接待交際費が税務調査で否認される6つの危険なケースを税理士が解説
接待交際費は範囲が広い分、税務調査で指摘されやすい経費です。否認される6つの危険なケースを解説します。
接待交際費とは?法人税上の基本ルールをおさらい
接待交際費って経費になるのはありがたいんですけど、ちょっと範囲が広すぎて、どこまで経費にしているのかっていうのも迷っちゃうんですよ。

よくいただくご相談ですね。実際、接待交際費にできる費用の境界線を超えてしまって、税務署から指摘されてしまうケースもやっぱりあります。

なるほど。

また法人の場合は交際費について上限やいろんな条件もあったりするので、それを満たすために税務署から指摘されるような会計処理をしてしまうこともあります。

そうなんですか。ちょっとどういったケースが税務署から否認されやすいのか、その辺り教えてほしいんですよね。

では今回は、接待交際費が税務調査で否認されてしまうケースについてお話ししていこうと思います。

そもそも法人の接待交際費ってどういったものなのか、改めてちょっと教えていただけますか?

交際費なんですけど、税務上では取引先に対して接待・慰安・贈答した際に発生した費用のことを言います。
具体的には取引先との会食・ご飯代ですとか、お中元・お歳暮といった贈答品ですとか、親睦のためのゴルフや旅行費などが当てはまります。

まあ本当に、取引先との関係を良好にするための費用もろもろってことですね。

そうです。で、法人の場合、交際費は原則として実は損金不算入になっているんです。現在は特例で、一定の要件を満たすことによって年間800万円まで損金算入が可能になっています。

一定の要件っていうのはどういうことですか?

要件としては、年間800万円まで、もしくは交際費のうち飲食費の50%まで、というものになっています。基本的に中小企業では年間800万円までの方が有利になってくるので、こちらを選択することが多いです。

交際費は年間800万円まで、みたいな話はよく聞きますもんね。

そうなんです。一方で、交際費のうち飲食費の50%ルールってどこが使うのかというと、資本金の条件を超えているような大きい企業、上場企業さんなどは年間800万円ルールがそもそもないので、交際費のうち飲食費の50%までを交際費として計上することができるということでやっています。

じゃあ、この年間800万円までっていうのは中小企業の特権ってことなんですね。

そうなんです。あと、改正がありまして、令和6年4月1日からは1人当たり1万円以下の接待飲食費に関しては交際費から外して会議費として計上が可能になりました。

へえ。

会議費にはさっきの交際費のような上限800万円といったルールがないので、会議費で計上できた方が有利ってことですね。

なるほど。接待の内容によっては1万円以下で済むことって結構ありますから、これはありがたくなりましたね。

そうなんです。幅広い費用を経費にできる交際費というものなんですけども、幅広いがゆえに税務調査では指摘されやすいものにもなっています。

これはどういう場合に指摘されやすいんでしょう?

・原則:損金不算入
・中小企業特例:年間800万円まで損金算入可
・大企業:飲食費の50%まで損金算入可
・令和6年4月〜:1人当たり1万円以下の接待飲食費は会議費として計上可
否認ケース①:プライベートな飲食代の計上
まず、プライベートな飲食代は絶対にダメということですね。ただ、プライベートと言っても、経営者の方や役員の方って線引きが曖昧なものもあったりは正直言うとあります。ただ、原則は計上することができないのをちゃんと覚えておいてください。

これ、実際のところどこまでをプライベートな食事代という風に判断されちゃうんでしょうか。例えば知人とか友人との食事とかじゃないですか。基本的に経費にできないって考えておいた方がいいんですか?

