節税対策

「経費で落とせる」を信じてはいけない5つの理由を税理士が解説

「経費で落とせる」を信じてはいけない5つの理由を税理士が解説
e_zeirishi

「経費で落とせる」という他人の言葉を安易に信じると、脱税リスクに繋がる可能性があります。個人事業主・法人共通の落とし穴を5つの理由で整理します。

なぜ「他人が経費で落とせた」を信じてはいけないのか

ネットを見れば、ブログやSNSでいくらでも簡単に情報が取れるようになっています。節税に関する情報も同様です。ところが、情報が取れやすくなった分、中には誤った情報や、行き過ぎた節税——実質的には脱税に関する情報も流れています。

よく経営者の会合などで「いやいや、あれ経費で落とせたで」「俺は行けたで」という話を耳にすることがあると思います。しかし、それを絶対に信じてはいけません。その理由を5つに整理して解説します。

📌 ポイント

この記事は特に駆け出し経営者の方に読んでいただきたい内容です。誤った情報を鵜呑みにして脱税事件に繋がらないための注意喚起として参考にしてください。

📝 このセクションのまとめ

  • ネット上には誤った節税情報・脱税情報が混在している
  • 他人が「経費で落とせた」と言っても、その背景には様々な事情がある
  • 信じてはいけない理由は大きく5つに分類できる

理由①:税理士ではない人による誤った情報発信

税理士という資格を持たない人が発信している情報については、特に注意が必要です。具体的な例として「フェラーリは経費で落とせる」という情報を考えてみましょう。

通常の車両は減価償却という手続きを経て少しずつ経費に落とすことができ、結果として節税に繋がります。では、フェラーリほどの高級外車についても同様に経費に落とせるのでしょうか。実はこれ、一概には言えません。

フェラーリの種類価格帯の目安減価償却節税効果
一般公道を走れる通常モデル2,000万〜3,000万円程度可能あり(仕事で使う場合)
生産台数が限られる超高級モデル(1億円超等)1億円以上不可なし

生産台数が限られている超高級フェラーリは、その仕様によって価値の減少が認められにくく、むしろ長く持てば持つほど価値が上がっていくようなものです。このようなものは減価償却すらできないため、節税にはなりません。

同じ「フェラーリ」という車種でも、前提条件によって節税になるかどうかが変わってくるのです。

次に、個人事業主向けの話として「家事按分」があります。個人事業主の支出には、税法上、以下の3種類があります。

区分具体例経費算入
必要経費事業に直接必要な支出○ 算入可
家事費生活費・娯楽費・医療費など✕ 算入不可
家事関連費(家事按分)自宅兼オフィスの家賃・水道光熱費・仕事とプライベート兼用の車の維持費など△ 条件付きで一部算入可

家事関連費については「仕事で使っているから経費に落とせる」と情報発信されているケースがありますが、原則はNGです。条件付きなのです。

⚠️ 注意

家事関連費を経費に算入するには、「必要である部分が明らかに区分できる場合」という前提条件が必要です。「仕事に使っているからざっくり3割は経費に落とせる」という考え方は誤りであり、否認される可能性が高くなります。

なお、税理士が発信している情報であれば必ずしも100%安心というわけでもありません。また、税理士が何か特別な経費節税テクニックを持っているかというと、そういうわけでもありません。高度な節税テクニックが活きるのは、相続税業務・国際税務・組織再編(M&A)など大型の案件であり、通常の中小企業クラスではなかなか考えられないのが現実です。

📝 このセクションのまとめ

  • 同じ支出でも前提条件によって経費になるかどうかが変わる
  • 家事按分は「明らかに区分できる場合」のみ経費算入可能
  • 「何費だから経費に落とせる」という単純な判断は誤り

理由②:たまたま税務調査が入らなかっただけ

これは非常に多いケースです。申告書を提出してすぐに調査されて間違いが発見されるということは、基本的にはありません。税務調査は一般的に3年から5年に1回程度入ると言われています。

ところがこれは絶対ではありません。たとえば赤字の事業所はなかなか調査に入られにくく、黒字であっても運によって左右される部分があります。しっかり利益が出ているにもかかわらず、10年以上調査が入っていないという事業所も実際に存在します。

特にここ最近はコロナの影響で調査の件数が随分減り、税務当局もかなりの人手不足の状況にあります。

📌 ポイント

今後は調査のAI化や電子帳簿保存法の全面導入によって状況が変わり、さらに厳しくなる可能性があります。現在は調査頻度が下がっていても、将来的に見過ごされた誤りが発覚するリスクは十分にあります。

📝 このセクションのまとめ

  • 税務調査は3〜5年に1回が目安だが、絶対ではない
  • 調査が入っていないこと=適法であることを意味しない
  • AI化・電子帳簿保存法の普及により、今後は調査精度が上がる可能性がある

理由③:金額が少ないなどの理由で調査でたまたまスルーされただけ

調査に入られたとしても、金額があまりにも少なかったためにスルーされただけ、あるいは金額は大きかったけれども調査官の能力によってたまたま見過ごされただけ、というケースも考えられます。

