扶養の証拠書類とは?健康保険・年金・所得税・住民税の扶養要件を税理士が解説

扶養の証拠書類とは?健康保険・年金・所得税・住民税の扶養要件を税理士が解説
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扶養に入れるには「申請するだけ」では認められません。税制上・社会保険それぞれに必要な証拠書類と要件を、控除額の表を交えてわかりやすく解説します。

扶養の種類は大きく2つ、細かく分けると3つ

奥さんや旦那さん、子供、親などを扶養に入れるとメリットがあると理解している人は多いかと思いますが、単に「扶養しています」と宣言するだけではなく、その証拠が求められることがあります。

まず扶養の意味を整理します。大きく分けて2つ、細かく分けると3つになります。

  • 税制上の扶養:所得税における扶養控除・配偶者控除の扱い
  • 健康保険の扶養:被扶養者の健康保険料負担がなくなる
  • 年金の扶養:配偶者が国民年金の第3号被保険者となり保険料負担がなくなる

それぞれ要件などについて似たような話もあるためごちゃごちゃになりやすいですが、それぞれ分けて理解するようにしてください。

📝 このセクションのまとめ

  • 扶養は「税制上」と「社会保険(健康保険・年金)」の3種類がある
  • それぞれ要件・控除額・必要書類が異なるため混同しないことが重要

所得税の配偶者控除・配偶者特別控除の金額と要件

税制上の扶養において、配偶者を扶養に入れるとは、すなわち配偶者控除を受けるということです。配偶者を養っていると、生活費がかかるため税制上優遇してもらえる、具体的には所得控除によって所得を減らして税金を減らしてもらえる制度です。

配偶者控除の金額は、あなた自身(本人)の所得金額と配偶者の年齢に応じて以下のように異なります。

本人の合計所得金額配偶者控除(70歳未満)
所得税(住民税)
配偶者控除(70歳以上)
所得税(住民税)
900万円以下38万円(33万円)48万円(38万円)
900万円超 950万円以下26万円(22万円)32万円(26万円)
950万円超 1,000万円以下13万円(11万円)16万円(13万円)
1,000万円超適用不可適用不可

📌 ポイント

配偶者の年齢(70歳以上か70歳未満か)は、確定申告書を提出する時点ではなく、その対象となる年の12月31日時点で判断します。

配偶者控除を受けるには、配偶者の合計所得金額が48万円以下(給与収入のみなら103万円以下)でなければなりません。

では、配偶者の所得が48万円を超えてしまった場合に控除が一切受けられなくなるかというと、そうではありません。配偶者特別控除という制度があり、以下のように控除を受けることができます。

配偶者の合計所得金額
(給与収入目安)
本人所得900万円以下
所得税(住民税)
本人所得900万円超
950万円以下
所得税(住民税)
本人所得950万円超
1,000万円以下
所得税(住民税)
48万円超 95万円以下
(103万円超 150万円以下)
38万円(33万円)26万円(22万円)13万円(11万円)
95万円超 100万円以下
(150万円超 155万円以下)
36万円(33万円)24万円(22万円)12万円(11万円)
100万円超 105万円以下
(155万円超 160万円以下)
31万円(31万円)21万円(21万円)11万円(11万円)
105万円超 110万円以下
(160万円超 167万円以下)
26万円(26万円)18万円(18万円)9万円(9万円)
110万円超 115万円以下
(167万円超 175万円以下)
21万円(21万円)14万円(14万円)7万円(7万円)
115万円超 120万円以下
(175万円超 183万円以下)
16万円(16万円)11万円(11万円)6万円(6万円)
120万円超 125万円以下
(183万円超 190万円以下)
11万円(11万円)8万円(8万円)4万円(4万円)
125万円超 130万円以下
(190万円超 197万円以下)
6万円(6万円)4万円(4万円)2万円(2万円)
130万円超 133万円以下
(197万円超 201万円以下)
3万円(3万円)2万円(2万円)1万円(1万円)
133万円超
(201万円超)
適用不可適用不可適用不可

括弧内は住民税の控除額です。所得税と住民税で同じ部分もありますが、異なる部分もありますので確認してみてください。

📝 このセクションのまとめ

  • 配偶者控除は本人所得1,000万円以下、配偶者の所得48万円以下が条件
  • 配偶者の所得が48万円超でも配偶者特別控除が受けられる(上限133万円以下)
  • 配偶者の年齢は申告対象年の12月31日時点で判断する

