代表者住所非表示の落とし穴と法人設立直後の資金繰り3大悩みを税理士が解説

代表者住所非表示の落とし穴と法人設立直後の資金繰り3大悩みを税理士が解説
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法人設立直後に多くの経営者が直面する、お金の悩みと資金繰りの落とし穴を徹底解説します。

株式会社のメリット・デメリットをおさらい

合同会社などと比較すると、株式会社は信用力が高いという強みがあります。個人事業から法人成りする場合、特に所得水準が高い方は所得税の節税効果が大きいですし、消費税のインボイスを取得した場合でも2割特例を使えて消費税の節税効果が生まれる場合があります。

項目内容
✅ メリット①合同会社等と比較して信用力が高い
✅ メリット②所得税の節税効果(高所得者向け)
✅ メリット③消費税の2割特例が使える場合がある
❌ デメリット①代表者の個人住所が公開される(プライバシー問題)
❌ デメリット②社会保険への強制加入
❌ デメリット③税理士報酬が個人事業より高くなる
❌ デメリット④法人住民税の均等割(赤字でも年間約7〜8万円)
❌ デメリット⑤申告書が複雑になる・運営コストが増える

📝 このセクションのまとめ

  • 株式会社は信用力・節税面でメリットが大きい反面、コストやプライバシー問題というデメリットもある
  • デメリットのトップは代表者個人住所の公開であり、これを解消するための制度が2024年10月に始まった

10月開始「代表者住所非表示措置」の内容と落とし穴

正式名称は「代表取締役等住所非表示措置」といい、2024年10月からスタートしています。対象は株式会社のみで、登記申請の時に手続きができます。新設法人は会社を作るときに法務局で申し込みをすれば、代表者住所の非表示が可能です。

既存の法人に関しては、本店移転・代表取締役の就任・代表者の個人住所の変更といった事由がなければ、残念ながらこの非表示措置は使うことができません。また、会社が本店所在地に実在しないことが認められた場合(ペーパーカンパニーなど)は、この制度が取り消しになります。

📌 非表示措置の仕組み

たとえば「東京都千代田区霞が関1丁目1番1号」という住所の場合、「千代田区」より後の部分が非表示になります。ただし、非表示措置を使う前の住所履歴は残ります。後から撤回も可能です。

この制度のメリット・デメリットを整理すると以下のとおりです。

区分内容
✅ メリット個人情報保護・DV・ストーカー対策(特に芸能人・インフルエンサー向け)
❌ デメリット①信用力の低下(得体の知れない法人と見られる)
❌ デメリット②法人で不動産の売買をする際に追加資料が必要になる
❌ デメリット③過去の住所履歴は消えない(不完全な非表示)

⚠️ 注意:バーチャルオフィス+代表者住所非表示のダブル使いは特に危険

会社の本店所在地をバーチャルオフィスで借りている上に、代表者個人の住所も非表示にすると、会社の住所も代表者の住所もわからないという状態になります。これは法人口座の開設審査などで非常に不利になるため、特に新設法人は慎重に検討してください。

📝 このセクションのまとめ

  • 代表者住所非表示措置は株式会社のみ・登記申請時に手続き可能
  • 過去の住所履歴は消えないため、完全な非表示にはならない
  • 新設法人がこの制度を使うと信用力が低下し、以降で紹介するお金の悩みが増大するリスクがある
  • バーチャルオフィスとの併用は特に危険

お金の悩み①:法人名義の銀行口座が作れない

法人設立直後の最初の悩みとして非常に多いのが、法人名義の銀行口座が作れないという問題です。法人口座がなければ企業との取引が不便になり、特にBtoBで相手が上場企業など大きいところだとそもそも相手にしてもらえません。また、個人口座を使用することで税務署から脱税を疑われるリスクもあります。

昔は法人口座の開設も簡単でしたが、「犯罪による収益の移転防止に関する法律」が生まれたことで、マネーロンダリングなどの悪用を防ぐため審査が非常に厳しくなりました。

特に口座開設が難しくなるケースは以下のとおりです。

  • 会社設立前にブラックリスト入りしている
  • 資本金が1万円・10万円など極端に少ない
  • 定款を見ても何をやっている会社かよくわからない
  • 定款の事業目的が多すぎてメインの事業が不明
  • バーチャルオフィスかつ代表者住所も非表示(ダブルで住所不明)

