接待交際費の経費枠が1万円に拡大?税理士が解説する節税の落とし穴
接待交際費の少額飲食代の上限が5,000円から1万円前後に拡大予定。でも、飲食代での節税には知っておくべき落とし穴があります。
今回の税制改正の概要と対象者
今回ご紹介するのは、税制改正として予定されている接待交際費に関する改正です。最終確定ではありませんが、法人の少額飲食代の上限が拡大される見込みです。改正自体は法人向けの話ですが、飲食代・接待交際費に対する考え方は個人事業主の方にも学んでいただける部分がありますので、共通のテーマとして解説します。
📌 ポイント
よく誤解されるのですが、今回の改正は法人の年間800万円の接待交際費の枠が増えるわけではありません。「少額の飲食代」として無制限に経費計上できる1人あたりの上限金額が引き上げられるという改正です。
| 区分 | 現行 | 改正後(予定) |
|---|---|---|
| 少額飲食代の1人あたり上限 | 5,000円以下 | 1万円前後(最終確定前) |
| 法人の接待交際費の年間上限(中小企業) | 800万円 | 変更なし |
| 個人事業主の接待交際費の上限 | 制限なし(所得税法上) | 変更なし |
📝 このセクションのまとめ
- 今回の改正は「少額飲食代の1人あたり上限の引き上げ」であり、法人の800万円枠の拡大ではない
- 改正は法人向けだが、飲食代の経費の考え方は個人事業主にも共通する
- 最終確定ではないため、今後の動向に注目が必要
経費に落とせる飲食代・落とせない飲食代
飲食代を経費に計上するには、その性質によって適切に区分して経理処理することが必須です。飲食代は大きく以下のように分類できます。
| 区分 | 勘定科目 | 経費計上 | 備考 |
|---|---|---|---|
| 自分一人の食事代 | 家事費(個人)/役員賞与(法人) | ❌ 不可 | 法人では源泉徴収の対象になる恐れあり |
| 社員・スタッフとの飲食 | 福利厚生費 | ✅ 可 | 個人事業主は自分の分は落とせない |
| 打ち合わせ・会議(喫茶店等) | 会議費 | ✅ 可 | 議事録管理が理想。誰と何を話したか説明できるように |
| 得意先・仕入れ先との接待 | 接待交際費 | ✅ 可 | 法人は年800万円の上限あり(少額飲食代は無制限) |
| YouTuber等の飲食シーン | 制作諸経費 | 企画次第 | 企画との関連性が高い場合のみ経費計上の可能性あり |
⚠️ 注意
「カフェで仕事をしているときのカフェ代を経費に落とした」という話をよく聞きますが、税法上は基本的にアウトです。税務調査が来ていないだけ、あるいは金額が少額でたまたまスルーされているだけと考えてください。自分一人の食事代は、個人事業主は家事費、法人では役員賞与として扱われ、源泉徴収の対象になる恐れがあります。
YouTuberなどの情報発信者が飲食を経費に落とす場合は注意が必要です。単に食べている風景が動画に映っているだけでは企画との関連性が乏しくアウトです。一方で、そのお店に行ってその料理を食べ、味や評価をコメントとして紹介するという企画そのものが成立している場合は、企画との関連性が非常に高いため、経費計上できる可能性が高くなります。
📝 このセクションのまとめ
- 自分一人の食事代は経費に落とせない(個人事業主:家事費、法人:役員賞与)
- 社員との飲食は福利厚生費として計上可(個人事業主は自分の分は除く)
- 打ち合わせ・会議での飲食は会議費として計上可(議事録管理が理想)
- 得意先・仕入れ先との接待は接待交際費として計上可
「少額の飲食代」とは何か?条文の定義と要件
法人の接待交際費には年間800万円という上限がありますが、「少額の飲食代」に該当するものはこの800万円の枠にカウントされず、無制限に経費計上できます。
条文上の定義を分かりやすく言うと、以下の条件をすべて満たす飲食代が「少額の飲食代」に該当します。
- 飲食その他これに類する行為のために要する費用であること
- 支出する金額を参加人数で割った1人あたりの金額が5,000円以下(改正後は1万円前後の見込み)であること
- 自社の役員・従業員またはその親族に対する接待等のために支出するものでないこと(=社内の人間への飲食はNG)
📌 ポイント
少額の飲食代は、経理処理上「会議費」として処理する方法と、会計ソフト上で接待交際費の補助科目を作成して800万円のカウントから除外する方法の2通りがあります。どちらの方法でも対応可能です。
少額の飲食代を経費に落とすための記録要件
少額の飲食代として経費計上するためには、条文上、以下の事項を記録したテンプレート(書類)を備え付けることが求められています。
- 飲食のあった年月日
- 飲食に参加した得意先・仕入れ先の社名と参加者の氏名
- 参加人数
- 飲食店の名称
- その他留意事項
ただし、実務上このようなシートをきちんと管理している会社はほとんど見かけません。では、どうすればいいのでしょうか。
📌 一番手っ取り早い記録方法
専用のシートを用意するのが理想ですが、最も簡単な方法は領収書・レシートに直接メモ書きをすることです。以下の内容を書いておきましょう。
- 自社の誰が参加したか
- 取引先の誰が参加したか
- 参加人数(1人あたりの金額が分かるように)
これだけでも、税務調査時に「一人で飲みに行ったのでは」「仕事と無関係な人と行ったのでは」という疑念を払拭するための証拠になります。
