フリーランスの年収実態を税理士が解説|1000万円の手取り比較も
フリーランスは実際に儲かるのか?データと手取りシミュレーションで実態を解説します。
フリーランスの年収分布|フリーランス白書2022のデータ
フリーランスの年収の実態について、フリーランス協会が発行する「フリーランス白書2022」のデータをもとに紹介します。フリーランス全体の年収分布は以下のとおりです。
| 年収帯 | 全体に占める割合 |
|---|---|
| 200万円未満 | 約20% |
| 200万円〜400万円未満 | 約30% |
| 400万円〜600万円未満 | 約20% |
| 600万円〜800万円未満 | 約10% |
| 800万円〜1,000万円未満 | 約10% |
| 1,000万円以上 | 約10% |
このデータを見ると、年収200万円〜600万円未満の層が全体の約70%を占めており、フリーランスのボリューム層がここに集中していることがわかります。
⚠️ 注意
このデータには、独立1年目のフリーランス(まだ利益が出にくい時期)や、会社員として働きながら副業をしている方も含まれています。そのため、全体の年収水準がやや低めに出ている点を念頭に置いてください。本業一本に絞っているフリーランスに限定すると、400万円〜600万円の層がメインのボリューム層となります。
📝 このセクションのまとめ
- フリーランスの年収は200万〜600万円未満が全体の約70%を占める
- 年収1,000万円以上のフリーランスは全体の約1割
- データには1年目・副業組も含まれるため、実態よりやや低めに出る傾向がある
会社員の平均年収|国税庁データで見る実態
次に、会社員の平均年収について確認します。こちらは国税庁の「民間給与実態統計調査」のデータをもとにしています。
| 区分 | 平均給与(目安) |
|---|---|
| 全体平均 | 約450万円 |
| 男性平均 | 約550万円 |
| 女性平均 | 約300万円 |
| 年収1,000万円以上の割合 | 全体の約5% |
会社員で年収1,000万円以上をもらっている方は、全体のわずか5%にとどまります。フリーランスの1,000万円以上(約10%)と比較すると、割合としてはフリーランスのほうが多い結果となっています。
📝 このセクションのまとめ
- 会社員の平均給与は約450万円(男性約550万円、女性約300万円)
- 会社員で年収1,000万円以上は全体の約5%
- フリーランスの1,000万円以上(約10%)より割合は低い
フリーランス・年収1,000万円の手取りシミュレーション
ここからは、年収1,000万円の場合の手取り額を、フリーランスと会社員それぞれでシミュレーションします。あくまでも目安であり、扶養人数・節税対策・自治体などによって個人差がありますのでご注意ください。また、ボーナス・賞与は考慮していません。
フリーランスの場合、「年収1,000万円」とは売上から経費を差し引いた後の所得(利益)が1,000万円であることを指します。売上がそのまま1,000万円というわけではない点に注意してください。
| 控除項目 | フリーランス(目安) | 会社員(目安) |
|---|---|---|
| 所得税 | 約110万円 | 約85万円 |
| 住民税 | 約90万円 | 約65万円 |
| 健康保険・国民健康保険 | 約80万円(国民健康保険) | 社会保険料に含む(会社折半) |
| 年金 | 約20万円(国民年金・1人分) | 社会保険料に含む(会社折半) |
| 社会保険料合計(会社員) | ― | 約120万円(自己負担分) |
| 個人事業税 | 約35万円 | なし |
| 消費税 | 別途かかる場合あり | なし |
| 手取り合計(目安) | 約665万円 | 約730万円 |
月額に換算すると、フリーランスは約55万円、会社員は約60万円が手元に残る計算になります。
📌 ポイント:フリーランスと会社員の大きな違い
- 個人事業税:フリーランスには業種に応じた事業税がかかるが、会社員にはない
- 社会保険料の折半:会社員は健康保険・厚生年金を会社が半額負担してくれるが、フリーランスは全額自己負担
- 消費税:フリーランスはインボイス制度導入後、消費税の申告・納付が必要になるケースが増える
⚠️ 注意:消費税について
今回のシミュレーションでは消費税は含んでいません。しかし、2023年10月からインボイス制度が導入されることで、消費税の申告・納付が必要になるフリーランスが増加すると予想されます。実際の手取りはさらに変わってくる可能性があります。
また、手取りから住宅ローンや家賃を支払っている方は、そこからさらに差し引かれることになります。月55万円(フリーランス)や月60万円(会社員)の手取りから、実際の生活費・住居費を引いた「余裕額」を計算してみると、より現実的なイメージができるでしょう。
📝 このセクションのまとめ
- 年収1,000万円の手取りはフリーランス約665万円、会社員約730万円
