節税対策

防衛特別法人税とは?4%上乗せの仕組みと対象企業を税理士が解説

防衛特別法人税とは?4%上乗せの仕組みと対象企業を税理士が解説
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2026年から始まる防衛特別法人税、中小企業への影響と正しい理解を解説します。

防衛特別法人税とは何か?創設の背景

防衛特別法人税は、その名の通り日本を取り巻く安全保障環境の悪化を踏まえ、防衛力の抜本的強化を目的として創設される新たな税制です。各地で紛争が起こるなど、世界情勢が緊迫化するなかで、防衛費を安定的に確保するために増税などによって1兆円以上の防衛費を確保しようという目的があります。

この制度は令和5年度税制改正で話題になりましたが、そのときは結局決定には至りませんでした。その後、令和7年度税制改正で正式に確定となり、2026年(令和8年)からの適用が決まりました。

📌 ポイント

なお、同時に検討されていた「防衛特別所得税」(個人向け)については、今回は見送りとなっています。個人の所得税は増税されません。

📝 このセクションのまとめ

  • 防衛特別法人税は防衛費確保を目的とした新税制
  • 令和7年度税制改正で正式決定
  • 個人向けの防衛特別所得税は見送り

よくある誤解:「法人税率が4%上がる」は間違い

防衛特別法人税について、最も多い誤解が「法人税率が4%上がる」というものです。これは間違いですので、まずここをしっかり理解しておきましょう。

誤解正しい理解
法人税率が4%上がる(例:25%→29%)法人税額に4%を上乗せする(税率ではなく税額への加算)
すべての法人が対象法人税額が500万円を超える法人のみ対象
来年すぐ始まる令和8年4月1日以降開始の事業年度から適用

現在の法人税率は、中小企業で年間所得が800万円までであれば実効税率はおよそ25%程度、それを超えても32%程度です。防衛特別法人税はこの税率を引き上げるものではなく、計算された法人税額に対して4%を上乗せするという仕組みです。計算方法がまったく異なりますので、混同しないようにご注意ください。

⚠️ 注意

「法人税率が4%上がる」という情報が一部で広まっていますが、これは誤りです。法人税率自体は変わりません。正確には「法人税額」に対して4%が上乗せされる仕組みです。

📝 このセクションのまとめ

  • 法人税率が4%上がるという理解は誤り
  • 正しくは「法人税額」への4%上乗せ
  • 税率への影響ではないため、実際の負担増は限定的

防衛特別法人税の計算方法

防衛特別法人税の税額は、以下の計算式で求めます。

📌 計算式

(基準法人税額 - 500万円)× 4% - 税額控除額 = 防衛特別法人税額

ここで登場する「基準法人税額」とは、会社が通常納める法人税額のことです。ただし、所得拡大税制などの税制上の特典(税額控除)を受けている場合は、その特典を受ける前の税額を基準法人税額として使います。

重要なのは、基準法人税額から500万円の基礎控除(足切り)が設けられている点です。法人税額が500万円以下の会社はそもそも課税されません。さらに、各種税制上の特典を受けている場合は、算出された4%分から税額控除を差し引くこともできます。

📝 このセクションのまとめ

  • 基準法人税額から500万円を差し引いた残額に4%をかける
  • 税制上の特典がある場合は税額控除も可能
  • 法人税額500万円以下の会社は課税対象外

適用開始時期:いつから始まるのか

防衛特別法人税の適用開始は、令和8年(2026年)4月1日以降に開始する事業年度からです。

決算月最初に対象となる事業年度
3月決算法人令和9年3月31日終了事業年度(2027年3月期)
12月決算法人令和8年12月31日終了事業年度(2026年12月期)
9月決算法人令和9年9月30日終了事業年度(2027年9月期)

最も早く影響を受けるのは、令和8年4月1日以降に事業年度が始まる法人です。3月決算法人であれば令和9年3月末に終了する事業年度からの適用となるため、まだ少し先の話になります。ただし、早めに制度を理解して準備しておくことが重要です。

📝 このセクションのまとめ

  • 令和8年(2026年)4月1日以降開始の事業年度から適用
  • 3月決算法人は令和9年3月期が最初の対象
  • まだ猶予はあるが、早めの理解と準備が必要

対象となる中小企業はどこか?課税所得240万円が分岐点

防衛特別法人税は大企業・中小企業の区別なく、法人税額が500万円を超える会社が対象となります。これを課税所得(利益)ベースで逆算すると、年間課税所得が約240万円を超える法人のみが対象になります。

