株式投資の配当・売却益が社会保険料の対象に?国保加入者が知るべき金融所得と社保の関係
金融所得が社会保険料の計算対象になるかもしれない。国保加入者は要注意です。
今回のテーマと結論:誰が影響を受けるのか
株式投資などで得た配当や売却益(金融所得)が、社会保険料の対象となる可能性が厚生労働省で本格的に議論され始めています。メディア各紙でも話題になっており、おそらくこの方向性で決まりそうな状況です。ただし、まだ最終確定ではなく、一部に推測を含む内容もありますのでご了承ください。
📌 結論:社会保険料負担増の可能性がある人
以下の2つの条件を両方満たす人が、将来的に社会保険料の負担が増える可能性があります。
- 国民健康保険に加入している(個人事業主・年金受給者・後期高齢者など)
- 株式投資の配当・売却益について「確定申告不要」を選択している
⚠️ 注意
NISAについては社会保険の対象外であることが明言されています。また、会社員・会社経営者(政府管掌の健康保険・健康保険組合加入者)については、確定申告をしてもしなくても、現在の議論では社会保険料への影響はないとされています。
📝 このセクションのまとめ
- 金融所得の社会保険料対象化が厚生労働省で議論中
- 影響を受けるのは「国保加入者」かつ「確定申告不要を選んでいる人」
- NISAは対象外、会社員も現時点では対象外
株式投資の口座の種類と確定申告の関係
株式投資をする場合、証券会社で口座を開設する必要があります。この口座の種類によって、確定申告が必要かどうかが変わってきます。大きく分けると「一般口座」と「特定口座」の2種類があります。
| 口座の種類 | 税金の計算 | 税金の徴収・納付 | 確定申告 |
|---|---|---|---|
| 一般口座 | 自分で行う | 自分で行う | 原則必要(赤字の場合を除く) |
| 特定口座(源泉徴収なし) | 証券会社が計算 | 自分で行う | 必要 |
| 特定口座(源泉徴収あり) | 証券会社が計算 | 証券会社が代行 | 不要(選択可) |
| NISA口座 | 非課税 | 非課税 | 不要 |
NISA以外で株式投資をしている方の多くは、特定口座・源泉徴収ありを選んで確定申告をしないというケースが圧倒的に多いです。今回の社会保険料負担増の議論は、まさにこの「確定申告をしていない人」が基本的な対象となると推測されます。
📝 このセクションのまとめ
- 特定口座・源泉徴収ありを選べば確定申告は不要
- NISA口座は非課税のため確定申告も社会保険への影響もなし
- 確定申告不要を選んでいる国保加入者が今回の議論の対象
会社員・個人事業主・年金受給者で異なる社会保険の扱い
金融所得と社会保険料の関係は、加入している社会保険の種類によって大きく異なります。
会社員・会社経営者の場合は、政府管掌の健康保険や厚生年金、あるいは健康保険組合に加入します。これらの保険料は基本的に「月給(給与)」をベースに計算されるため、金融所得はいくらあっても社会保険料に影響しません。確定申告をしてもしなくても、現在の議論においては社会保険料の負担増にはつながらないと考えてよいでしょう。
一方、個人事業主・年金受給者・後期高齢者などは国民健康保険・国民年金に加入する形になります。国民健康保険料の計算は、住民税の計算をベースにしている部分があります。そのため、配当や売却益について確定申告をすると、その利益が住民税に反映され、連動して国民健康保険料も上がる仕組みになっています。
| 加入者の種類 | 加入する保険 | 金融所得の影響 |
|---|---|---|
| 会社員・会社経営者 | 健康保険(政府管掌)・健康保険組合 | 影響なし(給与ベースで計算) |
| 個人事業主・年金受給者・後期高齢者 | 国民健康保険・国民年金 | 確定申告をすると保険料に影響あり |
📝 このセクションのまとめ
- 会社員は給与ベースで社会保険料が決まるため金融所得は影響しない
- 国保加入者は確定申告をすると住民税経由で国保料が上がる
- 個人事業主・年金受給者・後期高齢者は特に注意が必要
確定申告をする・しないで何が変わるのか
特定口座・源泉徴収ありを選んでいる場合、配当や売却益に関しては約20%の税率で課税が完結します。確定申告をしないことを選んだ場合、その金融所得は「表に出てこない」ため、現行の法律では社会保険料の計算対象外となっています。
一方、あえて確定申告をする場合には、以下のような課税方式を選択することができます。
| 課税方式 | 税率 | 主なメリット | 国保への影響 |
|---|---|---|---|
| 申告不要(特定口座・源泉徴収あり) | 約20%(一律) | 手続き不要・国保に影響なし | なし(現行) |
| 総合課税 | 所得税5〜45%+住民税10% | 配当控除・外国税額控除が使える。低所得者は節税になる場合も | あり |
| 申告分離課税 | 約20%(一律) | 複数口座の損益通算・赤字の繰越しができる | あり |
総合課税を選ぶと、配当控除や外国税額控除が受けられます。比較的所得が低い方は確定申告をして配当控除を受けることで、所得税・住民税の節税ができる場合があります。
申告分離課税を選ぶ主なケースは、複数の口座で株式投資をしていて、ある口座で大きな赤字が出ているときです。確定申告をすることで他の口座の黒字と相殺(損益通算)して節税できます。また、赤字を翌年以降に繰り越すこともできます。
⚠️ 注意
総合課税・申告分離課税のいずれかで確定申告をすると、その金融所得が国民健康保険料の計算に影響します。場合によっては保険料が大きく跳ね上がることがあります。特に株式投資で赤字もなく、他に高い収入がある方は「申告不要」を選ぶパターンが多いです。
📝 このセクションのまとめ
