役員退職金の積立方法5選|節税しながら効率よく準備する方法を解説
役員退職金は会社・個人の双方に大きな節税メリットがある。今すぐ始められる積立方法を徹底解説。
役員退職金とは?準備が必要な理由
老後の資金について不安を感じている経営者の方は多いです。経営者はなかなか老後資金を積み立てにくい状況にあります。退職のタイミングでいきなりまとまったお金を用意できるかどうかわからないからこそ、計画的な退職金の積立が重要になってきます。
そもそも役員退職金とは、役員の方が退職した時にもらえる退職金のことです。もらうタイミングによって以下の2種類に分類されます。
- 退職慰労金:役員が健在のまま退職する際に支給される退職金
- 死亡退職金:役員が業務に従事中に死亡した場合に、遺族の生活保障や相続対策のために支給される退職金(弔慰金が支給されるケースもある)
📌 ポイント
役員退職金の準備は、会社側(法人)と受け取る個人側の双方に税金メリットがあります。計画的に準備することで、会社の資金繰りを圧迫せずに節税効果を最大化できます。
📝 このセクションのまとめ
- 役員退職金は退職慰労金と死亡退職金の2種類がある
- 会社側・個人側の双方に節税メリットがある
- 退職時にまとまった資金を用意できるよう、事前の積立が不可欠
会社側のメリット|退職金を経費に計上できる
会社として退職金を支給した場合、その金額を費用(損金)として計上できるのが大きなメリットです。ただし、退職金の金額自体に法的な上限はないものの、税務上は「不相当に高額な部分の金額は損金として認められない」というルールがあります。
適切な退職金の金額を把握するためによく使われるのが、功績倍率法です。計算式は以下のとおりです。
📌 功績倍率法の計算式
最終報酬月額 × 在籍年数 × 功績倍率 = 適切な役員退職金額
功績倍率は役職ごとに目安があります。
| 役職 | 功績倍率の目安 |
|---|---|
| 社長 | 3.0倍(例:2.4倍など会社規模による) |
| 専務・常務 | 2.0倍前後 |
| 平取締役 | 1.8倍前後 |
例えば、最終報酬月額100万円・在籍25年の社長の場合、100万円 × 25年 × 3倍 = 7,500万円の退職金が適切な金額の目安となります。
⚠️ 注意
功績倍率法はあくまで目安であり、税務署は同業・同規模の会社と比較して高すぎると判断した場合、損金算入を否認することがあります。同業他社との兼ね合いも重要です。
📝 このセクションのまとめ
- 退職金は会社の損金(費用)に計上できる
- 適切な金額の目安は功績倍率法で計算する
- 高すぎる退職金は税務署に否認されるリスクがある
個人側のメリット|退職所得の3大税制優遇
役員退職金は役員報酬と違い、退職後の生活の重要な原資であるという観点から、税制上で非常に優遇されています。具体的には以下の3つの優遇措置が適用されます。
- 分離課税:他の所得(給与所得・事業所得など)と合算せず、退職所得だけに税率をかけて所得税を計算する
- 退職所得控除:勤続年数に応じた大きな控除額が適用される
- 1/2課税:退職所得控除後の金額をさらに1/2にして課税所得を計算する
退職所得控除の計算式は勤続年数によって異なります。
| 勤続年数 | 退職所得控除額の計算式 |
|---|---|
| 20年以下 | 40万円 × 勤続年数(最低80万円) |
| 20年超 | 800万円 + 70万円 ×(勤続年数 - 20年) |
例えば勤続25年の場合、退職所得控除額は800万円 + 70万円 × 5年 = 1,150万円となります。勤続年数が長ければ長いほど、控除額が大きくなります。
📌 ポイント
退職金は社会保険料の対象外です。役員報酬として受け取る場合と異なり、社会保険料がかからないこともメリットの一つです。計画的に退職金を支給することで、節税効果をさらに高めることができます。
📝 このセクションのまとめ
- 退職所得は分離課税・退職所得控除・1/2課税の3大優遇が受けられる
- 勤続25年なら退職所得控除だけで1,150万円が控除される
- 退職金は社会保険料の対象外なので、役員報酬より手取りが増えやすい
少額から始められる退職金積立方法3選
比較的低リスクで節税しながら退職金の積立ができる制度が3つあります。それぞれの特徴と注意点を確認していきましょう。
① 小規模企業共済
小規模企業共済は、中小企業の経営者のための退職金積み立て制度です。掛け金は毎月1,000円から7万円の範囲内で自由に選択でき、その掛け金の全額が所得控除の対象となります。退職金を積み立てながら所得控除を受けられるため、節税効果が非常に高い制度です。
所得控除とは、課税対象となる所得金額を減らすことができるものです。所得税の計算では「所得金額 - 各種所得控除 = 課税所得」となり、この課税所得に税率をかけて所得税額が算出されます。所得控除が多ければ多いほど、所得税も減ります。
月額最大7万円を1年間かけた場合、年間84万円の所得控除を受けることができます。課税所得別の節税効果は以下のとおりです。
| 課税所得 | 年間掛け金(月7万円) | 年間節税額の目安 |
|---|---|---|
| 1,000万円 | 84万円 | 約36万7,000円 |
また、貸付制度も利用でき、金利は現状0.9〜1.5%と低く設定されています。最短で申し込み即日に資金を受け取ることも可能です。
⚠️ 注意
- 加入後約20年を待たずに解約すると、掛け金の全額が戻ってこない
- 掛け金を減額すると、減額分はその後運用されないまま放置されてしまう
- 掛け金は無理なく支払い続けられる金額に設定することが重要
② iDeCo(個人型確定拠出年金)
iDeCoは原則として20歳以上60歳未満の方が加入できます。2022年5月からは、国民年金に加入していれば65歳まで加入できるようになりました。会社役員・経営者の方も加入対象です。
