確定申告の経費割合はいくらが正解?税理士が解説する業種別目安と税務署チェックポイント

確定申告の経費割合はいくらが正解?税理士が解説する業種別目安と税務署チェックポイント
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経費の割合に法律上の上限はない。業種別の目安と税務署のチェックポイントを押さえて正しく申告しよう。

経費の割合に「正解」はあるのか?

確定申告をするにあたり、「経費ってどれくらいまで計上していいの?」「売上に対して経費の割合はどのくらいが普通?」という疑問は、個人事業主・フリーランスの方からよく寄せられる質問のひとつです。

📌 ポイント

法律上、経費は「いくらまで」という上限は定められていません。「この業種なら経費は〇〇万円まで」という決まりがあれば楽なのですが、上限がないために個人によって異なり、皆さんが迷う原因にもなっています。

そのため、「何割なら適正」「何割なら絶対大丈夫」という上限や決まりはありません。まずはこの前提をしっかり理解したうえで、経費とは何かを押さえていきましょう。

📝 このセクションのまとめ

  • 経費の割合に法律上の上限はない
  • 「何割なら安全」という決まりも存在しない
  • 業種・働き方によって適正な経費率は異なる

経費とは何か?計上できる費用の定義

経費として計上できるものは、次の2つの条件を満たす費用です。

  • 収入金額を得るために直接要した費用の金額
  • その年の業務上の費用の額(翌年分の費用は翌年の経費になる)

📌 ポイント

重要なのは「売上を得るために直接売上につながる支出であること」です。言い換えると、正当な事業関連性があるかどうかが経費として認められるかどうかの判断基準になります。

このルールはシンプルに見えますが、だからこそ「何が経費になるか」は個人の職業・業種・働き方によって変わってきます。同じ支出でも、ある業種では経費になり、別の業種では経費にならないということが起こるのはこのためです。

📝 このセクションのまとめ

  • 経費=収入を得るために直接要した、その年の業務上の費用
  • 「事業関連性があるか」が判断の核心
  • 業種・働き方によって経費になるかどうかは変わる

経費にできないもの一覧|確定申告前に必ずチェック

「何が経費になるか」を列挙するよりも、「経費にできないもの」を押さえる方が効率的です。確定申告の提出前に、以下の項目を経費として計上していないか必ず確認してください。

経費にできないもの具体例注意点・補足
生活費・健康維持のための費用プライベートの食事代、健康診断、予防接種、サプリメント、ジム代事業との関連がないため全額NG
所得税・住民税確定申告で納付する所得税、毎年納付する住民税税務署から確実に否認される項目
国民健康保険料・国民年金保険料毎月支払う国民健康保険料、国民年金保険料経費ではなく「所得控除」として控除可能
プライベートな食事代家族・友人との食事、飲み会、忘年会取引先との食事は交際費として計上可能
借入金の返済金額(元本)銀行などへの毎月の返済額(元本部分)利息部分は「支払利息」として経費計上OK

⚠️ 注意

所得税・住民税を経費として計上している個人事業主は非常に多いです。これは税務署から確実に否認される項目ですので、提出前に必ず確認してください。

⚠️ 注意

国民健康保険料・国民年金保険料は経費にはなりません。ただし、「所得控除」として控除することができます。手元に届く控除証明書を使い、所得控除の欄で正しく処理しましょう。経費の欄に入力している場合は仕訳を修正してください。

⚠️ 注意

借入金の元本返済額は経費になりません。毎月の返済額を経費として計上していると、税務調査が入った際に数年分をまとめて修正しなければならなくなり、金額が非常に大きくなります。ただし、事業のために借りた借入金の利息(支払利息)は経費として計上できますので、漏れなく計上するようにしましょう。

📝 このセクションのまとめ

  • 生活費・健康維持費用・プライベートな食事代は経費にできない
  • 所得税・住民税は経費NG(税務署から確実に否認される)
  • 国民健康保険料・国民年金保険料は経費でなく所得控除で処理
  • 借入金の元本返済は経費NG、利息(支払利息)は経費OK

業種ごとの経費率の目安|簡易課税のみなし仕入れ率を参考にする

「上限はない」と言われても、何の目安もないと困りますよね。そこで参考になるのが、国税庁が定める消費税の簡易課税制度におけるみなし仕入れ率です。

簡易課税とは消費税の計算方法の一つで、業種ごとに「経費率はこのくらい」という平均値をもとにみなし仕入れ率が設定されています。この数値は、業種ごとの経費率の目安として活用できます。

事業区分該当する業種の例みなし仕入れ率(経費率の目安)
第1種事業卸売業90%
第2種事業小売業80%
第3種事業製造業・建設業など70%
第4種事業飲食業など(第1・2・3・5・6種以外)60%
第5種事業サービス業・金融業・保険業など50%
第6種事業不動産業40%

例えば、サービス業を営んでいる方は第5種に該当するため、みなし仕入れ率は50%です。これは「サービス業の方は平均して売上の約50%が経費になる」という意味合いで設定されており、経費率の目安として参考にできます。不動産業(第6種)は経費が少なめの傾向があるため40%となっています。

