信用保証協会への返済を月5000円に抑えて会社を存続させる方法|財務専門家が解説
借金まみれでも破産せず、信用保証協会への返済を月5000円に抑えながら会社を続けている経営者が実在します。この事実を知っているかどうかで、経営危機に陥ったときの選択肢はまったく変わります。
「死ぬまで月5000円」を払い続ける社長が実際にいる
会社の業績がボロボロになり、かなりの金額の借金を抱えた状態でも、破産せずに残った借金を信用保証協会に毎月5000円ずつ払い続けている社長が実際にいます。3000円の方もいれば、1万円の方もいます。
仮に残りの借入金を月5000円で割ると、返済完了まで何百年もかかるような計算になります。それでも破産せず、元気にビジネスを続けているのです。
📌 ポイント
こういった知識がないまま「借金があるから破産するしかない」と思い込んでしまい、本来しなくてよかった破産をしてしまう中小企業の経営者は意外と多くいます。弁護士に相談に行くと、法的専門家として破産か民事再生を勧めるのは仕方のないことです。しかし、中小企業で民事再生は現実的でないケースが多く、多くの場合は破産になってしまいます。
💡 補足:動画では触れていませんが…
破産手続きには申立費用(予納金)として数十万円が必要になるケースもあります。経営者自身が費用を捻出できない場合、手続きを進められないことも実務上あります。
📝 このセクションのまとめ
- 多額の借金を抱えながら破産せずに事業を継続している経営者が実在する
- 弁護士に相談すると破産・民事再生の方向になりやすい
- 「破産しかない」という思い込みが不要な破産を招くことがある
破産手続きは誰を守るための制度なのか
破産手続きは、銀行などの債権者を守るための手続きだと思われがちですが、実は経営者自身を守るための手続きです。
何から守るかというと、身の危険を感じるような取り立てをする債権者からの保護です。現在は過剰貸付・取り立て規制法(貸金業法)があるため、取り立ては法律の範囲内で相当制限されています。昔のような無理な取り立ては今の現実ではほぼできません。ただ、プレッシャーを感じてしまうような取り立てをする業者が中にはいるため、そういった相手から逃げるための手続きとして破産があります。
また、一生借金が残ったままだと、これから稼いでも返済に充てなければならないため、40代などの若い経営者については、破産して一度綺麗にしてリスタートするという選択肢も合理的です。
| 破産を選ぶべきケース | 破産しない選択肢があるケース |
|---|---|
| 40代など若く、稼ぎ直しの時間がある | 60代以降で、細々と事業継続できる |
| 取り立てが激しく身の危険を感じる | 取り立てが法律の範囲内に収まっている |
| 事業継続の見込みがまったくない | 小規模でも仕入先・得意先との取引が続く |
| 後継者・家族への影響を断ち切りたい | 相続放棄の活用で家族への影響を遮断できる |
💡 補足:動画では触れていませんが…
個人事業主や中小企業の経営者が自己破産した場合、免責決定が下りるまでの間は一定の職業制限(警備員・保険外交員など)がかかります。事業の形態によっては生活設計に影響するため、事前確認が必要です。
📝 このセクションのまとめ
- 破産手続きは債権者ではなく経営者を守るための制度
- 貸金業法により、無理な取り立ては現在ほぼ不可能
- 年齢・状況によって破産が最善の場合も、しない選択肢が最善の場合もある
銀行が「法的措置」と言っても実はやりたくない理由
業績が悪化して借金の返済ができなくなると、銀行は「法的措置を取らせていただきます」という内容証明郵便を送ってきます。毎月来るものではありませんが、受け取った経営者はプレッシャーを感じます。「破産させられるのか」と思うかもしれません。
しかし、銀行の本音は法的措置を取りたくないのです。その理由は明確です。
- 手間がかかり、時間もかかる
- 裁判所への申し立てにコストがかかる
- 弁護士への相談料も発生する
