節税対策

交際費の非課税上限が5000円から1万円に!税理士が解説する2024年税制改正の影響

交際費の非課税上限が5000円から1万円に!税理士が解説する2024年税制改正の影響
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企業の交際費における1人あたりの非課税上限額が、現行の5000円から1万円に引き上げられる方向で政府・与党が調整に入りました。まだ確定情報ではありませんが、経営者にとって非常に影響の大きいニュースです。改正の背景・内容・具体的なメリット・注意点をシミュレーションを交えて解説します。

交際費の非課税上限が5000円から1万円に引き上げへ

政府・与党は、企業が使う交際費について、現在1人あたり5000円としている非課税の上限を1万円に引き上げる方向で調整に入りました。これはまだ税制調査会での議論の途中であり、確定情報ではありませんが、来年度の税制改正に向けた動きとして注目されています。

現在のルールでは、企業が得意先の接待などに使う交際費のうち、1人あたり5000円までは課税の対象とせず非課税として扱われています。今回の検討では、この上限を1万円に引き上げることが議論されています。

📌 ポイント

1人あたりの非課税上限が5000円 → 1万円に引き上げられると、より多くの飲食費を「会議費」として全額損金算入できるようになります。これは経営者にとって大きな節税メリットになります。

📝 このセクションのまとめ

  • 交際費の非課税上限を1人あたり5000円→1万円に引き上げる方向で政府が検討中
  • まだ税制調査会の議論中であり確定情報ではない
  • 来年度の税制改正として実現する可能性が高まっている

なぜ今、交際費の上限引き上げが検討されているのか?背景にある3つの理由

今回の要望が出てきた目的には、大きく3つの理由があります。

  1. 交際費の減少が飲食店の売上に悪影響を与えていること
  2. 日本経済の回復に向けた企業間取引の活性化
  3. 急激な物価上昇による飲食費の高騰

1つ目の理由として、近年の交際費の減少が飲食店の売上に悪影響を及ぼしているという点があります。交際費は1990年代初頭には約6兆円も使われていましたが、最近はその半分の3兆円程度にまで減少しています。新型コロナウイルスの影響もあり、飲み会や接待の機会が大幅に減ったことが背景にあります。飲食業界の需要・売上を上げていくためにも、今回の要望が必要と判断されました。

2つ目の理由は、日本経済の回復における交際費活用の重要性です。新型コロナウイルスの影響で日本経済は大きな打撃を受けました。経済回復のためには企業間の取引の活性化が必要であり、接待・交際もそのために重要な役割を果たすと考えられています。コロナが落ち着いてきた今、会食や接待の機会も増えてきており、事業活動の活性化に交際費が必要という考え方は理にかなっています。

3つ目の理由は、最近の急激な物価上昇です。物価上昇によって1回あたりの飲食費も高額になりがちになってきました。居酒屋に行っても簡単に5000円かかる時代になっており、むしろ5000円以下のお店を探すほうが大変という状況です。昔は4000円程度で食べられたものが、今では6000円以上になっているケースも珍しくありません。

理由内容
①飲食業界の支援交際費が1990年代の6兆円から3兆円へ半減。飲食店の売上回復が急務
②日本経済の回復コロナ後の企業間取引の活性化のために接待・交際の促進が必要
③物価上昇への対応飲食費の高騰で5000円以下の接待が困難になっている

📝 このセクションのまとめ

  • 交際費は1990年代の6兆円から現在3兆円へ半減しており、飲食業界への影響が深刻
  • コロナ後の経済回復に向けた企業間交流の促進が目的の一つ
  • 物価上昇で5000円以下の接待が現実的に難しくなっている

今回の税制改正要望の内容:2つの案とは

今回の要望では、2つの案が提示されています。

【案①】特例措置の延長

現状のルールとして、飲食費の50%を損金算入できるやり方と、交際費800万円まで全額損金算入できる(中小企業向け)というルールがあります。この適用期限を2年間延長するというものです。

