電子帳簿保存法&インボイス制度が大幅緩和|税理士が解説するダウンロード不要の条件と注意点

電子帳簿保存法&インボイス制度が大幅緩和|税理士が解説するダウンロード不要の条件と注意点
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電子帳簿保存法とインボイス制度が大幅緩和。AmazonなどECサイトの領収書ダウンロードが不要になった条件と、それでも油断できない理由を解説します。

そもそも電子帳簿保存法とは?20年以上前からある法律

電子帳簿保存法(略して「電帳法」)は、最近できた法律だと思っている方も多いようですが、実は1998年、20年以上前から存在している法律です。税務申告に必要な領収書・請求書の保存を、紙ではなくデータ保存でOKとした法律です。

ところが、事前の申請や手続きが非常に複雑で使い勝手が悪く、長年にわたって導入が進んできませんでした。それが最近のDX・IT化の流れに合わせて法律自体がリニューアルされ、随分使いやすくなってきました。IT化を目指す中小企業にとってはむしろプラスになるような法律です。

📌 ポイント

電子帳簿保存法は「書類をデータにしなさい」という法律ではなく、「データ保存でもOK」という法律です。紙保存を強制的にデータ化させる法律ではありません。

電子帳簿保存法の3つの柱|強制されるのは1つだけ

電子帳簿保存法は複雑に見えますが、3つの柱で構成されています。それぞれの内容と強制・任意の区別を整理しましょう。

内容強制/任意
①電子帳簿等保存自社で作成した帳簿・計算書、自社発行の契約書・請求書の控えをデータで保存する任意
②スキャナー保存他社から紙でもらった領収書・請求書を電子化して、紙を捨ててもよいとするもの任意
③電子取引のデータ保存他社からデータのみで受領した領収書・請求書をデータで保存する強制

つまり、強制されるのは③番の「電子取引のデータ保存」だけです。①と②はやってもやらなくてもかまいません。「全部やらなければならない」とビビっている方も多いですが、そうではありません。

なお、②スキャナー保存については過去動画で解説しているので、紙を全て電子化して紙を捨てたいという方はそちらをご参照ください。

📝 このセクションのまとめ

  • 電子帳簿保存法は1998年から存在する古い法律
  • 3つの柱のうち強制されるのは「③電子取引のデータ保存」のみ
  • ①電子帳簿等保存・②スキャナー保存は任意

電子取引のデータ保存とは?対象取引と2つの厳しい要件

強制される「電子取引のデータ保存」とは、データで受領したものについて紙保存は無効とするものです。対象となる取引は以下のとおりです。

  • 取引先からメールで受け取ったPDFの請求書
  • Amazon・楽天などで購入した際の請求書・領収書
  • スマホアプリ上の明細(スクリーンショットでもOK)
  • ソフトウェア使用料・通信費・クラウドサービスなど、データでしか領収書がもらえないもの

スクリーンショットや写真を撮って単純に置いておけばいいかというと、そうではありません。結構厳しい要件が2つあります。

要件内容具体的な対応方法
①検索可能要件いつでも検索・閲覧できる状態にしておくExcelで日付・金額・取引先名を管理する、またはファイル名に「20201120_株式会社〇〇_100万円」のように付ける
②真実性の担保データが唯一無二であり改ざんできないことを証明できるようにするタイムスタンプの付与、改ざん不可能なシステム導入(削除・修正記録が残るもの)、または事務処理規定の備え付け のいずれか1つ

📌 ポイント:事務処理規定の導入が最もシンプル

タイムスタンプを100%導入しなければならないわけではありません。②の要件は「どれか1つ」でOKです。最もシンプルなのは事務処理規定の備え付けです。国税庁がフォーマットを公開しており、テンプレートどおりに備え付けて車内に保存すればOKです。国税庁のリンクは概要欄に貼ってあります。

なお、法律上は2024年(今年)からこのデータ保存が強制化されています。まだ対応できていない方も、システム導入などを進めていただくことをお勧めします。

📝 このセクションのまとめ

  • 電子取引の対象はメールのPDF請求書・ECサイトの領収書・アプリ明細など
  • 「①検索可能要件」と「②真実性の担保」の2つの要件を満たす必要がある
  • ②は事務処理規定の備え付けが最もシンプルな対応策
  • 2024年から強制化されているので、未対応の方は早めに対応を

