節税対策

役員退職金を節税しながら積み立てる5つの方法を税務のプロが解説

役員退職金を節税しながら積み立てる5つの方法を税務のプロが解説
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役員退職金は数千万〜1億円超になることも。節税しながら確実に積み立てる5つの方法を解説します。

役員退職金の積み立てが必要な理由

役員退職金とは、退職した時に受け取る退職金のことです。受け取るタイミングによって呼び方が異なります。

  • 退職慰労金:役員が元気な状態で会社を辞めて退職し、受け取るもの
  • 死亡退職金:亡くなった場合に遺族の生活保障や相続のために支給されるもの

いずれの退職金も、金額が数千万円から1億円以上になることも珍しくありません。1億円を超えるケースもあります。金額の計算式はおおむね決まっており、在職年数や会社の規模によって結果が変わります。

⚠️ 注意

積み立ての準備をしないまま退職金をポンと支払うと、次の後継者が資金繰りで苦労することになります。事前に計画的に積み立てておくことが必須です。

📝 このセクションのまとめ

  • 役員退職金は退職慰労金と死亡退職金の2種類がある
  • 金額は数千万〜1億円超になることも珍しくない
  • 準備なしの支給は資金繰りを圧迫するリスクがある

役員退職金の税制上のメリット

役員退職金は、役員報酬と比べると税制面で大きく優遇されています。計画的に支給することで節税メリットを得ることができます。

対象税制上のメリット
役員(受け取る側)分離課税・退職所得控除・1/2課税が適用され、役員報酬より手残りが多くなる
法人(支払う側)適正な退職金額であれば税務署に認められた損金(経費)になる
社会保険料退職金は全額が社会保険料(厚生年金・健康保険)の対象外となる

📌 ポイント

役員報酬で受け取るよりも退職金で受け取る方が、所得税・住民税・社会保険料の合計負担を大幅に抑えることができます。計画的な支給が節税の鍵です。

📝 このセクションのまとめ

  • 受け取る役員側:分離課税・退職所得控除・1/2課税の3つの優遇がある
  • 法人側:適正額であれば全額損金算入できる
  • 社会保険料の対象外なので、役員報酬より手残りが増える

預金積み立てでは節税できない理由

退職金の積み立てとして最初に思いつくのが、金融機関への預金です。預金積み立てのメリットとデメリットを整理しておきましょう。

項目内容
メリット元本割れがなく確実。契約期間・積立額などの制限がなく自分のペースで行える
デメリット①利率が低く、資金が増えることは期待できない。インフレ下では実質的に目減りする
デメリット②金融機関への預け入れはただの貯金であり、損金にならない。税金対策の効果がない

⚠️ 注意

預金はただの貯金であり、損金には算入されません。節税しながら退職金を積み立てるには、専用の制度を活用する必要があります。

📝 このセクションのまとめ

  • 預金は元本割れがなく安全だが、節税効果はゼロ
  • インフレ下では実質的に資産が目減りするリスクもある
  • 節税しながら積み立てるには専用制度の活用が必須

基本の3選:ローリスクで節税しながら積み立てる方法

ここからは、比較的リスクが低く、どのような経営者にとっても退職金の積み立てに役立つ制度を3つご紹介します。

① 小規模企業共済

小規模企業共済は、中小企業の経営者のための退職金積立制度です。経営者ご自身が自分の収入の中から積み立てていく形になっています。

項目内容
掛け金月額1,000円〜70,000円(最高月7万円)で自由に選択可能
税制優遇掛け金の全額が所得控除の対象
加入者役員個人として加入(会社の経費には直接ならない)

小規模企業共済は役員個人として掛け金を払うため、厳密には掛け金自体が直接損金に算入されるわけではありません。しかし、掛け金の額を経営者の給与に上乗せする形を取れば、掛け金の額を会社の損金に入れることができます。また、経営者の支払いは掛け金の部分が所得から控除されるので、経営者側でも所得税はかかりません。つまり、結果的に掛け金を直接損金に算入するのと全く同じ効果が得られます。

小規模企業共済のメリット・デメリット

区分内容
メリット①支払った掛け金が運用され、最大で120%に増えて戻ってくる
メリット②早めに加入して長く掛け続けることでさらに増える
メリット③貸付制度があり、金利は現状0.9%〜1.5%と低く設定されている
メリット④最短で申し込み即日でお金を借りることができる
デメリット①20年以上掛け続けないと元本割れする
デメリット②掛け金を減額すると、減額分はその後運用されないまま放置される(溜まるだけ)