食事の相手が知人とか友人の場合でも、その人が自分のお仕事と関連している方とか、実際にお仕事をし合っているとか、売上が立っているとか、そういった関係性があるということであれば経費にできるように出てくると思います。その方との情報交換とか、普通に交渉の場とかもあるかもしれませんしね。それはあり得ると思います。

逆に全く事業と関係がないとか、もしくは今後のお仕事にも発展しそうがないとか、そういった方々との食事代は経費にできません。その場合、よく皆さんが最初に言いがちなのが「情報交換のため」とか「情報収集のためにその人とご飯を食べました」というものがあるんですけど、やっぱりどこまで言っても自分の仕事と関係があるかどうかが言えるかどうかなんです。
情報交換していればいいよというものじゃないので、ちゃんとお仕事に関係するかとか、その先に売上を作れるかというところを意識して、計上しようかどうかを悩んでみてください。

なるほど。あくまでこの事業との関係がある相手かどうかっていうのが重要だってことですね。

じゃあ、1人飲みを交際費として計上するっていうのはさすがに難しいってことになるんですかね。接待に使う飲食店の下見のために例えば1人で飲食したりとかっていうことあるじゃないですか。そういうことがあれば経費にできれば嬉しいんですけど。

ここはですね、本当に意見が分かれそうな質問ですね。接待に使う飲食店の下見ということで経費計上できる余地もやっぱりあるとは思いますが、それが高級クラブの1人飲みを経費にするのはなかなか難しいと思いますし、結構これは議論が深まる事例だなと思います。

結構グレーゾーンってことですね。

そうですね、今すごく回答に苦慮しています(笑)。

否認ケース②:プライベートな贈り物の経費計上
続いて、プライベートな贈り物なんですけども、これもよく調査だと質問が出てきたりします。プライベートな贈り物は1個ぐらい紛れ込んでいたらなかなか分からなくてスルーされがちだったりするんですが、意外にプライベートなものを経費計上している方々って、多数繰り返し行われることが多い傾向として見受けられます。

例えばどういったケースがあるんですか?

鞄、時計、財布とか、贈り物としてやったよというやり方ですね。奥さんや友人へのプレゼント代を経費計上しているということがあったりします。

これはちょっと悪用している感じですよね。

そうですね。本当にそのプレゼント先も、さっきのご飯代と同じで、お渡しして何かしら仕事としてのバックがあるとか、それが言えるということであればまた話が変わってくると思うんですが、大抵の場合はそれはないので、基本的にこれも指摘されると長い戦いになるってことですね、通すためには。

なるほど。

他にもですね、贈答品用としてよくあるのが金券を購入する方がいます。これは交際費として計上した後に、また金券ショップに売りに行くという手口をやる方もいらっしゃいます。実際、私も過去に出会ったことがあります。
税務調査の重要論点なので、この手の行為は絶対やめてください。贈答品を交際費として計上するのは、お中元やお歳暮みたいな一般的な贈答品にとどめておいた方がいいです。本当にこれはお礼ですと言いやすいものにしてほしいです。

否認ケース③:飲食の人数の水増し
次にありがちなのが、飲食の人数の水増しのケースです。

そんなことをして何か意味があるんですか?

さっき1人当たり1万円以下と言ったじゃないですか。以前は1人当たり5,000円以下だったんです。飲食の人数をコントロールすることで、1人当たりの金額を5,000円以下にすることができたりするじゃないですか。こういうのをやりがちということですね。

ああ、会議費は交際費みたいな上限がないから、なんとかその会議費に計上しようというコタ(算段)みたいな感じですね。

そうなんです。もちろんこれ、水増しが発覚すると嘘をついたということになってしまうので、ペナルティが重くなります。やめてくださいね。

否認ケース④:取引先との飲食費を福利厚生費として計上
続きまして、取引先との飲食費用を交際費勘定ではなく福利厚生費として計上しているケースですね。

通常、従業員の方の慰安を目的とした飲食のお金って、福利厚生費として計上する余地もありますよね。

そうですね。これを利用して、取引先との会食を従業員を対象とした食事会と偽って福利厚生費として計上してしまうケースがあります。

何か意味があるんですか?