【本題】ECサイトの領収書ダウンロードが不要に!令和6年改正の詳細

2024年3月、国税庁が電帳法に関する「一問一答」を更新しました。令和6年度税制改正で細かな改正があり、納税者にとってむしろプラスの方向に改正がなされています。

更新された一問一答の質問内容はこうです。

「ECサイトで物品を購入した時、ECサイト上の購入者の購入情報を管理するページ内において領収書等データをダウンロードすることができる場合に、領収書等データを必ずダウンロードして保存する必要がありますか?」

AmazonやRakutenで物を購入した時、紙で領収書をもらえるわけではありません。その領収書をダウンロードして自社のパソコン内にいちいちファイル名をつけて保存しなければならない、というのはなかなか面倒な作業でした。

これが実質的に緩和されました。国税庁の回答(赤線部分)は以下のとおりです。

📌 国税庁の回答(令和6年改正後)

「当該ECサイト上でその領収書等データの確認が随時可能な状態である場合には、必ずしもその領収書等データをダウンロードして保存していなくても差し支えありません」

つまり、ECサイト上でいつでもデータを確認できる状態であれば、いちいち自社のパソコンにダウンロードして保存しなくてよいということになったのです。

それでも油断できない!ダウンロード不要となる条件と注意点

「ほっておいたらいい」と喜びたいところですが、この緩和措置にはきちんと条件があります。油断は禁物です。

ダウンロード不要となるための条件は以下の2つを満たしている場合のみです。

  • 真実性の確保:事務処理規定の導入などでOK
  • 検索機能の確保:そのサイトが検索要件に対応しているかどうか

特に注意が必要なのが「検索機能の確保」です。皆さんがお使いのサイトがこれに対応しているかどうか、確認していただく必要があります。

⚠️ 注意:サイトによっては使えない場合も

  • Amazonは「Amazonビジネス」などでないと検索機能がない場合がある
  • アスクルはデータの保存期間が5年の場合があり、税法上必要な7〜10年に満たない可能性がある
  • 規約違反などでアカウント停止になった場合、データが見られなくなるリスクがある

各社が随時この法改正に対応してくれることが期待されますが、現時点では自社で確認が必要です。

なお、税法上の書類の保存期間は以下のとおりです。

状況保存期間
通常(黒字の場合)7年間
赤字が出ている場合10年間
商法上の規定10年間

つまり、ECサイト上でそのデータが7年〜10年間見られる状態かどうかを確認しておく必要があります。

検索要件が不要になる特例と「相当の理由がある場合」の猶予措置

さらに、そもそも検索要件すら不要とする特例も存在します。

検索要件不要となる条件は以下のとおりです。

  • 基準期間(2期前)の売上が5,000万円以下の場合
  • 書類が書面できちんと整備されている場合

これらを満たしていれば、サイトで見られる状態であれば検索要件を満たしていなくてもOKです。

さらに、「相当の理由がある場合」の猶予措置というものもあります。これは、先ほどの条件に従って保存ができなかったことについて、税務署長が相当の理由があると認めることが条件です(事前の届け出は不要)。

この猶予措置の内容とは、とりあえず紙で整理をしておいて、税務当局がデータのダウンロードを要求してきたらいつでもダウンロードできるように準備しておく、これを満たしておけば紙で保存しておいてもよい、ということです。

「相当の理由」として認められるものの例は以下のとおりです。

  • 人手不足
  • 資金繰りが悪い
  • システム導入が間に合わない

📌 ポイント

事前申請も不要で、「相当の理由」はかなり曖昧に適用されると考えられます。実態としては、あれだけ「強制・強制」と騒いでおいて、今年から本格導入としておきながら、実態は紙のままでもよいという状況になっています。

📝 このセクションのまとめ

  • ECサイトの領収書は「常時サイトで確認可能」かつ「真実性の確保・検索機能の確保」が条件でダウンロード不要
  • 2期前の売上5,000万円以下なら検索要件そのものが不要
  • 人手不足・資金繰り悪化・システム未導入などの「相当の理由」があれば猶予措置あり(事前申請不要)
  • ただしサイトの保存期間・検索機能は各自で確認が必要