📌 解決策:段階的に口座ラインナップを広げる

  1. まずはネット専業銀行(ネットバンク)を複数当たってみる。新設法人でも開設しやすい傾向がある
  2. 事業が軌道に乗り、2期目の決算を組めるようになると銀行口座の開設も融資も受けやすくなる
  3. その頃にメガバンクや地方銀行の口座を作り、徐々にラインナップを広げていく

📝 このセクションのまとめ

  • 法人口座の開設は以前より大幅に難しくなっている
  • 新設法人はまずネットバンクから始め、2期目以降に大手銀行へ広げるのが現実的
  • 代表者住所非表示はこの問題をさらに悪化させる要因になる

お金の悩み②:法人名義のクレジットカードが作れない

法人設立直後の2つ目の悩みが、法人名義のクレジットカードが作れないという問題です。銀行口座の開設と同様、新設法人は信用力がないためクレジットカードの審査に通りにくく、代表者の個人住所まで不明となればなおさらです。

⚠️ 個人カードでの立替精算は絶対にやめるべき理由

「法人カードが作れないなら個人カードで立替精算すればいい」と考えがちですが、これはおすすめできません。個人カードで支払うとキャッシュアウトが個人口座になるため、法人の財布と個人の財布が混在してしまいます。法人を作った以上、法人の財布と個人の財布は必ず分けておくことが大切です。

法人カードを使うメリットは以下のとおりです。

  • 経理業務の簡素化:法人名義の銀行口座から引き落とされるため、個人と法人の支出が明確に区別できる
  • キャッシュフローの改善:支払いまで約1ヶ月のタイムラグが生まれ、資金繰りに余裕ができる
  • コスト削減:ポイント還元によって実質的なコスト削減につながる

📌 新設法人におすすめ:マネーフォワード ビジネスカード

通常のビジネスカードは決算書の提出が必要ですが、このカードは決算書の提出が不要で、独自の審査により最短10秒で与信枠を算出できます。場合によっては与信枠以上の高額決済も可能です。

  • インボイス制度・電子帳簿保存法への対応が可能
  • 部署・目的別に無制限のカード発行が可能
  • 会計ソフトとのクラウド連携で自動仕訳・経理業務の効率化
  • 初期費用・年会費無料、ポイント還元率1〜3%

特に会計ソフト「マネーフォワード」を使っている方には超おすすめです。

なお、2024年12月31日 23時59分までの新規契約キャンペーンとして、期間内に5万円以上の決済をした法人に対して6,000円相当のポイント還元(還元率12%相当)が受けられます。

📝 このセクションのまとめ

  • 個人カードでの立替精算は法人・個人の財布が混在するため避けるべき
  • 法人カードは経理簡素化・キャッシュフロー改善・コスト削減の3つのメリットがある
  • 決算書不要・独自審査のカードを活用することで新設法人でも取得しやすい

お金の悩み③:資金繰りがうまくいかない(黒字倒産の仕組み)

法人設立直後の3つ目の悩みが、資金繰りがうまくいかないという問題です。会社を作っても10年後に生き残っているのはごく一部と言われており、赤字で苦しむ会社もあれば、黒字なのに倒産してしまう会社もあります。

まず、赤字・黒字の状態をシンプルに数字で確認してみましょう。

項目黒字の例赤字の例
売上100万円50万円
仕入(原価)50万円25万円
固定費(経費)30万円30万円
利益(損失)+20万円△5万円

黒字化するためにやるべきことは、数字で考えるとシンプルに3つに絞られます。

  • 売上を上げる:新規顧客開拓・既存顧客の単価アップ・リピート率向上の組み合わせ。昨今の原材料価格上昇を踏まえると値上げは必須
  • 原価(変動費)を減らす:仕入れの見直し・製造工程の一部内製化
  • 固定費を減らす:無駄なサブスク費用・使っていない節税保険・家賃や電気代・不要な接待交際費・高金利の融資などを見直す(ただしやりすぎると会社の雰囲気が暗くなるリスクもあるため慎重に)

黒字でも倒産する理由:資金繰りの5大金食い虫

損益計算書(PL)が黒字でも、実際のキャッシュが不足して倒産するケースがあります。その理由を理解するには、PLとキャッシュフローの違いを知る必要があります。

税務会計では、商品の引き渡しを終えた・サービスを提供した段階で売上に計上しなければなりません。代金が実際に回収できたかどうかはPL上では関係ないのです。売り上げたけれども長期間代金が回収できない(売掛金が滞留している)場合は、当然資金繰りが苦しくなります。