たとえば、一人で食べた食事代は経費に落ちません。しかし、ある年度に1回だけその食事代が計上されていて、しかもその金額が500円だったとします。このようなケースでは、税務調査官も見向きもしないでしょう。税額に与える影響が少なく、重要性が乏しい金額であれば、調査官がスルーする場合があります。

⚠️ 注意

「小さい金額だから何でも突っ込んでいい」は大きな誤解です。脱税に関して金額は関係ありません。スルーされたのはあくまでたまたまであり、それが適法であることの証明にはなりません。

📝 このセクションのまとめ

  • 少額だからといって何でも経費に計上してよいわけではない
  • 調査でスルーされたのは「適法」の証明ではなく「たまたま」に過ぎない
  • 脱税は金額の大小に関わらず問題となる

理由④:顧問税理士がちゃんと経費から外していた

顧問税理士を付けているケースでよくあるパターンです。「経費に落としてもらうつもりで領収書を送ったのに、実は税理士が経費から外していた」というケースです。

領収書の内容からして経費性が乏しいと判断された場合、顧問税理士が経費に計上しないという処理を行うことは実務上よくあります。

  • 本当に経費性があるものであれば、確認しなかった顧問税理士の不手際といえる
  • 経費性が乏しいものを顧問税理士が外してくれていた場合は、しっかり見てくれている税理士だと評価できる

通常は「この領収書、金額が大きいですけれど何に使われたんですか?」と確認を入れるものです。経営者側が「経費で落とせた」と思っていても、実際には税理士が適切に除外処理していたというケースは少なくありません。

📝 このセクションのまとめ

  • 「経費で落ちた」と思っていても、顧問税理士が実は外していたケースがある
  • 経費性が乏しいものを除外してくれる税理士は信頼できる税理士
  • 領収書の内容・使途は必ず税理士と確認・共有することが重要

理由⑤:特定の業界だけで経費になるものを別業界に当てはめている

ある業界では経費に落ちるけれども、別の業界では経費にならないものが存在します。具体的な例として「メントスとコーラ」を考えてみましょう。

使用者・状況経費性勘定科目
税理士法人の代表者が自分で飲食した✕ なし経費不可(家事費・役員賞与)
エンタメ系YouTuberが動画企画(メントスコーラ企画)に使用した○ 高い制作費・経費算入可の可能性が高い

「YouTubeをやれば何でもかんでも経費に落とせる」というわけではありません。あくまで業界・用途・使い方によって経費性が変わるということです。

さらに、同じメントスとコーラであっても、誰に・どのように使ったかによっても経費性が分かれます。

飲食の状況個人事業主法人勘定科目
自分一人の食事代✕ 家事費✕ 役員賞与経費不可
社員・スタッフに配った✕ 自分への福利厚生は不可○(条件あり)福利厚生費
取引先との打ち合わせ・会議会議費
得意先の接待接待交際費
動画の企画・制作に使用○(エンタメ系の場合)○(エンタメ系の場合)制作費

⚠️ 注意

個人事業主には「自分自身に対する福利厚生費」という概念はありません。また、社員に対して食事を提供する場合は給与課税(源泉徴収の対象)になることもありますので、処理方法には十分注意が必要です。

📝 このセクションのまとめ

  • 業界・職種によって経費になるものとならないものがある
  • 同じ支出でも「誰に・どのように使ったか」で経費性・勘定科目が変わる
  • 個人事業主は自分自身への福利厚生費を経費にできない
  • 社員への食事提供は給与課税になる場合があるため要注意

5つの理由の整理と、経費判断に迷ったときの対処法

ここまで解説してきた「他人の言葉を信じてはいけない5つの理由」を改めて整理します。

  1. 税理士ではない人による誤った情報を鵜呑みにしている(前提条件によって経費性は変わる)
  2. たまたま税務調査が入らなかっただけ(入らないこと=適法の証明ではない)
  3. 金額が小さいなどの理由で調査でたまたまスルーされただけ(脱税に金額の大小は関係ない)
  4. 顧問税理士がちゃんと経費から外してくれていた(本人は気づいていないケース)
  5. 特定の業界・用途でだけ経費になるものを自分の業界に当てはめている(業界・使途で経費性は異なる)

📌 ポイント

大きな経費の支出があって、その経費性の判断に迷われる場合は、ネット情報ではなく顧問税理士、または税理士への相談を強くおすすめします。ネット上の情報は前提条件が異なる場合が多く、そのまま自分のケースに当てはめると誤った判断につながる可能性があります。

📝 このセクションのまとめ

  • 「経費で落とせる」かどうかは何費かではなく前提条件で変わる
  • 他人の経験談には様々な背景・事情があり、そのまま信じることは危険
  • 判断に迷ったときは必ず税理士などの専門家に相談する

終わりに

本記事の内容は YouTubeチャンネル 税理士YouTuberチャンネル!! / ヒロ税理士 の下記動画を参考に作成しています。AIによる書き起こしを活用しているため、誤字脱字がある可能性があります。ご了承ください。
本サイトは 税理士YouTuberチャンネル!! / ヒロ税理士を応援しています!

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