雇用保険大改正2025年を税理士が解説|自己都合退職でも失業手当即支給・パート週10時間加入

雇用保険大改正2025年を税理士が解説|自己都合退職でも失業手当即支給・パート週10時間加入
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雇用保険が2024年〜2028年にかけて段階的に大改正。自己都合退職でも失業手当が早期に受け取れるようになり、勉強した人はさらに有利になります。

雇用保険の基本|加入義務と保険料

雇用保険の改正内容に入る前に、まず基本をおさらいしましょう。雇用保険に加入する義務があるのは、以下の条件を満たす場合です。

  • 正社員は全員
  • パート・アルバイトは週20時間以上働く予定で、31日以上勤務する見込みがある(短期バイトは除く)
  • 学生ではないこと

この3つの条件をすべて満たす場合は、雇用保険に加入する義務があります。

雇用保険料は毎年少しずつ変わりますが、令和6年(2024年)現在、一般の事業の場合の負担率は以下のとおりです。

負担者負担率(給料に対して)月給20万円の場合の負担額
労働者(働く人)6/1000(0.6%)月1,200円
事業主(会社)9.5/1000(0.95%)月1,900円

労働者の負担はそれほど重くはありません。では、この雇用保険に加入していると、どのようなメリットがあるのでしょうか。

📝 このセクションのまとめ

  • 正社員は全員加入義務あり
  • パート・アルバイトは週20時間以上・31日以上勤務見込みで加入義務(現行)
  • 労働者の保険料負担は月給20万円で月1,200円程度

雇用保険の5つのメリット

雇用保険に加入していると、大きく分けて5つの給付を受けることができます。

  1. 求職者給付:会社を辞めた場合に「基本手当(失業手当)」がもらえる。毎月の賃金の平均の45%〜80%(年齢による)が、勤続年数に応じて90日・120日・150日支給される。自己都合退職より会社都合退職の方が給付期間が長い。また、怪我や病気で働けなくなった場合は「傷病手当」として標準報酬月額の2/3が最長1年半支払われる。
  2. 就職促進給付:失業後に早めに就職した場合に「就業手当(基本手当の30%)」や「再就職手当(失業手当の残日数の60%)」などがもらえる。
  3. 教育訓練給付:仕事をしながら何か勉強する際に、受講料の最大70%を国が援助してくれる(現行)。約1万6,000講座が対象。
  4. 雇用継続給付:介護休業給付金など。介護休業中に賃金の67%が支給される。
  5. 育児休業給付:育児休業中は社会保険料の支払いも免除され、国から給付金が出るため、実質的に働いているときの手取りの約8割を受け取ることができる(現行)。

📌 ポイント

上記は代表的な給付の例です。このほかにも細かい給付制度が多数あります。そして、これらの給付制度が今回の大改正によって大きく変わります。

📝 このセクションのまとめ

  • 求職者給付(失業手当)・就職促進給付・教育訓練給付・雇用継続給付・育児休業給付の5本柱
  • 失業手当は賃金の45〜80%、勤続年数に応じて90〜150日分
  • 育児休業中は実質手取りの約8割を受け取れる(現行)

【2024年10月改正】教育訓練給付が最大80%に増額

雇用保険の大改正の第一弾は、2024年10月から始まります。メリットの3つ目である「教育訓練給付金」の上限が、現行の最大70%から最大80%に引き上げられます。つまり、受講料が50万円の講座なら、最大40万円が支給されることになります。

教育訓練給付の対象講座は大きく3種類に分かれており、それぞれ給付率が異なります。改正後の給付率をまとめると以下のとおりです。

講座の種類基本給付率資格取得でプラス賃金アップでプラス最大給付率
専門実践教育訓練(高度に専門的な講座)50%+10%+20%80%
特定一般教育訓練(そこそこ専門的な講座)40%+10%50%
一般教育訓練(英会話・簿記など)20%20%

📌 ポイント

教育訓練給付は、今の仕事に直接関係していない講座でも利用できます。「今の仕事を辞めてITやAIの分野に転職したいから勉強したい」という場合にも使えますので、使い勝手は広いです。特に一般教育訓練はオンライン英会話を受講している方にも身近な制度です。

📝 このセクションのまとめ

  • 2024年10月から教育訓練給付の上限が最大70%→最大80%に引き上げ
  • 受講料50万円の講座なら最大40万円が支給される
  • 資格取得や賃金アップでさらに給付率が加算される仕組み
  • 今の仕事と無関係な分野の転職準備にも使える

