暗号資産取引の所得を事業所得で申告して節税する方法【税理士が解説】
暗号資産の利益を事業所得で申告すると、損益通算や赤字繰越など大きな節税メリットがあります。
暗号資産の税金の基本:雑所得とは?
ビットコインをはじめとする暗号資産が再び価格上昇を見せる中、売却して利益を確定させたい方も増えています。ただ、そうなると気になるのが税金面です。
従来、暗号資産で得た利益は原則として雑所得とされていました。これは株式などの他の金融商品と比べても不利な扱いとなっています。ただし、2022年末に事業所得になる可能性が示され、大きな話題となりました。
📌 ポイント
ネット上には2022年以前の古い情報も多く出回っています。本記事では2023年最新版の暗号資産の所得区分の考え方と注意点を解説します。
📝 このセクションのまとめ
- 暗号資産の利益は原則「雑所得」として課税される
- 2022年末から「事業所得」になる可能性が示された
- 2023年時点では最新情報をもとに判断する必要がある
事業所得と雑所得の違い
まず、2つの所得区分の違いを整理しましょう。
| 所得区分 | 定義 | 具体例 |
|---|---|---|
| 事業所得 | 事業を営むことによって得られた所得 | 事業の売上で生計を立てている場合 |
| 雑所得 | 他のいずれの所得にも分類されない所得 | 公的年金、副業収入など |
事業所得のイメージとしては、事業の売上で生計を立てているような場合が該当します。一方、会社員の方がお小遣い稼ぎ程度のアフィリエイト収入がある場合は、雑所得とされる場合が多いです。
📝 このセクションのまとめ
- 事業所得=事業を営んで得た所得(生計を立てる規模感)
- 雑所得=他の所得区分に当てはまらない所得(年金・副業など)
- 副業程度の収入は雑所得になることが多い
暗号資産が「雑所得」だと不利な理由
暗号資産の利益が雑所得扱いになると、他の投資商品と比べてどう不利なのでしょうか。
| 比較項目 | 株式(分離課税) | 暗号資産(雑所得・総合課税) |
|---|---|---|
| 課税方式 | 分離課税 | 総合課税 |
| 最大税率 | 約20% | 約55% |
| 他の所得との損益通算 | 不可(株式内のみ) | 不可 |
| 赤字の繰越 | 3年間可能 | 不可 |
株式などは分離課税となっており、どれだけ利益が増えても税率は約20%で変わりません。一方、雑所得は総合課税のため、暗号資産でいわゆる億り人になってくると税率が約55%になってしまいます。
また、雑所得の内部での通算(例:ビットコインで利益、同年にアルトコインで損失が出た場合の相殺)は可能ですが、他の所得(給与所得・不動産所得・事業所得など)と損益通算することはできません。
⚠️ 注意
暗号資産が大暴落して大きなマイナスが発生したとしても、株式や不動産で利益が出ていれば、その利益に対して税金を納める必要があります。雑所得の損失は他の所得と相殺できないためです。
📝 このセクションのまとめ
- 雑所得(総合課税)は最大約55%の税率になる
- 株式(分離課税)は最大約20%と大きな差がある
- 雑所得の損失は給与所得・不動産所得などと損益通算できない
事業所得になると得られる2つのメリット
暗号資産取引で得た利益が事業所得として認められると、大きな節税メリットがあります。
メリット1:損益通算ができる
損益通算とは、簡単に言うと赤字と黒字を相殺することです。つまり、赤字の所得を他の黒字の所得から差し引くことを言います。損益通算をすることで課税対象となる利益を減らすことができ、結果として納める税金の額を減らすことができます。
暗号資産は値動きが激しいため、大きな損失を出してしまう年もあります。そんな年に給与所得と相殺ができれば、かなりの節税効果が期待できます。
📌 損益通算できる所得区分(4種類)
損益通算ができる所得区分は以下の4つです。頭文字を取って「不事山譲(フジサン)」と覚えておきましょう。
- 不動産所得
- 事業所得
- 山林所得
- 譲渡所得
メリット2:青色申告の場合、赤字を3年間繰り越せる
事業所得として青色申告をしている場合、給与所得などと損益通算した後もなお赤字が残った場合に、その赤字を繰り越すことができます。繰り越した赤字は将来の利益と相殺することが可能です。
📝 このセクションのまとめ
- 事業所得なら給与所得・不動産所得などと損益通算できる
- 青色申告をすれば赤字を3年間繰り越せる
- 雑所得にはこれらのメリットがない
2022年の通達改正の経緯:300万円問題とは
「では全員が事業所得で申告すればいい」と思いたいところですが、実はまだ慎重な判断が必要な時期です。経緯を時系列で説明します。
| 時期 | 出来事 |
|---|---|
| 2022年8月 | 国税庁が「副業の収入が300万円を超えない場合は雑所得とする」改正案を公表 |
| 2022年8月〜 | 「現代の副業事情に合わない」「300万円のボーダーラインが高すぎる」などの反対意見が殺到。パブリックコメントが7,000件超に達する |
| 2022年10月 | 国税庁が当初の「300万円以下は一律雑所得」とする案を取り下げ、改正案を大幅修正。事業所得か雑所得かの判断は帳簿の保存など事業としての実態で判断することに変更 |
| 2022年12月 | 国税庁が「暗号資産に関する税務上の取り扱いについて」Q&Aを公表。暗号資産に特化した所得区分の基準が明記される |