- フリーランスは個人事業税・国民健康保険・消費税など会社員にない負担がある
- 月額換算でフリーランス約55万円、会社員約60万円が手取りの目安
フリーランスが陥りやすい「売上と所得の混同」に注意
フリーランスや自営業を始めると、売上金額で会社員時代の給与と比較してしまうケースが多く見られます。しかし、これは危険な考え方です。
⚠️ 注意:売上と所得を混同しないこと
例えば、売上が3,000万円あっても、経費を引いた所得が1,000万円であれば、手取りは約665万円です。「売上が3,000万円になった=会社員時代の3倍になった」という考え方は誤りです。比較すべきは売上ではなく、経費を引いた後の所得(利益)です。
また、フリーランスの経費は毎年一定ではありません。機械の購入、車の購入、外注費の増加など、単年度で経費が大きく変動することがあります。経費が一時的に増えた年は所得が下がり、税負担も変わります。会社員と比較する際は、こうした経費の変動も考慮する必要があります。
📝 このセクションのまとめ
- 会社員の給与と比較すべきは「売上」ではなく「所得(売上-経費)」
- フリーランスの経費は毎年変動するため、単純比較は難しい
- 経費増加の年は所得が下がり、税負担も変わる
フリーランスが活用できる節税対策
フリーランスには会社員にはない税負担がある一方で、節税対策によって手取りをアップさせる手段も多く用意されています。主な節税対策は以下のとおりです。
- 青色申告特別控除:青色申告を行うことで最大65万円の控除が受けられる
- 小規模企業共済:自営業者向けの退職金積立制度。掛金が全額所得控除になる
- iDeCo(個人型確定拠出年金):老後資金を積み立てながら掛金が所得控除になる
- 国民年金基金:国民年金に上乗せして積み立てる制度。掛金が所得控除になる
📌 ポイント
これらの節税対策を活用することで、フリーランスの手取りは大きく変わります。同じ年収1,000万円でも、節税対策をしているかどうかで手取りが数十万円単位で変わることがあります。フリーランスと会社員の年収を単純に比較できない理由の一つがここにあります。
📝 このセクションのまとめ
- 青色申告特別控除・小規模企業共済・iDeCo・国民年金基金などで節税が可能
- 節税対策の有無で手取りは大きく変わる
- フリーランスと会社員の年収は、節税対策も考慮しないと正確に比較できない
法人化すれば儲かるのか?法人の赤字申告の実態
「フリーランス(個人事業)ではなく、法人化すればビジネスが大きくなって儲かるのでは?」と考える方もいるでしょう。しかし、実際のデータを見ると、法人の赤字申告の割合は約6割超となっています。
📌 ポイント:法人の赤字申告について
法人は決算書を税務署に提出するため、このデータが取得できます。ただし、法人は過去の赤字を繰り越せる期間が個人事業よりも長いという特徴があります。そのため、単年度では黒字でも、過去の赤字を引き継いでいるために赤字申告になっているケースも含まれています。6割超の全てが純粋な赤字というわけではない点に注意が必要です。
📝 このセクションのまとめ
- 法人でも赤字申告は約6割超というデータがある
- 過去の赤字繰越により赤字申告になっているケースも含まれる
- 法人化=必ず儲かるというわけではない
まとめ|独立・フリーランスの年収の現実
今回のデータと手取りシミュレーションを通じて、フリーランスの年収の実態が見えてきました。最後に全体のポイントを整理します。
| 比較項目 | フリーランス | 会社員 |
|---|---|---|
| 年収1,000万円以上の割合 | 約10% | 約5% |
| 年収1,000万円の手取り目安 | 約665万円(月約55万円) | 約730万円(月約60万円) |
| 主なボリューム層 | 200万〜600万円未満(約70%) | 平均約450万円 |
| 個人事業税 | あり(業種による) | なし |
| 消費税の申告 | あり(条件による) | なし |
| 社会保険料の会社折半 | なし(全額自己負担) | あり(会社が半額負担) |
| 節税対策の幅 | 広い(青色申告・小規模企業共済等) | 比較的限定的 |
- 独立=必ず稼げるというわけではない
- フリーランスのボリューム層は年収0〜600万円で約70%
- 本業一本に絞ったフリーランスでは400〜600万円がメイン層
- 年収1,000万円以上は会社員・フリーランスともに少数派
- 同じ年収でも、フリーランスは手取りが少なくなりやすいが、節税対策で改善できる
自分が今どのポジションにいるのかを把握し、節税対策や将来の資金計画に役立ててください。
終わりに
本記事の内容は YouTubeチャンネル 税理士河南のYouTubeチャンネル! の下記動画を参考に作成しています。AIによる書き起こしを活用しているため、誤字脱字がある可能性があります。ご了承ください。本サイトは 税理士河南のYouTubeチャンネル!を応援しています!
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