iDeCoの掛け金も小規模企業共済と同様に所得控除の対象となるため、節税しながら積み立てを行うことができます。会社役員はサラリーマンと同じ第2号被保険者となるため、企業年金を実施していない場合の掛け金は以下のとおりです。
| 区分 | 月額上限 | 年間上限 |
|---|---|---|
| 会社役員(企業年金なし) | 23,000円 | 27万6,000円 |
小規模企業共済と併用が可能なので、合わせると年間最大111万6,000円の所得控除を受けることができます。
受け取り時も優遇があります。一時金としてまとめて受け取る場合は、税務上退職所得として扱われるため、退職所得控除や1/2課税のメリットを受けることができます。また、運用期間中に発生した投資利益は全額非課税です。
⚠️ 注意
- 原則60歳までお金を引き出すことができない
- 会社から多額の退職金をもらっている場合、退職所得控除の枠を超える可能性がある
- 複数回に分けて受け取る場合、タイミングによって受取額が変わるので注意が必要
複数の制度から退職金を受け取る場合の受け取り順序は非常に重要です。iDeCoを一時金として受け取る場合、その年から20年以内に他の退職金を受け取ると、重複する勤続年数の期間分だけ退職所得控除が減額されてしまいます。
一方、会社からの退職金または小規模企業共済の一時金を先に受け取った場合、このルールが適用される期間はその年の前年から4年間となります。
📌 お得な受け取り順序
- まずiDeCoを一時金として受け取る
- 5年以上間を空ける
- その後、小規模企業共済または会社からの退職金を受け取る
この順番を守れば、退職所得控除が減らされずに済みます。受け取る順番も事前に計画しておくことが重要です。
③ 経営セーフティ共済(中小企業倒産防止共済)
経営セーフティ共済(別名:中小企業倒産防止共済)は、小規模企業共済と同じ中小機構が運営する制度です。元々は取引先の倒産による連鎖倒産を防ぐためのもので、取引先が倒産して債権回収が困難になった場合に、これまで拠出していた掛け金の最大10倍・8,000万円までを無担保で借り付けることができます。
この基本機能に加えて、掛け金を法人の損金として計上しながら退職金の資金を積み立てることができます。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 掛け金の範囲 | 月5,000円〜20万円 |
| 損金算入の上限 | 年間240万円(累計800万円まで全額損金算入) |
| 解約返戻金 | 40ヶ月以上加入で掛け金の全額が戻る |
経費にしたのにキャッシュが外に逃げていかず、簿外資産のような形で貯めておけるのが大きな特徴です。共済の解約返戻金は益金(利益)になりますが、解約のタイミングで退職金を支給して損金を作ることで相殺でき、節税効果を得ることができます。
📝 少額積立3制度のまとめ
- 小規模企業共済:月最大7万円・年84万円の所得控除。20年未満解約は元本割れリスクあり
- iDeCo:月最大2万3,000円・小規模企業共済と併用で年111万6,000円の所得控除。受け取り順序に注意
- 経営セーフティ共済:累計800万円まで全額損金算入。40ヶ月以上で全額返戻
高額な退職金を用意する方法|オペレーティングリースと不動産投資
ここまで紹介した制度は少額から始められる反面、経営セーフティ共済でも最大800万円までです。より高額な退職金を準備したい場合は、以下の方法が活用されています。
① オペレーティングリース
オペレーティングリース取引とは、実用物件の購入に出資を行い、期間中のリース料や売却時のキャピタルゲインによって利益を得る取引です。突発的に大きな利益が出た法人が活用するケースが多い手法です。
取り扱い物件は主に以下の3種類で、出資額は数千万〜数億円単位となります。
- 航空機
- 船舶
- コンテナ
銀行融資によるレバレッジが元々かかっているため、出資初年度から2〜3年目までは出資額の100%を損金算入することができます。投資の終盤には資産の売却益が生じることによって所得が黒字になる傾向があります。その際に受け取った分配金を退職金の原資とすることで、収益として計上する分配金と退職金費用を相殺することが可能です。
つまり、利益を繰り延べて期間満了時に受け取る益金を退職金に割り当てることで節税が可能となります。
⚠️ 注意
- 元本割れリスクがある
- 中途解約ができないリスクがある
② 不動産投資
法人による不動産投資は、不動産の購入費用を減価償却費として計上することで利益を先送りする方法です。オペレーティングリースと同様に、売却益を退職金に割り当てることで相殺することができます。
特によく活用されているのがアメリカ不動産です。その理由は以下のとおりです。
- 物件価格に対して建物割合が高いため、減価償却費を大きく計上できる
- 4年で減価償却が可能(短期間で損金算入できる)
- 資産価値が落ちにくく、むしろ価格が上昇する傾向にあり、キャピタルゲインを期待できる
⚠️ 注意
- 為替リスクがある
- 海外物件の管理リスクがある
- 海外の税制・法制度の考え方が日本と異なる点に注意が必要
📝 高額積立方法のまとめ
- オペレーティングリース:出資額の100%を損金算入し、期間満了時の益金を退職金に充当。元本割れ・中途解約リスクあり
- 不動産投資(特にアメリカ不動産):減価償却費で利益を先送りし、売却益を退職金に充当。為替・管理リスクあり
- どちらも利益の繰り延べと退職金の損金計上を組み合わせた節税スキーム
終わりに
本記事の内容は YouTubeチャンネル 社長の資産防衛チャンネル の下記動画を参考に作成しています。AIによる書き起こしを活用しているため、誤字脱字がある可能性があります。ご了承ください。本サイトは 社長の資産防衛チャンネルを応援しています!
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