- 競売になると不動産の売却価格が低くなりがちで、回収額が減る
📌 ポイント
「法的措置を取らせていただきます」という文面は、銀行が交渉を有利に進めるためのプレッシャーである側面が強いです。実際に法的措置を実行するコストと手間を考えると、銀行側も協議による解決を望んでいるケースが多いのです。
💡 補足:動画では触れていませんが…
内容証明郵便が届いた場合でも、無視せず誠実に対応することが重要です。放置すると差押えや競売に進む可能性があります。届いたら速やかに顧問税理士や財務コンサルタントに相談しましょう。
📝 このセクションのまとめ
- 「法的措置」の内容証明郵便はプレッシャーが目的であることが多い
- 銀行は手間・コストの観点から法的措置を実際には避けたい
- 競売より任意売却の方が銀行にとっても回収額が多くなる
不動産の任意売却(任売)で家を守る方法
不動産を持っている経営者に対しては、銀行が競売(けいばい)をちらつかせて揺さぶりをかけてくることがあります。しかし、競売には大きなデメリットがあります。裁判所の管理下に置かれると、不動産の売却価格が市場価格より低くなりがちなのです。
そこで活用できるのが任意売却(任売)という方法です。裁判所を通さずに適正な金額で売買する手続きで、銀行にとっても回収額が多くなるため、合意を得やすいのです。
具体的な例で考えてみましょう。
| 項目 | 競売の場合 | 任意売却の場合 |
|---|---|---|
| 不動産の売却価格(例) | 約3,000万円(市場価格より低い) | 約5,000万円(市場価格に近い) |
| 銀行の回収額(例:抵当権付き借入1億円) | 3,000万円 | 5,000万円 |
| 残債(無担保) | 7,000万円 | 5,000万円 |
| 手続きの手間 | 裁判所関与で大きい | 当事者間交渉で少ない |
| 経営者のメリット | 少ない | 売却条件の交渉余地あり |
上記の例では、不動産の価値が5,000万円しかないのに、その不動産に1億円の抵当権がついている状況です。「銀行は1億円で売れないなら同意しないはず」と思う経営者もいますが、実際には銀行は「5,000万円の価値のものは5,000万円でしか売れない」と理解しています。
銀行としては競売で3,000万円になるより、任意売却で5,000万円を先に回収する方が合理的です。残りの5,000万円は無担保となりほぼ回収不能になりますが、それでも任意売却に応じる方が得策と判断するのです。
さらに、任意売却の手続きの中で自宅を守る方法も実は存在します。家を失いながらも、ご家族の名義に変えて住み続けている経営者や、お子さんの名義に移して住み続けている経営者も実際にいます。
💡 補足:動画では触れていませんが…
任意売却は、住宅ローンの返済が3〜6か月程度滞った段階で検討するのが一般的です。競売の開始決定が出てしまうと選択肢が狭まるため、早めの相談が重要です。また、名義変更を伴う場合は贈与税や不動産取得税の問題が生じる可能性があります。
📝 このセクションのまとめ
- 競売より任意売却の方が売却価格が高くなり、銀行・経営者双方にメリットがある
- 担保割れ(不動産価値<借入金)でも銀行は任意売却に応じることがある
- 任意売却の手続きの中で自宅を家族名義に移して住み続けるケースもある
財産がなくなった経営者は「最強」になる
不動産を全て売却し、会社の不動産も売られ、自宅も売られて何もなくなってしまった経営者。これは一見、最悪の状況に見えます。しかし実は、財産を持たなくなった人は銀行から取れるものがなくなるという意味で、ある種「最強」の状態になります。
取れるものがない人から取ることはできません。これからの稼ぎから取るしかありませんが、そもそも業績が落ちてこの状態になったわけで、急回復も想定できません。月1万円しか返せない人に残った5,000万円の借金を抱えたまま、毎月状況を確認しながら1万円の更新手続きを銀行内で踏み続けるのは、銀行にとっても非常に面倒なのです。