📌 ポイント

貸付制度は最短即日で利用でき、銀行融資のように1ヶ月かかることがありません。緊急時の資金調達手段としても機能します。早めの加入が得ですが、無理なく支払い続けられる金額かどうかを事前に確認しておくことが重要です。

② 経営セーフティ共済(中小企業倒産防止共済)

経営セーフティ共済の正式名称は「中小企業倒産防止共済」です。もともと連鎖倒産を防ぐための制度で、取引先が倒産して債権回収が困難な場合に、払い込んだ掛け金の10倍・最大8,000万円まで共済金の貸付を受けることができます。

この基本的な機能に加えて、掛け金の全額が法人の損金として計上できます。損金として計上しながら退職金の資金を積み立てることができる制度です。加入できるのは、1年以上事業活動を行っている中小企業です。

項目内容
月額上限20万円
年間上限20万円 × 12ヶ月 = 240万円
累計上限800万円
解約返戻率40ヶ月以上加入すると解約時に掛け金の100%が戻る
損金算入掛け金の全額が法人の損金に計上できる

📌 ポイント

経営セーフティ共済の解約返戻金は会社にとっては収益になりますが、解約のタイミングで退職金を支払って費用を作れれば、戻ってくる収益と退職金の費用が相殺されて節税効果を得ることができます。経費にしたのにキャッシュが外に逃げず、会社内に溜まっていくイメージです。

③ 企業型確定拠出年金(企業型DC)

企業型確定拠出年金は、通称「DC」や「401k」とも呼ばれる企業年金の1つです。企業年金の主流は現在、確定拠出年金と確定給付企業年金の2種類があります。

種類確定している内容特徴
確定給付企業年金将来の給付額もらえる額があらかじめ決まっている
確定拠出年金(DC)拠出額(掛け金)最終的にもらえる額は確定していない。掛け金と運用損益の合計が返ってくる

金融庁のホームページにある積み立てシミュレーターで、企業型DCで拠出できる限度額である月5万5,000円を20年間積み立てた場合を試算すると以下のようになります。

運用利率拠出合計最終積立額(概算)
運用なし(元本)1,320万円1,320万円
年利3%1,320万円1,800万円
年利4%1,320万円2,000万円
年利5%1,320万円2,200万円

企業型DCの税制上の優遇は非常に強力です。

  • 掛け金は給与とみなされないため、所得税・住民税・社会保険料がかからない
  • 運用収益に対する課税がない(通常は運用益に約20%の税金がかかる)
  • 受け取り時に一時金として受け取る場合、退職所得控除が適用できる
  • 掛け金は法律により差し押さえが禁止されており、万が一破産という選択肢を取らなきゃいけなくなった場合でも財産に充てられることがない

⚠️ 注意

企業型DCは60歳まで現金化できないため、長期で資金が寝てしまいます。また、運用次第では元本割れのリスクもあります。資金の流動性が必要な場合は注意が必要です。

📝 基本3選のまとめ

  • 小規模企業共済:月最大7万円、掛け金全額所得控除、最大120%に増える。20年未満は元本割れに注意
  • 経営セーフティ共済:掛け金全額損金算入、累計800万円まで、40ヶ月以上で100%返戻
  • 企業型DC:月最大5.5万円、運用益非課税・退職所得控除適用可。60歳まで引き出し不可に注意

より高額な退職金を用意する方法①:オペレーティングリース

小規模企業共済は年間最大84万円まで、経営セーフティ共済は累計800万円まで、企業型DCは運用次第とはいえ、数千万円から1億円超になることもある役員退職金の積み立てとしては物足りないケースもあります。より高額な退職金を用意する方法として2つご紹介します。

まず1つ目がオペレーティングリースです。リース用物件の購入に投資を行うことで、期間中のリース料や売却時のキャピタルゲインによって利益を得る仕組みです。突発的に大きな利益が出た法人が、利益の繰り延べで活用している印象があります。

項目内容
取り扱い物件航空機・船舶・コンテナの3種類が主流
投資金額数千万円単位の金額を一括で投資
損金算入銀行融資(レバレッジ)を活用し、出資初年度〜2・3年目で出資額ほぼ100%を損金算入
投資終了時資産売却益が生じて収益が黒字になる
退職金との相殺受け取った分配金を退職金の原資とし、収益と退職金費用を相殺して節税