また、PLの「仕入れ(原価)」に計上されるのは、仕入れ・製造した商品のうち売れたものだけです。売れ残った在庫は貸借対照表(BS)に計上されます。在庫が増えるということはそれだけお金が眠っているということであり、特に先払いで仕入れを行う業種では資金繰りを大きく圧迫します。

📌 黒字倒産が起こる5大原因(資金繰りの金食い虫)

  1. 売上債権(売掛金・手形)の長期滞留:末締め翌末払いの売掛金に加え、手形決済でさらに3ヶ月かかるケースも。建築業・製造業・卸売業で特に多い
  2. 在庫の膨張:仕入れ代金は先払いでも商品が売れなければキャッシュが眠り続ける。アパレル業など季節商品は特に注意
  3. 身の丈以上の設備投資:例えば1,000万円の機械を購入しても、経費化できるのは減価償却費として年間約300万円程度。実際のキャッシュアウト(1,000万円)と経費計上額(300万円)の間に大きな開きがある
  4. 身の丈以上の借入返済負担:借入返済は税引後利益から行う。法人税率約25〜30%を差し引いた後の手元資金で返済するため、黒字でも返済が重なるとキャッシュが枯渇する
  5. 税金:利益が出れば法人税等(約25〜30%)が発生する。例えば20万円の利益から税率30%の法人税を引くと手元に残るのは約14万円。借入返済が14万円以上あれば手元キャッシュはゼロになる
金食い虫特に影響を受けやすい業種
売上債権の長期滞留建築業・製造業・卸売業(BtoB全般)
在庫の膨張アパレル業・製造業・小売業
過大な設備投資製造業・建設業・飲食業
過大な借入返済設備投資が多い業種全般
税金負担全業種(法人税率約25〜30%)

事業が拡大すればするほど、これらの問題も大きくなっていきます。黒字が達成できた事業者の方は、決算書上にこのような金食い虫が潜んでいないか、潜んでいる場合はその金額が多すぎないかを確認することが重要です。

📝 このセクションのまとめ

  • PLが黒字でもキャッシュが不足して倒産する「黒字倒産」は現実に起こる
  • 売上は代金回収時点ではなく、商品引き渡し・サービス提供時点で計上される
  • 在庫・設備投資・借入返済・税金がキャッシュを圧迫する5大要因
  • 事業が拡大するほどこれらの問題も大きくなる

資金繰り対策の具体的な方法

資金繰りを改善するための具体的な手段を整理します。

  • 売上代金の回収を早める:取引先との回収条件を見直す・ファクタリングを活用して売掛金を早期に現金化する
  • 仕入れ・外注費の支払いを遅らせる:カード払いへの切り替えなどでキャッシュアウトを繰り延べる
  • 在庫を減らす努力をする
  • 使っていない資産を売却する
  • 融資条件の変更:借換えや条件変更・リスケジュールを検討する。例えば信用金庫からの借入を地方銀行・メガバンクへ借り換えることで金利条件を下げたり、返済期間を延ばして毎月の返済負担を減らす(トータルの金利は増えるが目先の資金繰りをしのぐ手段として有効)
  • 別の資金調達先を探す:社長個人からの貸し付け・補助金・助成金の活用なども検討する

📌 マネーフォワードの資金繰り支援サービス

会計ソフト「マネーフォワード」には、資金繰りをサポートする2つのサービスがあります。

  • 資金プラス(ファクタリング):得意先に通知せず売掛金を売却し、先に代金を振り込んでもらうサービス。手数料は最低1%〜最大10%程度。審査通過後、最短翌営業日に振り込み
  • 請求書カード払い:通常は銀行振込で支払う仕入れ先への支払いをカード払いに変更できる。最大60日キャッシュアウトを繰り延べ可能。カード払いなのでポイントも還元される

ただし、これらはファクタリング・融資と同様のコストがかかります。銀行融資の方が低い金利で調達できる場合はそちらを優先し、銀行融資が難しい場合や高金利でしか借りられない場合に活用を検討してください。

📝 このセクションのまとめ

  • 資金繰り改善の基本は「入金を早く・支払いを遅く」
  • ファクタリングや請求書カード払いはコストがかかるため、銀行融資と比較して判断する
  • 借入条件の見直し・返済期間の延長も目先の資金繰り改善に有効
  • 決算書上の金食い虫を定期的にチェックする習慣をつけることが重要

終わりに

本記事の内容は YouTubeチャンネル 税理士YouTuberチャンネル!! / ヒロ税理士 の下記動画を参考に作成しています。AIによる書き起こしを活用しているため、誤字脱字がある可能性があります。ご了承ください。
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