インボイス制度への影響① ネットバンキングの振込手数料もダウンロード不要に

この電帳法の緩和は、インボイス制度にも大きな影響をもたらしています。まずは振込手数料のインボイス処理についてです。

振込方法改正前のインボイス対応
窓口での振込窓口でインボイスをもらう
ATMでの振込(3万円未満)インボイス不要(特例あり)
ネットバンキング各銀行のホームページからデータを取得して保存が必要

ネットバンキングの場合、各銀行のホームページ上からデータを取得して保存しなければならないというルールでした。銀行のログインIDやパスワードを管理しながら毎回ダウンロードするのは非常に面倒な作業です。

これが緩和されました。常時そのサイトでデータを見られるのであれば、いちいちダウンロードしなくてもよいということになりました。税務調査官の要求に応じてデータをダウンロードして提示できるようにしておけばOKです。

インボイス制度への影響② ETCの利用証明書取得も不要に

もう1つ、高速道路料金(ETC)のインボイス対応についても緩和がありました。

支払方法改正前のインボイス対応
現金払い・現地でのクレジットカード払い現地でインボイスをもらう
ETC利用(クレジットカード明細)クレジットカード明細に加えて、道路会社のサイトから利用証明書を1枚取得して保存が必要

ETCのサイトにログインして利用証明書を取得するという作業は、なかなか手間がかかるため嫌がられることも多かったです。

これも緩和され、クレジットカード明細だけでOKということになりました。ネットバンキング同様、要求に応じてダウンロードデータの提示ができればOKです。

📝 このセクションのまとめ

  • ネットバンキングの振込手数料:銀行サイトからのダウンロード保存が不要に(要求時に提示できればOK)
  • ETC利用料金:利用証明書の取得が不要になり、クレジットカード明細のみでOK
  • いずれも「要求に応じてデータを提示できる状態」にしておくことが条件

おまけ:自動販売機などの帳簿記載要件も緩和

もう1つ、インボイスが不要なケースに関する緩和についても紹介します。インボイスが不要なものは全部で6種類あり、そのうちの1つが3万円未満の自動販売機などによる商品の販売です。

自動販売機では領収書が取れないため、インボイスは不要とされています。ただし消費税の仕入税額控除(節税)をするためには、帳簿にきちんと記載しなければならないルールがありました。具体的には、以下の6項目のうちいずれに該当するかを記載し、さらに相手方の住所または所在地(例:「〇〇市の自動販売機」「〇〇銀行〇〇支店のATM」など)まで書かなければならないというものでした。

「インボイスいらない」と言いながら帳簿に細かく書かなければならないという状況に「全然緩和じゃない」という声が多く上がっていましたが、この住所・所在地の記載がいらなくなりました。会計データ入力の際の摘要欄に「ジュース」「自動販売機」などと書いておけばOKということに変わりました。

📌 ポイント

この自動販売機の帳簿記載要件の緩和は、電帳法と直接関係のない部分ではありますが、インボイス制度の実務負担軽減として覚えておきましょう。

まとめ:緩和されたが、IT化・DX推進は引き続き重要

今回のお話をまとめると、以下のとおりです。

  • 電子帳簿保存法には3つの柱があり、強制されるのは③電子取引のデータ保存のみ
  • ECサイトなどの場合、常時データをダウンロードできる状態であれば、取引のたびに自社パソコンへ保存することは不要になった
  • ただし真実性の確保・検索機能の確保の要件を満たしていることが条件
  • インボイス制度においても、ネットバンキングとETCに関してダウンロード不要・何かあった時にデータを取得できればOKに変わった
  • 自動販売機などの帳簿記載要件(住所・所在地の記載)も不要になった

結構早いタイミングで緩和がなされました。「ほぼほぼ強制じゃなくなった」「実質紙のままでもいい」という状況になっているのは事実です。ラッキーと思われる方もいれば、「DXが遅れている日本にとってこんな法律改正ではダメだ」と思われる方もいるでしょう。

⚠️ 注意:アナログを貫くだけでは限界も

猶予措置や緩和措置があるとはいえ、ITやDXに対応してペーパーレスを進めれば紙が不要になり業務が楽になるというメリットもあります。「相当の理由」による猶予措置に頼り続けるのではなく、余裕があればシステム導入を進めることをお勧めします。

終わりに

本記事の内容は YouTubeチャンネル 税理士YouTuberチャンネル!! / ヒロ税理士 の下記動画を参考に作成しています。AIによる書き起こしを活用しているため、誤字脱字がある可能性があります。ご了承ください。
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