📌 ポイント
「ないものはない」という状態になると、債権者側も現実的な対応をせざるを得なくなります。これが月5000円という少額返済での継続交渉が成立する背景です。
💡 補足:動画では触れていませんが…
給与所得・年金・預貯金は差し押さえの対象になることがあります。ただし、差し押さえ禁止財産(生活保護費・年金の一部など)も法律で定められています。「何もない」と思っていても、専門家に確認することが重要です。
📝 このセクションのまとめ
- 財産がなくなると銀行が取れるものがなくなり、交渉力が生まれる
- 少額返済での継続交渉が成立しやすくなる
- 年金は差し押さえられないため、生活の基盤として機能する
信用保証協会の代位弁済とサービサーへの債権売却の仕組み
信用保証協会付きの融資について返済を止めた状態で約3か月が経過すると、代位弁済が行われます。これは、保証協会が経営者に代わって銀行に返済してくれる手続きです。
ただし、これで借金がチャラになるわけではありません。銀行への借金が保証協会への借金に切り替わるだけです。以降は保証協会に対して返済していかなければなりません。
一方、保証協会の保証がついていないプロパー融資については、銀行の中間決算・本決算の時期(3月・9月が多い)にサービサー(債権回収会社)に債権が売却されていきます。これは「不良債権(バルクセール)」と呼ばれる仕組みです。
| 融資の種類 | 返済停止後の流れ | 債権の行方 |
|---|---|---|
| 信用保証協会付き融資 | 約3か月後に代位弁済 | 保証協会への債務に切り替わる |
| プロパー融資(保証なし) | 3月・9月頃にサービサーへ売却 | サービサーが債権者になる |
サービサーに売却された債権は、例えば5,000万円の借金が1〜5%程度の価格でまとめて売られると言われています。ただし、1件ずつに値段がつくわけではなく、複数の不良債権がまとめてバルクセールされる形です。
サービサーに移ると、経営者への交渉が始まります。「5,000万円の借金ですが、100万円払っていただければ全額免除します」「50万円振り込んでいただければ免除します」といった形です。財産がない経営者に対してはシビアな交渉もしにくいため、最終的にはゼロになっていきます。
⚠️ 注意
保証協会付き融資については、サービサーが出てきても債権の値引き交渉はできません。保証協会サービス(保証協会債権回収株式会社)は債権を買い取っているわけではなく、保証協会から回収事務を代行している会社です。保証協会は公的機関であるため、債権をゼロにする制度が現時点では存在しません。「サービサーが出てきたから値引き交渉できる」と勘違いしないようにしてください。
💡 補足:動画では触れていませんが…
サービサーとの交渉で一括弁済による債務免除を受けた場合、免除された金額は「債務免除益」として課税対象になる可能性があります。交渉前に税理士への確認が必要です。
📝 このセクションのまとめ
- 保証協会付き融資は約3か月の返済停止後に代位弁済され、保証協会への債務に切り替わる
- プロパー融資はサービサーに売却され、大幅な債務圧縮交渉が可能になる
- 保証協会付き融資はサービサーが出てきても値引き交渉は現時点では不可
月5000円返済で会社を続ける経営者の実態と最終的な出口
破産してしまうと会社がなくなります。会社がなくなると、元経営者として一般企業に勤めに行かなければなりません。それは相当きつい選択です。
一方で、仕入先や得意先が引き続き取引を継続してくれているなら、自分と社員1〜2人を食わせていくだけの規模で事業を続けられるケースは多くあります。昔のように社員10人・20人は抱えられなくても、小規模で継続できるなら、それを選んだ方が合理的です。
そうした経営者の生活の実態はこのようなものです。
- 会社からの給与は少額で生活費をまかなう
- 年金は差し押さえられないため、生活の安定的な基盤になる
- 保証協会への返済は月5000円程度の少額で継続
