2025年から始まる金融所得課税強化とミニマムタックスを税理士が解説
2025年から金融所得課税が強化され、超富裕層に追加課税が始まります。
金融所得課税とは何か
新NISAが始まったこともあって、最近結構資産運用してる人が随分増えてきてる感じするんですけれども、そこでちょっと気になったのが、最近金融所得課税が強化されるみたいな話を聞いたんですけど、これってなんか影響あるんですか?
確かに最近話題にもなってますし、私の周辺でもこの話題をする人が増えてはいるんですけど、金融所得課税が強化されると株式や投資信託などで得た利益にかかる税金が増えてしまう可能性があります。

それちょっと困りますよ。詳しく教えてください。
はい、承知しました。では今回は金融所得課税の強化に関する現状の動きですとか、今後の動向についてお話ししていこうと思います。

よろしくお願いします。そもそもこの金融所得課税ってなんですか?
金融所得税とは、文字通り株式や投資信託などの金融商品から得た所得にかかる税金のことになります。

てことは、要は資産運用で得た利益にかかる税金ってことですかね。
はい、そういうことです。海外FXや仮想通貨などのような例外はあるんですけども、基本的に日本では資産運用で得た所得には、他の所得金額と合計させないで分離して税額を計算する申告分離課税制度というものが採用されています。
申告分離課税制度の税率は、所得税15%・住民税5%・そして復興特別所得税0.315%を合わせた合計20.315%で一律になっておりまして、所得金額によって税率が変化することがないです。

投資してる人ならまず聞いたことがある税率ですよね。金融所得課税が強化されるってことは、この税率に手入れが入るってことなんですか?
はい、概ねそういうことになります。

- 所得税:15%
- 住民税:5%
- 復興特別所得税:0.315%
- 合計:20.315%(一律・所得金額に関わらず)
なぜ金融所得課税を強化しようとしているのか
金融所得課税の強化をするという話は、岸田前総理が一度話に出していて、その時は株価が大きく下落してしまいました。

課税強化でまあ、なんか投資家が萎縮になっちゃいますよね。
はい。それを見てたのか、岸田前総理は発言を撤回したのですが、今回総理になった石破さんが再度金融所得課税の強化について言及したことで大きな話題になっています。

まあ、なんでこの金融所得課税を強化しようって動きがあるんでしょうか?
それについては、各所得層における税負担率を見てみると分かります。国税庁が調査した所得階級別の税負担率を見ますと、5,000万円から1億円をピークに税負担率が実は下がっているということが分かります。

確かにそうですね。所得が多いほど税負担率が増えるのがなんか自然だと思ってたんですけど、そうじゃないんですか?これなんでなんですか?
そこにこの金融所得というものが関わってきます。前提として日本では個人の所得税に超過累進税率制度というものが採用されております。給与所得とか事業所得についてはこの超過累進課税が採用されておりまして、所得が多い方ほど所得税率が高くなって、課税所得金額が4,000万を超えるとなんと所得税率は45%になります。

住民税はね一律10%ですから、合計で最高税率は55%になるってことですよね。
はい、そういうことです。しかしこの所得が1億円を超えるような富裕層は、多くの場合資産運用を行っていて所得全体に占める株式などの金融所得の割合が高い傾向にあります。金融所得は先ほど説明した一律20.315%の税率で計算されてくるため、特に多くの金融資産を持つ超富裕層にとっては税負担が軽くなる傾向があります。

なるほど、そういうことなんですね。結果的に所得が5,000万から1億円の層をピークに税負担が下がっていくってことですね。
これがニュースなどでよく言われてる「1億円の壁」というものです。税の公平性という観点からするとこれは健全ではないでしょうということで、岸田前総理の時から金融所得課税を強化しようという流れになっていたというわけですね。

