節税対策

「経費で落とせる」を信じてはいけない5つの理由を税理士が解説

「経費で落とせる」を信じてはいけない5つの理由を税理士が解説
e_zeirishi

他人の「経費で落とせる」は絶対に信用してはいけない。その理由を5つ解説します。

ネットを見れば、ブログやSNSで節税に関する情報がいくらでも手に入る時代になりました。しかし情報が取れやすくなった分、誤った情報や行き過ぎた節税、場合によっては脱税に関する情報も流れています。

今回は、個人事業主・法人共通のテーマとして、特に駆け出し経営者の方に向けて、「これは経費で落とせるよ」という他人の言葉を絶対に信じてはいけない5つの理由を解説します。誤った情報を鵜呑みにして脱税事件に繋がらないための注意喚起としてご覧ください。

理由①:税理士ではない人が発信している誤った情報を鵜呑みにしている

税理士という資格を持たない人が発信している情報については、特に注意が必要です。

例として、フェラーリという高級外車を考えてみましょう。通常の車両は減価償却という手続きを経て少しずつ経費に落とすことができ、結果として節税につながると言われています。では、フェラーリほどの高級外車について経費に落とせるのでしょうか。

実は、一概には言えません。フェラーリの中でも仕様によって扱いが大きく異なります。

フェラーリの種類特徴減価償却・節税
一般的なフェラーリ(例:2,000〜3,000万円程度)公道を走れる通常の乗り物減価償却が可能。仕事に使えば経費計上・節税につながる
超高級・限定生産のフェラーリ(例:1億円超)長く持つほど価値が上がる資産的性格価値の減少が認められないため減価償却不可。節税にならない

このように、同じ「フェラーリ」でも前提条件によって節税につながるかどうかが変わってきます。「何々費なら経費に落とせる」というシンプルな話ではなく、前提条件によって経費になるかどうかが変わるということを必ず覚えておきましょう。

個人事業主の「家事按分」にも要注意:原則は否認される

個人事業主の支出には、税法上、次の3種類があります。

区分具体例経費への算入
必要経費仕事に直接必要な支出経費算入OK
家事費生活費・娯楽費・医療費など経費算入NG
家事関連費(家事按分)自宅兼オフィスの家賃・水道光熱費・仕事とプライベート兼用の車の維持費など条件付きでOK

「仕事で使っているんだからざっくり3割くらいは経費に落とせるんじゃないか」という考え方は誤りです。家事関連費を経費に算入するためには、「必要である部分が明らかに区分できる場合」という前提条件があります。

⚠️ 注意

明確な根拠なく「なんとなく3割」「仕事でも使っているから」という理由で家事関連費を経費算入した場合、税務調査で否認される可能性が高くなります。仕事で使っている部分を明確に線引きできる証拠・根拠が必要です。

また、税理士が発信している情報であれば100%安心かというと、必ずしもそうとは言えません。通常の中小企業クラスでは、相続税業務・国際税務・組織再編(M&A)のような高度な税務と異なり、特別なテクニックがあるわけではありません。経費になるかどうかは、あくまで前提条件と事実関係によって判断されます。

📝 このセクションのまとめ

  • 経費になるかどうかは「何費か」ではなく「前提条件」で変わる
  • 同じフェラーリでも仕様によって減価償却できるかどうかが異なる
  • 家事按分は「明らかに区分できる場合」のみ認められる原則を押さえる
  • 税理士でない人の情報は特に注意して精査する

理由②:たまたま税務調査が入らなかっただけ

「あの経費、落とせたよ」という話の裏側には、たまたま税務調査が入らなかっただけというケースが非常に多くあります。

申告書を提出してすぐに調査されて間違いが発見されるということは、基本的にはありません。税務調査は一般的に3年から5年に1回程度入ると言われていますが、これは絶対ではありません。

  • 赤字の事業所はなかなか調査に入られにくい
  • 黒字であっても運によって左右される部分がある
  • しっかり利益が出ているのに10年以上調査が入っていない事業所も実在する

特に最近はコロナの影響で調査件数が随分減り、税務当局もかなりの人手不足の状況です。今後は調査のAI化電子帳簿保存法の全面導入によって状況が変わり、さらに厳しくなることも考えておく必要があります。

📌 ポイント

「調査が来なかった=問題ない」ではありません。今後は調査のAI化・電子帳簿保存法の導入により、調査の精度と頻度が変化する可能性があります。現在問題なく見えていても、過去の申告に遡って調査されるリスクがあることを忘れないでください。

📝 このセクションのまとめ

  • 税務調査は3〜5年に1回が目安だが絶対ではなく、10年以上入らないケースも
  • 「調査が来なかった」は「問題なかった」の証明にならない
  • AI化・電子帳簿保存法の導入で今後の調査環境が厳しくなる可能性がある

理由③:金額が少なかったため調査でたまたまスルーされただけ

税務調査では、金額の重要性(重要性の原則)が判断に影響することがあります。

例えば、一人で食べた食事代は経費に落ちません。しかし、年度に1回だけその食事代が計上されていて、しかもその金額が500円だったとすれば、税務調査官もほとんど見向きもしないでしょう。税額に与える影響が少なく、重要性が乏しい金額であれば、調査官がスルーする場合があります。

⚠️ 注意

「金額が小さいから何でも経費に突っ込んでいい」というわけではありません。脱税に関して金額は関係ありません。金額の大小にかかわらず、意図的に経費を水増しする行為は脱税です。

