にとっても色々リスクがあったりしますし、まあメリットももちろんありますけどね。その辺を考慮して慎重に選んでいただければなと。
迷うぐらいなら入れない方がいいと思います。「この人は本当に役員になってほしい、この人になら騙されてもいい」ぐらいなら、なってもいいんじゃないかなと。だから僕の2人の役員は、もし裏切られたらそれはもう僕の責任だなと思っているので、それぐらい信頼しているので役員になってもらったんですけどね。
なんとなく気が合ったからみたいな、そこが1番危険なので、慎重になっていただければなと思います。

じゃあもし僕が会社を作ったとするじゃないですか。そうしたら顧問になってもらえばいいってことですか?

だから顧問になら、前から言ってるじゃないですか。

役員の方がいいですか?

役員にもならないです。僕は経営責任は負いたくないね。あなたが不祥事を起こしたら経営責任を追わないといけないじゃないですか。そんなリスクの高い仕事はやらないですよ。

じゃあ僕が入ればいいってことですね。

いや、それも前からないってずっと言ってるじゃないですか。まあわかんないですよ、もしかしたら本当に信頼できる人間になるかもしれない。

まあ本当に、僕のことを何も知らないですよね、これだけやってるけど。何歳かも知らないし。

33歳ですか?当たってた。実はうちの社員と多分一緒ぐらいかなっていう。同じぐらいの方がいるんですか?

いますよ。じゃあ僕にもチャンスがありますか?

何のチャンスですか。まず社員になって、そこから信頼できるとなったら役員に……いや、うちは社員を入れないという方針をもう決めているんで。

いや、多分ここで働いた方が学びもあってスキルが磨かれるかなっていう。

今の関係でいきましょう。それが一番いいですね。これからもよろしくお願いします。

よろしくお願いします。ありがとうございます。

終わりに
本記事の内容は YouTubeチャンネル 脱・税理士スガワラくん の下記動画を参考に作成しています。AIによる書き起こしを活用しているため、誤字脱字がある可能性があります。ご了承ください。本サイトは 脱・税理士スガワラくんを応援しています!
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