確定申告書を早めに提出すると損する理由を税理士が解説
早めの確定申告書提出が、実は損につながるケースを解説します。
早めの確定申告書提出、本当にメリットはあるの?
確定申告書の提出は毎年2月16日から可能ですが、還付となる方は今年については1月4日から受け付けてもらうことができます。
「面倒なことは早めに片付けてしまおう」というきちんとした方こそ、実はかえって損をしてしまう可能性があります。早めに提出することの結論から言うと、早めに提出することにはほとんどメリットはありません。
期限が決められていて早めにするに越したことはないと思われる方も多いかもしれませんが、メリットを上回るデメリットが結構あります。この記事ではそのあたりをわかりやすく解説します。また、うっかりすでに確定申告書を提出してしまった方向けの対処法も後半で解説しています。
📌 ポイント
早めに確定申告書を提出する唯一のメリットは「還付金を早めに受け取ることができる」という点のみです。それ以外のメリットはほとんどありません。
📝 このセクションのまとめ
- 還付申告は1月4日から受け付け可能
- 早めの提出はメリットよりデメリットが多い
- 唯一のメリットは還付金を早く受け取れること
還付申告とは?対象となる方を確認しよう
還付申告の対象となる方とは、確定申告書の提出によって還付金を受け取れる方です。具体的には以下のような方が対象になります。
- 給与所得のある方で、源泉徴収された金額が確定申告書によって確定される税金よりも多い場合
- 事業所得や雑所得のある方で、受け取る報酬について源泉徴収されており、1年間の源泉徴収額が確定した税額を上回る場合
- 株式投資などで源泉徴収されている場合
- 報酬などから源泉徴収される取引がある場合
実際に還付申告となるかどうかは、必ず確定申告書を作成して確認してください。ExcelなどでざっくりとD計算するのは間違いのもとですので、確定申告書等作成コーナーなどを利用して還付金がいくらになるかを確かめるようにしてください。
還付金の振込にかかる期間の目安
早めに提出すれば還付金の受け取りが早くなるというメリットはあります。ただし、本当にそれがメリットと言えるのかを考えてみましょう。
| 提出方法 | 還付金の振込目安 |
|---|---|
| 書面(郵送・持参) | 約1〜2ヶ月 |
| e-Tax(電子申告) | 約3週間 |
| 期限ギリギリ提出 | 遅れる傾向あり(最長3ヶ月以内) |
税務署によって異なりますし、提出した時期によっても異なります。どんなに遅くても3ヶ月以内には振り込まれる可能性が高いです。よっぽどお金に困っている方を除いては、早めに還付金を受け取るメリットはそこまで大きくありません。
📌 消費税の還付申告は別扱い
事業を行っている方で、設備投資や大幅な赤字があった場合などは消費税の還付申告になることがあります。消費税の還付申告はチェックが厳しく、書面調査や実地調査が行われた後に還付金が振り込まれることがあります。所得税の還付申告とは扱いが大きく異なりますので注意してください。
📝 このセクションのまとめ
- e-Taxは書面より還付が早く、約3週間が目安
- 最長でも3ヶ月以内には振り込まれることが多い
- 消費税の還付申告は所得税とは別扱いで審査が厳しい
デメリット①:税務リスク(売上の計上漏れ)
早めに確定申告書を提出することのデメリットの1つ目は税務リスクです。税務リスクとは、税金を少なく申告することによって税務調査が入ったときに追徴を受けてしまうリスクのことです。本来払うべき税金に加えて、延滞税や過少申告加算税がかかることがあります。
税務リスクとして特に大きいのが、売上の計上漏れ(期ずれ)です。早めに提出すればするほど、売上の計上漏れの可能性が高まります。
現金商売の方はあまりピンとこないかもしれません。現金の入金=売上となりますので、1月1日から12月31日までに現金で入金があった分をもれなく売上に計上していれば税務リスクは低いです。
ところが、多くの取引は信用取引(掛け売り)です。例えば12月分の売上が1月末に振り込まれる、場合によっては2月末・3月末に振り込まれるということもあります。
例えば1月初めに還付申告書を提出した後、1月末に入金があり、よく調べてみたら12月末までの業務に対する売上だったという場合、確定申告書が間違っていることになります。これが売上の期ずれと呼ばれる問題です。
⚠️ 注意:税務署は売上の期ずれを非常によく見ている
税務調査が入った場合、売上の計上漏れ(期ずれ)はほぼ100%指摘されます。例えば交際費が本当に経費かどうかは意見が分かれますが、売上の計上漏れは一発でわかってしまいます。納税者が発行した請求書を全て確認したり、期末後の入金をチェックするだけで簡単に発見できるため、税務署が非常に指摘しやすい項目です。
📝 このセクションのまとめ
- 早めの提出ほど売上の計上漏れ(期ずれ)リスクが高まる
- 掛け売りの場合、12月の売上が翌年1〜3月に入金されることがある
- 売上の期ずれは税務調査で最も指摘されやすい項目の一つ
- 追徴だけでなく延滞税・過少申告加算税も課される可能性がある
デメリット②:損をするリスク(経費の計上漏れ)
早めに確定申告書を提出することのデメリットの2つ目は損をしてしまうリスクです。これは先ほどの売上とは逆で、経費の計上漏れの可能性が高まるということです。