そう考えるとまある程度理解はできますかね。ただ資産運用をしてる人からすれば、たまったもんじゃないですよね。
そうなんですよ。この1億円の壁は日本だけの現象ではなくて、欧米主要国でも同じような状況になっています。実際にそういった国でもこの金融所得課税を強化していこうという流れになっていまして、日本でこういった流れになるのもやっぱり自然な流れなんじゃないかなと思います。

じゃあ日本以外でも問題になってるわけですね。
所得が5,000万〜1億円をピークに税負担率が下がる現象。1億円超の富裕層は金融所得の割合が高く、一律20.315%の申告分離課税が適用されるため、給与・事業所得と比べて実質的な税負担が軽くなる。
2025年から始まるミニマムタックスとは
この金融所得課税の強化っていうのはいつから始まるんですか?
実は一部に対する金融所得課税の強化に関しては、もう来年2025年から始まることが決まっています。

えそうなんですか?
そうなんです。来年から始まるのは超富裕層に対する追加課税措置というもので、通称ミニマムタックスと言われています。

これはどういったものなんですか?
これは、①通常の所得税額と②別の計算式で計算する税額を比較して、②の税額が上回る場合は通常の所得税額に加えて超過分を申告・納税しなければならないという制度になっています。

ちょっとこれどういうことですか?
順番に説明していきます。まず通常の所得税額というのは、所得金額に通常かかるはずの税額のことです。要はこれまで通りの確定申告などを通して計算してきた税額ですね。
そして②の合計所得金額についてなんですけども、これは金融所得だけではなくて、給与所得や事業所得、あと不動産所得などの全ての所得を合計したものになります。ただしスタートアップへの再投資やNISAなどの非課税額についてはこれは含まれておりません。
②の税額はこの合計所得金額から3.3億円の特別控除を差し引いた金額に22.5%の税率を乗じて計算していきます。結果としてこの②で計算した税額が①を上回る場合には、超過分を追加で納税することとなります。

ちょっとまだ理解できないんですけど、具体例いいですか?
- ① 通常の所得税額(これまで通りの確定申告で計算)
- ② (全所得合計 − 3.3億円の特別控除)× 22.5%
- ②が①を上回る場合、超過分を追加納税
- NISA・スタートアップ再投資は合計所得から除外
ミニマムタックスの具体的な計算例
なるほど、分かりました。では単純化するために年間の所得が全て金融所得である前提でお話ししますね。
例えば年間の所得が全て金融所得で10億円だったとします。すると従来の金融所得には申告分離課税で15%の所得税がかかりますので、通常の所得税額はこのようになります。なお諸々の所得控除などは一旦考慮外としておりますのでご了承ください。
ミニマムタックスが適用されるとこのような計算で追加納税額を計算していくことになります。

てことは、結果として通常の1億5,000万に加えて75万円の納付が必要になるってことですかね。これ75万円だったらそんな大した影響ないですよね。
ところがですね、この対象になる方々ってどんな規模かって言うと、例えば10億円とか60億円とか、年間の所得がですよ、60億円で全て金融所得だったとすると、通常の所得税額はこのようになります。これまでは60億円の分離課税の安い15%で9億円だったんですけども、ミニマムタックスが適用された場合の追加税額はこうなります。

わお、って感じですよね。
結果としてミニマムタックスが適用されますと、通常の9億円に加えて3億7,575万円の追加納付が必要になります。

急にすごい金額になりましたね。
規模が変わってくるとね、影響額がでかくなってくるってことですね。このミニマムタックスの影響は税率が22.5%を下回る所得が多い人ほど影響が多くなります。つまり基本的には所得の中で金融所得の割合が大きいほど影響を受けるってことですね。

なるほど。逆に金融所得の割合が小さければ影響は少ないってことになるんですか?
はい、そういうことになります。基本的には所得が全て金融所得だった場合は所得が10億円以上の人が、そうでない場合は合計所得が30億円の人が対象になってくると言われています。

