節税対策

駆け出し社長必見!決算書・申告書で税理士が解説する絶対チェック項目7選

駆け出し社長必見!決算書・申告書で税理士が解説する絶対チェック項目7選
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顧問税理士に丸投げは危険!駆け出し社長が必ず自分でチェックすべき決算書・申告書の重要項目7選を徹底解説します。

法人の申告書は個人事業主と何が違うのか

法人化の最大のデメリットの1つとして、申告書の作成が個人事業よりも大変であることが挙げられます。個人事業主の時代と違ってとても自分では作れないということで、顧問税理士に任せるという方が非常に多いのが現状です。

しかし経営者としてちゃんと把握しておくべき項目は結構あります。決算書と申告書をノーチェックでいると、税務調査で想定外の追徴課税を食らってしまうこともありますし、融資審査や投資判断でミスをすることもあります。

税理士という税の専門家に任せているから大丈夫だろうと思う人も多いと思いますが、思わぬミスや、税額計算上の有利・不利の判定を誤っている事例もたまにあります。最終的な責任は依頼者である納税者自身にありますので、しっかり理論武装しておくことが大事です。

比較項目個人事業主法人
提出先税務署のみ(住民税・事業税は自動付加)税務署・都道府県・市町村の3箇所
申告期限翌年2月16日〜3月15日決算日から2ヶ月以内
申告書の枚数基本2枚(第1票・第2票)約20枚以上
計算構造決算書→申告書決算書→別表調整→申告書本体
添付書類控除証明書など勘定科目の内訳明細・事業概況書など

📌 ポイント

法人の申告書は個人事業主と比べてボリュームが格段に多く、税務署・都道府県・市町村の3箇所すべてが申告納税方式です。自ら計算して申告しなければなりません。

📝 このセクションのまとめ

  • 法人申告書は約20枚以上と非常にボリュームが多い
  • 顧問税理士に任せていても、経営者自身が把握すべき項目がある
  • 最終的な納税責任は納税者自身にある

チェック項目①:自己資本比率と繰越欠損の金額

まず必ず把握しておきたいのが、自己資本比率繰越欠損の金額です。

貸借対照表の左側に資産、右上に負債が来て、その差額が純資産(純財産)になります。自己資本比率とは、総資産全体に占める純資産の比率のことです。

  • 負債(他人資本):他人から借りているもの。返済が必要で、将来お金として出ていくもの
  • 純資産(自己資本):資本金など。返済が不要で、お金として出ていかないもの
  • 総資本:負債+純資産。事業活動を行うために集めた資金の合計

計算式は「自己資本 ÷ 総資本 × 100 = 自己資本比率(%)」です。

📌 ポイント

理想の自己資本比率は25%以上。それ以上あれば中小企業として優良企業として見てもらえる基準になります。自己資本比率が高ければ高いほど健全で、借金への依存度が低いと評価されます。

資産よりも負債が多く、純資産が空洞になっている状態を債務超過と言います。損益計算書で赤字が積み上がっていくと、この状態に陥ります。債務超過になると金融機関からの資金調達が非常に厳しくなり、融資審査における評価が著しく低くなります。

また、法人で青色申告をしている方は、赤字を最長10年間繰り越すことができます。これを繰越欠損と言います。今期は赤字だったけれど来期しっかり利益が出た場合、この赤字を繰り越して未来の節税ができるというものです。

繰越欠損の金額は、申告書の別表7で確認できます。10年間の各年度で発生した繰越欠損と当期発生した繰越欠損、その合計が分かります。また、法人税申告書のトップページである別表1にも累計金額が表示されています。

📝 このセクションのまとめ

  • 自己資本比率は25%以上が理想。貸借対照表で確認する
  • 債務超過になると融資審査が著しく不利になる
  • 繰越欠損は最長10年繰り越せる。別表7・別表1で金額を確認する

チェック項目②:経営セーフティ共済の経理処理

経営セーフティ共済(正式名称:中小企業倒産防止共済)とは、取引先が倒産した時に掛金総額の最大10倍・最大8,000万円まで、無担保・無保証・低金利で共済金の融資を受けられる共済制度です。

