節税対策

キャッシュが減らない法人節税ベスト3+番外編|税理士が解説

キャッシュが減らない法人節税ベスト3+番外編|税理士が解説
e_zeirishi

節税でキャッシュを守りたい法人経営者必見。実質的にお金が減らない節税ベスト3を具体的な数値付きで解説します。

節税には3つの種類がある

最近、期末に利益が出た際に「とにかく経費を使って節税しよう」と、使う予定のないものまで無理して購入している経営者が増えているようです。確かに大きな利益が出たときの税金の額に驚いた経験をお持ちの方は多いと思います。しかし、経費を使うということは、お金を失うということです。

節税の目的は、手元に少しでも多くのキャッシュを残し、それを次の投資に活かすことにあります。大きな利益が出たからといって、業務に不要な飲み会や不要なものを購入するのは単なる無駄遣いです。そういった場合は、むしろ納税したほうが絶対に良いといえます。一見、経費を計上して節税しているように見えても、実際には意味なく手元のキャッシュを減らしてしまっている可能性があります。

こうした背景を踏まえると、節税には大きく分けて以下の3種類があります。

節税の種類概要有効な場面
①お金を使う節税手元のキャッシュを使って経費を計上する(設備投資・即時償却など)キャッシュが豊富にあり、黒字と経費を相殺したい場合
②税金を繰り延べる節税今は税金がかからないが、後で納税が必要になる(小規模企業共済・オペレーティングリース・保険加入など)退職金・設備投資など大きな経費計上の予定がある場合
③実質的にお金が減らない節税お金を使わずに制度そのものを変えて節税するキャッシュを守りながら税負担を下げたい場合

②の「税金を繰り延べる節税」は、スキームの終わりに利益として戻ってくるため、出口対策が別途必要になる点に注意が必要です。

今回は、この3種類の中でも特に注目すべき「実質的にお金が減らない節税」について、ランキング形式で詳しく解説していきます。自分の会社の状況に合ったものを選んで実践することで、節税効果を十分に発揮できます。

📝 このセクションのまとめ

  • 節税には「お金を使う」「繰り延べる」「実質的に減らない」の3種類がある
  • 目的は手元キャッシュを最大限残すことであり、不要な支出は単なる無駄遣い
  • 今回は「実質的にお金が減らない節税」に絞って解説する

【第3位】家族を役員にして所得を分散する

実質的にお金が減らない法人節税の第3位は、家族を役員にすることです。

個人の所得税は、収入が多ければ多いほど税率が高くなる累進課税が採用されています。例えば所得が4,000万円超の場合は所得税率45%、さらに住民税10%が加算されるため、合計55%を税金として支払う必要があります。せっかく稼いだ金額の半分以上が税金で持っていかれてしまう計算です。

そこで、家族を役員にして役員報酬を支払い、所得を分散することで、1人で全額を受け取るよりも所得税率を下げる余地が生まれます。結果として、家族全体で支払う税金を抑えることができます。

📌 ポイント

非常勤役員でも問題ありません。ただし、非常勤役員は毎日勤務するわけではないため、報酬額が過大だと否認される可能性があります。

課題かどうかの判断基準は明確に定められているわけではありませんが、主に以下の点が確認されます。

  • 株主総会で決議を踏まえて報酬額が決定されているか(形式を守っているか)
  • 報酬の額が勤務実態に見合っているか
  • 職務の内容が明確に定められているか

対策としては、株主総会の議事録をきちんと作成し、その方にどのような役割を与えるのかを明確にしておく必要があります。

過去の事例として、平成17年12月に国税不服審判所であった裁決があります。お母様に「良い相談相手」という曖昧な役割を持たせ、月額300万円・年間3,600万円の役員報酬を支払っていたケースです。これは税務調査で過大として否認されました。

この不服審判では、月額15万円・年間180万円程度が妥当との判断が示されました。他の裁決事例を見ても、勤務実態が曖昧なケースでは月額5万〜15万円程度が認められる目安となっているようです。

⚠️ 注意

職務内容が曖昧なまま高額な役員報酬を支払うと、税務調査で否認されるリスクがあります。株主総会の議事録を整備し、職務内容を明確に定めておくことが重要です。もちろん、ご家族の貢献が明確であれば、高額な役員報酬を支払うことは問題ありません。