⚠️ 注意
メモ書きすらない場合、税務調査時に「一人で飲みに行ったのではないか」「仕事と関係のない人と行ったのではないか」と確実に疑われます。税務調査官の方々の仕事はそういった事実確認をすることですので、記録を残すことを強くおすすめします。
なぜ上限が引き上げられるのか?改正の背景
現行の1人あたり5,000円という上限は、飲食代が大幅に値上がりしている現在の状況にそぐわなくなっています。飲食店経営は、家賃の上昇・人件費の増加・食材の高騰・エネルギー価格の上昇と、あらゆるコストが増加しており、1人あたり5,000円以内で接待をまかなうことは難しくなっています。
📌 政府の狙い
今回の改正における政府の狙いは、中小企業の減税というよりも、厳しい状況が続く飲食店の景気回復を促すことにあります。少額飲食代の上限を引き上げることで、企業が飲食店を利用しやすくし、飲食業界全体の活性化を図るという政策的意図があります。
📝 このセクションのまとめ
- 少額飲食代の上限が5,000円から1万円前後に引き上げ予定(最終確定前)
- 改正の背景は飲食代の値上がりと、飲食店の景気回復支援
- 飲食店経営者はこの改正をアピールして集客につなげることも一手
飲食代での節税をおすすめしない理由
経費枠が拡大するとなると「飲食代をたくさん使って節税しよう」と考える方が増えるかもしれません。しかし、現役税理士の目線からは、飲食代での節税はおすすめしません。その理由を具体的な数字で説明します。
| ケース | 利益 | 法人税(約35%) | 手元のキャッシュ |
|---|---|---|---|
| 節税前(飲食代なし) | 1,000万円 | 350万円 | 650万円 |
| 節税後(飲食代500万円使用) | 500万円 | 175万円 | 325万円 |
節税前は税金が350万円かかりますが、手元には650万円残ります。一方、飲食代として500万円使って節税すると、税金は175万円と半分になりますが、手元のキャッシュも325万円と半分以下になってしまいます。
⚠️ 飲食代節税の本質的な問題
飲食代での節税は「税金を減らすためにキャッシュを消費する」行為です。税金が減っても、それ以上にお金が出ていっているため、手元に残る資金は節税前より少なくなります。99%の社長さんは、具体的な数字を見れば節税前の状態を選ぶでしょう。
もちろん、接待交際費の支出そのものに反対しているわけではありません。取引先を接待することで今後の円滑な関係が続き、大きな売上につながっていくのであれば全く問題ありません。問題なのは、仕事上の成果につながらない飲食で税金を減らすだけという行為です。
一方で、節税手段として有効なのは、倒産防止共済(経営セーフティ共済)や役員報酬の調整など、後で使えるようにお金を残す形の節税策です。キャッシュが手元から消えてしまう飲食代節税とは性質が根本的に異なります。
📝 このセクションのまとめ
- 飲食代での節税は税金を減らしても、それ以上にキャッシュが出ていく
- 売上につながる接待はOK。成果のない飲食での節税はNG
- おすすめの節税は「後でお金を使えるように残す」タイプの節税策
税務調査でマークされやすいケースと個人事業主の注意点
過去の調査事例をもとに、接待交際費に関して税務調査でマークされやすいケースを解説します。個人事業主(不動産賃貸業・副業の大家さんなど)の税務調査では、法人と比べて飲食代の審査がシビアでした。
| 業種・形態 | 調査の厳しさ | 特記事項 |
|---|---|---|
| 個人事業主(大家業・副業) | 厳しい | 接待交際費を多額計上するとマークされやすい |
| 製造業(法人) | 比較的緩やか | 飲食代が800万円を超えるケースはほとんどない |
| 建築業・不動産仲介・売買(法人) | 中程度 | 接待交際費が上限を超えるケースもある |
| 不動産賃貸業(個人) | 非常に厳しい | 「入居者との飲食」程度しか認めない調査官も多い |
⚠️ 副業・兼業の方への注意
副業をされている方は、勤務先で精算した経費と副業の経費が重複してしまうケースに注意が必要です。これは経費の二重計上となり、脱税に該当します。特に飲食代は重複しやすいため、しっかり管理してください。
不動産賃貸業を個人で行っている場合と法人で行っている場合では、接待交際費として認められる範囲が異なります。不動産賃貸業を法人化するだけで、接待交際費の認められる範囲が広がり、税務調査時の当たりが緩和されることがあります。法人化を検討する際の一つの判断材料にもなります。
📝 このセクションのまとめ
- 個人事業主(特に不動産賃貸業)は飲食代の税務調査が法人より厳しい
- 多額の接待交際費を計上するとマークされやすくなる
- 副業の方は勤務先との経費の二重計上に注意
- 法人化することで接待交際費の認められる範囲が広がるケースがある
終わりに
本記事の内容は YouTubeチャンネル 税理士YouTuberチャンネル!! / ヒロ税理士 の下記動画を参考に作成しています。AIによる書き起こしを活用しているため、誤字脱字がある可能性があります。ご了承ください。 本サイトは 税理士YouTuberチャンネル!! / ヒロ税理士を応援しています!
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