- 申告不要(特定口座・源泉徴収あり)を選べば現行では国保料に影響なし
- 総合課税は低所得者の節税に有効だが国保料が上がる可能性あり
- 申告分離課税は損益通算・赤字繰越に有効だが同様に国保料に影響
なぜ「不公平」と問題視されているのか:モデルケースで比較
そもそもこの議論がなぜ起きているかというと、確定申告をするかしないかだけで社会保険料に大きな格差が生じているからです。自民党のウェブサイトに掲載されているモデルケースを見てみましょう。
モデルケースの設定は以下の通りです。
- 対象:70代後半・単身
- 収入合計:年320万円
- パターン1:年金収入のみ320万円
- パターン2:年金収入270万円+株式配当50万円(確定申告あり・なしで比較)
| 項目 | パターン1(年金のみ320万) | パターン2(年金270万+配当50万)確定申告あり | パターン2(年金270万+配当50万)確定申告なし |
|---|---|---|---|
| 後期高齢者医療保険 窓口負担 | 2割負担 | 2割負担 | 2割負担 |
| 介護保険 窓口負担 | 2割負担 | 2割負担 | 1割負担 |
| 医療保険料(年間) | — | 高額 | 低額 |
| 介護保険料(年間) | — | 高額 | 低額 |
| 医療保険料の差額 | 約5万円以上(確定申告あり vs なし) | ||
| 介護保険料の差額 | 約1万5千円(確定申告あり vs なし) | ||
| 保険料合計の差額 | 年間6万5千円以上 | ||
具体的な数字を見ると、年金270万円+配当50万円という収入構成で、確定申告をするケースでは医療保険料が年間約22万896円かかるのに対し、確定申告をしないケースでは約16万8,465円となり、約5万円以上の差が生まれています。さらに介護保険料でも約1万5,000円の差が生じており、合計で年間6万5,000円以上の格差が発生しています。
しかも介護保険の窓口負担割合まで変わってしまう点も見逃せません。確定申告なしを選んだ場合は介護保険の窓口負担が1割になるのに対し、確定申告ありでは2割負担となります。
📌 ポイント
収入の合計は同じ320万円なのに、その内訳(年金のみか、年金+配当か)と確定申告の有無だけで、年間6万5,000円以上の保険料格差が生まれています。この不公平感が、今回の議論の発端です。
📝 このセクションのまとめ
- 確定申告の有無だけで年間6万5,000円以上の保険料差が生まれるケースがある
- 介護保険の窓口負担割合(1割・2割)にも影響が出る
- この不公平を是正するため、金融所得の社会保険料対象化が議論されている
マイクロ法人活用者への影響と今後の見通し
マイクロ法人を経営しながら個人事業も行っているケースについては、マイクロ法人で社会保険に加入していれば政府管掌の社会保険(厚生年金・健康保険)に入ることになります。そのため、今回の国保の議論とは直接関係しません。
ただし、マイクロ法人による社会保険の節税スキーム自体も問題視されており、そちらも時間の問題で見直される可能性があります。長期的な視点では、マイクロ法人に頼った節税策に依存するよりも、事業規模を拡大して本格的な法人化を目指すほうが、社会保険の問題を気にせず経営に集中できるという考え方もあります。
また、今回は社会保険料の話が先行していますが、場合によっては金融所得に対する税率そのものや税制が変わっていく可能性もゼロではありません。現在は円高の影響などで株式市場の乱高下が激しいため、税制を急に変えると悪影響を及ぼす可能性があり、税制のテコ入れはまだ先になるとみられます。それでも、今後の動向には注意が必要です。
📝 このセクションのまとめ
- マイクロ法人で社保加入済みの場合は今回の国保議論の直接の対象外
- ただしマイクロ法人スキーム自体も見直しの議論がある
- 税率・税制の変更はまだ先の見込みだが、引き続き注視が必要
国保加入者が取れる対策は?
今回の議論に対して、残念ながら万能な対策はありません。ただし、以下のような選択肢を検討することが考えられます。
- 国民健康保険組合への加入を検討する:個人事業主の場合、自分の業界に国民健康保険組合があれば、そちらへの加入で保険料負担が下がる可能性があります。
- 法人化を検討する:法人化することで社会保険(健康保険・厚生年金)に加入でき、国保の問題から切り離せる可能性があります。
- NISAの活用:NISAは非課税であり、社会保険料の計算対象外であることが明言されています。投資の一部をNISAに移すことで影響を軽減できます。
- 今後の制度変更の情報を継続的にチェックする:まだ最終確定ではないため、続報を確認しながら対応を検討することが重要です。
📌 ポイント
今回の議論は、高齢者の税負担格差の是正を出発点としていますが、影響を受けるのは高齢者だけではありません。個人事業主や無職の方など、国民健康保険に加入しているすべての人が対象になり得ます。自分の状況に合わせた対策を早めに検討しておくことが大切です。
📝 このセクションのまとめ
- 業界の国民健康保険組合への加入や法人化が有効な対策になり得る
- NISAは引き続き社会保険料の対象外であり積極的な活用が有効
- 制度はまだ確定していないため、続報を継続的に確認することが重要
終わりに
本記事の内容は YouTubeチャンネル 税理士YouTuberチャンネル!! / ヒロ税理士 の下記動画を参考に作成しています。AIによる書き起こしを活用しているため、誤字脱字がある可能性があります。ご了承ください。 本サイトは 税理士YouTuberチャンネル!! / ヒロ税理士を応援しています!
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