節税対策

一人社長でも使える企業型DCとは?税理士・社労士が徹底解説【節税対策】

一人社長でも使える企業型DCとは?税理士・社労士が徹底解説【節税対策】
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企業型DC(確定拠出年金)は一人社長でも使える節税策。イデコとの違いや会社・従業員それぞれのメリット・デメリットを解説します。

企業型DCとは?大企業だけの制度ではない

法人向け節税ランキングの第8位にランクインしたこの企業型DC(確定拠出年金)、別名「401k」とも呼ばれますが、実は意外と知られていません。

「大企業だけの制度」というイメージを持っている方が非常に多いですが、実はそうではありません。中小企業でも十分に使える制度であり、社長1人だけの会社でも非常に使い勝手が良い節税策です。

📌 ポイント

企業型DCの運用には、税理士だけでなく社会保険労務士(社労士)のサポートも必要になります。導入を検討する際は、企業型DCの経験がある社労士に相談することが重要です。

今回は以下のコンテンツ構成でお届けします。前編では①〜③、後編では④〜⑥を解説します。

  1. 企業型DCとイデコの違い
  2. 企業型DCの会社側のメリット・デメリット
  3. 従業員側のメリット・デメリット
  4. 節税シミュレーション
  5. 運用コスト(費用)
  6. 手続き・運用面の詳細

📝 このセクションのまとめ

  • 企業型DCは大企業だけの制度ではなく、中小企業・一人社長でも活用できる
  • 別名「401k」とも呼ばれる
  • 運用には社労士のサポートが必要

企業型DCとイデコ(iDeCo)の違いを整理する

基本的に内容はほぼ同じです。どちらも年金制度であり、資産運用・投資の側面も持ちます。老後の年金のための資産運用として、自ら商品を選んで投資していく仕組みです。当然、投資なのでマイナスが出ることもあればプラスになることもあります。ただ、商品選びを間違えなければ、リスキーなものに投資しなければ大きな失敗はないと言えます。

厚生労働省のウェブサイトによると、年金制度は以下のような3階建て構造になっています。

階層対象者制度
1階全員(自営業・学生・会社員・経営者)国民年金
2階会社員・会社経営者厚生年金
3階任意加入イデコ・企業型DC

イデコも企業型DCも、この3階部分にあたります。さらに老後の年金を増やすための制度です。イデコが「個人版」、企業型DCが「企業版」の確定拠出年金というイメージです。

具体的な違いを表でまとめます。

比較項目イデコ(個人型)企業型DC(企業型)
加入主体個人会社が導入・社員が加入
掛け金の負担者自分(個人)会社(+本人の上乗せ可)
月々の掛け金上限自営業:68,000円、会社員等:12,000円〜イデコ併用なし:55,000円、イデコ併用あり:27,500円
手数料負担個人負担会社負担
運用商品数多い(SBI証券等)少ない傾向(運営管理機関による)
税制メリット所得控除(所得税・住民税の節税)全額損金(福利厚生費として経費計上)
加入可能年齢65歳未満最大70歳まで延長可(2022年5月〜)

📌 2022年の重要な法改正

  • 2022年5月〜:企業型DCに加入できる年齢が最大70歳まで延長可能に(会社の規約による)
  • 2022年10月〜:イデコと企業型DCを併用して掛け金をかけることが可能に

📝 このセクションのまとめ

  • イデコは「個人版」、企業型DCは「企業版」の確定拠出年金
  • 企業型DCは会社が掛け金を負担し、手数料も会社持ちになる
  • 2022年の法改正でイデコとの併用や加入年齢延長が可能になった

企業型DCの仕組み:運営管理機関と資産管理機関

企業型DCの仕組みを簡単に説明します。まず会社は運営管理機関を選択して、企業型DC手続きのサポートをしてもらいます。運営管理機関とは、証券会社・銀行・生命保険会社・信託銀行などが該当します。

運営管理機関は、会社から加入の手続きを受けて、社員の加入履歴を管理・記録します。また、社員からの「こういう運用をしてください」という指示を取りまとめる機能もあります。

次に資産管理機関というものがあります。会社が出した掛け金はこの資産管理機関(主に信託銀行)がお金を保管し、60歳以降になったら社員本人に給付を行う流れになります。資産管理機関は、運営管理機関が決まると、それに紐づいている形でおのずと決まってきます。

📌 従来の退職金制度との違い

従来の退職金は会社が1社で運用・預かっていた歴史があります。そのため、会社が倒産したり運用に失敗したりした場合には退職金が減ってしまうリスクがありました。企業型DCは個人資産を保全するという意味で安全な制度です。

📝 このセクションのまとめ

  • 会社は運営管理機関(証券会社・銀行等)を選択する必要がある
  • 資産管理機関(主に信託銀行)が掛け金を保管し、60歳以降に給付する
  • 従来の退職金と異なり、個人資産として保全されるため倒産リスクがない

会社側のメリット・デメリット

企業型DCを導入した場合、会社側にはどのようなメリット・デメリットがあるのでしょうか。

【会社側のメリット】

  • 福利厚生の充実:採用力の強化や「退職金制度があります」とアピールできる
  • 掛け金の全額損金算入:福利厚生費として全額経費になる(節税効果が非常に高い)
  • 税金と社会保険料の節減:掛け金は給与扱いにならないため、社会保険料の負担も抑えられる
  • 掛け金の運用リスクなし:会社が掛け金を出しても、運用は本人が行うため、運用結果の責任は会社にない
  • 役員の資産形成:役員が企業型DCに加入した場合、早期に自分への福利厚生として自分の資産を形成できる

特に福利厚生のメリットは大きいと言えます。今の時代は人口減少が続き、人手不足の会社が非常に多いです。これからの時代を乗り切るためには労働環境を整えていくことが非常に重要であり、この福利厚生メリットが一番大きいとも言えます。