【2025年4月改正①】自己都合退職の給付制限が1ヶ月に短縮

2025年4月の改正は非常に大きな変化をもたらします。中でも最大の目玉が、失業手当の給付制限期間の短縮です。

給付制限とは、退職してハローワークに行ってから失業手当をもらうまでの間に設けられている「もらえない期間」のことです。以前は3ヶ月の給付制限がありました。この3ヶ月間は収入がゼロになるため、「少なくとも3ヶ月分の貯金がないと会社を辞められない」という状況が生まれていました。特にブラック企業で働いている方は貯金もできず、辞めたくても辞められないというケースが多くありました。

その後、給付制限は2ヶ月に短縮されましたが、2025年4月からはさらに1ヶ月に短縮されます。給料1ヶ月分の貯金があれば会社を辞められるということです。

時期自己都合退職の給付制限期間
以前3ヶ月
現行(〜2025年3月)2ヶ月
2025年4月以降1ヶ月
2025年4月以降(教育訓練受講者)給付制限なし(0ヶ月)

さらに重要なのが、離職日の1年以内、または離職期間中に「雇用の安定・就職の促進のための教育訓練」を受けていた場合は、給付制限がゼロになるという点です。つまり、所定の待機期間(7日間)を過ぎれば、すぐに失業手当がもらえます。

📌 ポイント

国は「勉強を頑張った人にはすぐに失業手当を出す」という方針を打ち出しています。教育訓練給付の拡充と、この給付制限の撤廃はセットで理解するとわかりやすいです。国は勉強と転職を積極的に後押しする方向に舵を切っています。

⚠️ 注意

給付制限はもともと失業手当の不正受給を防ぐために設けられた制度です。5年間で3回以上の自己都合離職をしている方は、従来どおり3ヶ月間の給付制限が設けられます。「失業手当で稼いでやろう」という考えは通用しませんので、ご注意ください。

📝 このセクションのまとめ

  • 2025年4月から自己都合退職の給付制限が2ヶ月→1ヶ月に短縮
  • 離職前後に教育訓練を受けていれば給付制限ゼロ(待機期間7日後から即支給)
  • 5年間で3回以上自己都合離職した場合は3ヶ月の給付制限が適用される

【2025年4月改正②】就業手当廃止・育児休業給付が手取りの10割に

2025年4月の改正では、失業手当の給付制限短縮のほかにも変更点があります。

まず、就職促進給付のうち「就業手当(基本手当の30%)」が廃止されます。理由は、再就職手当(失業手当の残日数の60%)の方が給付額が大きいため、就業手当の利用者がほとんどいなかったからです。使われなくなったため廃止されるという、シンプルな理由です。

次に、育児休業給付の大幅な拡充です。現行では育児休業中に実質手取りの約8割を受け取れる仕組みになっていますが、2025年4月からは理論上、手取りの10割(働いているときと変わらない額)が受け取れるようになります。

📌 ポイント

育児休業給付が手取りの10割相当になることで、育休取得中の家計への影響が大幅に軽減されます。育休を取りやすい環境づくりが、制度面からも強力にサポートされることになります。

📝 このセクションのまとめ

  • 就業手当(基本手当の30%)は2025年4月に廃止
  • 育児休業給付が実質手取りの約8割→理論上10割に引き上げ

【2025年10月改正】仕事を休んで勉強しても給付金がもらえる新制度

2025年10月には、また新たな大きな改正があります。それが「教育訓練休暇給付金」という新制度の創設です。

これまでの教育訓練給付金は「働きながら勉強する」ことが前提でした。しかし新制度では、仕事を一時的に休んで(有給を使い切った場合は無給で)勉強する場合にも、国がお金を出してくれるという仕組みになります。

項目内容
対象者雇用保険の加入期間が5年以上の人
給付額基本手当(失業手当)と同額
給付期間勤続年数に応じて90日・120日・150日
特徴会社を辞めていないのに失業手当と同額がもらえる

さらに、この改正と同時に、雇用保険に加入していない人向けの新たな融資制度も創設されます。対象となるのは以下のような方々です。

  • 会社がブラック企業で雇用保険に加入させてもらえなかった人
  • 週20時間未満のため雇用保険に入れなかったパートの方
  • 個人事業主・フリーランスの方

これらの方が勉強して就職したい場合に、教育訓練費用や生活費として最大240万円を年利2%で融資するという制度が検討されています(収録時点での仮決定情報)。融資のため返済は必要ですが、就職後に賃金(給料)が上がった場合は一部免除される方向で検討されています。

