偽装フリーランスに要注意!労働者認定で社会保険料追加徴収のリスクを税理士が解説
偽装フリーランスが労働者と認定され、社会保険料を追加徴収される事例が急増中。あなたの働き方は大丈夫ですか?
偽装フリーランスとは?153人が労働者認定された実態
フリーランス・業務委託として仕事を受けながら、その会社にだけ専属契約のような形になっている、仕事を一切断れない、働く場所や時間まで指定されている、案件ごとの請求書の発行もなく月給制になっている、それなのに社会保険に入れてもらえない——こういった状況であれば、明らかに実態がおかしいです。名ばかりのフリーランス、まさに「偽装フリーランス」です。
NHKで報道された内容によると、「偽装フリーランス・実態は労働者」が153人、厚生労働省が初めて集計したことが明らかになりました。労働基準監督署が、会社と雇用契約を結ばないフリーランスという働き方の実態を調査したところ、実際にはフリーランスではなく労働者に該当すると認められた人が、昨年度だけで153人にのぼったことが判明したのです。
📌 ポイント
政府はフリーランスを新しい働き方・成長戦略として位置づけていますが、一方で企業から安価な労働力として利用される「偽装フリーランス」の存在が社会問題化しています。建設業の一人親方、配達ドライバー、デザイナー・クリエイターなどに多いとされています。
この153人のうち、現在120人は社会保険の適用要件に合うかどうか調査中、31人が対象外、実際に社会保険が適用済みになったのは2人にとどまっています。税制上のルールで問題になった事例はこれまでもありましたが、社会保険に関してここまで大々的に取り上げられたのは、おそらく初めてのことです。
偽装フリーランスが問題になるきっかけは、賃金の未払いや未払い残業代などの相談を受けた労働基準監督署が詳細を調査したことです。フリーランスは全国で約200万人いると言われており、今後さらに多くのケースが明るみに出てくることが予想されます。
📝 このセクションのまとめ
- 昨年度、偽装フリーランスとして労働者認定された人が153人に達した
- 建設業の一人親方・配達ドライバー・デザイナーなどに多い
- 社会保険の適用拡大と連動した動きであり、今後さらに増加が見込まれる
会社員とフリーランス、どちらが得?それぞれのメリット・デメリット
会社員(雇用契約)とフリーランス(業務委託)、どちらが良いかはその人の生き方で決まるものであり、どちらが良くてどちらが悪いというものではありません。ただし、それぞれの違いをしっかり理解しておくことは非常に重要です。
まず、法的な整理をしておきましょう。雇用契約の場合、支払われるのは「給与」であり、働く人は「会社員・労働者」です。一方、業務委託の場合、企業側の会計上は「外注費」として処理され、受け取る側は「個人事業主・フリーランス」という位置づけになります。なお、「業務委託」という言葉は正式な法律用語ではなく、民法上の請負契約・委任契約・準委任契約などを総称して便宜的に呼んでいるものです。
| 比較項目 | 会社員(雇用契約) | フリーランス(業務委託) |
|---|---|---|
| 報酬の性質 | 給与(労働時間ベース) | 外注費(成果物・役務提供ベース) |
| 社会保険 | 健康保険・厚生年金(会社が半額負担) | 国民健康保険・国民年金(全額自己負担) |
| 節税の余地 | 少ない | 多い(経費計上可・法人化でさらに拡大) |
| 退職金 | 会社が用意(規定による) | 自分で用意(小規模企業共済など) |
| 確定申告 | 基本不要(年末調整で完結) | 必須 |
| 時間的拘束 | あり(勤務時間が決まっている) | 基本なし(自由に設定可) |
| 消費税 | 対象外 | 課税対象になる場合あり |
会社員のメリットとして特に大きいのが、社会保険料を会社が半額負担してくれるという点です。会社員として勤めているときはなかなか実感しにくいのですが、いざ自営業になってみると、これが非常にありがたいことだとわかります。
会社員のメリットをまとめると以下のとおりです。
- 社会保険(健康保険・厚生年金)が完備され、会社が半額負担してくれる
- 退職金制度がある(会社による)
- 有給休暇がある
- 確定申告は基本不要(年末調整で完結)
- 資格取得・研修制度などのバックアップがある
一方、会社員のデメリットは次のとおりです。
- 節税しにくい(税制上の仕組みとして、会社員向けの節税策はほとんどない)
- 時間的に拘束される
- 人間関係の悩みが生じやすい
次に、個人事業主・フリーランスのメリットです。
- 経費を計上できるため、節税チャンスが多い(法人化するとさらに節税策が広がる)
- 成功すれば短期間で大きく稼げる可能性がある
- 時間的な拘束がなく、働く時間を自由に選べる
そして、個人事業主・フリーランスのデメリットは以下のとおりです。
- 確定申告が必要で、手間がかかる
- 社会保険料(国民健康保険・国民年金)が全額自己負担で高い
- 退職金を自分で用意しなければならない(小規模企業共済などを活用)
- インボイスの絡みで消費税の課税対象となる場合がある
- 資金調達は融資(返済義務あり)が中心となりリスクがある
📝 このセクションのまとめ
- 会社員は社会保険の手厚さと安定性が最大のメリット
- フリーランスは節税の自由度と時間的な柔軟性が最大のメリット
- どちらが優れているかではなく、自分の生き方・状況に合わせて選ぶことが重要
なぜブラック企業は業務委託を好むのか?税制上のメリットを解説
ブラック企業が業務委託を好む理由は、税制上・社会保険上のメリットが非常に多いからです。主なメリットを順番に見ていきましょう。
①消費税の節税(仕入税額控除)
企業側が従業員に支払う「給与」は、消費税の課税対象外です。ところが、業務委託で支払う「外注費」は消費税法上の課税対象となります。