📝 このセクションのまとめ

  • 家族を役員にして所得を分散することで、累進課税の税率を引き下げられる
  • 非常勤役員でも可能だが、勤務実態が曖昧な場合は月5〜15万円程度が目安
  • 株主総会議事録の整備と職務内容の明確化が必須

【第2位】出張手当規程を設けて家賃以上の経費を計上する

実質的にお金が減らない法人節税の第2位は、出張手当を経費にすることです。この節税は経理事務も楽になるため一石二鳥です。一見すると旅費として手元のお金が減っているように見えますが、実はお金が手元に貯まっていく仕組みになっています。

個人事業主の場合、出張の旅費交通費は実費のみ経費にできます。これに対して法人の場合は、あらかじめ出張旅費規程を設けておけば、出張手当として定めた金額を経費にすることができます。なお、交通費は出張手当とは別に実費で経費計上が可能です。

具体的な数値で比較してみましょう。日当と宿泊費をそれぞれ2万円と定めた場合を例にとります。

項目個人事業主(実費のみ)法人(出張旅費規程あり)
宿泊費実費分のみ規程の2万円
日当なし規程の2万円
交通費実費8,000円実費8,000円
経費合計(1泊2日)28,000円48,000円

例えば宿泊をカプセルホテルで済ませ、実際の宿泊費が4,000円だったとしても、規程上の宿泊費2万円を受け取ることができます。理屈上は安いホテルに泊まり、その差額をポケットに入れることができます。

1回の宿泊付き出張で36,000円(日当2万円+宿泊費差額1万6,000円)を法人から個人に移転できる計算になり、手取りを増やすことができます。年間50回出張する方であれば、相当な節税効果が期待できます。

📌 ポイント

出張旅費規程を事前に整備することが前提です。規程がなければ定額の出張手当を経費計上することはできません。また、規程の内容が過大でないよう、同業他社の水準等を参考に合理的な金額を設定することが重要です。

📝 このセクションのまとめ

  • 法人は出張旅費規程を設けることで、実費を超えた出張手当を経費計上できる
  • 安いホテルに泊まった場合、規程額との差額を個人が受け取ることができる
  • 出張頻度が高い経営者ほど節税効果が大きくなる

【番外編】役員賞与の割合を大きくして社会保険料を削減する

第1位の前に番外編を紹介します。役員賞与の割合を大きくして社会保険料を削減するという方法です。この節税は会社から役員への報酬額が一定額を超えないと効果を発揮しないため、番外編としています。

社会保険料はお給料に比例して増減しますが、ずっと比例して増え続けるわけではありません。社会保険料には上限(天井)が設けられており、一定金額以上の高額な場合はそれ以上社会保険料がかかってこなくなります。そのため、社会保険料の負担割合が相対的に低くなります。

上限の具体的な数値は以下の通りです。

区分保険の種類上限額
標準賞与額(役員賞与)健康保険料年間累計 573万円
標準賞与額(役員賞与)厚生年金保険料1か月あたり 150万円
標準報酬月額(役員報酬)健康保険・厚生年金報酬月額 135万3,000円以上 → 標準報酬月額 139万円

役員報酬を抑えて役員賞与を高くすることで、役員賞与にかかる社会保険料の上限に引っかかります。その結果、役員報酬と役員賞与を足した総支給額が仮に同じであっても、全体の社会保険料が安くなる場合があります

具体的な試算を2パターン見てみましょう。協会けんぽ加入・東京都・40歳以上(介護保険料あり)の方で、会社から経営者への年間総支給額を900万円とします。

ケース役員報酬役員賞与社会保険料総額
ケース①(全額役員報酬)年間900万円なし191万1,972円
ケース②(報酬+賞与に分割)年間300万円年間600万円181万2,387円
差額(節約額)約10万円

総額900万円の場合は年間約10万円の節約となりますが、役員報酬・役員賞与の金額によってはさらに大きなインパクトを出せることがあります。次に年収1,200万円のケースで比較してみます。

ケース役員報酬役員賞与社会保険料の差額
役員報酬のみで受け取った場合月額100万円(年間1,200万円)なし約140万円の削減
報酬を抑えて賞与を多く受け取った場合年間60万円年間1,140万円

年収1,200万円のケースでは、年間約140万円もの社会保険料削減が可能となります。これは非常に大きな金額です。

⚠️ 注意

役員賞与は原則として経費にできません。経費にするためには「事前確定届出給与」として、事業年度の早い段階に税務署へ届出をしておく必要があります。また、役員賞与の金額が財務内容や法人の損益状況から見て適正な範囲かどうかも重要です。妥当でないと判断された場合は否認されることもありますので、必ず税理士と相談の上、金額を設定してください。

