社員旅行を経費で落とす5つの条件と注意点を税理士が解説
社員旅行を経費にするには5つの条件を満たす必要があります。税理士が具体的な金額基準と注意点を解説します。
社員旅行を福利厚生費として経費計上するための条件とは
社員旅行を経費で落とすやり方を教えてください。
わかりました。以下の条件を満たしておけば、社員旅行を福利厚生費として計上することができます。
厳密には前半の3つが社員旅行を福利厚生費にする際の条件とされているんですが、後半の2つも満たしていないと福利厚生費として計上することができなくなってくるので、合わせて解説していこうと思います。

- 会社の負担金額が少額であること
- 4泊5日以内の旅行であること
- 職場の従業員の半分以上が参加していること
- 欠席者に代わりのお金を支給しないこと
- 取引先の接待ではないこと
条件① 会社の負担金額が少額であること
まずは会社の負担金額が少額であることです。社員旅行が経費として落とせる背景には、少額不追求という税務上の考え方がありまして、これは「現物給与については少額なものまで追求して課税する必要はない」というものになっております。
ですので、この社員旅行を経費で落とすには、会社の負担額はある程度の金額に抑えておく必要があるんです。

これはどれぐらいの金額にするといいんですか?
明確な線引きはないんですけども、いくつかの事例・判例が出ているのでそれを参考にさせていただきます。
例えば2010年の事例では、社員旅行の費用に関するアンケートを根拠としております。そのアンケート結果では、平成11年の海外旅行費用の平均額が約11万円で、そのうちの会社負担は約7万円でした。

会社負担額は1人当たり5万〜7万くらいってことですか?
はい、そうなんです。この事例では会社が1人当たり約24万円を負担していたため、会社の負担額が高すぎるとされて否認されたというものでした。

さすがに7万と24万じゃ差がありすぎますからね。
そうですね。また、国税庁のホームページでは社員旅行が経費にできる例とできない例が示されております。そこでは例えば旅行費用が25万円、会社負担が10万円の例で経費にできるとされております。
これらを考慮すると、会社負担が10万円を超えるような社員旅行は経費にできないと考えていった方がいいかなと思いますね。

なるほど。会社負担が10万円を超えると怪しくなってくるってことですね。変な話、旅費がもっと高額でも会社負担が10万円だったら大丈夫ってことですか?
はい。判断基準になるのはあくまでも会社負担額なので、旅行全体の総額が高かったとしても、会社負担額が妥当なラインの金額であれば問題なく経費にすることが可能になってきます。
ただ、あまり高くなって社員の自己負担が高くなってくると、社員も参加しづらいんじゃないかなとは思いますね。

確かに、そこら辺うまく調整する必要がありそうですね。
| ケース | 旅行費用 | 会社負担額 | 判定 |
|---|---|---|---|
| アンケート平均(海外) | 約11万円 | 約7万円 | 参考値 |
| 否認事例 | 不明 | 約24万円 | 否認(課税) |
| 国税庁の経費OK例 | 25万円 | 10万円 | 経費OK |
条件② 4泊5日以内の旅行であること/条件③ 従業員の半分以上が参加すること
続いての条件は4泊5日以内の旅行であることです。福利厚生費として経費計上できる旅行は4泊5日以内のものと定められています。滞在日数が1日でも伸びてしまうと、その部分だけでなく旅行全体が経費計上できなくなってくる可能性も出てくるので注意が必要です。

全部経費計上できなくなっちゃうんですね。それはちょっと気をつけないといけないですね。
そうなんですよね。ただし海外旅行の場合は、海外の滞在期間が4泊5日以内であることが条件となっております。例えば機内泊が1泊必要な旅行で旅行期間が合計して4泊6日になる場合は、実際に現地に滞在している期間が4泊5日なので、問題なく経費計上できるということですね。

なるほど。社員旅行で海外に行く予定がある場合はしっかりこれを把握しておきたいですね。
そうですね。3つ目は職場の従業員の半分以上が参加していることです。社員旅行を福利厚生費として経費計上していくためには、社員旅行に従業員の半分以上が参加している必要があります。
ただし、こちらは拠点が複数あって職場単位で社員旅行をする場合は、職場内で半分以上が参加していればOKになってきます。