2022年10月の所得税基本通達35-1の改正内容では、「譲渡所得の原因とならない資産の譲渡から生ずる所得には、暗号資産取引による所得も含まれる」という内容も追加されました。この改正内容だけで考えると、暗号資産取引は雑所得に該当すると考えられます。
そこで、2022年12月に暗号資産に特化した情報が国税庁から公表されることになりました。
📝 このセクションのまとめ
- 2022年8月に「300万円以下は雑所得」とする改正案が出た
- パブリックコメントが7,000件超に達し、改正案は大幅修正された
- 2022年12月に暗号資産専用のQ&Aが国税庁から公表された
暗号資産を事業所得にするための2つの要件
2022年12月に国税庁が公表した「暗号資産に関する税務上の取り扱いについて」Q&Aによると、暗号資産取引により生じた利益は原則として雑所得に分類されます。
ただし、以下の2つの要件を両方満たした場合に限り、事業所得として申告できるとされています。
| 要件 | 内容 |
|---|---|
| 要件① | その年の暗号資産取引にかかる収入金額が300万円を超えること |
| 要件② | 暗号資産取引にかかる帳簿書類の保存があること |
📌 「収入」と「利益」の違いに注意
要件①の300万円は「利益」ではなく「収入」です。収入とは、ご自身の手元に入ってくるお金のことを言います。もし損が何百万・何千万あったとしても、取引から得た収入が300万円を超えていれば要件を満たすことができます。
📝 このセクションのまとめ
- 暗号資産は原則「雑所得」だが、2要件を満たすと「事業所得」にできる
- 要件①:その年の収入金額が300万円超(利益ではなく収入)
- 要件②:帳簿書類を保存していること
事業所得で申告する際の注意点3つ
2つの要件を満たせば事業所得で申告できますが、実際にはさらにハードルがあります。事業所得で申告する場合に抑えておきたい注意点を3つ解説します。
注意点1:保存すべき帳簿の基準が明確でない
帳簿の保存が要件であるにもかかわらず、何をどのように保存すればよいかの明確な基準はまだ出ていません。全ての暗号資産取引を記帳しなければならないのか、ある程度概括して書いてよいのか、その辺はまだ明確な基準が示されていない状況です。
また、取引量が多い場合、取引を帳簿に残すこと自体が大変な作業になることが想定されます。
注意点2:継続性・反復性を示す必要がある
2022年の通達では、事業所得として認められるかどうかは「その所得を得るための活動が社会通念上、事業と称するに至る程度で行っているかどうか」で判断するとされています。
事業所得である以上、継続性・反復性などの実態が伴っているかどうかが見られます。例えば、サラリーマンの副業として暗号資産取引を行っている場合には、継続性・反復性があると認められるかどうかは慎重な判断が必要です。
注意点3:継続して赤字だと事業として認められない
事業所得とされる以上、営利性も見られます。例年赤字であり、かつ赤字を解消するための取り組みを実施していない場合は、営利性が認められないと判断される可能性があります。
⚠️ 注意
目安として3年以上赤字が続くと、赤字を解消する取り組みをしていないと判断されてしまう可能性があります。継続的な赤字は事業所得として認められなくなるリスクがあるため注意してください。
📝 このセクションのまとめ
- 保存すべき帳簿の具体的な基準はまだ明確に定まっていない
- 継続性・反復性など事業としての実態が必要
- 3年以上の継続赤字は事業として認められないリスクがある
まとめ:暗号資産の所得区分の判断基準
2023年時点での暗号資産の所得区分の考え方をまとめます。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 原則の所得区分 | 雑所得 |
| 事業所得になる要件① | その年の暗号資産取引の収入金額が300万円超 |
| 事業所得になる要件② | 帳簿書類の保存があること |
| 追加で見られるポイント | 継続性・反復性、営利性(赤字解消の取り組み) |
| 注意事項 | 所得税基本通達の改正点なども踏まえて総合的に判断が必要 |
事業所得か雑所得かの判断はとても難しく、個別の状況によって異なります。
⚠️ 注意
所得区分の判断は非常に複雑です。税理士などの専門家に相談することを強くお勧めします。誤った申告をしてしまうと、後から修正申告や追徴課税が発生するリスクがあります。
終わりに
本記事の内容は YouTubeチャンネル 社長の資産防衛チャンネル の下記動画を参考に作成しています。AIによる書き起こしを活用しているため、誤字脱字がある可能性があります。ご了承ください。本サイトは 社長の資産防衛チャンネルを応援しています!
関連記事
仮想通貨の税金を徹底解説|売却タイミングで節税2800万円の差が出る理由
仮想通貨(暗号資産)の税金を税理士が解説|個人と法人どちらが節税できるか徹底比較
仮想通貨の税金を税理士が解説|個人と法人どちらが節税しやすいか完全比較
東京エリア
千代田・中央・港区から副都心各区まで、東京の優良税理士法人ランキング
関西エリア
大阪・京都・兵庫・岡山など関西圏の信頼できる税理士法人ランキング
関東エリア
首都圏の神奈川・埼玉・千葉・北関東で実績のある税理士法人ランキング
中部エリア
製造業の集積地、中部・北陸圏で企業支援に強い税理士法人ランキング
九州・沖縄
九州・沖縄地域で地域密着型サービスに定評のある税理士法人ランキング
その他地域
北海道・東北・中国・四国地方の地域に根ざした税理士法人ランキング