売掛金などの債権がないと対象となりませんので、現金商売の方は基本的に難しいです。新設法人の1年目でいきなり加入するのは基本NGですが、個人事業主として活動していて法人成りをする方は加入できます。

この制度が人気の理由は節税効果です。

項目内容
掛金の範囲月額5,000円〜20,000円(途中変更可)
積み立て上限800万円
節税効果掛金が全額経費計上可能
解約時40ヶ月以上で全額返金
前納1年分まで全納で経費算入可(希望月の5日まで)
借入解約手当金の範囲内で借入可(金利0.99%)

例えば毎月最大20万円かけておいて、前納の手を使えば1年分の前払いでさらに240万円、合計最大460万円もの経費を作ることができます(上限800万円に達するまで)。

⚠️ 注意

経営セーフティ共済を経費に落とすには、法人税申告書に別表10の7を添付することが必須です。これを忘れると経費に落とせません。この添付漏れは税務調査で必ず指摘されます。申告書に別表10の7がちゃんと含まれているか必ず確認してください。

さらに、経理処理の方法にも注意が必要です。

経理処理の方法内容融資審査への影響
一般的な方法(保険料として経費処理)掛金を「保険料」として費用計上する自己資本が削れる。赤字が積み重なると債務超過リスクあり
おすすめの方法(保険積立金として資産計上)掛金を「保険積立金」として資産計上し、別表4で損金算入処理+別表10の7を添付自己資本が減らない。財務体質が良い状態をキープできる

「資産計上したら経費に落ちないのでは?」と思われるかもしれませんが、別表10の7を添付し、別表4で損金算入処理をすれば節税効果はしっかり得られます。最大800万円を経費計上するか資産計上するかでは、融資審査における印象が全然違います。

📝 このセクションのまとめ

  • 経営セーフティ共済は連鎖倒産防止+節税+貯蓄・貸付ができる優れ物
  • 申告書への別表10の7の添付が必須。忘れると経費に落とせない
  • 融資審査を意識するなら「保険積立金」として資産計上する方法がおすすめ

チェック項目③:役員借入金や特別損失の科目表示

融資審査を有利に進めるための科目表示についても確認が必要です。

貸借対照表の右側に役員借入金という科目がありますが、これを長期借入金に混ぜてしまう事例が結構多いです。役員借入金とは、社長やオーナーが直接会社に貸し付けたものです。

  • 役員借入金:オーナーが会社に貸したもの。実質的に返済不要なケースも多く、純資産の部に含めて評価されることがある。融資審査では有利
  • 役員貸付金:会社が社長個人に貸したもの。実態のない資産として見られ、融資審査では非常に印象が悪い

役員借入金を長期借入金に混ぜてしまうと、銀行から借りているものとして見られてしまいます。独立表示として役員借入金を別途表示しておくことで、融資審査における印象が大きく改善されます。

また、損益計算書における特別損失の表示も重要です。特別損失とは、災害による損失や車両の売却損など、臨時的な費用のことです。

⚠️ 注意

災害損失や車両売却損などの臨時的な費用を販売費及び一般管理費に混ぜてしまうと、営業利益・経常利益が悪化します。これらは会社の純粋な実力を示す数字なので、臨時的なものは必ず「特別損失」の区分に計上されているかどうか確認してください。

📝 このセクションのまとめ

  • 役員借入金は長期借入金と混ぜず、独立表示することで融資審査が有利になる
  • 役員貸付金は融資審査で非常に印象が悪いため注意
  • 臨時的な費用(災害損失・売却損など)は特別損失の区分に正しく計上する

チェック項目④:一発で落とすか減価償却費にするか

減価償却とは、車・機械・建物など長期間使用する資産について、その使用期間に応じて費用を配分していく方法です。購入年度に一発で全額経費に落とすことはできず、翌年以降も少しずつ経費計上していく必要があります。

耐用年数は資産の種類に応じて国税庁によって定められています。

資産の種類耐用年数
RC建物47年
木造建築22年
自動車6年
パソコン4年

例えば25万円のパソコンを購入した場合、法人の原則的な計算方法(定率法)では、1年目の償却費は25万円 × 0.5 = 12万5,000円となります。2年目以降は残額に対して0.5をかけていくため、時が経過するにつれて少しずつ償却費が減っていきます。