職場単位の社員旅行なら職場単位で判断されるみたいなことなんですかね。
はい、そうですね。

ちなみに役員のみでの旅行とか、業績のいい従業員を連れていくインセンティブ型みたいなのは経費にできないですか?
基本的にはそう考えていただいて結構です。ただし、この要件はあくまでも慰安目的の社員旅行の場合に限られております。
役員を対象とした事業計画を練るための旅行とか、特定の社員を対象とした研修旅行などの費用については、内容の実態が伴っていれば計上が可能になってきます。

なるほど。旅行の目的が重要なんですね。
その時はもちろん福利厚生費じゃなくて、会議費とか別の旅費とかの科目になってくるかもしれませんけど、会社の経費として計上する余地は出てくるということですね。

なるほど。
条件④ 欠席者に代わりのお金を支給しない/条件⑤ 取引先の接待ではない
4つ目は欠席者に代わりのお金を支給しないことです。社員旅行の欠席者に、社員旅行の費用に当たるお金を支給するという発想としてはあるんですよ。参加しないからお金を支給するね、ということはあったりするんですけど、旅行全体が給与扱いになってしまうので気をつけてください。

なるほど。参加しなかった人に支給した分だけじゃなくて、全体が経費にできなくなっちゃうってことですね。これは困りますね。
はい。参加しない社員からすれば、やっぱりなんで旅行に行った人だけ優遇されるのよってことでお金をちょうだいっていうのもあるかもしれないんですけども、そこはもう事前にちゃんと説明していかないと、税務上もダメだし従業員側の不満にもつながってくるので、しっかりとした事前の対策が必要かなと思います。

5つ目は取引先の接待ではないことですね。そもそも福利厚生費って従業員のモチベーションアップというか、慰安とかそういう意味合いがあるので、給料や賞与とは別に会社が支出する費用となっております。取引先など社外の人の旅費も含めてしまうと、福利厚生費じゃなくてどちらかというと交際費だという意味合いが変わってくるということですね。

この場合は会社が負担した旅費全体が経費にならないってことですか?
いえ、こういった場合は社員の旅費については福利厚生費として計上して、取引先の人の旅費などに関しては交際費として計上することになります。だから会社の負担分を経費にすること自体は可能ってことですね。

なるほど。別々で計上する必要があるってことですね。取引先も参加するような社員旅行を企画するのであれば、経理処理を間違えないようにする必要があるってことですね。
はい、そういうことですね。

家族同伴や家族経営の場合の旅行費はどうなる?
ここまでは社員旅行が福利厚生費になる条件についてお話いただいたんですけど、社員旅行では家族を同伴させたいという社員も結構いますよね。そういった場合、家族の旅費を会社が負担すればその分も経費にできたりするんですか?
基本的には難しいと思っております。先ほどもお話ししたように、福利厚生費はあくまでも社員のために支出した費用になってきます。社員以外の人に支出した費用については福利厚生費としては扱われないということですね。
社員の家族の旅費を会社で負担した場合は、基本的にはその社員の給与として扱われてしまいます。

まあ出すことはできるんですけども、社員のお給料として扱っていく必要があるということですね。福利厚生費の定義から考えても経費にすることが難しいってことですね。
はい。

じゃあ家族経営の会社で社員旅行を行う場合はどうですか?
その場合も基本的に福利厚生費としては処理できない可能性が高いです。ただし旅行の目的が慰安目的の社員旅行ではなくて業務の遂行に必要なものだった場合は、少し話が変わってきます。
例えばその旅行の目的が新店舗の出店準備ですとか生産拠点の視察とか、そういった場合は出張旅費として計上できる可能性もありますよね。ただしこの場合は、旅行の参加者が業務遂行のために参加する必要があることを証明する必要があります。

これはどうやって証明するのがいいんですか?
その家族がなぜ必要なのかということを記録として残しておかないといけないですよね。だからレポートの作成ですとか、視察のための旅行だったということであれば、やっぱりそれなりのね、会社の重要なメンバーとして行ったという証拠作りが必要ってことですね。

なるほど。ちゃんと仕事で行ったことが証明できれば経費にできる可能性はあるってことですね。
基本仕事で行ってるんじゃないですか、違うんですかね。

でもどうしても会社のお金でちょっと遊びに行きたいですね。なかなか難しいですね。大企業だと保養所とかあって安く旅行できるじゃないですか。中小はそういうのなくてちょっと苦しいです。
そうですね。まあただですね、方法もないわけではないんじゃないかなとは思っていまして。

どうするんですか?
旅行費の補助というのを使えばいいんじゃないかなと思っています。福利厚生として何でもかんでも会社が負担というよりも、会社からその社員のプライベート旅行に対して一定の補助を出すことができるんじゃないですかね。