📌 ポイント

中小企業にとって「交際費800万円まで全額損金算入」は当たり前のルールに思えますが、実はこれは期間限定の特例措置です。元々、交際費は法人の利益調整に使われやすいため、原則として損金算入が認められていません。企業間コミュニケーションへの支障を考慮して特例が設けられており、今年で終了するはずだったものを2年間延長する方向で動いています。

【案②】特例措置の拡充(1人あたりの上限引き上げ)

こちらが今回の目玉となる改正案です。現行では1人あたり5000円以下の社外との飲食費は、交際費のルールの範囲から除外することができます。つまり、会計上は「交際費」ではなく「会議費」などに計上することが可能です。

会議費であれば全額損金算入ができます。交際費には年間800万円などのルールがかかってきますが、会議費として別の勘定科目に計上することで、そうした制限なく経費計上できるというわけです。この基準を5000円から1万円に引き上げようというのが今回の拡充案です。

内容対象
①特例措置の延長飲食費50%損金算入 or 交際費800万円全額損金算入の期限を2年延長全法人(中小企業は800万円枠)
②特例措置の拡充1人あたりの非課税上限を5000円→1万円に引き上げ社外との飲食費(会議費計上可能な範囲が拡大)

📝 このセクションのまとめ

  • 特例措置の延長:800万円全額損金算入などの期限を2年延長する案
  • 特例措置の拡充:1人あたりの非課税上限を5000円→1万円に引き上げる案
  • 1人あたり1万円以下の社外飲食費は会議費として全額損金算入が可能になる

具体的なシミュレーション:交際費枠が1万円になるとどう変わる?

では、交際費の枠が引き上げられると具体的にどんなメリットがあるのか、シミュレーションで見ていきましょう。

以下のような前提条件を設定します。

項目金額
年間交際費980万円
交際費の特例措置(損金算入上限)800万円
損金不算入となる金額180万円(980万円-800万円)
法人税率約33.58%
増加する法人税額約60万円

この状況では、800万円を超える180万円分が損金算入されないため、法人税率約33.58%を掛けると約60万円の法人税が余分にかかることになります。交際費の管理をしっかりしていないと、想定以上に税金が取られてしまうケースです。不動産業など業種によっては交際費が800万円を超えることも珍しくありません。

ここで、今回の要望が通って1人あたりの非課税上限が1万円に引き上げられたとします。接待でも1万円を超えるケースはそれほど多くないため、多くの飲食費を会議費に振り替えることができます。

例えば、年間980万円あった交際費のうち180万円分を会議費に振り替えられたとすると、交際費は800万円以内に収まります。その結果、損金不算入の金額がゼロになり、約60万円の法人税負担が軽減されることになります。

📌 ポイント

5000円の基準が1万円に引き上げられることで、飲食費・交際費をより損金算入しやすくなります。実際にはここまできれいに整理できるとは限りませんが、会議費として計上できる枠が広がることは確かです。

📝 このセクションのまとめ

  • 年間交際費980万円のうち800万円超の180万円が損金不算入→約60万円の法人税増加
  • 1万円基準が通れば180万円を会議費に振り替え可能→交際費800万円以内に収まる
  • 結果として約60万円の法人税負担が軽減できる可能性がある

会議費として計上できる条件と注意点

交際費の枠が拡大された場合でも、会議費として計上できるかどうかには明確なルールがあります。以下の注意点をしっかり押さえておきましょう。

【注意点①】1人あたりの金額で判定する

会議費に計上できるかどうかは、1人あたりの飲食費で判定します。全体の合計金額が高額であっても、参加人数が多くて1人あたりの金額がこの基準以下になるのであれば、会議費として計上することができます。後から「金額が大きいから会議費は無理だ」と見直すのではなく、1人あたりで判定するという点を忘れないようにしましょう。

【注意点②】社内の飲食費は会議費にできない

1人あたり5000円(改正後は1万円)という基準はあくまでも社外の人との飲食に適用されます。従業員やスタッフ、役員だけで食事に行った場合の社内交際費は、会議費として計上することができません。その場合は交際費のルールが適用されることになります。