なるほど。影響を受ける人はそれほど多くはなさそうですね。
はい、そうなんです。日本の場合は所得が1億円以上の人は全体の0.03%程度と言われていますので、影響を受ける人自体は少ないんですけども、実際に影響を受ける人にとっては無視できません。ミニマムタックスがスタートしてるのにこれまで通り計算していて、追加納税があるのに納税してないとそれはそれでペナルティもそれなりの金額になってきたりもするので、しっかりと把握しておく必要があるルールってことですね。

そういうことなんですね。
| 年間所得(全て金融所得) | 通常の所得税額(15%) | ミニマムタックス追加額 | 合計納税額 |
|---|---|---|---|
| 10億円 | 1億5,000万円 | 75万円 | 1億5,075万円 |
| 60億円 | 9億円 | 3億7,575万円 | 12億7,575万円 |
M&Aへの影響:株式譲渡時の税率が変わる
特にM&AですとかM&Aにおける株式譲渡時に、このミニマムタックスの影響により所得税が増加する可能性もあります。

そうなんですか?
現在の税制ではオーナー経営者がM&Aで株式を譲渡した際に、申告分離課税の約20%が税率として発生してきます。でこれが2025年以降になるとミニマムタックスの影響で所得税率が最大22.5%まで上がってしまいます。住民税の5%と合計しますと最大で27.5%になる可能性があるよってことですね。

単純に税率が上がる可能性があるってことですね。
はい、そうなんです。法人がM&Aを行う場合は法人税が適用されるため直接的な影響は少ないんですけども、個人のオーナーさんのような場合はやっぱり大きく影響を受ける可能性があるので知っておく必要があります。

- 2024年まで:申告分離課税 約20%(所得税15%+住民税5%)
- 2025年以降:ミニマムタックス適用で最大所得税22.5%+住民税5%=27.5%になる可能性
- 法人によるM&Aは法人税が適用されるため直接的な影響は少ない
NISAへの影響は?今後の動向
ちなみにこれって今後はちょっとどうなってくんですかね。例えば新NISAなんかは大丈夫なんでしょうか?
新NISAについては今回のミニマムタックスの対象外になっていますし、そもそも非課税枠の上限も1,800万円なのでこの新NISAの枠内で資産運用をしていくというような人にとっては、まあ大きな影響はないって言えますかね。

それは良かったですね。せっかくNISAで投資の気運が高まってるので、しばらくはなんか改変されることはないと願いたいですよね。
そうですね。ただですね、今後ミニマムタックスが適用される人が増える可能性は十分あります。それこそ今はミニマムタックスの特別控除が3.3億円なんですけども、この特別控除が例えば1億円ですとか5,000万に下げられるなんてことも考えられます。

ありえますね。そうなると追加納付が必要な層がより多くなってくる可能性があるってことですね。
はい、そういうことです。22.5%という税率が今後上がる可能性もありますし、そもそもの申告分離課税の税率が変更になる可能性も考えられます。

これはちょっと最悪ですね。
そうですね。あとは今株取引などの金融所得に関して、国民健康保険料の算定対象を広げる検討をしているって話もあります。これについては別の動画で詳しく解説していますのでそちらをご覧ください。

まあ今はまだまだ超富裕層に向けた課税強化にとまってますけれども、今後の動向はちょっと注目しておきたいですよね。
そうですね。

- 2025年1月から超富裕層向けの追加課税「ミニマムタックス」がスタート
- 全所得から3.3億円を控除した金額に22.5%を乗じ、通常の所得税額を超えた分を追加納税
- 所得が全て金融所得の場合、10億円以上が対象の目安
- 個人オーナーのM&A株式譲渡では最大27.5%(所得税22.5%+住民税5%)になる可能性
- 新NISAは対象外・非課税枠1,800万円の範囲内なら影響なし
- 今後は特別控除額の引き下げや税率引き上げで対象者が拡大する可能性あり
終わりに
本記事の内容は YouTubeチャンネル 社長の資産防衛ch の下記動画を参考に作成しています。AIによる書き起こしを活用しているため、誤字脱字がある可能性があります。ご了承ください。本サイトは 社長の資産防衛chを応援しています!
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