ただし、減価償却には以下のような特例があります。

区分取得価額の要件処理方法償却資産税
A:原則制限なし耐用年数で減価償却申告対象
B:少額資産10万円未満全額即時経費計上申告対象外
C:一括償却資産20万円未満1/3ずつ3年間で均等経費算入申告対象外
D:少額減価償却資産(青色申告特典)30万円未満全額即時経費計上(年間取得価額300万円が上限)申告対象

⚠️ 注意

30万円未満なら一発で経費に落とせるからといって、常に即時経費計上が有利とは限りません。赤字が出ている場合は一発で経費に落とすと赤字がさらに膨らみます。黒字か赤字かによって、即時経費計上にするか減価償却で繰り延べるかを判断することが重要です。

📝 このセクションのまとめ

  • 30万円未満の資産は青色申告特典で全額即時経費計上が可能
  • 黒字なら早く経費に落とす方が有利だが、赤字の場合は逆効果になることも
  • 会社の状況に応じて即時経費計上か減価償却かを都度判断することが大切

チェック項目⑤:貸倒引当金が計上されているか

法人税の申告では、まだ債務が確定していない費用の見積もり計上は基本的にNGです。しかし貸倒引当金だけは例外的に見込み計上が認められています。

貸倒引当金とは、売掛金や受取手形などの売上債権のうち、一部は将来貸し倒れるであろうということで、業種に応じた一定の率をかけて経費計上できる制度です。

業種繰入率
卸売業・交流業(小売業等)10/1000(1%)
製造業8/1000(0.8%)

貸借対照表の左上、売掛金の下にマイナスで「貸倒引当金」として計上されているかどうかを確認してください。これは節税項目の1つです。計上されていない場合は顧問税理士に確認することをおすすめします。

📝 このセクションのまとめ

  • 貸倒引当金は法人税で唯一認められた見込み経費計上の制度
  • 業種ごとに繰入率が定められており、節税効果がある
  • 貸借対照表の売掛金の下にマイナス計上されているか確認する

チェック項目⑥:接待交際費か会議費かの区分経理

飲食代と一口に言っても、経費の種類はさまざまです。正しく区分経理されているかどうかを確認しましょう。

飲食・食事の種類経費科目注意点
1人での食事代役員給与(経費NG)税務調査で指摘される。金額が小さくてもNG
従業員との打ち上げなど福利厚生費社内での食事提供は源泉徴収が必要な場合あり
打ち合わせでの喫茶店など会議費議事録があれば理想的
取引先との接待接待交際費法人は年間800万円の上限あり
動画制作などの企画関連費制作費・経費企画との関連性があればOK

⚠️ 注意

1人での食事代を経費に落とせると思っている社長さんがいますが、これは間違いです。税務調査が入っていないか、金額が小さくてスルーされているだけです。基本的にアウトです。

接待交際費には年間800万円の上限があります。接待交際費が800万円を超えているのに、会議費や福利厚生費が一切使われていないという場合は、内容の判断が適切になされていない可能性があります。

顧問税理士が全部の飲食代を接待交際費に突っ込んでいるケースもあります。必ずしも顧問税理士が悪いわけではなく、皆さんの方でレシートの内容について「会議費か接待交際費か」を明記していないことも原因として考えられます。この点について今一度確認し、おかしいと感じたら顧問税理士とコミュニケーションを取ることをおすすめします。

📝 このセクションのまとめ

  • 1人での食事代は役員給与扱いで経費NG
  • 接待交際費には年間800万円の上限がある
  • 飲食代はすべて接待交際費に突っ込まず、会議費・福利厚生費などに正しく区分する

チェック項目⑦:消費税の計算方法は最適か

消費税の計算方法は、インボイス制度の開始により3種類に増えました。

計算方法概要適用要件
本則課税受け取った消費税から支払った消費税を差し引いて納税原則的な方法
2割特例受け取った消費税の2割だけを納税基準期間の課税売上高1,000万円以下かつインボイス取得により課税事業者になった方。令和8年9月30日の属する課税期間まで
簡易課税業種ごとのみなし仕入率を使って簡便に計算基準期間の課税売上高5,000万円以下かつ事前に届出を提出した場合