会社が負担する掛け金の金額は会社によってまちまちですが、多いのは1人あたり月3,000円〜10,000円程度が多い傾向です。役職や勤務年数によって金額が変わることもあります。企業型DC用の退職金規定を就業規則に定めて、細かく決めていく形になります。

【会社側のデメリット】

  • 各種手数料がかかる:導入時・運用時・給付時にそれぞれコストが発生する(詳細は後編で解説)
  • 事務手続きが面倒:入退社のたびに資格取得・喪失の手続きが必要になる

⚠️ 注意

退職者が出た際に喪失手続きを忘れると、会社がずっと掛け金をかけ続けなければならないという危険な状態になります。特に資格の取得・喪失手続きはしっかり行うことが重要です。遡って手続きはできますが、気づかずそのままにしてしまうと非常に危険です。

📌 どんな会社に向いているか

入退社が少なく社員が長く在籍する会社では事務負担が少なく運用しやすいです。パッと見では従業員10人以上の会社向けの制度というイメージがありますが、一人社長の場合は福利厚生というよりも節税目的として活用するのが最大のメリットになります。

📝 このセクションのまとめ

  • 掛け金は全額損金算入できるため節税効果が高い
  • 人手不足の時代に福利厚生として採用力強化にも繋がる
  • 退職者の喪失手続き忘れには十分注意が必要
  • 一人社長には節税目的での活用が特に有効

従業員側のメリット・デメリット

次に、従業員(社員)の立場から見たメリット・デメリットを解説します。

【従業員側のメリット】

  • 退職所得控除の適用:将来一時金で給付を受け取った場合、退職所得控除を受けられるため大幅に税金がかからなくなる(イデコと同様)
  • 資産の持ち運び(ポータビリティ):会社を退職してもイデコに資産を移すことができる。転職先に企業型DCがある場合は企業型DCに移管、ない場合はイデコ1本で継続可能
  • 会社倒産時も資産が保全される:個人の資産として別管理されているため、会社が倒産しても掛け金は守られる
  • 手数料を会社が負担してくれる:加入時・運用時・給付時の各種手数料を会社が負担してくれる
  • 掛け金と運用益が非課税:運用中の利益に税金がかからない
  • 税金と社会保険料の節減:掛け金は給与として扱われないため、所得税・住民税・社会保険料の節減になる

手数料については、以前の動画でもご紹介した通り、加入時に約2,829円かかり、運用時に最低でも月171円かかり、給付時にもコストが発生します。企業型DCは社員の立場からすれば、これらを勤務先が負担してくれるのが一番大きなメリットと言えます。

【従業員側のデメリット】

  • 原則60歳になるまで給付を受けられない:目先のお金を大事にしたい人には「遠い話」と感じられることも
  • 資産運用の知識が必要:どの商品を選んだらいいかわからない従業員も多い。わからなくて定期預金に入れておく方もいるが、金利が低いため実質的なリターンが少ない
  • 受け取り金額が変動する:運用次第で増えることも減ることもある自己責任の側面がある
  • 退職後の手続きが必要:会社を辞めた後、自分でイデコへの移管手続きをしないと手数料を払いながら運用し続けることになる
  • 転職先に企業型DCがない場合の掛け金減少:例えば転職前に会社が月5万円出してくれていた場合、転職先に企業型DCがなければイデコ1本となり、掛け金が月2万3,000円程度まで減らさなければならないケースもある

⚠️ 注意

企業型DCで定期預金に投資する場合は手数料が会社負担なので問題ありませんが、個人のイデコで定期預金に投資すると手数料が個人負担となり、利息よりも手数料の方が高くなってしまうケースがあります。イデコで定期預金を選ぶ方は注意が必要です。

📝 このセクションのまとめ

  • 退職所得控除が使えるため受け取り時の税負担が大幅に軽減される
  • 転職・退職後もイデコへ資産を持ち運べる(ポータビリティ)
  • 手数料を会社が負担してくれる点が従業員にとって最大のメリット
  • 60歳まで引き出せない・運用リスクがある点はデメリット
  • 退職後の移管手続きを忘れずに行うことが重要

企業型DCを導入する際の注意点と社労士の重要性

企業型DCを導入するためには、退職金制度をまず作る必要があります。企業型DC用の退職金規定を就業規則に設けて、細かく決めていく形になります。明日からすぐに始められるものではなく、ある程度の準備と体制が必要です。

また、企業型DCのサポートができる社労士は実は多くありません。肌感覚では社労士全体の1〜2割程度しか企業型DCの経験がないと言われています。導入を検討する際は、企業型DCの経験が豊富な社労士に相談することが非常に重要です。

📌 節税効果のまとめ

  • イデコ(個人型):掛け金が所得控除になり、所得税・住民税の節税になる
  • 企業型DC:掛け金が全額損金(福利厚生費として全額経費)になる。さらに給与扱いにならないため社会保険料の節減にもなる

具体的な節税シミュレーションや運用コストの詳細については後編で解説します。

📝 このセクションのまとめ

  • 導入には退職金規定の整備が必要で、事前準備が欠かせない
  • 企業型DCに対応できる社労士は全体の1〜2割程度と少ない
  • 掛け金は全額損金算入かつ社会保険料の節減にも繋がる二重の節税効果がある

終わりに

本記事の内容は YouTubeチャンネル 税理士YouTuberチャンネル!! / ヒロ税理士 の下記動画を参考に作成しています。AIによる書き起こしを活用しているため、誤字脱字がある可能性があります。ご了承ください。
本サイトは 税理士YouTuberチャンネル!! / ヒロ税理士を応援しています!

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