所得税の扶養控除の金額と要件(子供・親など)

配偶者以外の親族、主に子供や親などを扶養に入れた場合に受けられるのが扶養控除です。生活費がかかるため、一定の控除が認められる制度です。

⚠️ 注意

16歳未満の子供は扶養控除を受けることができません。ただし、その代わりに各種手当や他の税制上のメリットが用意されているため、全く優遇措置がないわけではありません。

区分所得税の控除額住民税の控除額
一般の扶養親族(16歳以上19歳未満、23歳以上70歳未満)38万円33万円
特定扶養親族(19歳以上23歳以下)63万円45万円
老人扶養親族(70歳以上)同居以外48万円38万円
老人扶養親族(70歳以上)同居の父母・祖父母58万円45万円

特に、同居している70歳以上の父母や祖父母については、所得税58万円、住民税45万円という高い控除が受けられます。なお、年齢はここでも申告対象となる年の12月31日時点で判断します。

税制上の扶養控除・配偶者控除の主な要件

税制上の扶養控除・配偶者控除を受けるための主な要件をそれぞれ確認します。

配偶者控除の主な要件

  • 本人と生計を一にしていること(同じ財布で生活していること)
  • 配偶者の合計所得金額が48万円以下(給与収入のみなら103万円以下)
  • 本人の合計所得金額が1,000万円以下(900万円超から控除額が段階的に減少)
  • 配偶者が他の人の専従者になっていないこと

配偶者特別控除の主な要件

  • 本人と生計を一にしていること
  • 配偶者の合計所得金額が所定の範囲内であること
  • 配偶者が他の事業者の専従者になっていないこと
  • 配偶者自身が配偶者特別控除を適用していないこと(夫婦のうち一方のみ適用可)

扶養控除の主な要件

  • 本人と生計を一にしていること
  • 被扶養者の合計所得金額が48万円以下
  • 他の事業者の専従者になっていないこと
  • 専従者給与・専従者控除または扶養控除の重複適用はできないこと

📌 ポイント

所得税では、ある人が被扶養者(扶養を受ける人)であるとき、その人の面倒を見ているのは1人だという考え方です。そのため、複数の人の扶養になったり専従者になったりすることは認められていません。

📝 このセクションのまとめ

  • 配偶者控除・扶養控除いずれも「生計を一にしていること」が大前提
  • 被扶養者の所得は48万円以下(給与収入103万円以下)が共通要件
  • 配偶者特別控除は夫婦のどちらか一方のみ適用可能
  • 専従者と扶養控除の重複適用は不可

税制上の扶養控除・配偶者控除を受けるための手続きと必要書類

税制上の扶養については、社会保険と比べてそれほど厳しくありません。

給与所得者(年末調整を受ける方)の場合

勤務先に扶養控除等申告書(いわゆる「マル扶」)を提出します。年末調整を受ける方は税務署への提出を自分でする必要はなく、勤務先への提出で完結します。

確定申告をする方の場合

確定申告書に必要事項(扶養控除の金額、被扶養者の氏名・生年月日・マイナンバーなど)を記載して提出します。

ただし、年末調整・確定申告いずれの場合も、扶養親族・配偶者が海外に住んでいる場合は追加の書類が必要です。

必要書類内容提出先
親族関係書類戸籍謄本など、親族関係を証明する書類給与所得者:勤務先
確定申告者:税務署
送金関係書類海外に住む配偶者・親族への送金記録同上

なお、送金額についての明確なルールは税制上ありませんが、常識的な金額であることが求められます。この点、税制上はそれほど厳しくないのが実態です。

📝 このセクションのまとめ

  • 給与所得者は勤務先に扶養控除等申告書(マル扶)を提出するだけでOK
  • 確定申告者は申告書に必要事項を記載して提出
  • 海外在住の扶養親族がいる場合は「親族関係書類」と「送金関係書類」が必要
  • 税制上は社会保険と比べて証拠書類の要件は厳しくない

社会保険の扶養のメリットと健康保険・年金それぞれの要件

社会保険の扶養については、税制上よりも結構厳格になっていますので注意が必要です。

まず、社会保険の扶養に入れることのメリットを確認します。

  • 健康保険の扶養:被扶養者(配偶者や家族)の健康保険料の負担がなくなる。本人が負担する保険料のみで、被扶養者も3割・2割・1割負担で病院やクリニックの診察・薬の処方・手術などを受けられる
  • 年金の扶養(第3号被保険者):配偶者が国民年金の保険料を負担しなくてよくなる。保険料を支払わなくても国民年金に加入しているとみなされ、将来の年金受給権が確保される