同じ売上・経費でも計算方法によって納税額が大きく変わります。例えば売上3,000万円・経費2,000万円の自動車修理業の場合を見てみましょう。

計算方法計算内容納税額
本則課税受取消費税300万円 − 支払消費税200万円100万円
2割特例受取消費税300万円 × 20%60万円
簡易課税(修理業)受取消費税300万円 × 10%(みなし仕入率90%)30万円

この例では、簡易課税が圧倒的に有利です。簡易課税が使えるのに本則課税になっていて、余計な税金を払っていたというケースも稀にあります。事前にシミュレーションをして計算方法を選ぶことを強くおすすめします。

なお、2割特例は令和8年9月30日の属する課税期間までの一時的な制度です。その後は廃止の予定になっています。

さらに、本則課税の場合、取引先がインボイスを持っていないと支払った消費税の控除に制限があります。

期間控除できる割合
〜2026年9月30日80%
2026年10月1日〜2029年9月30日50%
2029年10月1日以降0%(1円も引けない)

⚠️ 注意

2029年10月1日以降、取引先がインボイスを持っていなければ、支払った消費税を1円も控除できなくなります。取引先のインボイス登録状況を今から確認しておくことが重要です。

📝 このセクションのまとめ

  • 消費税の計算方法は本則課税・2割特例・簡易課税の3種類
  • 同じ売上でも計算方法によって納税額が大きく変わる。事前のシミュレーションが必須
  • 2割特例は令和8年9月30日の属する課税期間までの一時的な制度
  • 2029年10月以降、インボイスなしの取引先への支払消費税は全額控除不可

番外編:雑費が多すぎないか確認する

7つのチェック項目に加えて、もう1つ確認してほしいのが雑費の金額です。

雑費とは、販売費及び一般管理費のどの科目にも属さない、その他の経費のことです。この雑費が他の科目に比べて圧倒的に多い場合は問題です。

⚠️ 注意

雑費が異常に多いと、税務当局から「何か怪しい経費が入っているのか、あるいは適当な会計処理をしているのか」と疑われます。雑費は本来ごく少額であるべき科目です。決算書に雑費が多額に計上されていないか確認してください。

数字に強い経営者になるための対策

以上の7つのチェックポイントを踏まえた上で、今後どのように対策していけばよいかをまとめます。

  1. 顧問税理士を正しく活用する方法を知る
    今回解説した7つのチェックポイントを顧問税理士に投げかけてみましょう。「この社長さんは結構詳しい」と思われ、より丁寧な対応が期待できます。
  2. 月次ミーティングを実施して決算書を読み込む癖をつける
    申告書だけを丸投げするのではなく、会計ソフトで月次決算をしっかり行い、毎月の数字の解説を顧問税理士から受けることで数字に強い経営者になれます。習うより慣れろが大切です。
  3. セカンドオピニオンを活用する
    顧問税理士がいない方は、単発相談で税理士に意見を聞いてみることも有効です。

係数管理の分野はそれ自体が収益を生み出すものではないため、後回しにしがちな社長さんも多いです。しかし数字をしっかり見ておかないと未来の経営判断ができなくなります。会計ソフトなどの便利なツールを活用して、できるだけ効率よく・手間をかけずにタイムリーな現状把握をして、今後の経営活動に生かしていただくことをおすすめします。

📌 7つのチェック項目まとめ

  • ①自己資本比率と繰越欠損の金額(別表7・別表1で確認)
  • ②経営セーフティ共済の経理処理(別表10の7の添付確認)
  • ③役員借入金や特別損失の科目表示の適切性
  • ④一発経費計上か減価償却かの判断(状況に応じて選択)
  • ⑤貸倒引当金が計上されているか
  • ⑥接待交際費・会議費・福利厚生費の区分経理
  • ⑦消費税の計算方法は最適か(本則・2割特例・簡易課税のシミュレーション)

終わりに

本記事の内容は YouTubeチャンネル 税理士YouTuberチャンネル!! / ヒロ税理士 の下記動画を参考に作成しています。AIによる書き起こしを活用しているため、誤字脱字がある可能性があります。ご了承ください。
本サイトは 税理士YouTuberチャンネル!! / ヒロ税理士を応援しています!

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