経費の計上漏れが起きると、令和4年分の所得が本来よりも多くなってしまいます。所得が多くなれば、その多くなった所得をもとに税金が計算されますので、本来納めるべき税金よりも多く払うことになってしまいます。
例えば、外注費を支払っている場合に、12月にやってもらった仕事に関して1月末を期限として請求書が上がってくるという外注先があったとします。1月の途中だとまだ支払いが発生していないため、12月末に未払い計上するのを忘れてしまう可能性があります。さらに1月中旬だと、外注先からまだ請求書すら届いていないという状況も考えられます。
請求書をなかなか上げてこない外注先や仕入れ先は多いものです。そういった取引先がある場合は特に経費の計上漏れが起きやすくなります。
- 外注費・仕入れ:翌月末払いのケースが多い
- 給与:翌月末払いのケースが多い
- 通信費:翌月払いのケースが多い
- その他各種経費:後で引き落としや請求書払いが発生するものが多い
📌 経費計上漏れを防ぐための実務的なポイント
少なくとも1月末まで待って、経費の計上漏れがないかどうかをきちんと確かめてから確定申告書を作成することをお勧めします。1月・2月の支出について銀行通帳を記帳したり入出金明細をダウンロードして一つ一つチェックすることで、「この支払いは令和4年中に計上できる経費だ」という形で拾いやすくなります。時間が経てば経つほど、そういった経費を拾いやすくなります。
📝 このセクションのまとめ
- 早めの提出ほど経費の計上漏れリスクが高まる
- 経費の計上漏れは所得が増え、税金を余分に払うことになる
- 外注費・通信費など翌月払いの経費は特に注意が必要
- 1月末まで待ち、通帳や入出金明細で支出を一つ一つ確認するのがベスト
すでに提出してしまった場合の対処法:訂正申告
すでに確定申告書を提出してしまった方も安心してください。3月15日までは何度でも申告を受け付けてもらうことができます。期限内に2回申告した場合は、後に申告したものを正式な申告として扱ってくれるという決まりがあります。
税務署によってはお問い合わせが来る可能性はありますが、規則上は期限内であれば最後に提出したものを正式な確定申告書として受理してくれます。これを訂正申告といいます。
⚠️ 3月15日を1日でも過ぎると「期限後申告」になる
3月15日を1日でも過ぎて提出してしまった場合は期限後申告となり、大きなデメリットがあります。
- 青色申告で65万円の控除を受けている方は10万円の控除に減額されてしまう
- 延滞税などがかかる可能性がある
デメリットしかありませんので、必ず3月15日までに再提出してください。
訂正申告の正しいやり方
訂正申告を行う際の提出方法について説明します。
- 誤りを確認し、正しい内容で確定申告書を一式作成する(誤った部分だけを提出するのは正式な訂正申告ではないので注意)
- 書面で提出する場合は、確定申告書第1票の上部に赤字で「訂正申告」と記載しておくと税務署の方にすぐわかってもらいやすい(記載がなくても訂正申告として認められないわけではないが、記載しておくのが無難)
- 3月15日までに提出する
⚠️ 還付金がすでに振り込まれている場合は必ず税務署に問い合わせを
早めに提出した結果、すでに還付金の入金があった後に訂正申告をしたい場合は、必ず税務署に問い合わせをしてから対応を確認してください。場合によっては「更正の請求」(期限が過ぎてから税金を払いすぎていたことに気づいた場合の還付請求手続き)をしなければならないケースもあります。あなたの住所地・事業所を管轄する税務署に問い合わせて対応を確認してから手続きを進めてください。
📝 このセクションのまとめ
- 3月15日までなら何度でも訂正申告が可能
- 後から提出したものが正式な申告書として扱われる
- 訂正申告は一式書類を揃えて提出する(一部だけの提出は不可)
- 書面提出の場合は第1票に赤字で「訂正申告」と記載するのが無難
- 還付金がすでに振り込まれている場合は税務署に必ず問い合わせること
納税となる方の注意点
納税となる方に関しても、2月16日より前に提出すること自体は可能です。ただし、提出したものは2月16日まで税務署が保管することになりますので、正式な受理日は2月16日以降になるものと思われます。
2月15日以前に提出したとしても無効になるわけではありませんので、その点は安心してください。ただし、還付申告と同様に、売上や経費の計上漏れのリスクを考えると、早すぎる提出は避けた方が無難です。
📌 申告期限の延長について
コロナによる申告期限の延長が認められる場合があります。最新情報は税務署や国税庁のウェブサイトでご確認ください。
📝 全体のまとめ:確定申告書の提出タイミングについて
- 早めの提出のメリットは「還付金が若干早く受け取れる」だけ
- デメリット①:売上の計上漏れ(期ずれ)リスクが高まり、税務調査で追徴を受ける可能性がある
- デメリット②:経費の計上漏れリスクが高まり、本来より多く税金を払うことになる
- 少なくとも1月末まで待ち、通帳や入出金明細で収支を確認してから申告書を作成・提出するのがベスト
- すでに提出してしまった場合も3月15日までなら訂正申告で対応可能
終わりに
本記事の内容は YouTubeチャンネル 税理士ナガイ の下記動画を参考に作成しています。AIによる書き起こしを活用しているため、誤字脱字がある可能性があります。ご了承ください。本サイトは 税理士ナガイを応援しています!
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