📌 ポイント

課税所得(利益)が年間約240万円以下の法人は、防衛特別法人税の対象外です。多くの中小企業にとっては関係のない制度と言えます。

実際のところ、中小企業の多くはこのラインに達しないケースが多いです。顧問契約先の約200社を見ても、課税所得が2,000万円を超える会社は1割にも満たないのが現状です。つまり、大部分の中小企業には実質的に影響がほとんどないと言えます。

⚠️ 注意

現時点では基礎控除が500万円(課税所得換算で約240万円)ですが、今後この基礎控除額が300万円・100万円・0円と段階的に引き下げられる可能性もゼロではありません。「今は関係ない」と油断せず、制度の動向を注視することが大切です。

📝 このセクションのまとめ

  • 法人税額500万円超(課税所得約240万円超)の法人が対象
  • 多くの中小企業は対象外となる可能性が高い
  • 将来的に基礎控除額が引き下げられるリスクもあるため注意が必要

防衛特別法人税の対策:高収益企業向け節税策

防衛特別法人税を回避するための「裏技」は基本的にありません。課税所得が年間240万円を超えるような会社であれば、一般的に言われる節税策はすでに駆使されているケースがほとんどです。その領域に入ったら、普通に納税をして財務体質の強い会社づくりをすることが基本的な方針となります。

それでも、高収益企業向けの節税対策がないわけではありません。以下に代表的なものをご紹介します。

  1. 役員報酬の増額
  2. オペレーティングリースの活用
  3. 中小企業経営強化税制による即時償却
  4. 企業型DC(確定拠出年金)の導入
  5. 企業版ふるさと納税の活用

それぞれの内容を詳しく見ていきましょう。

各節税対策の詳細解説

① 役員報酬の増額

個人の年間役員報酬が約2,000万円近くになると、法人税率よりも個人の所得税・住民税の税率が上回るため、トータルで見ると損になるケースがあります。そのため多くの経営者は年収2,000万円前後で抑えている場合が多いですが、個人の財産を充実させるために、そのラインを超えて役員報酬を取るという選択肢があります。

② オペレーティングリースの活用

航空機や船舶などを共同購入する形で多額の減価償却費を計上するという方法です。一部の高収益企業で活用されていますが、投資の要素が強く、ハイリスクな節税策でもあるため、慎重な判断が必要です。

③ 中小企業経営強化税制による即時償却

機械の導入や飲食店の新店舗開設などの際に、事前に経済産業省へ申請することで、設備投資額の100%を即時償却できる制度です。所得を大きく圧縮できるため、節税効果を活用している企業は非常に多いです。最近ではGPUサーバーを活用した節税策としても注目されています。

④ 企業型DC(確定拠出年金)の導入

iDeCoの会社版にあたる制度です。節税効果そのものは大きくはありませんが、会社の福利厚生強化・従業員の資産形成支援として非常に有効です。節税対策の候補の一つとして加えておく価値があります。

⑤ 企業版ふるさと納税の活用

数年前の税制改正によって節税効果が最大90%にまで引き上げられた制度です。返礼品はありませんが、地域貢献と節税を同時に実現できるため、一定規模以上の利益が出ている企業に特におすすめです。

📌 企業版ふるさと納税の応用:バンカーズふるさと納税

企業版ふるさと納税を「物納」で行うことで、特定の民間サービス(バンカーズふるさと納税)からポイントを取得し、そのポイントを福利厚生などに充てることができます。まだあまり知られていない方法ですが、活用できる企業には有効な選択肢です。

節税対策節税効果特徴・注意点
役員報酬の増額中〜大個人の税負担増とのバランスが必要
オペレーティングリース投資リスクあり・ハイリスク
中小企業経営強化税制(即時償却)事前申請が必要・設備投資が前提
企業型DC小〜中福利厚生強化に有効
企業版ふるさと納税最大90%地域貢献と節税を両立

📝 このセクションのまとめ

  • 防衛特別法人税の「裏技的」な回避策は基本的に存在しない
  • 役員報酬増額・オペレーティングリース・即時償却・企業型DC・企業版ふるさと納税が主な対策
  • 企業版ふるさと納税は節税効果最大90%で、地域貢献も同時に実現できる
  • 高収益企業は納税しながら財務体質を強化することが基本方針

終わりに

本記事の内容は YouTubeチャンネル 税理士YouTuberチャンネル!! / ヒロ税理士 の下記動画を参考に作成しています。AIによる書き起こしを活用しているため、誤字脱字がある可能性があります。ご了承ください。
本サイトは 税理士YouTuberチャンネル!! / ヒロ税理士を応援しています!

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