よくあるのが、交際費の多い業種、例えば不動産の方々とかで、交際費の800万円ルールにもうすぐ超えてしまいそうな方は、基本はずっと交際費で積み上げていくんですけど、800万円ルールが見えてくると違う勘定科目にいきなり入れ出すことがあって、その時に使われる手法ですね。

なるほど。飲食の人数の水増しと似ているような感じで、やっぱり交際費の上限が気になるみたいなパターンですね。少しでも損金に入れたいってやつですね。

そうです、ちょっとでもやっぱり損金に入れたいってやつですね。

否認ケース⑤:渡し切りの交際費
続いてなんですけども、渡し切り交際費というものを計上してしまっているケースですね。

なんですか、それ?

渡し切り交際費というものがあって、これが何かというと、社長さんや役員の方々って外での接待ってやっぱり日常的にあるじゃないですか。だからあらかじめお金を渡しておくことがあるんですね、文化として。役員はちょっと取引先との話の流れで食事することはもちろんあるんですけど、あらかじめやっぱりお金を渡しておいた方が効率的な感じはもちろんありますよね。

そうですよね。わざわざ経理に行ってお金をもらうとかちょっと効率が悪かったりするので、こういうことがありますよね。

ただ、この渡し切りの交際費って、交際費ではなくて、実は役員への臨時の給与になってきます。

そうなんですか?

そうなんです。なので、もし交際費として計上していると、交際費用を否認された上に役員の給与として課税対象になって、要は源泉徴収で追加で取ってくださいねとなってしまうので注意してください。

否認ケース⑥:手書き領収書に自分で金額を記入
最後にご紹介したいのは、手書きの領収書に自分で金額を書いてしまうということですね。

これはありそうですね。

付き合いの長い飲食店さん、要は自分が常連のお店とかがあると、領収書を「これ自分で書いていいよ」と渡されることもやっぱりあったりするんですね。最近は割と少ないんだと思うんですけど、昔はよくあったみたいですよね。

感覚的にはコロナ前とかは本当にこれよくあったなと思いますね。

何が悪いのって思っている方もいらっしゃるかもなんですけど、パッと見で分かるんですよ。手書きの領収書って本当に分かりやすいんです。私たちよりももっとバレているんです。調査官は数字を見慣れているのでお気をつけください。

これやっぱりすぐバレるってことですね。なんか同じような体裁の領収書がいっぱい出てくるからなんですかね?

そうですね。お気をつけください。ちなみに、実際の金額より多く書いたら脱税ということになってしまいます。

もちろんそうですよね。実際にお金を払っていないのに金額を書いたら詐欺になってしまいますね。

実際にちゃんとお金を払っていれば、そのお店に反面調査で行って、その時に自分が払った1万円がちゃんと帳簿に残っていれば、それは別にいいのかもしれませんけど、基本的にもう文書偽造していることになるので、絶対やめてくださいということですね。

ということですね。

税務調査で否認された場合のペナルティ
ここまでで交際費が指摘されやすいケースについてお話しいただいたんですけれども、実際に税務調査で指摘された場合どうなってしまうんですか?

まず、交際費を他の勘定科目として計上していた場合は交際費として見直しされてしまうので、その時に800万円の上限ルールを超えてくるとその部分は税務上は損金不算入になってしまいます。

修正の結果、交際費の上限を超えてしまう可能性もあるってことですね。

そうなんです。またですね、税務調査の中で交際費の中に役員とも言えるような個人的な支出が入っていたとすると、それは役員賞与扱いになります。いわゆる認定賞与と言われるものになってくるんですけど、それはどうなるかというと、役員賞与で認定されてしまうと、役員賞与は法人税法上認められないので所得が追加されてしまうということですね。

なるほど。役員賞与は原則経費にならないんですよね。

そうなんです。また、法人税法上も認められないプラス、役員個人としてお給料扱いになってしまうので所得税の追加も発生してきます。だから法人はまず源泉徴収していないから、ちゃんとその源泉徴収の不足分も払ってねと言われます。

なんかいっぱいかかってきて厳しいですね。

そうそう。気がつくと法人税だけじゃなくて、この源泉税も乗っかるとか、あとは消費税の負担も増える時があります。

マジですか?