企業が納める消費税は、「売上で受け取った消費税」から「経費支払い時の消費税」を差し引いた純額です。つまり、給与として支払うよりも外注費・業務委託費として支払った方が、消費税の仕入税額控除が使えるため、消費税の節税につながるわけです。
📌 ポイント:インボイス制度との関係
2023年10月からインボイス制度がスタートしました。この消費税の仕入税額控除(節税)を受けるためには、相手方がインボイス(適格請求書)を発行できる登録事業者である必要があります。インボイスなしでは、企業側の消費税節税効果が薄れることを覚えておきましょう。
②社会保険料の負担ゼロ・労働基準法の適用除外
本来、人を雇用すると、その人の社会保険料(健康保険・厚生年金)を半額負担しなければなりません。しかし、業務委託である限り、こうした費用が一切かかりません。人をたくさん抱えている企業であればあるほど、このメリットは非常に大きいです。
さらに、業務委託は労働者ではないため、労働基準法の適用対象外となります。その結果、企業側には以下のコストや義務がなくなります。
- 残業代の支払い義務がない
- 退職金の支払い義務がない
- 年末調整が不要(会社員ではないため)
- 現在話題の「現物給与(低額現物給与)」の計算に関わる必要がない(雇用ではないため)
⚠️ 注意
これだけ多くの税制・社会保険上のメリットがあるため、事実関係を歪めてでも業務委託にしたいと考える企業が出てきます。しかし、形式だけ業務委託にしても、実態が雇用契約であれば税務調査で問題になります。特に消費税の仕入税額控除(外注費の消費税)は税務調査で頻繁に指摘されるポイントです。さらに今回の事例のように、後から年金事務所などと連携して社会保険料を追加で徴収されるリスクもあります。
📝 このセクションのまとめ
- 給与→外注費にすることで消費税の仕入税額控除が使え、消費税節税になる(インボイス必須)
- 社会保険料の半額負担・残業代・退職金などが不要になる
- 形式だけ業務委託にしても、実態が雇用なら税務調査・社会保険調査でアウト
雇用契約と業務委託の判断基準:あなたの働き方はどちら?
では、実際に自分の働き方が雇用契約なのか業務委託なのかを判断するには、どのような観点で確認すればよいのでしょうか。以下の判断基準を参考にしてください。
| 判断基準 | 雇用契約(会社員) | 業務委託(フリーランス) |
|---|---|---|
| 業務遂行の拒否権(仕事を断る権利) | 基本的にない | ある(案件ごとに受注・断りが可能) |
| 会社への専属性 | 専属(基本1社のみ) | 非専属(複数の取引先から受注可) |
| 業務の指揮監督の度合い | 強い | 弱い |
| 勤務場所の指定 | あり(オフィス等) | 基本なし(自由) |
| 勤務時間の拘束 | あり(9時〜17時など) | 基本なし(成果物を納品できればOK) |
| 報酬の算定根拠 | 時間ベース(時給・月給) | 案件ベース(1案件いくら) |
| 請求書の発行 | 不要 | 案件ごと・月ごとに発行が必要 |
フリーランス・業務委託として仕事を受けながら、以下のような状況になっていないか確認してみてください。
- その会社だけに専属契約のような形になっている
- 仕事を一切断れない
- 働く場所・時間まで指定されている
- 案件ごとの請求書の発行もなく、月給制になっている
- それなのに社会保険に入れてもらえない
⚠️ 注意
上記のような状況に複数当てはまる場合、それは名ばかりのフリーランス、つまり「偽装フリーランス」であり、実態は雇用契約・会社員です。形式上の契約書が業務委託になっていても、実態で判断されます。見た目や形式だけでは判断できない点に注意が必要です。
📝 このセクションのまとめ
- 仕事を断れるか・専属性・指揮監督・勤務場所・時間・報酬の算定根拠・請求書の有無が判断基準
- 複数の基準が雇用契約に当てはまるなら、実態は「偽装フリーランス」の可能性がある
- 契約書の形式ではなく「実態」で判断されるため、今一度自分の働き方を確認することが重要
企業側へのメッセージ:節税より「良い採用」を優先すべき理由
雇用主である企業側がこうした実態を知らなかった場合でも、税務調査において業務委託費の実態を調べられ、場合によっては雇用契約扱いと判断されて、消費税の仕入税額控除が全額否認されるというケースが起こりえます。
さらに、今回の事例のように後から年金事務所などと連携して、社会保険料を追加で徴収されるリスクもあります。税務調査の実務では、この消費税の仕入税額控除が否認されるパターンは非常に多く、企業にとって大きなダメージとなります。
📌 ポイント:長期的な視点で考える
今後、日本社会はますます人手不足になっていきます。事実関係を歪めて変な採用の仕方をしていると、まともな人・優秀な人の採用ができなくなります。節税や社会保険料の節約よりも、良い人に来てもらって良い企業を作るという方向に注力することが、長期的な企業の成長につながります。
📝 このセクションのまとめ
- 企業側も「知らなかった」では済まされず、税務調査で消費税の仕入税額控除を全額否認されるリスクがある
- 後から社会保険料を追加徴収されるリスクもある
- 節税目的で偽装するより、正しい雇用で良い人材を確保することが企業の長期的利益につながる
終わりに
本記事の内容は YouTubeチャンネル 税理士YouTuberチャンネル!! / ヒロ税理士 の下記動画を参考に作成しています。AIによる書き起こしを活用しているため、誤字脱字がある可能性があります。ご了承ください。 本サイトは 税理士YouTuberチャンネル!! / ヒロ税理士を応援しています!
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