📝 このセクションのまとめ

  • 社会保険料には上限があり、役員賞与の比率を高めることで上限に引っかかり節約できる
  • 年収1,200万円の場合、役員賞与の比率を高めることで年間約140万円の削減が可能
  • 役員賞与を経費にするには事前確定届出給与の届出が必須
  • 金額の妥当性について税理士への相談が不可欠

【第1位】役員社宅制度を利用して家賃を経費にする

実質的にお金が減らない法人節税の第1位は、役員社宅制度を利用して家賃を経費にすることです。元々個人で支払っていた家賃を経費にするということで、実質的にお金が出ていかない節税とも言えます。

仕組みとしては、会社名義で物件を契約し、その物件を会社が役員に貸し付けるというものです。この制度を活用することで、以下の3つのメリットがあります。

  • 法人税の節税ができる
  • 社会保険料の負担が軽減される
  • 役員の手取りが増える

役員社宅制度の3つのメリットを詳しく解説

① 法人税の節税ができる

家賃20万円のマンションに住む一人社長が役員社宅制度を導入した場合で考えてみます。

お金の流れ金額
会社 → 大家(家賃支払い)20万円
役員 → 会社(家賃支払い)10万円
会社が経費にできる差額10万円

会社が大家に支払う家賃20万円と、役員が会社に支払う家賃10万円の差額10万円を経費にすることができます。この10万円分の経費計上により会社の利益が減り、法人税の節税につながります。

② 社会保険料の負担が軽減される

社会保険料は会社と個人が半分ずつ負担しています。給与や役員報酬が多くなればそれに連動して会社の支払う社会保険料も増えますが、逆に役員報酬を少なくすれば、それに連動して会社が支払う社会保険料を減らすことができます。

役員社宅を導入して安くなった家賃分だけ役員報酬を減額することで、結果として社会保険料を抑えることができます。

③ 役員の手取りが増える

役員報酬が10万円減ることで、所得税・住民税・社会保険料が下がります。報酬から家賃負担分を抜いた金額にかかる税金が減るため、結果として手取りが増えることにつながります。

📌 ポイント

役員個人で住居を契約した場合は単なる給与からの自己負担になりますが、役員社宅制度を活用すれば会社と個人の両方で手元にキャッシュを多く残せるというメリットがあります。社宅の家賃が安くなった分、役員報酬を減額しても、税金と社会保険料が下がるため手取りは増えるという仕組みです。

📝 このセクションのまとめ

  • 役員社宅制度は会社名義で物件を契約し、役員に貸し付ける仕組み
  • 会社が支払う家賃と役員が支払う家賃の差額を経費計上でき、法人税が節税できる
  • 役員報酬を減額することで社会保険料の負担も軽減される
  • 税金・社会保険料の減少により、役員の手取りが実質的に増える
  • 会社・個人の両方でキャッシュを多く残せる、最もバランスの良い節税方法

終わりに

本記事の内容は YouTubeチャンネル 社長の資産防衛チャンネル の下記動画を参考に作成しています。AIによる書き起こしを活用しているため、誤字脱字がある可能性があります。ご了承ください。
本サイトは 社長の資産防衛チャンネルを応援しています!

関連記事

役員社宅で家賃の90%を経費に!一人社長も使える節税制度を徹底解説
マイクロ法人×個人事業の二刀流で年間62万円・20年で1200万円以上節税する方法を解説
役員報酬以外で個人にお金を残す5つの方法を税理士が解説
     

東京エリア

千代田・中央・港区から副都心各区まで、東京の優良税理士法人ランキング

関西エリア

大阪・京都・兵庫・岡山など関西圏の信頼できる税理士法人ランキング

関東エリア

首都圏の神奈川・埼玉・千葉・北関東で実績のある税理士法人ランキング

中部エリア

製造業の集積地、中部・北陸圏で企業支援に強い税理士法人ランキング

九州・沖縄

九州・沖縄地域で地域密着型サービスに定評のある税理士法人ランキング

その他地域

北海道・東北・中国・四国地方の地域に根ざした税理士法人ランキング

記事URLをコピーしました
税理士紹介はこちら
税理士紹介はこちら