📌 ポイント

国が一貫して打ち出しているメッセージは「とにかく勉強してほしい」ということです。雇用保険加入者だけでなく、加入できなかった人も含めて、学び直し・キャリアチェンジを支援する方向に制度が大きく動いています。詳細は2025年10月に向けてさらに情報が出てくる見込みです。

📝 このセクションのまとめ

  • 2025年10月から「教育訓練休暇給付金」が新設。仕事を休んで勉強中も失業手当相当額を受給可能
  • 対象は雇用保険加入5年以上の人
  • 雇用保険未加入者(個人事業主・フリーランス等)向けに最大240万円・年利2%の融資制度も創設予定
  • 就職後に賃金が上がった場合は融資の一部免除を検討中

【2028年10月改正】パート・アルバイトの加入条件が週10時間以上に拡大

最後の大改正は少し先の話ですが、インパクトは最大級です。2028年10月から、パート・アルバイトの雇用保険加入条件が「週20時間以上」から「週10時間以上」に変更されます。

週10時間以上というのは、たとえば週2日・1日5時間ずつのアルバイトでも雇用保険に加入するということです。

項目現行(〜2028年9月)改正後(2028年10月〜)
パート・アルバイトの加入条件20時間以上10時間以上
新たに対象となる人数500万人

現在、週20時間未満で働いているパート・アルバイトの方の半数以上、約500万人が新たに雇用保険の対象となります。この500万人の方々が2028年10月以降に得られるようになるメリットは以下のとおりです。

  • パート・アルバイトを辞めたら失業手当がもらえる
  • 早期に就職したら再就職手当がもらえる
  • 教育訓練給付を受けられる
  • 介護休業給付が使える
  • 育児休業給付金がもらえる

📌 ポイント

当初は2028年10月のタイミングで、パート・アルバイトも週10時間以上なら社会保険(健康保険・厚生年金)にも強制加入させる案がありましたが、それはなくなりました。社会保険なしで雇用保険だけ加入できるという点は、パート・アルバイトにとって非常に大きなメリットです。

この改正の背景には少子化・労働人口の減少があります。週10時間以上働いてくれれば雇用保険に入れてさまざまなメリットを付与することで、完全リタイアや専業主婦・専業主夫ではなく「週10時間以上働く」という選択肢を社会全体で広げていこうという国の意図があります。

⚠️ 中小企業経営者への注意

パート・アルバイトの雇用保険加入が拡大されると、中小企業の保険料負担も積み重なって重くなります。さらに雇用保険料率自体も今後引き上げられると言われています。また、転職がしやすくなる環境が整うことで、昔ながらのブラック気味な経営をしている中小企業は人材確保が一層難しくなる可能性があります。2028年10月前に職場環境の改善を検討することをお勧めします。

📝 このセクションのまとめ

  • 2028年10月からパート・アルバイトの雇用保険加入条件が週20時間以上→週10時間以上に変更
  • 新たに約500万人が対象となり、失業手当・再就職手当・教育訓練給付・育児休業給付などが利用可能に
  • 社会保険への強制加入は見送られ、雇用保険のみの加入となる
  • 中小企業は保険料負担増と人材流出リスクに備えた対策が必要

雇用保険大改正のスケジュール総まとめ

今回の雇用保険大改正は、すでに国会を通過した確定事項です。時系列で整理すると以下のとおりです。

時期主な改正内容
2024年10月教育訓練給付金の上限を最大70%→最大80%に引き上げ
2025年4月①自己都合退職の給付制限を1ヶ月に短縮
②教育訓練受講者は給付制限ゼロ
③就業手当を廃止
④育児休業給付を実質手取りの10割相当に引き上げ
2025年10月①「教育訓練休暇給付金」新設(仕事を休んで勉強中も失業手当相当額を支給)
②雇用保険未加入者向け融資制度(最大240万円・年利2%)を創設予定
2028年10月パート・アルバイトの雇用保険加入条件を週20時間以上→週10時間以上に変更(約500万人が新たに対象)

📌 ポイント

特に2025年4月の改正は、自己都合退職者にとって非常に大きな変化です。ブラック企業からの脱出を考えている方や、転職・学び直しを検討している方は、改正のタイミングを意識して計画を立てることで、受け取れる給付金が大きく変わる可能性があります。なお、本記事の情報は2024年7月13日時点のものです。今後、詳細な情報が追加される可能性がありますのでご注意ください。

終わりに

本記事の内容は YouTubeチャンネル オタク会計士ch【山田真哉】 の下記動画を参考に作成しています。AIによる書き起こしを活用しているため、誤字脱字がある可能性があります。ご了承ください。
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