📝 このセクションのまとめ

  • 金額が少ない場合、調査でスルーされることがあるが、それは「問題なかった」ではない
  • 脱税は金額の大小に関係なく違法行為である

理由④:顧問税理士がこっそり経費から外してくれていた

顧問税理士をつけているケースでよくある話です。「経費に落としてもらうつもりで領収書を送ったのに、実は税理士が経費から外していた」というパターンです。

領収書の内容からして経費性が乏しいと判断した場合、顧問税理士が経費に算入せずに処理していることがあります。経営者本人は「経費に落とせた」と思っていても、実際には税理士がきちんと判断して外してくれていたというわけです。

📌 ポイント

顧問税理士が経費から外した場合の考え方:

  • 本当に経費性があるものを外した場合:確認しなかった税理士の不手際といえる
  • 経費性が乏しいものを外した場合:しっかり見てくれている税理士として信頼できる

通常は「この領収書、金額が大きいですが何に使われましたか?」と確認の連絡が来るものです。

📝 このセクションのまとめ

  • 「経費で落ちた」の裏に顧問税理士が外してくれていたケースがある
  • 経費性が乏しいものを外してくれる税理士は、むしろ信頼できる証拠
  • 不明な領収書は税理士から確認の連絡が来るのが通常

理由⑤:特定の業界では経費になるが、自分の業界では経費にならない

ある業界では経費に落ちるものが、別の業界では経費にならないケースがあります。

具体的な例として「メントスとコーラ」を考えてみましょう。

購入者・使用状況経費への算入理由
税理士法人の代表者が自分で飲食したNG経費性なし(個人の飲食)
エンタメ系YouTuberが動画企画(メントスコーラ企画)に使用したOK(可能性が高い)動画制作費・製作所経費として経費算入できる

「YouTubeをやれば何でも経費に落とせる」というわけではありませんが、このように業界や使い方によって経費になるかどうかが変わるということを覚えておく必要があります。

さらに、同じ飲食物でも「誰に・どのように使ったか」によって経費の種類と可否が変わります。

使用状況経費区分個人事業主法人
自分一人の食事代家事費 / 役員賞与NGNG
社員・スタッフに配った福利厚生費NG(自分への福利厚生概念なし)OK(ただし給与課税に注意)
取引先との打ち合わせ・会議会議費OKOK
得意先の接待接待交際費OKOK
動画・コンテンツの企画に使用製作所経費(制作費)OKOK

⚠️ 注意

個人事業主には「自分自身への福利厚生」という概念はありません。法人で社員に食事を提供する場合も、条件によっては給与課税(源泉徴収の対象)になることがあります。処理の際は必ず確認しましょう。

📝 このセクションのまとめ

  • 業界が違えば同じ支出でも経費になるかどうかが変わる
  • 「誰に・どのように使ったか」によって経費の種類と可否が変わる
  • 個人事業主に自分への福利厚生費の概念はない
  • 社員への飲食提供は条件によって給与課税になる場合がある

「交渉力のある税理士」という話も過信は禁物

よく経営者の会合などで「すごい交渉力のある税理士がついているから大丈夫」という話を耳にすることがあります。昔の時代であれば、国税OBの税理士が無茶をするようなケースもあったようですが、現代ではそういった事例はレアケースになってきています。

📌 ポイント

社長同士の会合で「あれが経費で落とせた」「俺は行けた」という話を聞くことがあるかもしれません。しかし今回解説した5つの理由のいずれかに当てはまる可能性が高く、絶対に鵜呑みにしてはいけません。

5つの理由の整理と、経費判断に迷ったときの対処法

「これは経費で落とせるよ」という他人の言葉を信じてはいけない5つの理由を改めて整理します。

  1. 税理士ではない人による誤った情報を鵜呑みにしている(前提条件によって経費になるかどうかは変わる)
  2. たまたま税務調査が入らなかっただけ(調査に入られなかった=問題なかったではない)
  3. 金額が少ないなどの理由で調査でたまたまスルーされただけ(脱税は金額の大小に関係なく違法)
  4. 顧問税理士がこっそり経費から外してくれていた(本人が知らないだけで適切に処理されていた)
  5. 特定の業界・使い方では経費になるが、自分の状況では経費にならない(業界・使用目的・使用相手によって判断が変わる)

大きな経費の支出があって経費性の判断に迷う場合は、ネット情報に頼るのではなく、顧問税理士や専門家に相談することを強くおすすめします。

📌 ポイント

経費になるかどうかは「何費か」という費目だけでは決まりません。誰が・何のために・どのように使ったかという前提条件を明確にして、専門家に相談しながら正しく経費処理することが、長期的な事業運営の安全につながります。

📝 このセクションのまとめ

  • 他人の「経費で落とせた」には5つの落とし穴がある
  • 経費の判断は費目だけでなく前提条件・使用状況が重要
  • 判断に迷う場合は必ず顧問税理士や専門家に相談する
  • 業界や使い方によって同じ支出でも経費になるかどうかが変わることを理論武装しておく

終わりに

本記事の内容は YouTubeチャンネル 税理士YouTuberチャンネル!! / ヒロ税理士 の下記動画を参考に作成しています。AIによる書き起こしを活用しているため、誤字脱字がある可能性があります。ご了承ください。
本サイトは 税理士YouTuberチャンネル!! / ヒロ税理士を応援しています!

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