- お孫さんのお小遣いを貯めて遊園地に行くなど、楽しみを持って暮らしている
そして、最終的な出口についても整理されています。本人は財産を何も持っていません。自宅は相続税の生前贈与制度などを活用して奥様や子供の名義に移してあります。持っているのは「事業を継続する力」だけです。
本人が亡くなれば、会社の連帯保証人としての立場も終わります。そして、相続放棄の手続き(亡くなってから3か月以内に家庭裁判所で申請)をご家族が行えば、個人保証の債務もなくなります。後継者もいない、個人の借金の引き受け手もいない——そこで保証協会の債権は事実上消滅します。
📌 ポイント
こうした「出口」を分かった上で、今日もお孫さんのために元気に働いている経営者が日本には実際にたくさんいます。業績が悪化すると悪い方向にしか考えられなくなりますが、経営者を守るための制度と支援者は意外と多く用意されています。
💡 補足:動画では触れていませんが…
相続放棄は「相続の開始を知った日から3か月以内」に家庭裁判所へ申述する必要があります。期限を過ぎると原則として単純承認(全財産・全負債を引き継ぐ)とみなされるため、家族への事前説明と準備が重要です。
📝 このセクションのまとめ
- 小規模でも事業継続できるなら、破産より継続を選ぶ方が合理的な場合がある
- 年金は差し押さえられず、生活の安定基盤になる
- 本人が亡くなった後、家族が相続放棄すれば個人保証の債務も消滅する
- 財産を事前に家族名義に移しておくことで、家族への影響を最小化できる
絶対にやってはいけないこと:債権者と「戦う」姿勢
このプロセスの中で、絶対にやってはいけないことが一つあります。それは、債権者と「戦う」姿勢で立ち向かうことです。
銀行・信用金庫を敵に回してしまうと、本音では「手間がかかる、金がかかる、やりたくない」と思っていた相手が、「もうやる、破産させる」という方向に動いてしまうことが実際にあります。
⚠️ 注意
「銀行と戦います」「債権者と徹底交渉します」というスタンスのコンサルタントや支援者には注意が必要です。戦っても良いことは一つもありません。銀行には銀行の都合、経営者には経営者の都合があります。その双方の都合を考慮しながらお互いの妥協点を見つけ合うことが、最終的に平和的な解決につながります。
弁護士に相談すると破産の方向になりやすいため、まずは顧問税理士や財務コンサルタントへの相談から始めることをお勧めします。ただし、中にはとんでもなく悪質なコンサルタントもいるため、相談相手の選定には十分注意してください。
💡 補足:動画では触れていませんが…
信頼できる支援者を見分けるポイントとして、「銀行との交渉実績があるか」「具体的な解決事例を説明できるか」「報酬体系が明確か」などを確認するとよいでしょう。着手金が高額すぎる業者や、成功報酬のみで内容が不透明な業者には慎重に対応してください。
📝 このセクションのまとめ
- 債権者と「戦う」姿勢は百害あって一利なし
- 銀行・経営者双方の都合を考慮した妥協点を探ることがゴール
- まず顧問税理士・財務コンサルタントに相談し、弁護士への相談はその後で
- 「銀行と戦う」スタンスの支援者は避けた方が無難
📋 この記事を読んだら次にやること
- 自社の融資が「保証協会付き」か「プロパー融資」かを確認し、それぞれの残高を把握する
- 所有不動産の現在の市場価値と、それに紐づく抵当権・借入残高を比較する
- 弁護士ではなく、財務コンサルタントや顧問税理士に現状を相談する(「戦う」姿勢の支援者は避ける)
- 家族への財産移転(贈与・名義変更)の可能性と税務上の影響を専門家に確認する
- 相続放棄の手続きについて、家族に事前説明しておく
終わりに
本記事の内容は YouTubeチャンネル 中小企業の財務チャンネル の下記動画を参考に作成しています。AIによる書き起こしを活用しているため、誤字脱字がある可能性があります。ご了承ください。本サイトは 中小企業の財務チャンネルを応援しています!