⚠️ 注意

このみなし仕入れ率はあくまで平均値・目安です。「この率を超えたら一発アウト」「この率以内でないとダメ」というルールではありません。平均より高い人も低い人もいて、合計を人数で割った結果がこの数値です。実際の経費率は個々の状況によって異なります。

例えば、同じサービス業でも店舗を借りてビジネスをしている方自宅兼事務所でビジネスをしている方では、家賃の有無だけで経費率が大きく変わります。また、その年に車や機械を購入して減価償却費が増えれば、みなし仕入れ率の範囲を超えることもあります。これは異常なことではなく、事業の実態によって生じる自然な差異です。

📝 このセクションのまとめ

  • 簡易課税のみなし仕入れ率が業種別の経費率目安として活用できる
  • サービス業は約50%、不動産業は約40%が目安
  • あくまで平均値であり、超えても即アウトではない
  • 店舗の有無・設備投資の有無などで経費率は大きく変動する

税務署が確定申告でチェックしているポイント

提出した確定申告のどこを税務署が見ているのか、主なチェックポイントを紹介します。一言でまとめると、「異常値がないかどうか」を確認しています。

① 業種ごとの平均値とのずれ

税務署は、毎年膨大な数の確定申告書を受け取っています。申告書には業種・仕事内容が記載されており、そのデータが蓄積されることで業種ごとの平均値が把握できます。このビッグデータをもとに、業種ごとの平均値と大きくずれていないかをチェックしています。なお、この平均値の具体的な数値は一般には公表されていません。

② 変動が大きい勘定科目がないか

前年と比べて売上が3倍になっているなど、大きな変動がある項目・勘定科目は注目されます。変動の要因が明確であれば問題ありませんが、説明がつかない大幅な増減は調査のきっかけになる可能性があります。

③ 生活費を経費に計上していないか

特定の勘定科目の金額が不自然に大きい場合、「プライベートの生活費も経費に入れているのではないか」と疑われることがあります。先ほど紹介した経費にできないもの(所得税・住民税・借入金の元本返済など)が含まれていないかも確認されます。

④ 交際費の金額

⚠️ 注意

交際費は税務調査のきっかけとなりやすい勘定科目です。交際費が多いと「家族との食事を交際費として計上しているのではないか」という疑いを持たれやすくなります。例えば、売上が500万円なのに交際費が400万円もあれば、第三者から見て明らかに不自然です。交際費の金額は特に注意して確認しましょう。

⑤ 家事按分をきちんと行っているか

車や自宅など、プライベートと事業の両方で使うものについては家事按分が必要です。例えば、車を1台しか持っていないのに事業使用割合を100%で計上していると、「家事按分をしていないのではないか」とチェックが入ります。個人事業主・フリーランスの多くは車をプライベートでも仕事でも使うケースが多いため、適切な割合で按分するようにしましょう。

📌 ポイント:AIによる税務調査の効率化

最近、税務署はAIを導入しており、異常値の検出が非常に効率的・正確になっています。国税庁からも「AIによる選別が非常に効果的」というデータが発表されています。人間の目では見落としがちな数値のずれも、AIによってすぐにピックアップされる時代になっています。

📝 このセクションのまとめ

  • 税務署は「異常値がないか」を中心にチェックしている
  • 業種平均とのずれ・前年比での大きな変動が注目される
  • 交際費の金額は特に見られやすい勘定科目
  • 家事按分を100%にしていると指摘を受けやすい
  • AIの導入で異常値の検出が以前より格段に速く・正確になっている

まとめ|経費計上で大切な2つのポイント

経費の割合に正解はなく、法律でルールが決まっているわけでもありません。職業や働き方によって変動するものであり、大切なのは「なぜその経費を計上しているのか説明できること」です。

📌 経費計上で必ず押さえるべき2つのポイント

  1. 説明ができること:なぜその支出が事業に必要だったのかを説明できる状態にしておく
  2. 証拠があること:レシート・領収書・銀行口座の引き落とし明細・クレジットカード明細など、証拠となるものをきちんと保管しておく

証拠がなければ経費として認められることが非常に難しくなります。日頃からレシートや領収書をしっかり保管する習慣をつけておきましょう。

確定申告を提出する前に、以下の点を改めてチェックしてみてください。

  • 経費にできないもの(生活費・所得税・住民税・国民健康保険料・国民年金保険料・借入金元本・プライベートな食事代)を計上していないか
  • 各経費について「なぜ事業に必要か」を説明できるか
  • レシート・領収書などの証拠書類が揃っているか
  • 交際費の金額が売上規模に対して不自然に大きくないか
  • 車や自宅など家事按分が必要なものを適切に按分しているか

📝 このセクションのまとめ

  • 経費計上の鉄則は「説明できること」と「証拠があること」
  • 提出前に経費にできないものが混入していないか必ず確認する
  • AIの活用で税務調査の精度が上がっているため、正確な申告が重要

終わりに

本記事の内容は YouTubeチャンネル 税理士河南のYouTubeチャンネル! の下記動画を参考に作成しています。AIによる書き起こしを活用しているため、誤字脱字がある可能性があります。ご了承ください。
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