そういうのがあるんですね。これはいくらぐらいもらえるんですか?
まあ一般的には1泊当たり数千円を年に数回までとか、そういった形ですかね。ただしこれも福利厚生費になるので、結局社長も従業員もみんなちゃんと使えるように定めておく必要があります。

なるほど。
また会社からの補助金を社員に直接渡すと給与と見なされて課税されてしまうので、経費にするためにはまず会社名義でその旅行の予約を取って支払います。会社が払ってあげて、その補助した分を差し引いた金額を後から従業員に請求する形を取る必要はあります。

なるほど。これはいいこと聞きました。まあちょっと面倒くさいんですけどね。
これは1ついいやり方かなと思いますね。

社員旅行を経費計上する際のその他の注意点
ちなみに経費で社員旅行する際の注意点はありますか?
まず例えばですね、社員のパスポート申請代を会社が負担する時もあったりするんですけども、税務上だとこれは給与として扱われます。給与なので経費とすること自体は可能なんですけども、社員側の所得税とか社会保険料が増えてしまう可能性があるので、その点は注意が必要です。

会社でパスポートの申請代を負担する場合は、事前に社員に給与扱いになることを説明しておく必要があるってことですかね。
そうなんです。だから結構ですね、この辺をすっ飛ばしてパスポート代を負担するよってやってる会社さんも中小企業だとあったりするんですけど、本当はそれが給与だよってことを知っておいてほしいですね。

税務調査に備えて保管すべき書類とは
あとこの社員旅行を経費として計上するためには、社員旅行が実施された証拠となる書類を保管しておく必要があります。税務調査の現場では、やっぱりその社員旅行に行った時の記録というか、予定表を出してくださいとか、どういったことをやったんですかとか色々聞かれたりするので、税務調査で質問を受けたとしてもちゃんと回答できるように書類の準備だったり証拠の整理というのをやっておいてほしいなと思います。

まあ、どんな書類を保管しとけばいいんですか?
例えばよく聞かれるのが以下のようなものですね。まず参加者リスト。一応、職場従業員の50%以上が参加しているということを証明するためにもこの参加者リストは必要ですし、旅行のスケジュール表も結構求められたりしますね。

なるほど。スケジュールがないと4泊5日以内の旅行だったことも証明できないかもしれないですね。
そうそう、そういうことですね。あとは旅行中に発生した請求書ですとか領収書、現地での集合写真なども保管しておくと、税務調査で質問を受けたとしても説明しやすいですし、調査官の方々も税務署の中で上司に説明する時もやりやすいんじゃないかなと思います。

なるほど。経費で旅行するんだったら、そういった資料は確実に保管しておきたいですね。
そうなんですよね。

- 参加者リスト(50%以上の参加を証明するため)
- 旅行のスケジュール表(日程・行程の証明)
- 請求書・領収書(旅行中に発生した費用)
- 現地での集合写真
業務を兼ねる旅行の場合は科目に注意
あとはですね、業務を兼ねる旅行の場合は福利厚生費にならないんですけども注意が必要で、業務を兼ねている時もですね、悩ましいのが観光を兼ねている時があるんです。この観光期間については経費にしてもいいのではないかと考える人も多いんですけども、残念ながら私的な旅行と判断されてしまうので、その観光分については経費にならないので注意が必要です。

ということは業務のついでに社員旅行をすることはできないってことですか?
まあそうですね。ただしですね、業務期間の宿泊費とか交通費については出張旅費として計上することが可能となっております。なので間違えて福利厚生費として計上しないように、出張旅費として経費計上してほしいなと思いますね。

ちょっとその辺、どういった場合にどの経費に計上できるか正確に把握していくことが重要ってことですかね。
本当にちょっと悩ましいんですよね。今日は福利厚生費というのと出張旅費というのの2つがこう発生しているので、皆さんごちゃごちゃになりやすいんですけども、あくまでも仕事を兼ねてやっていくということであれば出張旅費に入れてほしいですし、従業員の慰安目的ということであれば福利厚生費として処理してほしいなと思います。

ということですね。ありがとうございます。
終わりに
本記事の内容は YouTubeチャンネル 社長の資産防衛ch の下記動画を参考に作成しています。AIによる書き起こしを活用しているため、誤字脱字がある可能性があります。ご了承ください。本サイトは 社長の資産防衛chを応援しています!
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