やっぱり交際費として処理している時は消費税の対象なんですけど、お給料扱いされてしまうとお給料って消費税の課税対象外じゃないですか。だから消費税の仕入税額控除を取っていると、それはダメよとなってしまうので、消費税も認められなくなってしまう可能性が出てくるので、踏んだり蹴ったりってことですね。

ちっちゃければ全然可愛いので、まそれぐらいなら払うよという人もいるかもなんですけど、大体この3つの論点になる時って金額がでかいんですよね。役員賞与認定されるのは絶対避けたいですね。

そうですね。さらに実はまだあります。税務調査で指摘される時って、その申告期限内に不足分の税額があるということなので、ペナルティがさらに乗っかってきます。利息みたいな延滞税というものと、隠蔽とか仮装とか悪質なものに関しては重加算税が乗っかってきたりとかします。

重加算税ってどうなるんですか?

重加算税って税率で35〜40%なので、税務調査で追加の税額を払ってくださいと言われて、さらに追加のその3〜4割を乗せて請求させていただきますね、というのがこの重加算税ということですね。

なるほど。結構負担感としては重いんですね。

そうなんです。なのでお気をつけください。あと、重加算税が1回課されると実際その後税務調査が入られやすくなってきます。1回やらかした会社ってレッテルを貼られてしまうので、またしばらくしたら様子を見に行ってみようかということですよね。

なるほど。これは痛いですね。

これは痛いですね。

- 交際費の800万円上限超過分が損金不算入に
- 役員賞与認定→法人税の追加課税
- 役員個人の所得税・源泉徴収不足分の追加課税
- 消費税の仕入税額控除が認められなくなる可能性
- 延滞税(利息相当)
- 重加算税(35〜40%)※悪質な場合
- 重加算税課税後は次回税務調査の対象になりやすい
税務調査で指摘された場合の対応策
ちょっとそんなつもりじゃなくても重加算税を言い渡されたら、黙って従うしかないんですかね?

これを言うと税務署の方々は嫌になるかもしれないですけど、結構彼らも成績というものがあるじゃないですか。だからその何かにつけて重加算税を言えるような要素が出てくると言ってきます。彼ら確かに筋が通って重加算税を受け入れるしかない時もあるんですけど、これなんでこんなのが重加算税なのという時もやっぱり出てきたりするので、その時は納得できないのであれば、ちゃんと主張してほしいということですね。

なるほど。

あと、交渉して「これは否認ではなくて役員への貸付金なんですよ」みたいな処理とかも実務上は交渉したりすることがあります。ただ、本当にこれはもう交渉レベルの世界です。理論的に合っている合っていないじゃなくて、最後の税務調査をちゃんと落ち着かせるための交渉として、こういう処理があったりもするということです。

本当の意味で納得できないというのがあれば、再調査の請求ですとか国税不服審判所への審査請求とかもできるということです。

そういうことなんですね。

ただ、ここまで行くともう結構皆さん精神的にすり減っていたりするので、やっぱり基本は税務署と見解の相違が出ないように、こまめに細めに注意して正しく申告することをお勧めします。

頑張りましょう。

重加算税に納得できない場合は主張することが重要です。実務上は「役員への貸付金」として処理するなど交渉の余地もあります。最終的には再調査の請求や国税不服審判所への審査請求も可能ですが、そうなる前に日頃から正しく申告することが最善策です。
終わりに
本記事の内容は YouTubeチャンネル 社長の資産防衛ch の下記動画を参考に作成しています。AIによる書き起こしを活用しているため、誤字脱字がある可能性があります。ご了承ください。本サイトは 社長の資産防衛chを応援しています!