一般的に「収入が増えたから扶養から外れてしまう」という話の多くは、この社会保険における扶養を指していることがほとんどです。

健康保険の扶養(被扶養者)の主な要件

要件内容
年齢被扶養者が75歳未満であること(75歳以上は後期高齢者医療制度が適用)
生計要件本人の収入で生活している(生計を一にしている)こと
年収基準(60歳未満)年収130万円未満
年収基準(60歳以上または障害者)年収180万円未満
同居の場合の収入比較本人の年収の半分未満であること
別居の場合の収入比較本人からの仕送り額未満の年収であること
住所要件原則として国内に住民票があること
保険加入状況自分自身が健康保険に加入していないこと

国民年金の第3号被保険者(年金の扶養)の主な要件

年金の扶養(第3号被保険者)は配偶者のみが対象です。第2号被保険者(厚生年金加入の本人)に扶養されている配偶者を第3号被保険者と呼びます。

要件内容
年齢20歳以上60歳未満であること
生計要件生計を一にしていること
年収基準(原則)年収130万円未満
年収基準(障害者)年収180万円未満
同居の場合の収入比較本人の年収の半分未満であること
別居の場合の収入比較本人からの仕送り額未満の年収であること
住所要件国内に住民票があること
保険加入状況勤務先で厚生年金等に加入していないこと

📌 ポイント:130万円の壁と年収の壁・支援強化パッケージ

上記の要件がいわゆる「130万円の壁」です。ただし、厚生労働省から「年収の壁・支援強化パッケージ」が公表されており、一時的に130万円以上となっても被扶養者のままでいられる制度も設けられています。最新情報を厚生労働省のウェブサイトで確認してください。

📝 このセクションのまとめ

  • 健康保険の扶養は75歳未満が対象、年収は60歳未満なら130万円未満
  • 年金の扶養(第3号被保険者)は配偶者のみ、20歳以上60歳未満が対象
  • 別居の場合は「仕送り額未満の年収」という要件があるため注意が必要
  • 「130万円の壁」について年収の壁・支援強化パッケージによる緩和措置もある

社会保険の扶養認定に必要な手続きと証拠書類

社会保険の扶養認定を受ける際の手続きとして、扶養に入れ始めるときには以下の書類を勤務先などに提出する必要があります。

  • 健康保険被保険者異動届
  • 国民年金第3号被保険者関係届(第3号被保険者となる配偶者がいる場合)

なお、必要書類は本人が加入している健康保険組合などによって異なる場合がありますので、勤務先や健康保険組合に確認してください。

そして、ここが今回最も強調したいポイントです。社会保険の扶養は、認定を受けて終わりではありません。健康保険では毎年、扶養の要件を満たしているかどうかの確認が行われます。

健康保険組合の例では、毎年「被扶養者現況申立書」という書類の提出が求められることがあります。

特に別居の場合は、以下の書類の提出が必要となります。

  • 仕送りの事実と仕送り額が確認できる書類
  • 送金者名・受取人名・送金額が確認できる預金通帳のコピー

また、被扶養者現況申立書には被扶養者の年収を記載する欄もあり、収入面の要件を満たしていることを示さなければなりません。健康保険組合によっては、さらに給与明細の提出を求められるケースもあります。

⚠️ 注意

社会保険の扶養は毎年確認が行われるため、実際には扶養の要件を満たしていないのに扶養し続けているという偽装は非常に困難です。扶養の状況について虚偽の申告をすることは絶対にやめてください。結果的に保険料の追徴や遡及適用が発生するリスクがあります。

📝 このセクションのまとめ

  • 扶養開始時は「健康保険被保険者異動届」「国民年金第3号被保険者関係届」を勤務先に提出
  • 健康保険では毎年「被扶養者現況申立書」等で要件確認が行われる
  • 別居の場合は仕送りの通帳コピーなど具体的な証拠書類が必要
  • 健康保険組合によっては給与明細の提出を求められることもあり、チェックは厳格
  • 扶養の状況について虚偽の申告は絶対に行わないこと

終わりに

本記事の内容は YouTubeチャンネル 税理士ナガイ の下記動画を参考に作成しています。AIによる書き起こしを活用しているため、誤字脱字がある可能性があります。ご了承ください。
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