⚠️ 注意

社内の飲食費(従業員・役員のみの飲み会など)は、1人あたりの金額に関わらず会議費には計上できません。社外の方との飲食であることが会議費計上の大前提です。

【注意点③】飲食費以外は会議費にできない

会議費にできるのは飲食費のみです。ゴルフや旅行、レジャーなどの費用は、たとえ得意先との接待であっても会議費に計上することはできません。また、ゴルフやレジャーの際に飲食をした場合も、その飲食費は会議費には計上できません。シンプルに「社外の方と食事・飲食をした場合」と覚えておくとよいでしょう。

【注意点④】キャバクラ・高級クラブなどは会議費にできない

キャバクラや高級クラブなど、飲食以外の目的があるとみなされる場所での費用は、会議費に計上できない可能性が高いです。これらは交際費として処理することになります。

【注意点⑤】アルコールの量にも注意

会議費として計上する以上は、アルコールの量は少量である前提があります。「会議費」という性質上、どんちゃん騒ぎのような飲み会は会議費の性格とは合致しません。行き過ぎた飲み会でなければ会議費として処理できますが、飲みすぎには注意が必要です。

【注意点⑥】接待の送迎費用は会議費にできない

接待時のタクシー代などの送迎費用は、会議費として処理することはできません。これらは交際費として処理することになります。

項目会議費に計上できるか
社外の人との飲食(1人あたり基準以下)✅ できる
社内のみの飲み会(従業員・役員)❌ できない(交際費扱い)
ゴルフ・旅行・レジャー費用❌ できない(交際費扱い)
ゴルフ・レジャー時の飲食費❌ できない(交際費扱い)
キャバクラ・高級クラブ❌ できない(交際費扱い)
接待の送迎費用(タクシー代等)❌ できない(交際費扱い)

📝 このセクションのまとめ

  • 会議費に計上できるのは「社外の人との飲食費」のみ(1人あたりの金額が基準以下)
  • 社内飲食・ゴルフ・レジャー・キャバクラ・送迎費は会議費不可
  • アルコールが多すぎる飲み会も会議費としての性格に合致しない

税務調査に備えて記録を残すことが最重要

飲食費を会議費として計上するためには、必ず記録を残すことが必要です。記録を残さないと、税務調査の際に会議費として認められない可能性があります。

記録として残すべき項目は以下の通りです。

  • 飲食を行った日付
  • 飲食費の金額
  • 参加人数
  • 参加者の氏名と参加者との関係性
  • 飲食店の名称・所在地

大企業では申請書などを使って経費精算を管理していますが、中小企業の方は特にこの記録管理が疎かになりがちです。実務では、レシートや領収書の裏や余白にメモ書きを残すことも有効です。接待・会食の後は、忘れないうちに記録を残すようにしましょう。

接待した後に「誰と行ったか」「何人いたか」を覚えていないということはよくあります。「営業のためです」としか言えなくなってしまうと、税務調査の際に不利になります。

📌 ポイント

税務調査は人と人とのコミュニケーション・交渉です。「この会社はしっかりしているな」と思われると、調査官との交渉もしやすくなります。日頃からきちんと記録を残しておくことが、税務調査対策としても非常に重要です。

⚠️ 注意

交際費の枠が拡大されたからといって、飲み会を無駄に増やすことは本末転倒です。飲食代の使いすぎでキャッシュが減ってしまうことも経営上のリスクです。あくまでも事業活動に繋がる接待・交際を適切に行うことが大切です。

📝 このセクションのまとめ

  • 会議費計上には日付・金額・参加人数・参加者との関係・飲食店の所在地の記録が必須
  • レシートや領収書の裏にメモ書きを残すだけでも有効
  • 記録がしっかりしていると税務調査でも有利になる
  • 交際費の拡大を理由に不必要な飲み会を増やすことは避けること

終わりに

本記事の内容は YouTubeチャンネル 社長の資産防衛チャンネル の下記動画を参考に作成しています。AIによる書き起こしを活用しているため、誤字脱字がある可能性があります。ご了承ください。
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