仕組みとしては、利益を投資期間中に繰り延べて、期間満了に受け取る分配金を退職金に割り当てることで節税が可能になります。

⚠️ 注意

オペレーティングリースには為替リスク・元本割れリスク・中途解約できないリスクなどがあります。投資期間が決まっており、途中でやめることができない点に注意が必要です。

📝 このセクションのまとめ

  • 航空機・船舶・コンテナへの投資で、出資額ほぼ100%を損金算入できる
  • 投資期間終了時の分配金を退職金に充てることで収益と費用を相殺できる
  • 為替リスク・元本割れリスク・中途解約不可のリスクがある

より高額な退職金を用意する方法②:法人による不動産投資

高額な退職金を用意するもう1つの方法が、法人による不動産投資です。不動産の購入費用を減価償却費として計上することで利益を先送りし、オペレーティングリースと同様に、売却益を退職金に割り当てることで相殺することができます。

特によく利用されているのがアメリカ不動産です。その理由は以下の通りです。

  • アメリカの不動産は建物割合が高く、土地割合が低いため、日本と比べてより多くの減価償却費を取ることができる
  • アメリカの中古不動産は中古の耐用年数計算により、ほぼ4年で減価償却が可能
  • 資産価値が落ちにくく、むしろ上昇傾向が続いており、最終的にキャピタルゲインを取ることができる
リスク項目内容
為替リスク円高になると売却益や賃料収入が目減りする
物件管理リスク海外物件のため管理が難しく、現地管理会社への依存が必要
税制の違い日米の税制の違いを考慮した申告・計画が必要

📌 ポイント

アメリカ不動産は建物割合が高いため減価償却を大きく取れ、かつ資産価値の上昇傾向が続いています。減価償却による節税と売却時のキャピタルゲインの両取りを狙える点が魅力です。ただし、為替・管理・税制の3つのリスクをしっかり考慮したうえで検討しましょう。

📝 このセクションのまとめ

  • 法人による不動産投資は減価償却費で利益を先送りし、売却益を退職金と相殺できる
  • アメリカ不動産は建物割合が高く、ほぼ4年で減価償却可能
  • 為替リスク・物件管理リスク・税制の違いを考慮する必要がある

5つの方法の全体比較と選び方

中小企業の経営者の退職金は、資金繰りを圧迫しないようにあらかじめ積み立てておくことが必要です。5つの方法を一覧で比較すると以下のようになります。

方法リスク上限額損金算入特徴
小規模企業共済月7万円(年84万円)△(給与上乗せ経由)最大120%に増える、貸付制度あり
経営セーフティ共済累計800万円◎(全額損金)40ヶ月以上で100%返戻、倒産防止機能あり
企業型DC中(運用リスク)月5.5万円◎(全額損金)運用益非課税、退職所得控除適用可
オペレーティングリース数千万円〜◎(初年度〜ほぼ100%)大型節税に有効、中途解約不可
法人による不動産投資物件次第◎(減価償却費)キャピタルゲインも期待できる、為替リスクあり

📌 ポイント

ローリスクで確実に積み立てたい場合は小規模企業共済・経営セーフティ共済・企業型DCの3つが基本です。より高額な退職金を用意したい場合や大きな利益が出た年に対応したい場合は、オペレーティングリースや不動産投資の活用も選択肢になります。皆さんの経営計画に合わせて組み合わせて活用してください。

📝 全体のまとめ

  • 役員退職金は数千万〜1億円超になることもあり、早期からの計画的な積み立てが必要
  • 預金積み立ては節税効果ゼロ。専用制度を活用することが重要
  • ローリスクの基本3選:小規模企業共済・経営セーフティ共済・企業型DC
  • 高額積み立てには:オペレーティングリース・法人による不動産投資(アメリカ不動産)
  • 退職金の受け取りは分離課税・退職所得控除・1/2課税の3つの優遇があり、役員報酬より手残りが多くなる

終わりに

本記事の内容は YouTubeチャンネル 社長の資産防衛チャンネル の下記動画を参考に作成しています。AIによる書き起こしを活用しているため、誤字脱字がある可能性があります。ご了承ください。
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